SAPICAとは、札幌市交通局の第三セクター「札幌総合情報センター株式会社」が発行するICカードである。
概要
2009年1月30日に札幌市営地下鉄のみを対象に導入された。
2013年6月22日より札幌市電と札幌近郊のバス事業者3社でも導入された。
またこれと同時に、Kitaca・Suicaなど10種のICカードに片利用で対応した(これら10種のカードをSAPICAエリア内で利用することができる一方、逆はできない)。なお電子マネー機能は片利用の対象外である(ただし、SAPICAとKitacaの双方の電子マネーに対応している店舗であればKitacaの相互利用扱いで利用可能)。
ポイント制度
SAPICAではポイント制度を採用しており、交通機関の利用では利用額の3%のポイントが付与される。かつては10%付与されていたが、新型コロナウイルス流行による各事業者の収入減を受け、2022年10月1日から引き下げられた(公式リリース)。
交通機関以外での利用(SAPICA電子マネー)の場合は、一部の店舗に限りポイントが付与される。対象店舗については後述の「電子マネーとしての利用可能箇所」欄を参照。
ポイントは、乗車運賃以上のポイントがカードに残っている場合、そのポイントが引き落とされるという形でのみ利用できる(現金チャージの残高が0円だと利用不可)。交通機関の利用時以外には利用できない。ポイントをチャージ額のほうに加算する、ということもできない。
備考
- SAPICA以外のICカードはポイント付与対象外である。そのため、SAPICAエリアの交通機関を頻繁に利用するのであれば、他のICカードを持っていたとしてもSAPICAを持っているとよい。
- 札幌市営地下鉄では、自動券売機でSAPICAを使って切符を購入することや、乗越精算機で運賃の不足額をSAPICAを使って支払うこともでき、この場合もポイントは付与される。ただし、これらの支払いにポイントを使うことはできない。
- ポイントは乗車運賃以上たまった場合に初めて利用できるため、もし同一の区間しか乗車しないとした場合、運賃がいくらの区間であろうと、33~34回乗車して初めてポイントを消費できることになる。
- ポイント制度は、それ以前から発行されていた磁気カードのプレミア(発売額以上の額で利用できる)と整合性を取るために設定されている。
- ただしSAPICAはポイント付与率が一律10%(当初)であり、磁気カードに比べると同じか劣る、というものになっている。磁気カードは通常は10%のプレミア付与であったものの、10,000円券だと15%のプレミアが付いていた。また各事業者ごと(札幌市営地下鉄と札幌市内のバスとの乗継利用不可)で昼間割引のカードや回数券も発行されていた(プレミアは25%が基本。札幌市営地下鉄とジェイ・アール北海道バスは磁気カード、札幌市電と北海道中央バスは回数券)ものの、これらもSAPICA導入の進展に伴い廃止された。
- そのこともあって、磁気カードからSAPICAへの置き換えはなかなか進まなかった。ただ、2013年6月より(定期券は2014年2月より)市電やバスでの利用にも対応したことで、切り替える利用者も増えたものと思われる。また2015年4月に磁気カードの利用が停止されたため、それに合わせて切り替えた人も多いと思われる。
- 他社のICカード乗車券のポイント制度は、1か月単位の利用額などから算出する・ポイントを受け取るために券売機等での操作が必要というものも多いが、SAPICAのポイントは即時付与となっており、受け取りの操作等も必要ない。
導入状況
- 2009年1月30日 - 札幌市営地下鉄で導入。
- 2011年3月18日 - 電子マネーの利用を開始。
- 2013年6月22日 - 札幌市電および、札幌市内および近郊を運行するバス3社(ジェイ・アール北海道バス、じょうてつ、北海道中央バス)の札幌市内および近郊路線でSAPICAが導入された。
- 2014年2月20日 - 札幌市電・バス(札幌市営地下鉄との乗り継ぎも含む)のSAPICA定期券の取り扱いを開始。
- 2014年5月20日 - 北海道中央バスの路線のうち、磁気カードは導入済みであったがSAPICA未導入であった各路線(小樽・余市地区の一般路線、滝川・留萌・富良野方面の高速バス)にもSAPICAが導入された。
- 2015年3月31日 - SAPICA取扱事業者が並行して発行していた磁気式乗車カードの利用が、この日をもって終了。以後は指定の期間内、無手数料で払い戻しを受け付ける。
- 2022年6月1日 - ジェイ・アール北海道バスが様似地区にSAPICAを導入。
- 2023年4月1日 - 札幌市営地下鉄と、SAPICA導入のバス事業者の間で設定されている乗継割引が、SAPICAおよび片利用のICカードのみでの対応となり、紙の乗車券・乗継券での対応が廃止となる。札幌市電および、SAPICA非導入のバス事業者については紙の乗車券・乗継券での対応を継続する。
その他
札幌市交通局では、1999年に「S.M.A.Pカード」という名称のICカードでサンプル調査を行っており(普及に向けた調査・研究段階だった。当時はSuicaのサービス提供が決定したくらいの時期だった)、このカードは札幌市営地下鉄と札幌市電が利用エリアとなっていた。また、さっぽろ地下街の店舗でも使用が可能であった。
乗車カードとしての利用エリア
事業者 | 利用可能エリア |
---|---|
札幌市営地下鉄 | 全線 |
札幌市電 | 全線 |
北海道中央バス | |
ジェイ・アール北海道バス | |
じょうてつバス | 全線 |
- 以下のバス路線では、上記以外の事業者と上記の事業者との間で、(紙の乗車券にて)共同運行や共通乗車の取り扱いが行われているが、その場合もSAPICA(他の片利用可能なICカード乗車券を含む)は上記の事業者が運行する便でしか利用できない。どの事業者の便に乗るかわからない場合は、紙の乗車券を購入する必要がある。
- 上記のエリアであっても、臨時便については一部SAPICAに対応しないものもある。
電子マネーとしての利用可能箇所
利用可能店舗はSAPICA公式サイト「ご利用可能店舗」に掲載されている。
以下の店舗に限り、上述のSAPICAポイントも付与される。付与率は200円あたり1ポイント(端数切り捨て)。
- セイコーマート(2011年11月28日より。当初は札幌市内の店舗でのみ導入であったが、いつぞやのタイミングで札幌市外も対象になった)
- サツドラ(サッポロドラッグストアー)(2018年4月9日より。SAPICAエリア外を含む全店舗で導入。同社経営の「北海道くらし百貨店」でも導入)
- この他、一部店舗では、2019年10月 - 2020年6月に実施される「キャッシュレス・消費者還元事業」としてのポイント(利用額の2%または5%)が付与されていた。「キャッシュレス・消費者還元事業について」(SAPICA公式サイト)を参照。
関連動画
SAPICAはICカードのコード(ソフトウェア的に設定されたもの)がKitacaやSuicaなどで用いているものとは異なっているため、それらのカードと重ねても札幌市営地下鉄の改札を通ることができた。しかし上記の通り、2013年6月からKitacaやSuicaなどにも対応するため、同年4月より重ねて利用することはできなくなった。
関連項目
脚注
- *「ジェイ・アールバスカード」はこの時点では、SAPICA非導入地域である様似営業所管内では引き続き発売・利用を継続していたものの、2022年6月のSAPICA導入を前に、2022年3月ごろに磁気カードの発売を終了している。
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