「Dirt」の意味は、メリアム=ウェブスター大学辞典によると「loose or packed soil or sand」、すなわち「疎であったり密であったりする土または砂」となっている。
北米と日本では気候の違いから質の違うダートが採用されている。
北米では雨が少ないために芝の育成が難しく、ダートでの競走が主流である。芝のレースの需要がないわけではないために、多くの競馬場が多量の水を撒いて芝コースを造成・維持しているものの、「馬を追って赤土の荒野の新大陸を西へ向かい開拓した」という歴史的なアイデンティティもあり、芝のレースはダートのレースより位置づけが落ち、競馬場の構成もスタンドに近い外回りのメイントラックがダートコース、遠い内回りのサブトラックが芝コースとなっている。実際アメリカの三冠競走はすべてダートで行われ、またブリーダーズカップ・ワールド・サラブレッド・チャンピオンシップではダート競走のブリーダーズカップ・クラシックは芝のブリーダーズカップ・ターフより賞金が高くなっている。
この北米の土のダートは、日本のダートで採用されている砂に比べてスピードが出やすい。近年に設立された高額賞金のダート国際競走「ドバイワールドカップ」のコースはアメリカから赤土を持ち込んで作ったものである。さらにアメリカの競馬場はその多くが1周1マイル≒1600mほどと小回りで、直線も短くかつ坂もない。こうしたアメリカのトラックでは直線で差される可能性が低いため、スタートからハイペースで先行しそのスピードを最後まで維持できる馬が有利となる。このようなレースで選抜された馬からは、ノーザンダンサーやサンデーサイレンスのように、全く競走環境の異なる欧州や日本において、それらの国の血統を完全に一新するほどの影響力を及ぼす種牡馬も出た。
イギリスを中心とする欧州の競馬に範を取った日本では、日本ダービー・有馬記念などの多くの主要レースは芝で行われている。しかし、欧州に比べて夏の暑さや雨の多さなど厳しい気候にある日本の環境では、芝の養生と維持のために芝コースの使用頻度を抑える必要があり、その目的のためにダートコースが導入された。
また、蹄によって掘り返された穴を人力で埋め戻しては新たに芝の種を蒔く必要がある芝に比べると、馬鍬(ハロー)という農具で整地すれば整備が完了するダートは、管理が容易でコストが低廉なことから、サラブレッドの競走が行われるすべての競馬場で採用されている。中央の競馬場は全て芝コースとの併用だが(1988年までは札幌競馬場がダートのみだった)、地方競馬場は盛岡競馬場以外全てダートコースのみである。
中央競馬では長く芝が中心でダートは重賞もろくに存在しないような状態だったが、1995年に中央競馬から地方のレースへ・地方競馬から中央のレースへの出走が可能となった「中央・地方交流元年」以降、順次ダート路線が整備されていき、1997年にはフェブラリーステークスが日本で最初のダートGⅠとなった。
2024年現在は中央に2つの国際GⅠ、地方に1つの国際GⅠと、地方に12のJpnⅠ(日本独自格付けのGⅠ級競走)が存在する。2歳戦がJpnⅠ1競走、3歳戦がJpnⅠ3競走。残り11競走は古馬戦で、そのうち牝馬限定JpnⅠが1競走ある。
そのGⅠ級15レースも含めた、中央の全ダート重賞と、地方の交流重賞(中央所属馬が出走可能なレース)をまとめて「ダートグレード競走」と総称する。詳しくは当該項目を参照。
雨の多い日本ではアメリカのように赤土を採用すると管理が難しくなる。そのため、水はけのよさに適した砂を採用している。柔らかくクッションの効いたこの砂の馬場を攻略するには、スピードはあれば越したことはないが芝コースで求められるほどのものは必要ではなく、逆により大きなパワーが必要となる。
そのためダートの強豪馬は大柄な馬が多く、馬体が完成する古馬となってからが本番で、世代戦のクラシックが重視される芝と違い、ダートの世代戦はあまり充実しておらず、さほど重要視もされていない。また、芝と比べても牡馬と牝馬の実力差は大きい。
ただし2024年からは羽田盃と東京ダービーがJpnⅠ格付けとなり中央に開放され、3歳ダート三冠が確立したので、今後はダートでも世代戦が重要視されるようになるかもしれない。
砂であるため、乾いてサラサラの状態よりも、水分を含んで締まった方がスピードが出やすくなる。そのため、芝とは逆にダートでは良馬場より重馬場の方がタイムが出る。もっとも、砂の吸水・排水キャパシティを超えて水たまりが浮かぶほどの不良馬場になれば、タイムは落ちる。
またコースが柔らかいので馬の脚元への負担も少ない。そのため、本当は芝を走らせたいけれど脚元に不安のある馬や身体が硬くて過度な負担をかけたくない馬が、体質が良化するまでダートを走るということはよく見られる。
馬の負担が少ないので、ダート馬は芝に比べて出走数が多くなる傾向にある。地方では調教代わりや出走手当目当てに毎週のようにレースを走る馬も珍しくない。さらにダート馬は芝に比べると種牡馬需要が高くないので、脚元の負担の少なさもあってGⅠ級を何度も勝つような超一流馬でも7歳ぐらいまで現役を続けることは珍しくない。
日本と北米のダートの違いから日本のダート王が海外のダートで凡走することも多く、また逆に旧ジャパンカップダートで招待した北米の有力馬が凡走することも多かった。
しかし2021年11月のブリーダーズカップ・ディスタフ(デルマー・ダート9ハロン)でマルシュロレーヌが日本生産・調教馬初の海外ダートGIを制することとなった。
欧州のパート1国であるイギリス、アイルランド、フランス、ドイツの4ヶ国ではダートのレースは開催されておらず、平地競走は芝のレースが中心である。ただし平地競馬は春から秋の半年がメインシーズンで残りの半年は障害競走がメインであり、この期間の平地競走はオールウェザーコースが中心となる。パート2国のスウェーデンなど東欧・北欧諸国ではダートが開催されているらしい。
UAEでは先述の通りアメリカの土を使用したダートコースが整備されている。
サウジアラビアは土にウッドチップを合成した、オールウェザーに近いダートのようだ。
南米でもダートレースは行われている。情報が少ないためはっきりとはわからないが、アルゼンチンのパレルモ競馬場では砂80%、石灰岩14%、粘土6%のダートコースが使用されているようであり、どちらかといえば北米より日本に近いといえるのかもしれない。
韓国は日本統治時代に日本人が始めた競馬がルーツとなっているためか、日本のものに近い砂のダートを使用している。なお、日本の地方競馬と同様ダートのみで開催されている。
掲示板
40 ななしのよっしん
2024/05/08(水) 12:49:55 ID: wb9B1zju2h
>>36
そもそも前哨戦のレーティングがそこまで高くない
根岸SはG2にしてもよさそうだけど
逆に東海SがG3に下がってもおかしくない
41 ななしのよっしん
2024/05/18(土) 20:03:48 ID: +ln31o3qEs
今のダートもそれなりに質が揃ってるよね
ヤマニンウルスを筆頭にソトガケ・ウシュバ・エバヤン、それを追うペプチドナイル・ドゥラエレーデ・ラムジェット・イグナイター、さらにレモンポップやシャマルも脇を固める…と中々豪華
42 ななしのよっしん
2024/09/14(土) 23:58:45 ID: 84DDfEbh1R
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最終更新:2024/12/28(土) 13:00
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