レスター・シティ(Leicester City)とは、イングランド・プレミアリーグに所属するサッカークラブ。
本拠地はレスター。ホームスタジアムはキング・パワー・スタジアム。
概要
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1884年にレスター・フォッセとして創設。1919年に現在のチーム名に改称され、2002年に現在の本拠地であるキング・パワー・スタジアムへ移転した。
創立130年以上の間、1部リーグでの優勝経験がないクラブであり、つい最近までは約25年間もの期間、下部リーグ降格で苦しい状況をしのいでいたクラブ。特に2007-08シーズンには創設初となる3部リーグへ降格してしまった。
2010年に経営難に陥った事から、会長が交代。経営権を獲得したタイ出身のヴィチャイ・スリヴァッダナプラバは経営方針を大きく変更、アジア圏からの選手起用も積極的に行うようになる。この采配が的中し、2013-14シーズンのチャンピオンシップを制覇。さらには2015-16シーズンのプレミアリーグにて悲願の初優勝を果たす。特に後者は創立132年目で悲願のプレミア制覇となった事から「レスター・シティの奇跡」とされ、サッカーファンの中でも大きく話題となった。
ちなみにその前年度、第13節から32節にかけて最下位に沈んでおり、終盤の追い上げで何とか残留を勝ち取っている。この苦しい状況下で次年度、シーズン終了後に就任したクラウディオ・ラニエリ監督のもとでプレミア優勝へこぎつけた。
日本では岡崎慎司が「レスターの奇跡」のメンバーとして所属していたクラブとして知られている。また過去には阿部勇樹も所属していた。
歴史
1884年、フォッセロード沿いのフィールドでプレーしていたことから、レスター・フォッセとして設立される。1894年にフットボールリーグの2部に参入。1908年には2部リーグで準優勝して1部リーグに昇格したものの、初の1部リーグでの戦いではノッティンガム・フォレスト戦で12-0の大敗という史上最悪の敗北を喫するなど、1年で2部に降格する。
1919年に第一次世界大戦勃発のために中断していたリーグが再開するが、このとき多くの負債を抱えていたレスター・フォッセは消滅しており、現在のチーム名である「レスター・シティFC」となり再結成されることになる。1925年にはピーター・ホッジ監督のもとでディヴィジョン2で優勝。1923年から1935年の間にクラブ記録となる273ゴールを挙げたアーサー・チャンドラーや、リーグ戦528試合出場のクラブ記録を持つアダム・ブラックなどを中心に力をつけたレスターは、1929年のフットボールリーグにおいてクラブ最高成績である2位となる。だが、その後はディヴィジョン1とディヴィジョン2を行ったり来たりするエレベーターチームとなる。
1960年代から1970年代に至るまで、ゴードン・バンクス、ピーター・シルトンというイングランドの歴史に残る名GKがそれぞれゴールを守り、チームは1部に定着するようになる。1961年にはFAカップで準優勝となるが、この年トッテナム・ホットスパーが二冠を獲得したためUEFAカップウィナーズカップに出場する。1962-63シーズンは前半戦首位に立つなど、リーグで激しい優勝争いを繰り広げるが、終盤に力尽きてしまいマット・バスビー率いるマンチェスター・ユナイテッドの優勝を許してしまう。その翌年の1964年にはEFLカップ決勝でストーク・シティを下し、クラブ史上初となるタイトルを獲得。1968-69シーズンには躍進の立役者だったマット・ギリーズがシーズン途中に辞任したこともあってチームは低迷。クラブ史上最長となる12年間守ってきたトップリーグから降格することになる。
1971年に1年で1部に昇格すると、この年のFAコミュニティ・シールドでリヴァプールを破る。1974年に守護神シルトンがストーク・シティへ移籍したものの、6年間1部リーグに残留している。1980年代に入ると、2部に降格した2年間でエースとして覚醒したゲーリー・リネカーが台頭する。特に1984-85シーズンでチームが降格の危機に直面する中で、リネカーは24得点を決めて得点王となり1部残留に貢献する。しかし、財政難にあったチームはリネカーをエヴァートンに売却してしまい、彼の穴を埋めきれないまま1987年に再び2部へ降格。そこから7年間を2部リーグで過ごすこととなり、1990-91シーズンに至ってはあわや3部降格いうほど低迷していた。
1995-96シーズン途中にマーティン・オニールが監督に就任すると、徐々にソリッドなチームを作りあげていき、プレーオフの末にプレミアリーグ昇格を果たす。オニールは限られた戦力のパフォーマンスレベルを最大限に引き上げる手腕を見せ、1996-97シーズンと1999-00シーズンの二度EFLカップ優勝を果たし、これによってUEFAカップ出場権を獲得。プレミアリーグにおいても下部組織出身のエミール・ヘスキーの活躍もあって4年連続でトップ10入り。
2000-01シーズンにクラブ躍進の立役者だったオニールがセルティックに、ヘスキーがリヴァプールFCに引き抜かれたことで再び成績が低迷。2001-02シーズンには、クラブの経営が悪化するようになったことも重なり、チャンピオンシップ(2部)へ降格することに。2002-03シーズンに新スタジアムであるウォーカーズ・スタジアムが完成するが、これによってクラブはさらに多額の負債を抱え込むこととなり、2002年10月に経営破綻してしまう。それでもOBのリネカーが私財を提供することで何とか救われたチームは2位でシーズンを終え、1年でのプレミアリーグ復帰を果たす。だが、わずか1年でチャンピオンシップに降格すると、混迷するチームはチャンピオンシップでも低迷。3シーズン連続で二桁順位で終えると、2007-2008シーズンは19位に沈み、リーグ1(3部)降格という最悪の事態を招く。
クラブ史上初めて3部で戦うこととなった2008-09シーズンにナイジェル・ピアソンが監督に就任。クラブ記録となる23試合無敗を達成するなど圧倒的な強さでリーグ1優勝を果たし、1年でチャンピオンシップに返り咲く。2010年にタイの資産家であるヴィチャイ・スリヴァッダナプラバがクラブを買収。スタジアム名も現在のキング・パワー・スタジアムに変更される。ピアソン退任後、新オーナーの豊富な資金力によってパウロ・ソウザやスヴェン・ゴラン・エリクソンといったビッグネームを監督として招聘するが、いずれもプレミアリーグ復帰という目標を果たすことなくチームを去っている。2011年11月にピアソンが監督に復帰。2013-14シーズンにデイヴィッド・ニュージェント、ジェイミー・ヴァーディの活躍によりチャンピオンシップ優勝を果たし、10年ぶりとなるプレミアリーグ復帰が決定する。
プレミア復帰2年目となった2015-16シーズンは、伝説となった「おとぎ話のようなシーズン」となる。開幕前に息子の不祥事が原因で解任となったピアソンの後任として監督にクラウディオ・ラニエリが就任。ラニエリは、4-4-2のシンプルな堅守速攻の戦術を採用すると、これが所属する選手たちの能力を引き出す格好となる。ヴァーディ、リヤド・マフレズ、エンゴロ・カンテは一気にワールドクラスのプレイヤーへと進化し、新加入の岡崎慎司は前線の守備とヴァーディとの抜群のコンビネーションでチームに貢献。全員がハードワークをこなし、自分たちの身の丈を知ったうえでの戦いぶりは誰も予想できなかった快進撃を生み出すことになる。他の強豪チームが揃って問題を抱えていたこと、シーズン中に主力に怪我人が出ず固定したメンバーで戦えた幸運にも助けられ、2016年5月2日、優勝を最後まで争ったトッテナムがチェルシーに引き分けたことで追いつく可能性がなくなり、クラブ創設132年目にして初のプレミアリーグ優勝という快挙をやってのける。この優勝は各メディアで「奇跡」と称えられ、大方の予想を覆してリーグを制したレスターは「ミラクル・レスター」として讃えられた。
2016-17シーズンでは、クラブ史上初出場となったUEFAチャンピオンズリーグでベスト8進出を果たす。一方でプレミアリーグでは奇跡の優勝のMVP的な活躍を見せたカンテがチェルシーに引き抜かれたことで中盤の強度が低下し、低迷。ラニエリが2月で解任となってしまう。その後もマフレズ、ダニー・ドリンクウォーターら優勝時の主力が毎年流失するようになる。チームは魔法が解けたかのように中位が定位置となっていく中、2018年10月27日、オーナーであるヴィチャイ・スリヴァッダナプラバが搭乗したヘリコプターがキングパワースタジアムを離陸した直後に墜落し、同氏を含む全乗員乗客の5人が死亡する悲しい事故が発生する。
ポゼッションスタイルに舵を切ろうとしたクラブ側は2019年9月にブレンダン・ロジャースを監督として招聘。2019-20シーズンにはポゼッションとカウンターを組み合わせたスタイルが嵌り、上位に食い込んでいく。エースのヴァーディもキャリアハイの23ゴールを記録するが、惜しくも5位に終わりCL出場権を逃す。2020-21シーズンも同様に5位で終えるが、FAカップでは決勝でチェルシーを破り初優勝を飾る。2022-23シーズンには10年間ゴールを守ってきたピーター・シュマイケルがニースへ移籍。思ったような補強が進まなかったチームの成績は低迷し、シーズン終盤には降格圏の19位に低迷。フロントはついにロジャースの解任を決断する。しかし、後任のディーン・スミスもチームを立て直すことができず、最終節で18位が確定。奇跡の優勝から7年目での降格が決定する。
10年ぶりにEFLチャンピオンシップを戦うこととなり、経費が削減され主力の多くが流出。それでも新監督のエンツォ・マレスカのもとでチャンピオンシップを優勝し、1年でのプレミアリーグ復帰を果たす。
レスターのプレミア優勝、どれだけ奇跡なの?
上記の通り2015-16シーズンにプレミア優勝を果たしたレスターだが、そこは賭け大国のイギリス。この年度でも世界最大手の賭け屋・ブックメーカーを通じて、開幕前から優勝チームを決める賭けが国中で行われていた。当初は誰もレスターが優勝するなんて微塵も思っていなかったため、算出されたオッズは実に5001倍。100円賭けても約50万になって戻ってくる。
これがどれだけ低確率かというと、
- 本年度にネッシーが見つかる : 500倍
- オバマ大統領が月面着陸は作り話だったこと明かす : 500倍
- ウィリアム王子に三つ子が生まれる : 1000倍
- エルビス・プレスリーが元気に生きている : 2000倍
- ローマ法王がレンジャーズ(スコットランド)でプレーする : 4000倍
果たして優勝を果たしたレスターだが、この奇跡に喜んでいられないのはブックメーカーの方。実際、破格のオッズだった頃に優勝へ賭けた人物達がおり、その金額は最大20ポンド(約3100円)。それが10万ポンド、およそ1550万円をブックメーカーは支払わなければならない。
そしてそれらの総額は約2500万ポンド、日本円で39億円。彼らももまさかこんな大損失をするとは思ってもいなかっただろう。それだけ、今回の結果は色々な場所に影響を与えたのかがよくわかる。
タイトル
- プレミアリーグ 1回
2015-16 - FAカップ 1回
2020-21 - EFLカップ 3回
1963-64, 1996-97, 1999-00 - FAコミュニティ・シールド 1回
1971, 2021 - フットボールリーグ2部 / EFLチャンピオンシップ 8回
1924-25, 1936-37, 1953-54, 1956-57, 1970-71, 1979-80, 2013-14, 2023-24 - EFLリーグ1 1回
2008-09
現在所属している選手
背番号 | Pos. | 国籍 | 選手名 | 生年月日 | 加入年 | 前所属 |
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- | 監督 | ルート・ファン・ニステルローイ | 1976.7.1 | 2024 | マンチェスター・U 暫定監督 | |
1 | GK | ダニー・ウォード | 1993.6.22 | 2018 | ハダースフィールド | |
2 | DF | ジェームス・ジャスティン | 1998.2.23 | 2019 | ルートン | |
3 | DF | ヴァウト・ファース | 1998.4.3 | 2022 | スタッド・ランス | |
4 | DF | コナー・コーディ | 1993.2.25 | 2023 | エヴァートン | |
5 | MF | カレブ・オコリ | 2001.7.13 | 2024 | フロジノーネ | |
6 | MF | ウィルフレッド・ディディ | 1996.12.16 | 2017 | ヘンク | |
7 | FW | アブドゥル・ファタウ | 2004.3.8 | 2023 | スポルティングCP | |
8 | MF | ハリー・ウィンクス | 1996.2.2 | 2023 | サンプドリア | |
9 | FW | ジェイミー・ヴァーディ(C) | 1987.1.11 | 2012 | フリートウッド | |
10 | FW | ステフィ・マヴィディディ | 1998.5.31 | 2023 | モンペリエ | |
11 | MF | ビラル・エル・カンヌス | 2004.5.10 | 2024 | ヘンク | |
14 | FW | ボビー・リード | 1993.2.2 | 2024 | フラムFC | |
16 | DF | ヴィクトル・クリスティアンセン | 2002.12.16 | 2023 | コペンハーゲン | |
17 | MF | ハムザー・チョードリー | 1997.10.1 | 2015 | レスター・シティU-21 | |
18 | FW | ジョーダン・アユー | 1991.9.11 | 2019 | クリスタル・パレスFC | |
20 | FW | パトソン・ダカ | 1998.10.9 | 2021 | ザルツブルク | |
21 | DF | リカルド・ペレイラ | 1993.10.6 | 2018 | ポルト | |
22 | MF | オリバー・スキップ | 2000.9.16 | 2024 | トッテナム・ホットスパー | |
23 | DF | ヤニク・ヴェスターゴーア | 1992.8.3 | 2021 | サウサンプトン | |
24 | MF | ブバカリ・スマレ | 1999.2.27 | 2021 | セビージャFC | |
29 | FW | オドリンヌ・エドゥアール | 1998.1.16 | 2024 | クリスタル・パレスFC | |
30 | GK | マッズ・ハーマンセン | 2000.7.11 | 2023 | ブレンビー | |
31 | GK | ダニエル・イヴェルセン | 1997.7.19 | 2018 | プレストン | |
33 | DF | ルーク・トーマス | 2001.6.10 | 2020 | レスターユース | |
34 | MF | マイケル・コールディング | 2006.5.23 | 2024 | チェルシーFC | |
35 | MF | ケイシー・マカティア | 2001.11.22 | 2021 | ウィンブルドン | |
37 | MF | ウィル・アウベス | 2006.5.23 | 2024 | チェルシーFC | |
40 | MF | ファクンド・ブオナノッテ | 2004.12.23 | 2024 | ブライトン&ホーヴ・アルビオン | |
41 | GK | ヤクブ・ストラルチク | 2000.12.19 | 2020 | ハートリプール |
過去所属していた主な選手
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歴代監督
- ゴードン・ミルン(1982年8月 - 1987年5月)
- ブライアン・ハミルトン(1986年6月 - 1987年12月)
- デイヴィッド・プリート(1987年12月 - 1991年1月)
- ゴードン・リー(1991年1月 - 1991年5月)
- ブライアン・リトル(1991年5月 - 1994年11月)
- マーク・マギー(1994年12月 - 1995年12月)
- マーティン・オニール(1995年12月 - 2000年6月)
- ピーター・テイラー(2000年6月 - 2001年9月)
- デイブ・バセット(2001年10月 - 2002年4月)
- ミッキー・アダムス(2002年4月 - 2004年10月)
- クライブ・リベイン(2004年11月 - 2006年1月)
- ロブ・ケリー(2006年2月 - 2007年4月)
- ナイジェル・ワージントン(2007年4月 - 5月)
- マーティン・アレン(2007年5月 - 8月)
- ガリー・メグソン(2007年9月 - 10月)
- イアン・ホロウェイ(2007年10月 - 2008年5月)
- ナイジェル・ピアソン(2008年6月 - 2010年6月)
- パウロ・ソウザ(2010年7月 - 10月)
- スヴェン・ゴラン・エリクソン(2010年10月 - 2011年10月)
- ナイジェル・ピアソン(2011年10月 - 2015年6月)
- クラウディオ・ラニエリ(2015年7月 - 2017年2月)
- クレイグ・シェイクスピア(2017年2月 - 2017年10月)
- クロード・ピュエル(2017年10月 - 2019年2月)
- ブレンダン・ロジャース(2019年2月 - 2023年4月)
- ディーン・スミス(2023年4月 - 6月)
- エンツォ・マレスカ(2023年6月 - 2024年6月)
- スティーブ・クーパー(2024年6月 - 11月)
- ルート・ファン・ニステルローイ(2024年11月 - )
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関連項目
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