とさでん交通株式会社とは、高知県高知市桟橋通に本社を構える鉄道事業者・バス事業者である。
概要
その前身のひとつとなる「土佐電気鉄道」は1903年創業。日本で最も古い路面電車事業者である。
総営業距離は25.3km。広島電鉄に次いで2番目に長い路面電車距離を誇る。
通称「土電」(とでん)。高知県内向けのメディアではそう書かれるが、全国向けの路面電車を扱う記事の際は都電との混同を防ぐため「土佐電」「土佐電鉄」と表記されることも多い。
また、高知県内で単に「電車」と言ったらここを指す(県内で電化鉄道はここしかないため。JRは「汽車」と呼ばれているそうだ)。
なお、2014年4月28に行われた中央地域公共交通再構築検討会で土佐電鉄・土佐電鉄バスグループ(土佐電ドリームサービスバス含む)・高知県交通バス 3社の合併が提言され、同年6月27日の株式総会で合併することが承認された。
3社を併合した新企業『とさでん交通株式会社』は2014年10月1日発足。
路線
以下の3路線を運営している。全線1067mm狭軌で600V直流電化。
在籍車両
※2020年12月現在車籍があるもののみ掲載。番号の小さいもの順に掲載。
また、100・3000形を除く全車両が吊り掛け駆動車、外国電車に関しては全車非冷房(そのため基本的には夏季の定期列車での運用は無い)である。
特に断り書きのないものに関しては全長は12m前後級の車体を持つ。
- 貨1形
1952年デビュー。全長はかなり短い(スペック不明だが恐らく8m級)。基本的には救援用・保線用の電動貨車であるが、よさこい祭りの時には花電車として走る。 - 7形
愛称『維新号』。1984年デビュー。全長約8m。開業80周年記念事業で、1905年開業時の車両を復元した。ICカードリーダーを搭載していないので現在は定期運行は行われておらず貸切用車として車庫で寝ているニートレインである。 - 100形
愛称『ハートラム』。2002年デビュー。100番台を名乗る車両は旧土佐電鉄時代から数えて3代目になる。同社初のVVVFインバータ制御車&低床電車である。阪急阪神HD傘下の鉄道車両メーカー「アルナ車両」が発売する低床路面電車の「リトルダンサータイプL」がベースの3両編成の連接車で全長約17m。車両価格が高価なせいで1編成しか配備されておらず、しかもメンテナンスに手間がかかりすぎるせいで5日に1回は運休する有り様である。運用は - 198形
1992年デビュー。元ノルウェー・オスロ市電B・E形電車(1939年製造)。同社の規格に合わせて魔改造(種車は片運転台だったため後部に運転台増設のほか、車幅が2.5m→2.3mに縮小化等)された。在籍する車両の中で3番目に長い約15mの車体を持つ。2018年に水玉模様からオスロ市電カラーに復元された。 - 200形
1950年デビュー。都電6000形のデッドコピー的な車両。在籍する14両のうち11両が非冷房(冷房搭載車は鉄道車両用エアコン2両・家庭用エアコン流用実験車1両のみ)。2017年、210号車が家庭用エアコンを載せてしまう改造実験を行いネット上でバズった。 - 320形
1992年デビュー。元オーストリア・グラーツ市電204号車(1949年製造)。グラーツ市公営運輸企業局と旧土佐電鉄とが兄弟会社の提携協定を結んだ日が3月20日だったことにちなみ、320形と番号割当された。 - 590形
2005年デビュー。元名古屋鉄道590形(1957年製造)。名鉄の岐阜600V線区(岐阜市内線・美濃町線等)廃止に伴い、591・592の2両が車番・カラーリングの変更無く高知にやってきた。デビュー当初は車体ナンバーは名鉄時代そのままのローマン体であったが、2012年頃に他の車両と同じく丸ゴシック体に変わってしまった。 - 600形
1957年デビュー。同社の最大勢力。モーター出力にバラつきがあり、38kw仕様と50kw仕様の2種類が存在する。 - 700/800形
1971年デビュー。元 山陽電気軌道(現在のサンデン交通バスのルーツとなる企業)の700/800形である。 - 910形
1994年デビュー。元ポルトガル・リスボン市電900形(1947年製造・イギリス製)。旧土佐電鉄にやってきた際に他の外国電車よりも多くの魔改造(種車はアルミニウム・ガラス繊維等が車体に使われていたが全鋼製に改造され屋根の色が黒→白に変わったほか、方向幕装置の変更やフロントマスクにボンネット状の出っ張りを設ける等)を受けて外観が大きく変貌している。ICカードリーダーを搭載していないので2006年以降はは定期運行は行われておらず貸切用車として車庫で寝ているニートレインである。 - 1000形
1981年デビュー。西日本鉄道北方線(1980年廃止)で走っていた331形の廃車パーツを流用している。 - 2000形
2000年デビュー。旧土佐電鉄初の側面方向幕設置車。見た目は新型電車だが中身は200形のままの、''面構えだけ新型''な魔改造車。3両在籍(計画当初では10両改造するつもりだったが資金難により3両で打ち切り)。 - 3000形
愛称「ハートラムⅡ」。2018年デビュー。リトルダンサータイプUaがベース。3両編成の連接車で全長16.5m。2020年9月現在、1編成のみ在籍。
かつて在籍してた名列車(迷列車)
- 300形(2代目)
旧:西日本鉄道323形324号車。貸切専用車として在籍していたが、2007年に引退。その後福岡県福岡市東区香住ヶ丘にある遊園地「西鉄香椎花園」(かしいかえん)で静態保存、里帰りを果たした。 - 500形
200形をベースに直角カルダン駆動・電空併用ブレーキ・間接自動制御などの当時最新鋭の装備を盛り込んだが、メンテナンスに手間がかかりすぎることから、デビューから11年後の1965年に旧来の吊り掛け駆動・直接制御に変更されてしまった。2002年に引退。 - 735形
ドイツ・シュツットガルト市電の車両を購入し土佐電鉄の規格に合わせて改造されたが、故障が頻発していたことから車庫で寝ているニートレインと化していた。2014年に福井鉄道に売却された。
運賃
運賃は高知市内均一区間と距離運賃の2種類がある。
高知市内(伊野線曙町東町駅~後免線介良通駅・桟橋線全線)のみを利用する場合は大人200円均一である。
それ以外の区間は距離に応じ大人120円・220円・300円・400円・460円の5段階が用意されている。
一日乗車券は高知市内のみ用が大人500円、全線用が1000円である。使用する年月日の銀紙をコインで削り取るスクラッチカード方式である。
乗り換え・乗り継ぎ
桟橋線⇔伊野線・後免線乗り換えの場合、はりまや橋駅(後免線→伊野線へ向かう車両ではデンテツターミナルビル前駅)で運転士が乗り継ぎ券を発券するので、降りる際に貰うのを忘れないように。もし桟橋線→伊野線・後免線で高知市外に出て差額が発生した場合は差額を別途払えば良い。
乗り継ぎは、途中で終点となる電車に乗った際に終点で運転士から乗り継ぎ券を貰い、次の電車でその乗り継ぎ券を降りる際に運転士に出せば良い。これも差額が発生する場合は別途払うこと。
駅一覧
桟橋線
駅名 | 乗り換え |
高知駅前駅 | JR土讃線 |
高知橋駅 | |
蓮池町通駅 | |
はりまや橋駅 | 伊野線・後免線 |
梅の辻駅 | |
桟橋通一丁目駅 | |
桟橋通二丁目駅 | |
桟橋通三丁目駅 | |
桟橋通四丁目駅 | |
桟橋車庫前駅 | |
桟橋通五丁目駅 |
伊野線
駅名 | 乗り換え | 交換可能 |
伊野駅 | ||
伊野駅前駅 | JR土讃線 | |
鳴谷駅 | ||
北山駅 | ||
北内駅 | ||
伊野商業前駅 | ||
枝川駅 | JR土讃線 | |
中山駅 | ||
八代通駅 | ||
八代信号場 | ☆ | |
宇治団地前駅 | ||
咥内駅 | ||
宮の奥駅 | ||
朝倉神社前駅 | ||
朝倉駅前駅 | JR土讃線 | |
朝倉駅 | ||
曙町駅 | ||
曙町東町駅 | ||
市場前信号場 | ☆ | |
鴨部駅 | ||
鏡川橋駅 | JR土讃線 | ☆ |
蛍橋駅 | ||
旭町三丁目駅 | ||
旭駅前通駅 | JR土讃線 | |
旭町一丁目駅 | ||
上町五丁目駅 | ||
上町四丁目駅 | ||
上町二丁目駅 | ||
上町一丁目駅 | ||
枡形駅 | ||
グランド通駅 | ||
県庁前駅 | ||
高知城前駅 | ||
大橋通駅 | ||
堀詰駅 | ||
はりまや橋駅 | 桟橋線 後免線と直通運転 |
後免線
駅名 | 乗り換え |
はりまや橋駅 | 桟橋線 伊野線と直通運転 |
デンテツターミナルビル前駅 | |
菜園場町駅 | |
宝永町駅 | |
知寄町一丁目駅 | |
知寄町二丁目駅 | |
知寄町駅 | |
知寄町三丁目駅 | |
葛島端東詰駅 | |
西高須駅 | |
県立美術館通駅 | |
高須駅 | |
文珠通駅 | |
介良通駅 | |
新木駅 | |
東新木駅 | |
田辺島通駅 | |
鹿児駅 | |
舟戸駅 | |
北浦駅 | |
領石通駅 | JR土讃線 |
清和学園前駅 | |
一条橋駅 | |
明見橋駅 | |
長崎駅 | |
小篭通駅 | |
篠原駅 | |
住吉通駅 | |
東工業前駅 | |
後免西町駅 | |
後免中町駅 | |
後免東町駅 | |
後免町駅 | 土佐くろしお鉄道阿佐線 |
まさかの痛電車!?
2013年初頭から痛車ならぬ「痛電車」(痛電)が登場した。
その正体はホームラングループというパチンコ屋・サウナ施設のイメージキャラクター「ランちゃん」を描いたものである。絵師は「ひみつ」氏。
2014年8月現在、600形・700形の一部に施されている。
バス事業
バス事業は1931年に発足した高知バス・土佐バスがそのルーツである。2002年には一部の便を「土佐電ドリームサービス」という分社に移行。
高速バス
- ブルーメッツ号
とさでん交通バス一宮高知営業所・高知駅・はりまや橋駅・知寄町駅~新宿駅・ハイアットリージェンシー東京ホテル (小田急シティバスと共同運行) - ドラゴンライナー
とさでん交通バス一宮高知営業所・高知駅・はりまや橋駅・知寄町駅~名鉄バスセンター (とさでん交通バス単独運行、名鉄バスは切符の予約・発券業務のみ担当) - ※高知駅・はりまや橋駅・とさでん交通バス一宮高知営業所~京都駅 (京阪バスと共同運行)
- よさこい号
高知東部交通バス安芸営業所・安芸駅・のいち駅・知寄町駅・桟橋車庫前駅/とさでん交通バス桟橋高知営業所・はりまや橋駅・高知駅・とさでん交通バス一宮高知営業所~岡場駅・有馬温泉駅・千里中央駅・USJ・新大阪駅・阪急梅田駅・西梅田駅 (阪急バスと共同運行) - ハーバーライナー
高知駅・はりまや橋駅・とさでん交通バス一宮高知営業所~神戸三宮駅 (神姫バスと共同運行) - 龍馬エクスプレス
高知駅・はりまや橋駅・とさでん交通バス一宮高知営業所~岡山駅 (JR四国バス・両備バス・下津井電鉄バス 4社共同運行) - 土佐エクスプレス
高知駅・はりまや橋駅・とさでん交通バス一宮高知営業所~中筋駅・紙屋町西駅/県庁前駅広島バスセンター (広交観光バスと共同運行) - 黒潮エクスプレス
高知駅・はりまや橋駅・とさでん交通バス一宮高知営業所~高松中央ICバスターミナル・ゆめタウン高松・高松駅 (JR四国バス・四国高速バス 3社共同運行) - ホエールエクスプレス
高知駅・はりまや橋駅・とさでん交通バス一宮高知営業所~松山道 三島川之江IC~大街道駅・松山市駅・松山駅 (伊予鉄バスと共同運行) - 高知徳島エクスプレス
高知駅・はりまや橋駅・とさでん交通バス一宮高知営業所~徳島大学・徳島駅 (JR四国バス・徳島バス 3社共同運行)
撤退済・今後撤退予定の高速路線
- はりまや号 ※2017/10/06廃止。
とさでんバス桟橋高知営業所(桟橋車庫前駅)・はりまや橋駅・高知駅・とさでんバス一宮バスターミナル・松山道 三島川之江IC ⇔ 小倉駅・西鉄バス砂津バスセンター・北九州高速 黒崎IC(引野口)・博多バスターミナル・西鉄天神高速バスターミナル
現在はとさでん交通バス単独運行。かつては西鉄バスと共同運行していたが、現在は西鉄バスでは切符の予約・発券業務のみ担当。
MY遊バス
MY遊バスは高知駅と桂浜を結ぶ市内観光バス。所要時間は高知駅~桂浜間約50分。切符は一日乗車券・二日乗車券のみを発売している。龍馬パスポート(高知県観光スタンプラリー)のブロンズランク以上の人は運賃が半額となる。
この切符は高知市内の路面電車(伊野線曙町東町駅~後免線介良通駅・桟橋線全線)にも乗り放題となる。
関連動画
関連項目
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- 0pt