モティヴェイター(Motivator)とは、2002年イギリス生まれの競走馬・種牡馬である。鹿毛の牡馬。
父Montjeuの初年度産駒で、2005年のダービーステークスを優勝し、種牡馬としては一息の滑り出しになるかと思われた父の地位を大きく引き上げる立役者となった。
通算成績7戦4勝[4-2-0-1]
主な勝ち鞍
2004年:レーシングポストトロフィー(英G1)
2005年:ダービーステークス(英G1)、ダンテステークス(英G2)
父Montjeu、母Out West、母父Gone Westという血統。
父モンジューは1999年の凱旋門賞馬で、成績は当該記事に詳しいのでそちらを参照されたい。現役時代後半の成績が一息だったためか、初年度の種付け料は3万ユーロで、同じシーズンに10万7000ユーロの高額で供用開始となったGiant's Causewayと比べると競走成績の割に結構安い値付けであった。
母アウトウェストはリステッド競走1勝を含む5戦2勝。その曾祖母であるLady Be Goodの牝系は大きく広がり、*グッバイヘイロー・キングヘイロー親子やマジェスティバイオ、Polish Precedent(*ピルサドスキーの父で自身もGI2勝)などを出している。
母父ゴーンウェストはGI1勝だが、その勝利を収めたドワイヤーSは12馬身半差の圧勝で、種牡馬としても芝とダートを問わず活躍馬を送り出した。母父としては本馬のほか、ドバイワールドカップを勝ったAfrican Storyや東京大賞典の勝ち馬アポロケンタッキーなどを出している。
本馬は1歳10月のタタソールズセールにおいて「ロイヤルアスコットレーシングクラブ」という馬主団体にエージェントを通して7万5000ギニーで落札され、イギリスのマイケル・レオポルド・ウェントワース・ベル調教師に預けられた。
2歳8月にニューマーケット競馬場の1マイルのメイドン(未勝利戦)でデビューした。このレースでは中団から抜け出すと、あとは殆ど追われることなく、2着に入った*サンデーサイレンス産駒のイギリス産馬であるSunday Symphonyに6馬身差をつけ圧勝した。
次走は翌月のロイヤルロッジS(GII)が予定されていたが馬場状態が堅くなることが予想されたため回避となり、その18日後のレーシングポストトロフィー(GI・1マイル)に出走した。ベレスフォードS(GII)の勝ち馬であるエイダン・オブライエン厩舎のAlbert Hallとの2強と見られていたが、レースでは先行して先に抜け出すとそのままAlbert Hallに2馬身半差をつけて完勝し、2戦2勝でGI勝利を挙げた。レース後、ファロン騎手は本馬を「来年のダービー馬」と言い切った。
2歳シーズンが終了した時点でのレーティングは117ポンドで、レーティング1位のカルティエ賞最優秀2歳牡馬Shamardal(123ポンド)に比べるとあまり高くなかったが、翌年のダービーステークスの前売りではナショナルS(愛GI)を勝利した3戦無敗のゴドルフィン所有馬Dubawiに次ぐ支持を得ていた。
ファロン騎手がこの年からエイダン・オブライエン厩舎の主戦騎手となったため、新たにジョニー・ムルタ騎手が引退まで主戦を務めることとなった。
始動戦は2000ギニーステークスのプランもあったが、中距離戦に専念してダンテS(GII)からダービーを目指すことになった。そのダンテSでは1番人気に支持され、先行策から残り1ハロン地点で先頭に立って2着The Geezerに1馬身半差をつけ勝利した。
本番のダービーステークスまでの間にムルタ騎手は騎乗停止処分を受けていたが、異議申し立てによって停止期間が軽減され、ダービーでもムルタ騎手が騎乗できることとなった。1番人気に支持されたこのレースでは道中先行集団で進めると残り2ハロン地点で先頭に立って後続を突き放し、2着に追い込んだ同父のWalk in the Parkに5馬身差をつけて完勝した。
ムルタ騎手は2000年のSinndarと2002年のHigh Chaparralに続くダービーステークス3勝目だったが、「勝ったダービーの中で一番楽勝だった」とコメント。更には「まだ良化の余地が残っている」とも語った。
続いて古馬相手のエクリプスSに出走し、オーストラリアでGI4勝を挙げてこの年からイギリスに移籍したStarcraftや、前年にジャン・リュック・ラガルデール賞を勝つなど短距離~マイルで好成績を挙げていたがダービーステークスでは本馬の10着に敗れていたOratorioを抑えて単勝1.4倍の1番人気に支持された。しかし、スタートで一旦先頭に押し出される形となったのが原因で道中折り合いを欠き、本馬をマークしていたOratorioの半馬身差2着に敗れた。Oratorioの鞍上はかつての主戦であるファロン騎手だった。道中ペースを乱したことや堅い馬場状態が敗因として陣営から挙げられた。
短い休養を経てのアイリッシュチャンピオンS(GI・10ハロン)では、前年の勝ち馬でこの年もプリンスオブウェールズSとキングジョージVI世&クイーンエリザベスダイヤモンドSを勝っていた4歳馬のAzamourの前にデビュー以来初めて1番人気を譲り、2番人気での出走となった。このレースに限りケヴィン・ダーレイ騎手が騎乗した本馬は直線手前で先頭に立ったが、差し脚を伸ばしてきたOratorioに残り1ハロンで並ばれ、叩き合いで遅れて半馬身差の2着に敗れた。
3週間後の凱旋門賞では、アイリッシュダービーを勝利し前哨戦のニエル賞(GII)も勝利したHurricane Run、アイリッシュダービーで2着のあとパリ大賞典とセントレジャーを連勝したScorpionという同父の有力3歳勢のほか、愛オークス馬Shawanda、前年勝ち馬*バゴといった粒揃いのメンバーとなったが、その中で本馬は1番人気に推された。しかし、好位追走から伸びあぐねてHurricane Runの5着に敗退した。
レース後は一時引退も示唆されたが、最終的にブリーダーズカップ・ターフに出走する予定が表明された。しかし、調教中に脚を負傷し、結局凱旋門賞を最後に引退することとなった。欧州全体の表彰であるカルティエ賞では年度代表馬・最優秀3歳牡馬ともHurricane Runに譲ったが、英国競馬公社(BHB)の表彰では両部門とも本馬が受賞した(Hurricane Runはこの年イギリスで出走していない)。
なお、本馬やHurricane Run、Scorpionといった馬たちの活躍によって父Montjeuは2005年のフランスリーディングサイアーとなり、英愛サイアーランキングでもその父Sadler's Wells(3位)を抜いて*デインヒルの2位につけた。この活躍により、Montjeuは翌年以降の種牡馬としての地位を大きく向上させることになった。
イギリス・ノーフォーク州のロイヤルスタッド(王立牧場)で種牡馬入りしたモティヴェイターだったが、当初の産駒成績はGII・GIII勝ちが散発的に出るくらいであまり目立ったところは見られず、2010年には脚の怪我で種牡馬生活に支障をきたすという憂き目にも遭った。
ところが2012年に父Montjeuが急死すると突如として産駒成績が上向き、Ridasiynaが秋のオペラ賞を勝って父に初のGIタイトルをプレゼントすると、翌年にはTreveがディアヌ賞・ヴェルメイユ賞・凱旋門賞を勝ってカルティエ賞年度代表馬となり、モティヴェイターもフランスでのリーディングサイアーとなった。
Treveが翌年も凱旋門賞を連覇した一方、2013年からフランスで供用されている本馬の種牡馬成績はTreveの後が続かず、現在はどちらかというとスタミナ能力を買われて障害寄りの種牡馬となっているようである。
母父としては、外国産馬として日本で走り牝馬ながら丹頂S(OP・2600m)を勝った*メーヴェから菊花賞馬タイトルホルダーが出ている。更に繁殖牝馬として日本に輸入されたメイヒルS(英GII)の勝ち馬*ポリネイターがステラリア(2021年エリザベス女王杯2着)を、フィユドレール賞(仏GIII)の勝ち馬*スキアが富士Sを勝ちドバイターフで2着・3着1回ずつの成績を残したヴァンドギャルドと2023年の皐月賞馬ソールオリエンスを出す好成績を挙げており、日本で繁殖登録された産駒6頭のうち既に仔がデビューした3頭全てがGI入着馬を出している。今後は母父としての実績にも目が離せないところだろう。
Montjeu 1996 鹿毛 |
Sadler's Wells 1981 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Fairy Bridge | Bold Reason | ||
Special | |||
Floripedes 1985 鹿毛 |
Top Ville | High Top | |
Sega Ville | |||
Toute Cy | Tennyson | ||
Adele Toumignon | |||
Out West 1994 黒鹿毛 FNo.8-h |
Gone West 1984 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Secrettame | Secretariat | ||
Tamerett | |||
Chellingoua 1983 鹿毛 |
Sharpen Up | *エタン | |
Rocchetta | |||
Uncommitted | Buckpasser | ||
Lady Be Good | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Native Dancer 5×5×5(9.38%)、Mixed Marriage 5×5(6.25%)
掲示板
19 ななしのよっしん
2023/11/27(月) 22:26:20 ID: U0Pp1ypZxe
>>12
モンジュー系がBMS向きっぽいんだよなあ。母父や母父父でちょいちょい見る
母父モンジュー:パディントン、フィードザフレイム、パンサラッサetc.
母父父モンジュー:ファンタスティックムーン(母父ジュークボックスジュリー)ミスターブライトサイド(母父タヴィストック)タイトルホルダー・ソールオリエンス(母父モティヴェイター)etc.
20 ななしのよっしん
2023/12/10(日) 11:24:23 ID: X4354o6sEP
>>18
ggったらどっちも母系側にバックパサー足してるとこも共通してるね。キングヘイローもBMSとして優秀だし、この辺に何かあるとみてよさそう。
21 ななしのよっしん
2024/03/06(水) 15:00:30 ID: 3tl4hapq5/
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最終更新:2025/02/17(月) 03:00
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