暗視装置 単語

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アンシソウチ

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暗視装置とは、間や暗所などで、人間が視界を得るための装置の総称である。

概要

特に暗所における隠密性・優位性を重視した映像化装置をす。闇において暗いからといってライトを点けると遠距離からでも立ってしまい存在や位置を暴露してしまう。また敵はめがけて撃ってくる。
(→夜戦)(→灯火管制

個人用としては頭部に装着するものや対戦車兵器に装着するものもある。
※必要に応じて着脱も可

  • 頭部に装着するものは単眼、双眼、複眼など様々な形状タイプがある。
  • 広義には車両航空機に付属し、操縦・捜索・索敵・照準に用いられるものもある。
  • 良い物ではサーモグラフィ/熱映像装置のような機が付与され、切替可な場合もある。
  • 眼にべると認識できる色数や視野は狭くなる、デリケートで嵩るといった欠点もある。

暗視スコープとも呼ばれる。特に頭部に装着するものは暗視ゴーグルとも。
広義では英語そのまま「ナイトビジョン」(NV : Night vision
暗視ゴーグルはNVG(Night Vision Goggles)と表記される場合もある。

軍用・警察特殊部隊に限らず、間や暗所の捜索/監視用に消防機関も割と持っている。
暗視装置 消防 - Google 検索exit

暗視装置の進化

暗視装置の第1世代は、第二次世界大戦中に実用化された。アクティブ赤外線暗視装置と呼ばれるもので、こちらから相手に赤外線を照射し、反射してきた赤外線センサーが捉える。当然ながら相手が赤外線感知装置を持っていれば、こちらの存在を暴露してしまう。このタイプ1960年代から徐々に姿を消し始めた。

2世代は、ベトナム戦争中にアメリカ開発した。のような極弱いが物体に反射してくるのを電子的に数千倍に増幅することで映像を得る。間でもフクロウのように見えることから「アウル・アイ」、あるいは「スターライトスコープ」とも呼ばれた。

1970年代末から、第3世代の暗視装置が実用化され始めた。パッシブ式赤外線暗視装置、あるいは熱線映像装置(サーマル・イメージャー)と呼ばれるもので、物体が放出する赤外線を高感度の赤外線センサーで捉え、映像化する。パッシブ式なので使用していることを敵に気づかれない。また間でも使用でき、カムフラージュ用に切り取られた枝葉と「生きている」木を区別できたり、多少のや煙も透かして見ることができる。例えば湾岸戦争ではイラク側が井に放火することで煙を発生させて相手の視界を妨げようとしたのだが、第3世代の暗視装置を使っていた多国籍軍側の視界を妨げることはできなかった。

最新型[1]

アメリカ陸軍2017年に、歩兵用の新暗視装置を10万個発注している。このゴーグルは視野40度の映像を得られるが、「スターライトスコープ」と「サーマル・イメージャー」の両方のモードを搭載しており、必要に応じて切り替えられる。

また、小火器に取り付けた暗視照準装置の映像データリンクを経由してゴーグルの中央にインポーズすることができるので、自分のゴーグルは小隊長のハンドサインが見える方位に向いたまま、小銃に振ることで周囲の警を同時に行なえる。射撃の際もゴーグルに表示される照準視野を頼りに、物陰からライフルだけを持ち上げて射撃することが可になっている。

その他

見た目・構造

 暗視装置の形状は様々であるが、基本的には個人使用するものは双眼・単眼(両式/片式)タイプで、近年は兵士個人に配布されるモノは簡単にヘルメットに取り付け(り下げ)使用可になっており、未使用時は上に跳ね上げるか簡単に外せるようになっている。※現代の兵士ヘルメットをよく見ると、取り付る土台が額についているのが確認できる

手元の作業や地図の判別用に小赤外線ランプON/OFF)機がついている場合もあり、近場の作業が飛躍的にしやすくなる。ただし暗視装置相手では遠距離からでも立ってしまいバレバレの為、基本的にはOFFにされる。

 最初期の暗視装置(第1世代)は高い電圧が必要で14kg以上(を除く)と重く、機動性は最悪であった。個人携帯レベルでは性にも限界があるため、大赤外線照射装置を装備した車両が随伴する事も。
※ちなみに陸自の採用しているカールグスタフM2無反動砲が14.2kg。

 パッシブ式赤外線暗視装置(微を増幅する方式)は、以前は内部部品を極度に冷却しなければならない関係上、装置としては大きくならざるを得なかったが、最近は冷却不要な部品が開発されて小化を実現し(第2世代以降)、従来の仕組みを採用した個人用の暗視装置に機の一つとして追加される程になってきている。戦闘機に搭載されるIRSTもこの仕組みを利用している。消費電に関しては現在は数本の単三電池等でも作動するレベルのものが出来ている。(バッテリー残量警告も出る)

 ちなみに、よく暗視装置で出される映像緑色をしているが、単に人間にとって緑色が最も知覚しやすい色であるというだけで、その気になれば青色とか赤色とかの強さによって色分けとかも原理的には可である。

それ嘘です」な表現

フィクションにおける表現など。

強いで暗視装置が破壊される。
あるいは強いをさらに増幅したが出されて使用していた者の視を奪う。
2世代の暗視装置においては、微弱なを何万倍にも増幅する原理で視野を確保するため、不意打ちで懐中電灯などを向ければそのを何万倍にも増幅してしまい、バルス状態となって視界を奪う…と言われれば、なるほど一見納得してしまいそうである。
 
現代の暗視装置には一定値以上はを増幅しない
といった安全回路が組み込まれており、が邪魔になることはあれど裸眼では見えないような、強いの周りに何があるかを見ることすら出来ると言われている。さらに言えば堂々に暗視装置をつけても(意味がないだけで)即破損・常時バルス状態ということはない。一応暗視装置の注意書きには「絶対に太陽を見るな」という警告はある。
 
ただし、安全装置のない安物や粗悪品においてはこの限りではない。また、間のフクロウなど素で暗視の高い動物などに懐中電灯を向けると悪
 
レンズが(動的に)赤色緑色懐中電灯のようにっている。
暗所における隠密性・優位性を重視するための装置であり、立ってしまっては本末転倒である。レンズ部分に微妙に反射する事はあっても、レンズ自体が懐中電灯のようにはることはない。不気味さを引き立てる演出として用いられている場合はあるが、あくまで演出である。暗闇でだけるのもかっこいい(小並感)と割り切るのも一である。
一応、手元の作業用などに赤外線ランプが別途on/offな場合はあるのだが、点するとレンズとは別の場所がるし、同様の装置を相手が持っていると立ってしまうためやはり本末転倒
 
(頭部装着式の)暗視装置を覗いたまま、の照準を覗く。
FPSなどのゲームでありがち。
暗視ゴーグルのレンズは必然的に頭部正面を向いてしまうため、小さな照門(リアサイト)を覗いて精密射撃を行うのは非常に困難である。どうしてもという場合は側に暗視装置を取り付けたほうが良い。
※詳しくは次項「操縦席や照準装置における利用」を参照。
 
見たはどう見ても普通スコープだけど暗視装置とかいろいろ便利な機がついてる。
暗視装置や熱映像装置でスコープを覗くと、その機が付与される。
一部のゲームでありがちなもの。…実現できたら非常に便利ではある。
暗視機のついているものは大抵、ゴツゴツしていたり一回り大きい、メカメカしい外見。
普通スコープの前または後ろに取り付けて、機を付与するものはある。
night vision sniper - Google 検索exit
thermal sniper scope - Google 検索exit

操縦席や照準装置における利用

 第2世代はを増幅しようとするためコクピットの計器類はしくいて見え、防やガラスにも乱反射してしまい操縦どころではないため、暗視装置使用時には計器量を落とす機(on/off)が付与されているか、するための大きなフィルターで計器自体を覆ってしまう。(最近の機種やでは計器量を落とす機が標準で備わっている場合が多い)

 ドットサイト等の照準装置も点もしくりすぎるため暗視装置用に量を落とした(眼では見えない)モードも備わっている。(ホロサイト等で中央にあるNVのボタンがまさにそれ)
 実際は暗視装置を装着した状態でゲームのように小さな照門(リアサイト)や照準装置を覗くのは困難なため、間のみ取り付けるもの、または必要に応じて照準装置の前または後に取り付けて効果を補うものがある。(前述の機
(相手からも見えてしまうが)赤外線レーザーサイトの使用や、夜光塗料のついた間照準具を使用する場合もある。(あえて暗視装置を使用しないという選択)

価格やデメリット

 価格は(時期や地域、契約内容によって異なるが)普及している第2世代でも50~60万円以上はザラで、広や多機を備えた最新だと200万円以上と個人装備としては非常に高価な部類でありデリケート、確実な運用には定期的メンテナンスが必要で、故障や電池切れといったリスクも存在する。

近年は技術の発達・小化・省電化・高性化が進んでいるとはいえ…

  • 間の眼にべ得られる情報は劣り視野も狭まる(視野40度程度)
  • 暗視装置自体が大きく嵩る、裸眼と較し外側に出っるため使い勝手が異なる。
    • 室内・内といった閉所でぶつける、森林などで枝葉に引っ掛かる。
    • 一定以上のサイズ・重さになりやすく、間など使わない際にもお荷物になりがち。
  • 結果的に、高いストレスや危険を強いられるデメリットは変わっていない。
  • 射撃する場合、自体に取り付ける暗視装置でなければ精密射撃不可能
    • 自体に暗視装置を取り付けた場合、近距離においては視野が狭くなりやすい欠点もある。
  • 頭部に装着した暗視装置では、ゲームのようにの小さなリアサイト(照門)のを覗くことは困難

※近年は四眼式の広い視野の暗視装置(GPNVG-18、視野97度)も登場してきているが、通常の暗視装置以上に高額で全員に配布するのは困難なため、航空機の操縦や特殊部隊といった一部部隊の採用に留まっている。

個人携帯用の対戦車兵器に暗視装置を取り付けることも可…なのだが、暗視装置が取付けに対応していなかったり取付け用の土台がない、取付の規格が異なれば取付けられず意味がない、規格に合った暗視装置をそれ専用で別途に持ち運ぶ必要があるなど面倒。

軍事用用途以外の用途・商品

 用途としては軍用の他に、現在では文(微弱なを発するを観測するため)や、自動車間の視界確保、またドライブレコーダーの機の一つとして)でも使用されている。また、玩具としての暗視装置も存在する。 →ナイトビジョン2.0

 ホームセンター等でも簡易な暗視スコープとして3~5万円程度で売っている場合もあるが、第1.5世代程度(ほとんど初期の暗視装置と同じく赤外線を照射するタイプ)、正規軍相手に使用すればバレバレの良い的になってしまう。
 製品にもよるが赤外線を用いずとも暗闇では眼よりは見え、満月を見れば少ししく見えるため少しはを増幅してくれる模様…使用者談。(そもそもホームセンターの製品は軍事的ではなく、動物自然観察等が本来の的である点を留意されたい)

 軍用品は他への機密漏洩、テロ犯罪への悪用を避けるため輸出入規制武器取引規則/ITARなど)が掛けられているものの、一部規制されていない製品は民間人でも購入できる。(非常に高価なのは間違いないが)

呼称など

赤外線暗視スコープ(?)/サーマルビジョン

赤外線スコープ」「赤外線暗視スコープ」といわれる事もあるが…

現代+文字的には、サーモグラフィのような「サーマル・イメージャー」「サーマルビジョン
(熱暗視装置 / 熱線映像装置)(熱=赤外線)の方がニュアンスが近いだろうか。
ただ温度分布を表示してしまうため、輪は分かれど顔や表情はよく分からなってしまうが…
こんな感じexit_nicovideo こんな感じexit_nicovideo 運転画像にするとこんな感じ exit_nicovideo色分けがあるタイプexit_nicovideo
ただし頭に装着するタイプで、この熱分布映像を見ながら歩くにはつらそうである…

第三世代は人間や物体の発する微弱な赤外線映像化するが、赤外線スコープとは聞かない。

第一世代は赤外線を照射するとはいえ、近代戦ではバレバレのため現在は使われていない。(赤外線を照射しないと開けた屋外でもあまり見えないため)一応「赤外線スコープ」の分類には入れて問題ないと思うが、作品内のや時代背景にもよるため一概には言えない。1945〜1960年代であれば現役。
赤外線自体は、初代から最新まですべて感知してくれる。

赤外線暗視スコープ」という呼び方も技術の結晶のようでカッコイイのだが
現代で広く言われているのは熱暗視装置 / 熱線映像装置だろうか。
FLIR赤外線前方監視装置)というのもある。製造している会社名も含む。

  • 周囲との温度差を特に強調して表示する
  • サーマル映像は索敵は得意だが見づらいため、車両船舶航空機においては可視カメラカラー)と通常の暗視装置も同時に装備しており、必要に応じて切り替えられるものが多い。
  • サーマルイメージャは製品によって(特に民間用)は意外と安価に購入できるが、探知できる距離分解が短くなる。機材や配電盤の過熱など異常検知/非接触検に利用される。
  • 物の表面温度を検出する
    • ガラスは透視できない。(ガラス自体の温度を表示してしまう)
    • 本や看板を見ても、ただの面にしか映らない。(表面温度を表示してしまう)
    • 顔を映しても、近距離ですらやや大まかな形が分かるのみで判別は困難
作品に登場させたい

Q:結局何て呼べばええの/作品に出してみたいんだけど

漫画イラストフィクションで出すなら「暗視ゴーグル / 暗視スコープ」
または単純に「暗視装置」という呼び方をしても問題ないかと。
(旧式から最新式まで、暗視装置の全部の世代をす事ができる)
さすがに暗視「ゴーグル」は「頭部装着用」だが。

未来的な映像が演出できるサーモグラフィみたいなのは
熱分布で顔は見えないしガラスが透過できないが、サーマルビジョン、サーマルサイト、
映像装置、熱暗視スコープ/サイト/装置、赤外線暗視装置/スコープのあたりの呼称で良いだろう。

赤外線スコープ」と言うと第一世代か、サーマルビジョンかと器用貧乏な言葉になりがち。
ただ、あの熱映像だけで歩き回るのは相当なストレスなため、兵器に搭載したほうが難。
(登場させる作品の設定、時代背景にもよっては第一世代でも違和感はない)

外国人英語圏の人物なら「ナイトビジョン」と言わせてもあまり違和感がない。

に搭載する場合、見たが大きくゴツゴツしている物が多い。
1PN34、Shakhin、AN/PVS-4、AN/PVS-10兼用暗視装置、75式照準用微暗視装置など)

デザインに関しては、検索すれば軍用その他の玉石混合で割と出てくる。

Category:アメリカ軍の暗視装置 - Wikipediaexit

その他、前述の「それです」の項も参照。

早見表

第一世代
NV
二世
NV
第三世代
NV
サーマルイメージャ
(熱映像
備考
間使用のメリット × × × 仮に間に使用しても安全装置で
即破損という事は
赤外線の照射
(積極的な照射)
× × × × 近代戦ではバレバレ
on/offは可
赤外線の感知 × 眼では見えない
微弱赤外線の感知
(人体・物体)
× × × 第三世代は人体が
わずかに強調して見える
索敵・捜索 × サーマルが特に得意
隠密性 × 第一世代は赤外線照射が必要
環境
(識別)
× × 二世代は増幅させる
第一世代は自ら照射した場合
暗闇における
顔や文字の判別
× × 映像文字は関係ない
顔面は大まかな色分けのみ
を問わず
ガラスの向こう
× ガラス温度を表示してしまい
透視できない
逆光・強 × × × × 温度分布には関係
煙幕の透過 × × × × を伴う煙幕を除く
戦車の煙弾発射機など)
価格 × × どれも基本的に高価
参考動画 動画exit_nicovideo 動画exit_nicovideo 動画exit_nicovideo 動画exit_nicovideo 単色表示のものが多い。

 赤外線を照射=バレバレとは書いたが、第二世代以降も可視/赤外線に限らず量は多いほうが映像は鮮明に見えるため、現代でも赤外線フィルターを被せたフラッシュライトヘッドライト赤外線レーザーサイトなど、赤外線を一切使用しない訳ではない。(必要時のみ使用)

関連静画

関連動画

関連商品

関連コミュニティ

関連リンク

ナイトビジョンの歴史 (nvd.jp)exit - 日本暗視機器

関連項目

脚注

  1. *AI戦争論 進化する戦場自衛隊全滅する」兵頭二十八 2018 飛鳥新社 pp.257-258
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