ELSとは、機動戦士ガンダム00(劇場版 機動戦士ガンダム00 ‐A wakening of the Trailblazer‐)に登場する『未知なるモノ=異星体』である。
概要
名称であるELSは『エルス』と発音する。
由来は、『Extraterrestrial Living-metal Shapeshifter(地球外変異性金属体)』の頭文字より。
人類との接触の過程
1:ファーストコンタクト
西暦2314年
木星圏に遺棄されていた木星探査船「エウロパ」と未知の手段で融合。
内部に残されていたデータベースから地球(知的生命体が居住している惑星)の存在を知り、自身のコミュニケーション手段として使用している脳量子波を感知したことで地球に向けて航行を開始する。
地球連邦軍がエウロパを粉砕するも、融合していた破片が地球に落下する。
2:地球上での活動、その後
破片として地球に落下した後は軍用車両や地下鉄の列車等の無機物に融合。
それらの仕組みを理解し、運用を模倣することで脳量子波を発する人間「イノベイターへの変革の兆しを見せていた人間」とのコミュニケーションをとるために接触しようとしたことで、世界各地で不可解な事件事故が多発した。
事件の検証により地球側に異星体として認知され、ELS(エルス)と呼称される。
ELSの生態、および能力
1:性質
自在な変異を可能とする金属の体を持ち、木星探査船エウロパへの擬態に始まり地球上の施設・機器との同化、さらには人体の模倣など姿は多種多様に変化する。
活動する際にはある程度の大きさを保つ必要があり、それ未満のサイズに分断された場合は活動が一時的に停止し地球上の金属と差異の無い性質に変わる。
人型に擬態した個体が「爆破されて体積が半分以下まで減った」際に活動停止したことから、活動可能な最小サイズは人間とほぼ同等の大きさであると考えられる。
活動停止した個体は活動中の別個体と融合する事で再び活性化し、活動を再開する。
2:コミュニケーション
ELSは群体であり、個別の意思は無く一般的に「超個体」と呼ばれる生態を持つ。
群体内での情報伝達には脳量子波を使用し、これにより瞬間的に全個体での共有が可能。
もっとも強力に脳量子波を伝達するために他者との直接的な接触、及び融合を用いる。
知性はあるが、群れで一つの頭脳を構成するため彼らには『個』という概念がなく、融合によって個が活動を停止すると「個がなくなる=死んでしまう」という事を彼らは理解できなかった。
そのため様々な惑星でコミュニケーションを行おうとするたびにその惑星の有機生物は死滅し(融合すればその個は活動を停止しても、群体の意識と意思疎通できるというコミュニケーションしか知らないため)、無機物でできた惑星は(ELSと同様の生命体でなかったため)そのまま融合しきってしまって定住が不可能になっていた。
個体別の情報を統括して認識できるため情報の処理能力は天井知らず。
ミサイル程度の単純な作りならば触れた瞬間模倣し、数回の接触でMSすら複製してみせた。
3:ワームホールによるワープ
彼らは未知の手段でワームホール生成、経由することで一種のワープを行う事ができる。
先遣隊として少数の個体が多種族の生命体の探査を行い、発見次第コロニーに通達しこれを利用して出現する。
そのため彼らELSの活動範囲は広大で現在もその規模は判明していない。
4:ELSの「叫び」
人類も使用可能になりつつあった脳量子波だったが、長い年月を脳量子波と同じものを用いて進化している上にとてつもない数の群体によってそれらを使用していることで、人類の個人には到底許容できるものではなく、そのため彼らの脳量子波を感じ取れる人間には漠然と叫んでいることしか理解できなかった。
※例えるなら、乳幼児の耳元で大人が大声でまくしたて続けるようなものである(何を言っているのか理解できないどころか鼓膜の損傷まであり得る状態)。
目的
生まれた惑星が居住不可能な状態になってしまったため、本体から分離したコロニーが脱出。
安住の地を求めて宇宙を放浪していた。つまり彼らは亡命申請の話し合いをしたいだけであって害意はなかった。
しかしELSを侵略者と認定し迎撃を行ってしまったことで、それらの戦闘行動が「地球でのコミュニケーション手段」と勘違いしたELSは人類と話すためそれらを模倣。
つまり行為としては「大規模な異星生命体同士の戦争」なのだが、ELS側にとってはただ会話のための第一歩だったのである。
※おそらく生誕以降「完全な超個体」として進化してきたため、そもそも「闘争」「戦闘」等の「生物同士の衝突」といった概念すら彼らには存在しなかった。
対話成立
世界中で人間と融合し続けたため多くの人間がその変異に耐えられず死亡するも、なんとか対話に成功した人間はその浸食を止めさせることで死を免れた。
決定打として、人類で唯一となったイノベイター「刹那・F・セイエイ」による対話を以てELSは人類の生態(個という概念や自分らに浸食されると活動できない等)を理解し、彼によって伝わった彼自身の平和意志の象徴たる「花」に形を変え戦いは終結した。
対話成立後
ファーストコンタクトで敵性勢力と認定されてしまったことや多大な被害を出したこと、使用する情報伝達手段が人類に増加傾向にあったイノベイターと同じ脳量子波だったことが相まって、イノベイターにならなかった人類「旧人類軍」とイノベイターとの確執においてやり玉に挙げられた。
※イノベイターは「ELS感染者」と揶揄又は本気で侮蔑され、諸共に排斥すべきという流れが統合戦争を助長した。
当のELSは人間と触れ合ったことでその生態の違いに感化され、統合戦争が起きた頃には個別に性格をもったELSが発生。個々の判断でイノベイターに力を貸す者、静観を通すもの等の個性が発現した。
そうした戦いを経て約50年後の世界では人類と友好関係を築けており、人間と共同で操縦する新型ワークローダー「サキブレ」なども開発されている。
分類
- 小型ELS
MSより小型。
正面に伸びる直方体の突起が4つ繋がっているもの。
西洋のランスのような形をしたもの。
鋭利な穂先のような形をしたもの。
これら3タイプが確認されている。MSの擬態をする際には3~4体が融合する。
- 中型ELS
区分では中型だが、ガデラーザや艦船を丸ごと取り込むほど巨大。
こちらも3タイプあり基本的にクラゲなどの海洋生物を思わせる姿となっている。
- 大型ELS
全長300キロという衛星サイズの巨大さ。母星脱出時に本体から分離した1基。
内部は液体で満たされ、様々な役割の機関に姿を変えたELSで構成されている。
このタイプのみ中心には中枢と呼べる区画が存在する。
- ELSジンクス
ジンクスⅣに擬態したELS。よく見ると細かい部分がかなり省略されているが、武装の機能などはしっかりと再現されている。
金属色のようなカラーリングで目は一つしか見えず(ザクのようなモノアイではなく、通常のガンダムタイプの形状をしたカメラアイの片目だけに目玉のように光る目がある)、足はつま先立ちのまま固定されている。
武器とそれを持った手首が一体化しており、取り込んだ機体の装備している武器もそれぞれ再現されている。
ビームサーベルは手のひらから発生させ、ライフル系は手が直接持ち手部分と繋がり、バズーカ装備型は腕ごと一体化している等。
背部のドライヴ部分は長い槍のようになっているほか粒子の色も紫となっている。能力もほぼオリジナルと同じで連邦軍を苦戦させた。
- ELSガデラーザ
漫画版と外伝の機動戦士ガンダム00Nに登場したガデラーザに擬態したELS。中型ELSが一体丸ごと変化。
オリジナルと比べるとドライヴ部分や各部が流線型となっており、色はガデラーザの紫とELSの銀色を混ぜたかのような薄紫。大型GNファングや小型GNファングがより昆虫のようなフォルムに近くなっている。4本のクローアームはウイング部は変わりはないがミサイルコンテナ上部の3本指のクローアームは指が鋭い爪に変わっており、下のマイクロミサイルも入っている。
中はパイロットのデカルトの姿もそのまま再現されている。
劇場版では尺の都合で登場は見送られてしまったが漫画版では登場。しかもわらわら湧いてきた。
また、外伝の00Nでは最終決戦の絶対防衛線にて押し寄せてくる大群のELSの中に本機がいた。
本機を目撃したパイロット達は大量のファングを引き連れて行動する姿がまるで昆虫のように見えたと語ったらしい。
- ELSダブルオーライザー
こちらも尺の都合で漫画版でのみ登場。ダブルオーライザーに擬態したELS。
ジンクスと同じく各部が簡略化されており、武装のGNソードⅢも腕部と一体化している。
常にソードを展開しながらビームモードを使用してくるなど、武装の磨耗を考慮しない攻撃手段はある意味オリジナルより厄介。
- 他擬態ELS
最初に融合した木星探査船エウロパや、撃墜されたELSエウロパの破片として地球に降り注いだ際に地球上の様々な機械などに擬態したELS。
前述のとおり地球人の個としての死が分からなかったため、電車やトラックに擬態して脳量子波の高い人間に突撃するなどの怪事件を引き起こしていた。
- 刹那・F・セイエイ
本編のラストで50年近くを経て地球に帰還した刹那・F・セイエイ。
見た目は体が完全に銀色化していてパッと見ではとても人間には見えないが、ELSが細胞レベルまで人体を模倣しているため体温や皮膚の感触などは遥かに人間に近いらしい。
人間でもELSでもない全く新しい生命体となっている。
人種:刹那
- ハイブリッドイノベイター
ELS襲来の際に浸食を受けた人間の中で、イノベイターとして覚醒したことでELSとの共生が可能になった人類。
浸食された部位は刹那と同じく細胞レベルでELSが人体を模倣しているため問題なく活動できる。
イノベイターより更に細胞の老化が遅く脳量子波が強力になっており、襲来時に学生だった少女は50年後に20代に見紛う姿で外宇宙航行艦の艦長を務めている。
- サキブレ
劇場版ラストに登場する新型ワークローダー。
腕に様々な器具を搭載したボックスを備え、動力は基本的に疑似太陽炉やコンデンサを使用している。
重要な任に就く機体等にはオリジナルの太陽炉が搭載され、その際にはクアンタと同等の量子跳躍すら可能になる。
ソレスタルビーイングからの技術提供の影響か、全体的なフレームにはダブルオーガンダムの系譜が見て取れる。
頭部に緑色のケースがセットされており、この中身は空。コクピットに人間が乗り、頭部スペースにELSが入って共同操縦することで様々な作業をこなすことが出来る他、それぞれが単独で操縦することもできる。
外伝主人公のレオ・ジークはこれにより異星で新しい知的生命体を発見するという偉業を成し遂げた。
- ELSクアンタ
劇場版のラストを飾った機体。刹那共々ELSと融合したダブルオークアンタ。
大まかな外見はパージした装甲が復元されたダブルオークアンタだが、背中に4対8本の触手とも翼とも見える器官が備わっている。
これはELSの他にも旅の過程で新たに相互理解を果たした宇宙生物なども融合しており、見た目はクアンタだが様々な生物の集合体として変異したもの。
劇場版ラストではマリナの住居の近くの花畑に着地し、「澄み渡る未来」の象徴として00シリーズの終幕を飾った。
- ガルムガンダムE
外伝漫画の主人公レオ・ジークがラストで搭乗したガンダム。
ELSらと交戦するものの、戦いの末にパイロット諸共浸食される。
しかし完全に取り込まれる寸前で刹那の対話が成功したのと、先に覚醒したアーミア・リーの呼びかけによりジークが覚醒。
同化したELSにより修復され、ガルムガンダムEとして再生された。
その後はジークの新たな機体となり前述の旧人類軍との戦いなどへの武力介入に赴いていた。
外伝作品での活躍
スパロボやGジェネシリーズでは最初こそ理解不明な怪物扱いであるが、最終的に対話が成功して人類の手助けとなる展開が多い。
特にスパロボUXでは性質の似たフェストゥムとも協働し、インプラントにより先兵化されたヴァジュラと交戦した主人公達の援軍として登場。敵の攻撃から主人公らを庇い、同化能力を生かしてヴァジュラ達からインプラント装置を片っ端から除去・破棄するという手助けをしてくれた。
ニコニコ動画におけるELSの活動(メタル化シリーズ)
前述した通り、ELSの活動は広範囲に広がっており、その影響は我らがニコニコ動画においても確認されている。
1番目:ニコニコ動画でも有名なビリー・ヘリントン氏に擬態したELSの映像だと思われる。
2番目:恐らくは、第二次世界大戦時のナチスドイツ総統「アドルフ・ヒトラー」に擬態したELSの映像だと思われる。
『ニコニコ動画の人気者』に擬態することで、ELSは我々ニコ厨との対話を試みたのだろうか?
ELS調査隊の報告によれば、上記の動画以外にもニコニコ動画におけるELSの活動が多々観測されているとのことである。
気になった方は【メタル化シリーズ】でタグ検索を試みると良いだろう。
「ニコニコ動画におけるELSの活動圏内では、独特の音楽が聞こえる。」という情報が入っている。
上に挙げた動画ではそれが聞けるので、是非とも確認して欲しい。
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関連項目
- 機動戦士ガンダム00
- 劇場版機動戦士ガンダム00
- 刹那・F・セイエイ
- デカルト・シャーマン
- ダブルオークアンタ
- 宇宙人 (厳密には『異星体』)
- ボーグ (同じく金属生命体)
- フェストゥム (同じく「個」を持たない生命体)
- メタル化シリーズ
- ディアッカ・ELSマン
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