グローリアスソング(Glorious Song)は、1976年カナダ生まれの競走馬・繁殖牝馬である。
競走・繁殖いずれにおいても超一流の成績を残しカナダ競馬の殿堂入りを果たしている名牝。
父はこの世代が初年度産駒であるHalo、母は本馬を皮切りに活躍馬を子孫から多く送り出し名牝系の祖となるBallade、母父は*シーホークなどの父として知られるスタミナタイプの種牡馬Herbagerという血統。
全弟に1983年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬Devil's BagとGIは勝てなかったが2005年の北米リーディングサイアーとなったSaint Balladoがおり、全妹Angelic Songの仔に*レディバラード(ダートグレード競走2勝、ダノンバラードの母)とSligo Bay(2002年ハリウッドターフカップS)、牝系子孫にフサイチセブン(2010年ダイオライト記念)と*エアアルマス(2020年東海S)がいるほか、本馬の従妹に重賞4勝をマークした*ヒシナタリー、はとこに*グラスワンダーとWonder Againの母であるAmerifloraがいる。
本馬はNorthern DancerやNijinskyを生産したカナダの名馬産家、エドワード・プランケット・テイラーによって生産され、1歳セリで後にGhostzapperなどで知られる大馬主となるフランク・ストロナックに3万6000ドルで購買されて、カナダのフレッド・H.ロシュケ調教師に預けられた。
2歳11月のダート7ハロンのデビュー戦を3馬身差で勝利すると、長期休養を挟んで3歳7月に復帰し更に2連勝。続いて出走したダート6ハロンのハンデ戦では後にソヴリン賞(カナダの年度表彰)年度代表馬Imperial Choiceなどの活躍馬を産むYour My Choiceの5着に終わったが、翌週の一般競走は3/4馬身差で勝利した。
ステークス競走初出走となったダッチェスS(ダート8.5F)ではこの年ソヴリン賞最優秀3歳牝馬を受賞し繁殖牝馬としても*ファンタスティックライトなどの牝系祖先となる同期のカナディアンオークス馬Kamarの2着となった。続くオンタリオダムゼルS(芝6.5F)は分割競走となったがこれを勝ち、ベルマホーンS(ダート9F)ではこちらも後に殿堂入りを果たす名牝La Voyageuseを2馬身半差で下し、ワンダーウェアS(芝10F)も勝って3連勝とした。
続くネッティーS(芝10F)で4着の後、11月のメイプルリーフS(ダート10F)を3/4馬身差で勝ち、3歳時は10戦7勝でシーズンを終えた。
4歳時はアメリカのジェラルド・W.ベランジェJr.厩舎に移り、まずはラブレアS(ダート7F)から始動し、Terlingua(Storm Catの母)の半馬身差2着。続くエルエンシノS(GIII・ダート8.5F)では前々年のエクリプス賞最優秀2歳牝馬で後に一大牝系を築くIt's in the Air、前年のハリウッドオークス優勝馬Prize Spotに続く3着(Terlinguaの降着による繰り上がり)となった。
しかし、続くラカナダS(GI・ダート9F)でPrize SpotとIt's in the Airをまとめて下しレコード勝ちを挙げてGI初勝利としたのを皮切りに、サンタマルガリータS(GI・ダート9F)でもThe Very OneとIt's in the Airを退け、東海岸に遠征してのトップフライトH(GI・ダート9F)でも8連勝中の地元の強豪Misty Galloreを破ってGI3連勝をマーク。ここに至って牡馬への挑戦に舵を切ることとなった。
その次走、ローレンスアーマーH(芝9F)ではこれまた後にカナダ競馬の殿堂入りを果たすことになる前々年・前年のソヴリン賞年度代表馬Overskateの1馬身差2着となったが、続くミシガンマイルアンドワンエイスH(GII・ダート9F)ではOverskateを4着に破り、2着Prince Majesticにハナ差で勝利した。
その後は一度カナダに戻り、ドミニオンデイH(GIII・ダート9F)を牡馬相手にトップハンデを背負って勝ち、同競走における牝馬の初優勝となった。続くカナディアンマチュリティS(芝10F)も3馬身半差で完勝した。
再びアメリカに戻り、エイモリー・L.ハスケルH(GI・ダート9F)に出走したが、ここでは目下GI11勝を挙げていたSpectacular Bid という最大の強敵が待ち受けていた。132ポンド(≒59.9kg)を背負う同馬に対し牡馬を交えてのハンデ次点となる117ポンド(≒53.1kg)で出走した本馬だったが、この斤量差をもってしても芦毛の豪傑を止めること能わず、4角で先頭に立ったところをあっさり交わされて1馬身3/4差の2着に終わった。なお、このレースは結果的にSpectacular Bidが最も僅差で勝利したGI競走となった。
年内最後のレースとしてマールボロカップH(GI・ダート9F)に初のカナダ産招待馬として出走したが、今度はこの年GI2勝を挙げていた同世代の牡馬Winter's Taleに追いつけず、4馬身半差の2着で敗れた。この年は11戦6勝をマークし、エクリプス賞最優秀古馬牝馬およびソヴリン賞年度代表馬・同最優秀古馬牝馬を受賞した。
5歳時は、デビュー後(具体的な時期は資料によってズレがある)に権利の半分を購入していた有力馬主のネルソン・バンカー・ハントの単独所有馬となり、ジョン・ケアンズ厩舎に移った。
初戦となる牡馬相手のサンカルロスH(GII・ダート7F)では3歳時にサンタアニタダービー・ハリウッドダービーを勝っていた同世代の牡馬Flying Pasterの4着に終わったが、続く牝馬限定戦のサンタマリアH(GII・ダート8.5F)ではトップハンデを跳ね返し、いずれも後にGI勝ちを挙げるTrack RobberyやMiss Huntingtonを下して勝利した。しかし、続くサンタマルガリータH(GI・ダート9F)では130ポンド(≒59kg)が堪えたようで前年のハリウッドオークス優勝馬Princess Karendaのクビ差2着に敗れ、サンタアニタH(GI・ダート10F)ではトップハンデを跳ね返したJohn Henryの5着、マーヴィン・ルロイH(GII・ダート1マイル)でもEleven Stitchesのクビ差2着に終わった。
この後はカナダに戻り、ドミニオンデイH(GIII・ダート9F)に出走したが、前年のクイーンズプレート(カナダにおけるダービーに該当するレース)を勝った牡馬Driving Homeを上回る125ポンド(≒56.7kg)のトップハンデを背負うことになった。しかしそれでも5馬身半差でDriving Homeをちぎり、1:48.0のコースレコードを叩き出して勝利した本馬はカナダ産馬としての最高獲得賞金記録を樹立した。
再びアメリカに戻ったものの、モンマスH(GI・ダート9F)とマールボロカップHではいずれも7着に終わった。続くベルデイムS(GI・ダート10F)でも前年の勝ち馬Love Signに7馬身差を付けられ、前年にマスケットS(GI)を勝ったJameela(Gulchの母)との2着同着となったが、スピンスターS(GI・ダート9F)ではTruly Boundをクビ差で差し切ってGI4勝目を記録した。
その後は西海岸に向かい、ハリウッドパーク競馬場でメイトリアークS(芝9F)とシルヴァーベルズH(ダート9F)に出走したが、前者はヨーロッパから移籍したKilijaroの2着、後者はアルゼンチンからの移籍馬Happy Guessの4着と敗れて引退した。
通算成績は34戦17勝・GI4勝で、引退した年もソヴリン賞最優秀古馬牝馬に選出された。獲得賞金は100万4534ドルで、カナダ産馬初の100万ドルホースとなった。
さて、本文中に散見されたように後に著名馬を産んだり一大牝系を築いたりする馬たちと多く戦ってきた本馬だが、自身も繁殖牝馬として大活躍。牡馬を見ると世界を駆け回った名馬Singspiel 、GII1勝ながら種牡馬として*ファンタスティックライトなどを出す大成功を収めたRahy 、1戦未勝利だったが日本に来てメイセイオペラの父となった*グランドオペラ、南アフリカで重賞2勝を挙げた後に種牡馬入りし同国の名馬Jet Master(GI8勝、年度代表馬2回、首位種牡馬7回)の父となったRakeenといった馬たちがいるが、残した3頭の牝馬は全てが活躍馬を出し、牝系を大きく発展させている馬もいる。箇条書きでざっと見てみよう。
こうして競走・繁殖いずれにおいても素晴らしい成績を残した本馬は、1995年にカナダ競馬の殿堂入りを果たした。2003年に腸の手術を行ったが術後の経過が思わしくなく、同年7月に安楽死措置が執られた。27歳没。
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason 1958 黒鹿毛 |
Turn-to | Royal Charger |
Source Sucree | |||
Nothirdchance | Blue Swords | ||
Galla Colors | |||
Cosmah 1953 鹿毛 |
Cosmic Bomb | Pharamond | |
Banish Fear | |||
Almahmoud | Mahmoud | ||
Arbitrator | |||
Ballade 1972 黒鹿毛 FNo.12-c |
Herbager 1956 鹿毛 |
Vandale | Plassy |
Vanille | |||
Flagette | Escamillo | ||
Fidgette | |||
Miss Swapsco 1965 黒鹿毛 |
Cohoes | Mahmoud | |
Belle of Troy | |||
Soaring | Swaps | ||
Skylarking | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Mahmoud 4×4(12.5%)、Blue Larkspur 5×5×5(9.38%)、Firdaussi 5×5(6.25%)
掲示板
1 ななしのよっしん
2022/07/30(土) 21:47:38 ID: C0gNQJxUjR
あちこちに血脈広まって全きょうだいクロスも良く見るし良い馬だよね
2 ななしのよっしん
2024/03/20(水) 00:04:09 ID: +otqzncfuW
子供にグランドオペラ(メイセイオペラ父) ラーイ(JCに来たファンタスティックライト父) シングスピール
子孫にマーティンボロ(産駒が本場英国の障害レースの祭典G1制覇) ハルーワスウィートの子供達と日本に与えた影響は大きい偉大な名牝だな本当に
3 ななしのよっしん
2024/04/16(火) 23:20:43 ID: Dx2jAcYelB
グローリアスソングとデヴィルズバッグの全姉弟クロス見かけるとオッと思うね
ヘイローのクロスもグローリアスソングを介してるとより強力なイメージ
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/02(月) 20:00
最終更新:2024/12/02(月) 20:00
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