シリュスデゼーグル(Cirrus des Aigles)とは、2006年生まれのフランスの競走馬。鹿毛の騸馬。
馬名の意味は「鷲の巻雲」。
世界を舞台に長く活躍し、「ファイティングシリュス」という愛称でも親しまれていた。
主な勝ち鞍(GIのみ)
2011年:チャンピオンステークス
2012年:ドバイシーマクラシック、ガネー賞
2013年:ガネー賞、イスパーン賞、コロネーションカップ
2014年:ガネー賞
父Even Top、母Taille de Guepe、母父Septieme Cielという血統。
父は主に障害競走馬の種牡馬として活動しており、シリュスデゼーグルは産駒の中で最も平地競走で成功している。
母は未出走馬、母父は1990年のフォレ賞勝ち馬である。
気難しい性格のため2歳初頭に去勢された騸馬。そのため凱旋門賞などいくつかの競走には出走できていない。今は数少ないヘロド系(その中でもトウルビヨン系)の中距離馬であるが、産駒は当然いない。残念。
去勢されていることから、生まれた当時はそれほど期待された血統ではなかったことが伺える。しかしその後、彼は晩成の名馬として世界を股に掛けた大活躍を見せる。
2歳時は4戦してどれも負けてしまったが、年明け2009年1月のカーニュ・シュル・メール競馬場で初勝利。これを機に着実な成長を見せ、秋には地方のリステッド競走を制した後、ロンシャンでプリンスドランジュ賞(G3)で重賞初制覇、コンセイユドパリ賞(G2)は6馬身差で制した。年末には海外への初遠征で香港ヴァーズに出走したが5位に入着となった。
丈夫なことが彼の取り柄であり、3歳時にはなんと17戦に出走している。しかも香港を除けば全て3着以内。この逞しさが、将来大きく花開くことになる。
4歳次には、ドラール賞(G2)を優勝、コンセイユドパリ賞(G2)は2着に入るなど健闘を重ねるも、アジア遠征で出場したジャパンカップと香港カップではまたも勝てず。一応ジャパンカップでは外国産馬の中で最先着の9位であった(1着:ローズキングダム)。
5歳シーズン前半には何度もG1レースに出走する。しかし名牝ゴルディコヴァ相手にクビ差の2着だったイスパーン賞など、惜敗が続く。だが重馬場のヴィシー大賞(G3)で勝利を決めると、そのまま重賞を3連勝。連覇を狙うドラール賞では惜しくも2着に敗れたが、乗り替わりのC.スミヨン騎手と共に英チャンピオンステークス(G1)に挑戦する。
レースでは道中4,5番手を追走し、残り50mで1番人気、オーストラリアの怪物ソーユーシンクを差し切りG1初制覇。
年末はスミヨン騎手を乗せ香港カップにリベンジしたが、5着に敗れた。
2011年は重賞4勝、G1で優勝1回、2着2回、3着1回の活躍を見せたことから、同年のカルティエ賞最優秀古馬に選出されている。ソーユーシンクとの直接対決を制したことが大きい。
6歳の初戦はドバイシーマクラシック(G1)。乗り替わりのO.ペリエ騎手は先行策を取り、3角で先頭に立つ。ここで猛烈に食い下がってきた前年のBCターフ優勝馬セントニコラスアビーをクビ差振り切り、再び海外のG1を制した。
さらにその後、不良馬場のガネー賞(G1)で母国フランスのG1を8馬身差で制す。しかし次走のイスパーン賞ではフランス2冠牝馬ゴールデンライラックに敗れ2着。その上、抗炎症剤による薬物陽性反応でイスパーン賞は失格となった。以後脚部不安と重なり出走機会が遠のいたが、夏には怪我から復帰してドラール賞を9馬身差で圧勝した。
次走は海峡を渡り英チャンピオンステークスの連覇を目指す。ここは当時の欧州最強馬フランケルが引退レースに選んでおり、彼の無敗の記録に土を付けられるかが注目の的となった。当日は不良馬場となりシリュスデゼーグルに有利とも思われたが、結果はフランケルの完勝。シリュスデゼーグルは惜しくも1と3/4馬身差の2着となってしまった。
年末は香港カップ参戦のため遠征したが、直前で左前脚を痛め出走を取り消した。香港に嫌われてない?
冬の間に負傷したシリュスデゼーグルは、療養が長引いたためか不振に陥る。6月末のサンクルー大賞で8カ月ぶりに復帰するが、ドイツの快速馬ノヴェリストに手も足も出ず5着。キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(GI)ではノヴェリストのレコード優勝に完敗し4着。さらにここから2連敗を喫する。
もういい年だし限界か、という声も上がったが、ラクープドメゾンラフィット(G3)で見事な復活を遂げ、キャリア50戦目を勝利で飾る。そして4年連続出走となったドラール賞でも優勝、第一線への復帰を果たす。3度目の出走となった英チャンピオンステークスでは数々の怪我に悩まされたものの、2着に入り底力を見せた。
年末は香港カップに参戦し、今度は3着に入った。良馬場になりやすい香港とは相性が悪いのかもしれない。
2014年、シリュスデゼーグルは8歳となったが、まだまだ現役を続行する。
初戦のコンディション戦では4着に敗れ、次走のドバイシーマクラシックでは、日本の鬼夫人ことジェンティルドンナにゴール前で差し切られる。しかし世界最高レベルの競走力があることを証明し、次戦は母国フランスのガネー賞(G1)に向かった。
だがそこに前年の凱旋門賞馬、カルティエ賞年度代表馬のトレヴが立ちはだかる。当時は無敗、あのオルフェーヴルもロンシャンで下した名牝である。序盤、シリュスデゼーグルはリードを奪ったが、残り400メートルのところでトレヴが追いつく。このままトレヴが勝つように見えたが、差が開かない。差が全然開かない。シリュスデゼーグルは凄まじい闘争心を見せ、トレヴを数センチのリードに留める。秒数にして実に20秒、決して引き離させなかった。そして彼が最後のひと押しで、トレヴの前に出たところがゴールだった。
後に36年ぶりの凱旋門賞二冠馬となる名牝に、彼は最初の敗北を与えたのだ。キャリア56戦の8歳馬が、である。単なる2年ぶりのG1勝利と言うには物足りないだろう。このレースをシリュスデゼーグル最高のレースに挙げる人もいる。
そして8歳馬の伝説はこれだけにとどまらない。続くイスパーン賞(G1)も勝利、さらにコロネーションカップ(G1)も制し、G1の3連覇を達成した。この年のコロネーションカップはセントニコラスアビー記念という副題が付けられており、対戦経験のあるシリュスデゼーグルが制することには何かの因果が感じられる。ちなみに2着はシルバーコレクターで有名なフリントシャーである。
コロネーションカップでの勝利の後、負傷により戦線を離脱、復帰は10月のドラール賞となった。すでに3勝しているこのレースで、彼は1番にゴールを通過するが、斜行により5着に降格。またその2週間後、英チャンピオンステークスに4度目の出走。フランケルが優勝した2012年大会を含め、過去優勝1回、準優勝2回を記録している。しかし、得意の不良馬場であったにも関わらず、彼は直線で加速できず5着に終わった。勝利したノーブルミッションはあのフランケルの全弟である。輝かしい栄光と悔しい敗北の目立った年であった。
年末は香港カップに再挑戦したが、4着に敗れた。
9歳次はガネー賞を勝利し幸先のいいスタートを切る。しかし結果的にこれが彼の最後の勝利となった。イスパーン賞、愛チャンピオンステークス、ドラール賞、ロワイヤルオーク賞と着外に沈み続ける。
年末は香港ヴァーズに挑戦し、10着に終わった。
10歳シーズンも現役続行予定だったが、検査の結果靭帯の石灰化が起こっていることが判明、3月末に引退が決まった。
最終成績は67戦22勝(22-20-6-19)、GⅠ7勝、GⅡ5勝、GⅢ5勝、連対率は62%である。
何度か怪我で離脱することはあっても、そのたびに復帰するその姿は、いつしか「ファイティングシリュス」と称えられるようになった。有終の美を飾ることはできなかったが、健康なうちにレースを引退できたことは大変喜ばしい。
3カ国でG1を勝利、獲得賞金は617万9490ポンド(約9億9800万円)。欧州馬として最も多くの賞金を獲得している。
シリュスデゼーグルは騸馬であったため、凱旋門賞に出走することは叶わなかった。しかし22勝のうち13勝はロンシャン競馬場で得たものである。
フランスだけではなく海外も舞台にした活躍だったが、こうして長く現役を全うできたのは調教師の献身によるものが大きい。
シリュスデゼーグルの調教師バランド-バルブ氏は同馬についてこう語っている。
大切な存在でした。彼はとても良い馬だといつも思っていて、馬主や厩舎スタッフにとても満足しています。私は彼を誇りに思っています。戦うことと勝つことを愛する勇敢な馬でした。
引退後は、GⅠ3連勝を含むキャリア後半の主戦騎手、C.スミヨンに引き取られ、彼の自宅で余生を過ごしている。
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https://twitter.com/FRBC_Official/status/752936223883362312
| Even Top 1993 黒鹿毛 |
Topanoora 1987 鹿毛 |
Ahonoora | Lrenzaccio |
| Helen Nichols | |||
| Topping Girl | Sea Hawk | ||
| Round Eye | |||
| Skevena 1983 鹿毛 |
Niniski | Nijinsky II | |
| Virinia Hills | |||
| Skhiza | Tagowice | ||
| Anticlea | |||
| Taille de Guepe 1999 栗毛 F-No.9-h |
Septieme Ciel 1987 鹿毛 |
Seattle Slew | Bold Reasoning |
| My Charmer | |||
| Maximova | Green Dancer | ||
| Baracala | |||
| Roots 1992 栗毛 |
Funambule | Lyphard | |
| Sonoma | |||
| Ruma | Rheffic | ||
| Runnelld |
クロス:Nijinsky 4×5(9.38%)、Round Table 5×5(6.25%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
掲示板
9 ななしのよっしん
2023/10/28(土) 16:33:08 ID: H8zvTvkHDq
倒した強敵たち
トレヴ
セントニコラスアビー
スノーフェアリー
ソーユーシンク
フリントシャー
ナサニエル
ノーブルミッション
パストリアス
トワイスオーヴァー
ナカヤマフェスタ
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10 ななしのよっしん
2023/12/12(火) 20:12:45 ID: zd9Ga1nF8i
フランケルが史上最強を名乗れる所以だよね
古馬中距離最強として座して待ち、結果として負けはしたものの「史上最高のレース」として認められたチャンピオンステークス
レースレーティング129.5ポンドはもはや二度と更新されないアンタッチャブルレコードだろう
11 ななしのよっしん
2024/06/03(月) 22:40:55 ID: H8zvTvkHDq
昨日のフランスダービーに女装(?)して登場してた
https://
こういう場に呼ばれるあたり未だに人気者なんだな
元気そうでなにより
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最終更新:2025/12/16(火) 11:00
最終更新:2025/12/16(火) 11:00
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