SCP-4007 単語

エスシーピーヨンセンナナ

8.1千文字の記事

私は墓に入るその日まで、陛下の最後のご命を守り続けます。
そのためならば、私は何だってやるでしょう。


SCP-4007 - SCP財団exitより,2023/11/19閲覧

SCP-4007とは、オカルト系のサイトSCP Foundation」で創作された「SCP」である。

メタネームは「影武者」(原語版では字表記「Kagemusha」)。オブジェクトクラスはKeter。

概要

SCP-4007
(影武者)
基本情報
OC Keter
状態 SCP-4007-1: 終了
SCP-4007-2: 終了
SCP-4007-3: 終了
SCP-4007-4: 監視のみ
SCP-4007-5: 未収容
著者 weizhong
作成日 2018年8月1日
タグ 4000
ijamea
keter
scp
人間
儀式
反ミーム
変身
強制力
歴史

生命
知性

記憶
軍事
リンク 原語版exit
日本語版exit
SCPテンプレート

英語圏のシェアワールド創作サイトSCP Foundation」内で創作された「SCP」。「SCP」とは同サイトに扱う創作で、「何らかの常的な性質を持つ事物」である。この「SCP Foundation」では「SCP FoundationSCP財団)という秘密機関が存在しており、異常な事物を収集して「SCP-○○」とナンバーを割り振り管理している」という共通設定のもとに、有志が多数の「SCP」の報告書を創作している。この「SCP-4007」もそんな「SCP」のうちのひとつ。

2018年に行われた「SCP-4000」を決めるコンテストに応募する形でユーザー名「weizhong」により投稿されたが、投票結果から「SCP-4000」には選出されず「SCP-4007」という別のSCPとなった。

 

「どのような性質のSCPであるのか」を簡潔に表現すれば、「5名の、様々な特殊力を持つ兵士たち」である。

第二次世界大戦時まで存在していた大日本帝国オカルト関連機関大日本帝国異常事例調局」(原語版では「Imperial Japanese Anomalous Matters Examination Agency」、略して「IJAMEA」)と、大日本帝国軍の部隊731部隊」との共同プロジェクト「神化計画」(原語版では「Project Shinka」)によって生み出されたと設定されている。

それぞれが戦闘諜報に役立つオカルト的な異常力を得ており、その力を利用して軍人として活動した。731部隊の本拠地があった満洲国ハルビン近郊の地名「房」(ピンファン)から、非公式的に「平房五人衆」(原語版では「Pingfang 5」)と呼称されていたという。

彼らは不老にもなっているようであり、終戦後にも自らの任務を放棄せずに中国あるいは東南アジア各地に潜していた。このうち2名(SCP-4007-1、SCP-4007-2)はSCP財団が捕縛を試みた際に交戦となってしまった結果死亡し、また別の1名(SCP-4007-3)は不明な理由で死亡した形で発見されている。

残る2名のうちSCP-4007-4とは例外的に穏当な形での接触に成功しており、SCP財団は彼については協力関係を築いたうえで、監視のみで留めることにしている。最後のSCP-4007-5については直接の接触に成功しておらず、捜索が継続されている。

各メンバーの詳細

メンバーの氏名は英語版の報告書原文ではアルファベット表記されている。漢字表記は日本語訳報告書が作成された際に仮でつけられたものか?

SCP-4007-1

氏名:北野男(英語報告書原文:「Mitsuo Kitano」)

階級:中尉

コードネーム:稲妻(英語報告書原文:「Inazuma - Lightning Bolt」)

生年月日1905年6月7日

SCP-4007の5名のうち最上位の階級で、彼らの指揮官であったと思われる。

電撃を発する異を持ち、ビルマ戦場で敵軍の隠れる密林を焼き払うなどの働きを見せていたという。

中国方面で戦うなどしたのちにビルマに戻り、そこで終戦を迎えた。1946年には遭遇した中国国民党軍と遭遇したが、彼について当時国民党軍と敵対していた中国共産党軍であると誤認され、戦闘となる。彼は国民党軍にゲリラ戦を仕掛けるようになり、数名が彼の犠牲となる。

1947年に財団が彼の居場所を突き止め、捕縛と収容を試みるがSCP-4007-1は抵抗し財団エージェントを殺して逃亡。

1948年には財団の部隊が彼を密林の中の特定の位置に包囲するが、彼は周囲を焼き払ってさらなる逃亡を図るも、部隊の包囲を突破できず。焼け跡から窒息死したSCP-4007-1が発見される。この事案は許容されうるものであったと判定された。

SCP-4007-2

氏名:本田隆史英語報告書原文:「Takashi Honda」)

階級:二等兵

コードネーム英語報告書原文:「Oni - Ogre」)

生年月日1919年2月3日

異常抵抗性が高まった皮膚を備えており、小火器による射撃を上回るような外力を受けても傷されることがなかった。

フィリピンの戦線などで、前線での戦闘における突撃歩兵火力支援担当などを担っていたという。

1949年フィリピン軍が彼と遭遇、当時フィリピン軍と敵対していた共産主義武装組織フクバラハップであると誤認し戦闘となる。その後の散発的なフィリピン軍との衝突により財団が彼を認知した。

1951年に財団の部隊が彼の捕縛を試みたが、彼は部隊の半数を殺して逃亡。以後数年間財団は彼を見失う。

1957年、彼を発見した財団は収容のための軍事作戦を実行したが、部隊内で彼による犠牲者が多数出てしまったことを受けて爆が要請される。その後、SCP-4007-2は遺体で発見された。死因は致命的な電撃によるものだった。この事案は許容されうるものであったと判定された。

SCP-4007-3

氏名:飯田一郎英語報告書原文:「Joichiro Ida」)

階級:伍長

コードネーム英語報告書原文:「Kitsune - Fox」)

生年月日1915年12月8日

彼が話すいかなる言葉であっても聴き手に強制的に信じさせることができる、という認識災害効果を備えていた。

東南アジア領域において、抗日組織を発見・潜入したり、また中国国民党軍の支配地域での情報収集を行うなどの諜報任務に従事していた。

終戦後は、多数の共産党政府組織と協力し、彼らによる中国国民党軍に対する敵対行動支援していた。

1947年に、国民党軍に潜入していた財団のエージェントに認識災害効果を使用しようと試みたことで財団に発見される。

1958年、彼の潜先を発見した財団は捕縛して尋問する作戦を実行するが、部隊が彼の自宅に到着して発見したのは絞扼死した彼の遺体であった。現場からは数発の「最近発射された莢」と「潰れた弾」が発見され、彼が何らかの対に発したものかと思われたが、詳細は不明であった。この事案は許容されうるものであったと判定された。

SCP-4007-4

氏名:松井茂(英語報告書原文:「Shigeru Matsui」)

階級:二等兵

コードネーム:煙(英語報告書原文:「Kemuri - Smoke」)

生年月日1910年8月6日

不可視となることができる力。彼の体だけではなく、彼が身に着けているものや彼が「自身の一部である」と認識するものにもこの効果は及ぶ。

陸軍部隊である挺進集団が隠密浸透作戦を行う際に行動を共にしていた。またそれ以前に、野外手術の執者としての訓練も受けていたという。終戦後はマレーシアに残留していた。

1950年に財団に発見され、それ以前の他のSCP-4007個体との接触の失敗例を踏まえて慎重に接触。他の個体と異なり、彼は他のSCP-4007個体を収容するために財団に協力することについて承諾の意を示した。交渉の結果、他のSCP-4007個体の情報提供することや、められた際に協力することを条件として、財団の監視下においてマレーシアの自宅で暮らし続けるという限定された自由提供されることとなった。

第二次世界大戦終戦の際に、非合法な内容が連合に追及されるのを恐れて「神化計画」やSCP-4007に関する資料はほぼ全て破棄されてしまっていたため、財団が持つSCP-4007に関する知識は概ね彼から提供された情報に基づいている。

記事内に掲載された彼に対するインタビューでは、「戦略的に重要ではなくなっていたはずの時期に彼がマレーシアに送られたことには理由がある」「異常兵器が手に負えなくなり、戦争勝利するよりさらに差し迫った問題が生じた」「第5南方遠征艦隊の喪失が関連している」「天皇が彼らを各所に送る判断を下した。SCP-4007-4は天皇の最後の命を守り続ける決意を固めている」といった断片的な情報めかされている。

SCP-4007-5

氏名:西村夫(英語報告書原文:「Teruo Nishimura」)

階級:二等兵

コードネーム化け物英語報告書原文:「Bakemono - Shapeshifter」)

生年月日1907年9月12日

意のままに物理的な外観を変化させる力。財団のSCP-4007-5との接触が限られたものであるため、力の限界などに関する情報は限られている。

この異のために彼に関する情報のほとんどが信頼できないものになっており詳細不明。SCP-4007-4の言などによれば、SCP-4007の他のメンバーは彼と行動を共にすることは乏しかったという。散発的な情報によれば他のメンバーよりもかなり広い範囲で活動していた。

財団は彼を捜索するため、残留日本兵などの情報モニタリングしている。

追加情報

……と、ここまでの内容を注意せずに読んできただけであれば、SCP-4007は「超能力を持つスーパー兵士の集団」というだけの存在だと思うだろう。それぞれの力についても、異ではあるもののそこまで大それたものではなく、オブジェクトクラスが「Keter」になっている理由も不可解である。

だが、「爆で死んだはずのSCP-4007-2の死因電撃なのはなぜか?」「SCP-4007-3のから発見された「潰れた弾」は何に発されたのか?」「SCP-4007-4の経歴にある「野外手術の訓練を受けていた」という記述だけ浮いていないか?」といった、「引っかかる点」に気づく人もいるかもしれない。

そして、このSCP-4007の報告書には「レベル4/4007クリアランスが必要」とされる追加情報がある。


以降の情報にはレベル4/4007クリアランスが必要です。

あなたがアクセスしようとしているファイルレベル4/4007クリアランス職員に制限されています。適切なクリアランスなしに以下の文書を開かないでください。


SCP-4007

財団内の、第二次世界大戦期の文書を保管している施設からSCP-4007の古い文書が発見された。そこでは、SCP-4007-4と財団が接触したのは現在の報告書に記された1950年ではなく、1945年だと記されていた。さらに当時の資料では彼は「SCP-4007」とだけ呼ばれており、彼こそが最初に財団に認知された個体だったことがわかる。なぜ、現在の報告書と食い違いが生じているのか?

そして、財団職員らがこの古い資料をきっかけにSCP-4007について精していくことで、現在の報告書の不自然な点が摘されていく。

  • SCP-4007-1から3が死亡しているが、その点について判で押したように「許容されうるものであった」と認定されているのはなぜなのか? 通常であればこのような結果に陥ることは決して許容されず追及されるはずだ。
  • 財団が持つSCP-4007に関する情報はSCP-4007-4からもたらされたものが大半である。ということは、収容対本人が語る情報をそのまま信頼して報告書に採用していることになる。なぜそうなっているのか? これには懸念を覚えるべきではないのか?

SCP-4007-4について古い文書との齬があること、そして財団職員らがこういった不自然な点を認識できていなかったことなどから、財団はSCP-4007-4の本当の力が「単に不可視になる」だけのものではなく、対の「記憶」から自身を撃したことに関する部分を消している、つまり認識災害的な力であると判断した。しかも、単に撃された記憶のみを消しているのではなく、接触した財団職員らの記憶を自在に操作していることも判明した。

また過去の報告書の精にて、かつては「SCP-4007-1の遺体は死後まもなく切開され、数点の臓器が失われていた」「SCP-4007-2の遺体からは皮膚の大半が切除されていた」「SCP-4007-3の遺体からは舌が切除されていた」といった記述があったことが明かされる。SCP-4007-4の経歴の「野外手術の訓練を受けていた」という記述と合わせて考えると、「これらの臓器・皮膚・舌を持ち去った者が誰だったのか」についての推測がなりたつ。

そして臓器を切り取って持ち去った理由も、「SCP-4007-1の力は電撃だった」「SCP-4007-2の力は重火器も通じない皮膚だった。彼の死因電撃だった」「SCP-4007-3が死亡していた場所では、「潰れた弾」が発見された」といった情報を併せることで推測できる。切り取った部分を移植するなどの方法によって、SCP-4007-1~3の力を受け継いだ者がいると思われるのだ。

マレーシア北部において、SCP-4007-5と思われる人物と財団のエージェントが接触した際の報告書も提示される。SCP-4007-4に関わる話をしようとするとSCP-4007-5は顔をにして逃げ出し、その後に「裏切り者の言葉を信じるな」「々の任務を果たすための、彼の見当違いの試みの中で、彼が盗んだものを忘れるな。」などと記された書き置きがそのエージェントの元に届いたのだという。

「彼」とはおそらくSCP-4007-4のことであると思われる。「盗んだもの」とは上記の各人の力のことであろう。では、「見当違いの試み」とは何なのか?

彼らSCP-4007の5名が潜していた地点を世界地図上で配置してみると、綺麗に五形に並んでいた。この五形が何らかの「収容」つまり異常存在を封印しておくための「儀式」である可性に気づいた財団がその五形の中心の海底を調べたところ、「ウミギリ」「ヤマギリ」「タへカゼ」「サトカゼ」などの連合軍に知られていない帝国海軍の艦艇多数、つまり艦隊丸ごとが沈没しており、日本の軍人の遺数千人分が散乱していることを発見した。そして、それらの艦艇は「爆弾弾で沈んだのではなく」、何らかの未知の存在によって引き裂かれて沈んでいたのである。SCP-4007-4がインタビューで語った「第5南方遠征艦隊の喪失」とはこの艦隊のことかと思われる。

SCP-4007ら各員が天皇に与えられた「最後の任務」とは、「この艦隊が沈む理由となった何か」を封印するために、五形の各点で儀式を行う事であったと思われる。SCP-4007-4のインタビューの断片的な情報を元にすると、この「何か」は日本異常兵器を作り出そうとした結果制御できなくなったものなのかもしれない。

財団内の、こういった収容儀式の専門は「この儀式で収容・封印しているものは著しく巨大であると思われる」「5か所すべてで儀式継続することが望ましいが1か所だけでもなんとか維持はできる」「だが儀式は数十年維持されると摩耗し成功しなくなっていく」「そのため、儀式で封印されている何者かと対峙する準備が必要である」といった意見を述べている。

SCP-4007-3の自宅で発見された手紙は「戦友」に宛てて記されたものであり、「男(SCP-4007-1)や隆史(SCP-4007-2)は手紙の送りの考えを理解してくれなかった」「今の儀式を続けても「彼」の恐ろしい的を果たすことを止めることはできない」「長く待つほど「彼」は強大になる」「儀式が壊れてすぐに々が攻撃することが、「彼」を永久に止める最善の手段だ」といった展望を語って説得するような内容がられている。

SCP-4007-5に言わせれば、この展望が「見当違いの試み」なのかもしれない。そしてSCP-4007-1~3もまたこの提案を受け入れず、交渉が決裂したものか。

財団上層部は、「財団がSCP-4007-4の本当の力に気づいた」ことをSCP-4007-4に気づかれないようにせつつ、SCP-4007らの代替となる封印手段を探索し、それが失敗した場合にはSCP-4007らが封印している「何か」が解放されてしまった際にそれに対処する準備をすることを決定している。

 

こういった報告書内に設けられた「ひねり」やその伏線、最終的に残ってしまうやその不気味さなどから、単純な「スーパー兵士」の記事をえた面さがあるとして概ね高評価を集めている。2020年11月4日現在rating(評価)は+300(「SCP Foundation」ではサイトメンバーが「+」「-」の評価を付けることができる)。

2020年11月4日現在時点では、「SCP Foundation」の他言語版の各支部において、日本語版exit/中国語版exit/韓国語版exit/ブラジルポルトガル語版exit/ロシア語版exit/スペイン語版exit翻訳されている。各言語版において評価は様々だが、特に日本語版(rating2020年11月4日現在時点で+81)/中国語版(同じく+33)/ロシア語版(+25)での評価が高いようだ。日本語版は2018年9月ユーザー名「YS_GPCR」によって最初に翻訳された。

 

なお「731部隊」というデリケートな問題を背景に用いていることもあって、原語版記事のディスカッションページでは「歴史的な悲劇をエンターテインメント的のホラーストーリー背景に用いる」事への批判を寄せている人物もいる。ただし、これに対して作者の「weizhong」氏は丁寧に長文で自らの考えを返答している。

ちなみに「731部隊」に関連するSCPはこのSCP-4007だけではなく、「SCP-4403exit」や「SCP-4705exit」内でもわずかに言及されるほか、「SCP Foundation」の中国語版支部による独自SCPSCP-CN-306」exitは同部隊題としている。この「SCP-CN-306」は「731部隊では異常性のある疾病なども研究されていた」と設定しており、さらに部隊導者であった実在の人物「石井四郎」(このSCP-4007の記事中にも顔写真が用いられている)について「石井四郎終戦時に部下とともにSCP財団に投降し、異常性のある傷病への対処に関する知識を含めた研究内容を提供することでSCP財団に加入し保護を受けた」といった内容もられている。

 

余談だが、上記の「大日本帝国異常事例調局」(「IJAMEA」)はこのSCPだけの設定ではなく、複数の様々なSCP記事(例えば上記の「SCP-4705」)でも用いられる共通設定となっている。日本人SCP財団員からは「ロゴクソダサい」と好評。

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