島大介とは、宇宙戦艦ヤマトシリーズのレギュラーにして、準主人公とも言えるキャラクターである。
航海班長、航海長と作品によって職掌名は異なるが、ヤマトの舵を常に握り続け、長距離航海や戦闘時の緊急回避を成し遂げてきた、ヤマトという戦艦に欠かせない逸材で主人公古代進の親友でもある。
初代から完結篇まで担当声優は仲村秀生。パイロット版は相原役の野村信次が担当していた。
その後、古代とのキャラクター差を明確化するため、落ち着いた雰囲気の声を持つ仲村氏に変更になった。同氏の体調不良、ならびに半ば引退状態だった完結篇、平成のゲーム版ではささきいさおと田中秀幸が担当。
初代のリメイクといえる、宇宙戦艦ヤマト2199では鈴村健一が担当している。
概要(初代~完結篇)
古代進と同期の宇宙戦士訓練学校の候補生であり、火星で古代と共にサーシアと邂逅し通信カプセルを回収した。 その後、宇宙戦艦ヤマトには航海班長として乗艦、慣れない操艦やワープ作業に戸惑いつつも、往復29万6000光年のイスカンダルへの航海を成し遂げた。
個人的な復讐心や闘争心に走る古代を諌め、礼儀正しい温厚な優等生に近いキャラというスタンスである。
しかし自分の職掌である航海には、非常に高い自負を持っている分、頑固な面もあり、また若さゆえに古代と衝突したり徳川機関長に暴言を放つなどトラブルも少なからずあった。
島大介不在ではヤマトは出港も出来ない、それほどの技量を持っていることは「さらば」の名場面の一つである。
また、「さらば」「2」では元ヤマトクルーが古代に煽られて、一様に防衛軍への反乱を決心する中、唯一、ヤマトへの愛情と自らの公的立場の板挟みになり、葛藤する一面を見せてもいた。
「さらば宇宙戦艦ヤマト」では退艦する生き残った乗組員をまとめ、救命艇を操縦。
超巨大戦艦に挑むヤマトに対し、涙ながら最後の敬礼を行い古代達を見送った。この描写・演出は、初代から完結篇を多数オマージュした、実写版でも継承されている。
「2」では通信ごしにテレザートのテレサと愛を育むなど、異星人同士の恋愛が描かれるが(それが災いしてヤマトが遭難しかけたり)、彗星帝国との戦いは熾烈をきわめ二人の恋を実らせることはできなかった。デスラー総統との白兵戦で暴走気味な森雪を庇って爆発に巻き込まれ宇宙に放り投げだされ行方不明に。が、生きていたテレサの救助と献身的な輸血で命をとりとめ、彼を想う彼女の犠牲で地球は救われた。
それ以降の「新たなる」「Ⅲ」では、真田さんと並んで実質的なヤマト副長の立場にあった。
時には齟齬を起こしつつも、古代のブレーキ役、北野哲を始めとする新乗員の教育を担当。そして常に集中砲火に晒されるヤマトを、致命傷から引き離すべく、高い操舵技量を発揮し続けている。
だが完結篇では理不尽とも思える形で、シリーズメインキャラとは思えない、あえない戦死を遂げる。
確かにディンギルの都市要塞ウルク戦ではロボットホースなどの襲撃を受け、ヤマトは白兵戦状態にはあった。
しかし戦闘班でない艦橋要員が不用意に甲板へ飛び出し流れ弾を浴び、コスモタイガー発進からヤマト脱出に至るまで、周りが島の負傷に気づかないという、余りにも杜撰で理不尽な最期を強いられたのである。
しかもテレサとの交流が全くなかったことにされ、雪への恋心を古代に明かしている。
この段階で西崎Pは古代、雪、ヤマト以外、何も見えていなかったのかもしれない。完結篇が「3」より時代が前後したのも「30近い古代や島、雪など見たくない」という、破綻した理由によるものであった。
概要(2199)
沖縄県出身と出生地が明らかになり、旧作よりも浅黒い肌、現代アニメキャラらしくスッキリした顔立ちとなっている。
年齢は20歳、新見さんが持っていた島の軍歴によれば、2194年には国連宇宙軍士官学校に入港。2198年に三等宙尉として任官、それ以降は巡洋艦の航海士や第101宙挺団(空挺?)運用科など、相応の軍歴を経験。
イズモ計画、後のヤマト計画メンバーに選抜され、メ号作戦では古代進共々、イスカンダルの火星で使者を待つ。
旧作に比較すると、若干「軽い」性格となっており、監督も「古代と島の性格を逆転させた」と説明している。但し2199のリメイク全般と同様、常識は弁えており、口論となっても暴力には訴えず、命令にも基本的に忠実である。
ヤマト計画の幹部要員が戦死したことから、一尉へ特進の上でヤマト航海長を拝命。
若く未熟でもヤマト計画に選ばれるライトスタッフなだけに、旧作のような連動スイッチ未確認による発進ミスなど起こさず、一発でヤマトを見事に抜錨、発進させるなど、見事な操艦技量は2199でも健在である。
古代進とは旧作よりももう少し打ち解けた、互いの立場を理解し合った、やや大人びた形で親友である。
メ号作戦で古代守が戦死した際は、それとない気遣いを見せており、他の乗員に対しても概ね航海長という士官にふさわしい、落ち着いた態度で接する。ただ雪に対しさりげなくアプローチするなど「軽い」性格も垣間見える。
物語中盤でのメルダ・ディッツとの接触、そこで語られた「テロン人は宣戦布告もなく攻撃する好戦的種族」という言葉。 そして父の艦、巡洋艦「ムラサメ」の生き残りである山崎奨応急長か、地球側からの先制攻撃というこの戦争の戦端の事実と父の最期を知らされることとなり激昂。
メルダ解放後も苛立ちを抑えきれず、普段の冷静さを完全に失い、作戦会議中に古代と口論になってしまう。
その後は古代とともに南部へ八つ当たりまで行い、沖田艦長により強く叱責され、艦内罰清掃を受けることに。
しかしこの過程で同じく家族を地球に残す徳川機関長、そしてメルダとの私的な決闘の末に懲罰となった山本玲との交流で、父、島大吾の言葉を思いだし、ようやく気持ちに一区切りをつけ、古代とも無事に和解を果たした。
物語後半に入るヤマトは数多くの不測の事態、激戦により大きく航海日程(約一ヵ月)を遅延させてしまう。
航海責任者の島にとって、この遅延は大きな悩みであった。 ビーメラ4が居住可能惑星と判明した時、イズモ計画派の新見薫情報長に悩みを見ぬかれ、計画への賛同を呼びかけられ、躊躇の末、一度は賛同してしまう。
しかし艦内での反乱行為への加担も出来ず、そこへ接触してきた保安部の星名と相談。
表面上は反乱に同調していると芝居を打ちつつ、イズモ計画の内偵として送り込まれた星名が事態を沈静化するまで、反乱首謀者の伊東保安部長に銃を突きつけれても、クルー殺害・見殺しに反対して時間を稼いでいる。
島、星名が一枚上手だったとはいえ、命がけの狂言芝居であり、非常に男気がある。
何よりも「船乗りは同じ船乗りを見捨てない」という、自負に忠実な気骨のある一面を発揮した。また、新見情報長が島を庇い、それに激昂した伊東が新見さんを射殺しようとした時は、躊躇なく銃を抜き、制止しようともしている。
家族構成(初代~復活篇)
ヤマトシリーズおいて乗組員の家族が描かれるシーンは少ないが、ヤマトという作品において彼の家族は大きくクローズアップされている。
初代での家族構成は父、母、そして年の離れた弟である島次郎である。
太陽系お別れパーティーでは、次郎がヤマトのプラモデルで友達を励ましているなど、通信越しにヤマトへの期待を大介に呼びかけたりしている。
続編の2でも島次郎は登場し、離反して出撃するか悩む大介に発破をかける。
あるいは彗星帝国接近で都市部が混乱する中、女の子を助けたりと兄に恥じない行動をしている。完結篇で出撃前に二人でサッカーをするなど、地球を守る使命として、弟を含む家族をことを強く思ってる描写が数多くみられる。
復活篇では次郎は兄によく似た風貌の青年に成長、移民本部長として真田と共に地球移民計画の責任者となった。
家族構成(2199)
家族構成は変わっておらず、母の沙織と弟の次郎(CV.小松未可子)がいる。
設定がかわったのは彼の父が、一般人から国連宇宙軍の正規の士官、艦長となったことである。
父、島大吾は国連宇宙海軍の二佐であり、村雨型宇宙巡洋艦のネームシップの艦長を務めていた。
彼の「宇宙人とも友達になれる」「船乗りは同じ船乗りを消して見捨てない」という言葉は、後の島大介という船乗りの、精神的根幹となっている。それほど島にとって大きく敬愛すべき父親で、部下からも慕われる船乗りだった。
そして2191年、ガミラスとのファーストコンタクトに伴う防衛出動で、父の艦「ムラサメ」も出撃。
この際に「ムラサメ」はガミラスに撃沈された最初の艦となり、艦と運命を共にした島大吾一佐(恐らく殉職後特進)は、対ガミラス戦争での最初の戦没者となった。島がガミラスへ個人的な憎悪を抱くのは、この経緯故である。
ガミラスとは、宇宙人と敵対するはずのない父を一方的に殺害した、島にとっては悪魔のような存在だった。
それゆえにメルダ・ディッツ、そして山崎奨応急長から告げられた“事実”に対しては、憤りを隠せなかった。階級が下でも先任には敬語で語る島が、暴言を多数吐いたことからして、怒りの激しさと混乱が伺える。
旧作の初期古代にあったガミラスへの復讐心と憎悪は、2199では島が担当していたといっても過言ではない。
そしてそれを受け入れて乗り越え、彼を人間として成長させたのも、徳川機関長や山本三尉との会話を通じ、思い出した父の教えであった。2199においても「家族」を強く描写されていることは、島の特徴の一つである。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 宇宙戦艦ヤマト
- 宇宙戦艦ヤマト2199
- 宇宙戦艦ヤマト完結篇
- 仲村秀生/ささきいさお/田中秀幸
- 鈴村健一(久川綾氏に次いでヤマトに対しにかなりの知識、こだわりを持っている。詳しくは彼の項目参照)
- 古代進(シリーズを通しての親友)
- 1
- 0pt