必殺仕事人 激突!とは、ABC(朝日放送)制作で1991年10月8日~1992年3月24日までテレビ朝日系列で放送された時代劇『必殺シリーズ』第30弾である。全21話。
OPナレーション
月は東に日は西に、山のお寺の鐘が鳴る
あの町この町日が暮れて、今来たこの道夜の底
悪人どもの目が光る、上下左右に前後ろ
次から次とあきれるほどに、浮かんで消える毒の華
サルカニ合戦・桃太郎、勧善懲悪・夢物語
あきらめるのはおよしなさい
この世に悪がある限り、あなたのそばに仕事人
きっと恨みを晴らしてみせます
概要
第29弾『必殺剣劇人』終了後、単発となるスペシャル番組がいくつか放送されていたが、1991年10月8日より過去作の金曜日・午後10時から火曜日・午後9時に曜日・時間帯移動をして久々のレギュラー放送となっている。
本作の特徴としては、
- それまでのフィルム撮影からビデオ撮影に変更。
- 主水シリーズ初となる実在の人物のレギュラー仕事人・山田朝右衛門の存在(テレビスペシャルでは清河八郎や千葉周作、平田深喜(平手深酒)といった剣豪(ちなみに演じているのは全て滝田栄)が、主水シリーズ以外では第11弾『新必殺からくり人』に蘭兵衛という偽名を使っている高野長英がいた)。
- タイトルにもある「激突!」にふさわしく、「覆面組」という謎の奉行所内仕事人狩りグループの存在(ただし初期のみ)。
- 大奥に元締がいる。
- 飾り職人の秀が、テレビシリーズでは『必殺仕事人IV』以来となる主水チーム復帰。
点が挙げられる。
特に山田朝右衛門は、演じた滝田栄がガチの剣豪であるため、殺陣のひとつひとつに凄味があった。
初期(第6話まで)の仕事人VS覆面組の対決はハードな展開であったが、覆面組の壊滅後は旧来の仕事人シリーズのような話になっていき、第10話以降はサブタイトルまで同様になっている。
なお、主水が直属の元締から直接「仕事」を請け負うというのは、『必殺仕事人』以来となる。
「仕事」のシステムは「頼み人が毎月五の日と十の日に、頼み事を記した書状と頼み料を東照宮の門の前に置くと、それを受け取った初瀬が主水に「仕事」を依頼する」というもの。場合によっては初瀬が仕事料を上乗せすることもある。
登場人物
仕事人
- 中村主水演:藤田まこと
- 表稼業は南町奉行所同心の、ベテラン仕事人。
本作でもセコ突きは健在で、座りながら背後に寄った悪人に後転しながら刺す、悪人から金を受け取るのを断りながらのもみ合いで刺すなど、標的を油断させる技に特に磨きがかかっていた。
序盤は上野の東照宮で元締・初瀬とつなぎを取るついでに下世話な話をしていたり、高貴な大奥であるため初瀬の匂いを嗅いでいたりもした。
本作では筆頭同心の田中様と与力の鬼塚様という口うるさい上司2人がいないせいか、奉行所内ではのびのびとやっており、家庭内でも過去作のように露骨ないびりはほとんど見られなくなっている(ただし、相変わらずへそくりは取られている)。 - 夢次演:中村橋之助
- 本作のメンバー最年少で、ゼンマイ仕掛けの小型銃(キセルを煙草入れに刺して勢いよく部品の歯車が回ることで、熱くなったゼンマイがレーザーのように飛び出すという歴代の殺し技の中でも特にメチャクチャな仕掛け)を武器に使う技を持つ女好きの二枚目。
序盤の表稼業は時計師だったが、中盤以降はそれを廃業して今でいうフリーターになっている(実質遊び人。ただし裏稼業の武器は以前と同じ物)。秀を「秀兄さん」と慕っている場面もある。事件の被害者に同情することも多い反面、ドライで残酷な部分もあり、ある事情で秀と主水が対立した時には「殺り合うのを見たかったよ」と主水に話したこともあった。なお、中の人のスケジュールの関係か、後半は登場しない回が多い。
解散後は長崎へ行き、そこからさらに船に乗って何処かへ旅立ったようである。 - お歌演:光本幸子
- 「百化け」の異名を持つ女仕事人で、表稼業はお面売り(もしくは三味線の流し)。
内側に糊をつけたお面を投げつけて標的の顔にくっつけて視界を無くし、その後に短刀で切るという技を持つ。
また、チームの中では密偵・情報収集役を兼ねており、殺しをしない回もある。
後半は悪人が密談しているところへ声を掛け、顔を見せた後に逃げ出して、追ってきたところを他のメンバーが殺すという囮役も引き受けていた。
最終回の仕事の後、惚れていた瓦版屋(元侍で主水の幼馴染み)が遺した子供を連れて江戸から離れた。 - 山田朝右衛門演:滝田栄
- 表稼業は公儀の首切り役人。そのため、彼の顔を知る悪人もいた。
主水が当初は仕事に乗り気ではなかったので元締にスカウトされたものと思われるが、朝右衛門自身も「真の罪人は法に裁かれず、ぬくぬくと暮らしているのではないか?」という疑問を持っていたため申し出を引き受け、仕事人となっている。
裏稼業では複数を相手にすることがあるが、事件と無関係の相手への峰打ちも標的を斬り捨てるのも全て瞬時に行っているため、峰打ちでも顔を見られることがない。また、真の標的に対しては首斬り用の刀で叩き斬っている(普通の刀を使うこともある)が、稀に首を切り落とす制裁を加えることも。なお、主水からは名前をさん付けで呼ばれている。
殺しの時のBGMは、初期は主水以外のメンバーと同じく「必殺!」(「主水のテーマ」を使うこともあった。また、BGMがない時(BGMが終わった後に無音の場合と、最初からBGMがかからない場合の両方)もある)だったが、中盤より『必殺仕事人V激闘編』の「潜入」を専用BGMにしている。なお、仕置した相手の数だけ蝋燭に火を灯して供養している。
最終回では、主水以外のメンバーの中で唯一、江戸に残っている。 - 初瀬演:酒井和歌子
- 大奥の中老にして仕事人の元締。
上野の東照宮で主水に仕事の依頼をしており、主水とのやりとりを通じ、普通なら大奥の人間には分からないはずの市井の情報を仕入れていた。第8話を最後に最終話まで出番がなかったが、その理由は不明。最終話では懐刀で大奥にいる真の悪党をすれ違いざまに仕置したが…。
なお、第1話冒頭から既に仕事人は結成済みだが、世事に疎いのにどうやって仕事人の存在を知ったのか(というよりも、どうやって主水と知り合ったのか)、どのようにして仕事人を結成したのかは不明。
元締だからか、エンディングのテロップは、トメ(最後)の秀を差し置いて「起こし」という扱いであった。 - 秀演:三田村邦彦
- かつての主水の仲間で、旅に出ていた飾り職人。
殺し屋の自分がかたぎの身分に戻れるかを試すため江戸に帰ってきたが、仕事人狩りに巻き込まれしまい、親友の仕事人・紋太が死んだことで再度裏稼業に首を突っ込むことになってしまった。
紋太の妻子(さだ、おみよ)が住んでいる家の向かいがたまたま空き家になっていたため、普段はそこで飾り職の仕事をしている。そこで時折さだを気にかけている描写もあった。
殺しの時は、銀色の房が沢山ついたかんざしを標的の首筋に刺すというおなじみの殺し技を見せている。
江戸だろうが京都だろうが、自分が関わった女性(稀に男性)は死ぬという(さだは除く)、相変わらずの疫病神ぶりを発揮していた(「しっかりしろい」も相変わらず)。また、かつて一緒に旅立ったお民や若紫がその後どうなったかは本作でも語られず。
最終回では素性がばれていないのにも関わらず、江戸から離れた。
家族、同僚、知り合い
- 中村りつ演:白木万里
- 中村せん演:菅井きん
- 主水の妻と義母。
子供が出来ず、出世もしない主水をいびっている。 - 同心・成川演:目黒祐樹
- 南町奉行所における主水の同僚。
色々な事を知っている事情通の同心。目黒氏が『必殺仕事人』第6話で悪役・松平聖二郎を演じたが故にファンは「絶対何かある」と思っていた(覆面組のメンバーか首魁、あるいは本作は奉行所の悪人が多いので、裏稼業にも精通しているラスボス)…が、そんなことは何もなかったただの同僚だった。
しかし中盤から筆頭同心ではないにしても、奉行所内のまとめ役を任されたためか、時折主水に経費の請求書を押し付けたりするなど、ちゃっかりした面もあった。 - さだ演:麻丘めぐみ
おみよ演:田中亜衣 - さだは秀の友人・紋太の妻、おみよはその娘。
紋太が死んだため、さだは一人で娘・おみよを育てることになるのだが…。
主題歌・挿入歌
- 月が笑ってらぁ
- 作詞:荒木とよひさ 作曲:堀内孝雄 編曲:水谷竜緒 歌:藤田まこと
エンディング主題歌。本作では、殺しのテーマに「必殺!」が使われているため、本曲のインストやアレンジが殺しのBGMとして使われることはなかったが、アレンジ版(もしくはメロオケ)がオープニングナレーションに流れている。 - やさしくしないで
- 作詞:たきのえいじ 作曲:堀内孝雄 編曲:今泉敏郎 歌:麻丘めぐみ
挿入歌。誰かが何らかの被害に遭った後に流れる事が多い(その際、歴代の必殺挿入歌同様、毎回曲名と歌手名がテロップで表示される)。
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関連項目
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