福井県立恐竜博物館とは、福井県勝山市村岡町にある恐竜博物館である。
概要
| 福井県立恐竜博物館 | |
昭和57年(1982年)7月に勝山市北谷の杉山川左岸でワニの全身骨格を発見したことが発端となって平成12年(2000年)7月14日より開館した日本最大級の恐竜博物館である。
4500m²という広大な展示室の中に50体もの恐竜全身骨格や大型復元ジオラマ、映像が展示されている。恐竜関連以外にも地層、岩石、鉱物といったものも数多く展示されており、子供から大人まで楽しんで学習できる、また研究者も満足できる展示を目指す博物館となっている。
建物の外観の特徴として展示室(恐竜ホール)部分は、巨大な円状ドームとなっており、柱を一切使用していない「無柱空間構造」という工法で造られている。ショップやレストランのあるウィング棟部分は、建物内部に自然光を導く機能を持たせられる楕円錐形のトップライトを設置している。この楕円錐の建物は博物館のシンボル的存在でもある。2023年にはリニューアルにより正面入り口に向かって右手にこれまでのドームより小ぶりのドームが増築された。
開館時間・料金
開館時間は午前9時から午後5時まで(入館は午後4時半まで)。休館日は年末年始である。
入館料(個人)は小・中学生500円、高・大学生800円、一般1000円である。
開館時間は長期休暇などで拡大したり、入館料は団体・年間パスポート料金もあるので、詳しくは公式サイトを参照→開館時間・料金(公式サイト)
アクセス
- JR福井駅下車、えちぜん鉄道勝山永平寺線「勝山行き」乗車し勝山駅下車後、コミュニティバスで約15分またはタクシーで約10分。
- JR福井駅にてJR越美北線「越前大野」または「九頭竜湖」行きに乗りかえ越前大野駅下車後、タクシーで約20分。
見どころ
館内に順路は無く好きな順番で周っていいがパンフレットや館内で案内されている「研究員のおすすめコース」をたどれば一筆書きで効率よく展示を周ることができる。ここではおすすめコース順に見どころを紹介する。
- エスカレーター … 斜面に建築された恐竜博物館は正面入り口が3階である。入り口を入るとすぐに地下1階まで吹き抜けを一気に下るエスカレーターがある。地層に潜る気分で降りながら気分を高めよう。なおエレベーターも有るので車いすやベビーカー(貸出有り)でも安心。
展示室
地下1階 ダイノストリート
エスカレーターを降りた先の通路には両側の壁に美しい実物化石が展示されている。気持ちははやるが素通りするのはもったいないぞ。
1階 恐竜の世界
ティラノサウルスロボット … ダイノストリートを抜けて天井が開けたと思った目に飛び込んでくるのがこのティラノサウルスロボット。実物の3分の2サイズで目や排泄孔までリアルに再現されたロボで動いて鳴く。リアルすぎてちびっこは泣く。展示室の中央に鎮座しポスターにもよく使われる恐竜博物館の顔。2023年のリニューアルで最新研究が反映され口を閉じた時に歯が見えなくなった。
タルボサウルス … ティラノサウルスの近縁種。開館当初は写真が撮りやすい位置にあったのでポスターなどではティラノサウルスを差し置いて目立っていた。開館当初はティラノサウルスロボットは居なかったのでこいつが恐竜博物館の顔だった。2023年のリニューアルによりティラノサウルスロボット横に移動しポーズと骨格もリニューアルされた。
恐竜のからだとくらし リニューアルに伴い廃止
ティラノサウルスロボが目を引くが周囲には化石や模型を使って恐竜の生態や形態が解説されている。地味にティラノロボの足元には戦闘化石と抱卵化石がある。
恐竜の繁栄 竜盤目
福井県立恐竜博物館では時代順ではなく分類順で骨格標本が展示されている。竜盤目は肉食恐竜やカミナリ竜を含むグループ。
- ティラノサウルス … 恐竜の代名詞的存在は竜盤目エリアの目立つところにいる。
- アロサウルス … ティラノサウルスと並ぶ人気肉食恐竜。ティラノサウルスと通路を挟んで向かい側にあるので見比べてみよう。開館当初から複製の標本が展示されていたが2018年から実物化石になった。
- ブラキオサウルス … 恐竜博物館の展示の中でも最も背が高い(11m)骨格標本。通路をまたぐように設置されているのでお腹の下から覗くことができる。
- カマラサウルスの一種 … 9割以上の実物化石を使って復元された世界的にも珍しい復元骨格。実物化石独特の迫力を放つ。化石は岩石に包まれた状態で購入し恐竜博物館でクリーニングと組み立てを行った。その様子は解説板付近で映像で紹介されている。ダイノストリートを抜けたところにあるボーンベッドはこの化石の産状を再現したもの。
ダイノシアター
対面した200インチの大型スクリーンに草を食む草食恐竜やそれを狙う肉食恐竜のCG映像が映し出される。画面の間を恐竜がまたぐ演出もあり迫力があるのでやはりちびっこは泣く。
ジオラマ「中国四川省の恐竜たち」
ジュラ紀の中国四川省の様子を動く原寸大ジオラマで再現。草食恐竜を肉食恐竜が襲い上空に翼竜がいる。リアルすぎてちびっこ(ry
- オメイオサウルス … 後ろ足で立ち上がって高い位置にある球果類の葉を食べている。地味に呼吸でお腹が動いている。背が高いのでスロープからの方が見やすい。
- シュノサウルス … 肉食のガソサウルスに襲われ傷つている草食恐竜。
- ガソサウルス… シュノサウルスに2頭で襲い掛かっているが1頭はしっぽで反撃されている。ちびっこ号泣ポイント。
- 恐竜の森の植物たち … このエリアのジオラマは恐竜だけでなく植物も考証されている。高木・低木・草本の多層構造が再現されている。鳥盤目エリア側に化石も展示されている。
恐竜の繁栄 鳥盤目
トサカやフリルやヨロイといった個性的な特徴を持つ恐竜が多いグループ。実物化石も多い。
- 鳥脚類 … 角竜やヨロイ竜と比べると地味だが鳥脚類の登場から終わりまでの良質な骨格標本が一通りそろっていると学芸員も一押し。
- エドモントサウルス … ミイラ化石の複製と実物化石の2つが展示されている。ミイラ化石は普通残りにくい皮膚まで化石として残ったもので展示されているものは実物から直に型を取った複製。皮膚化石は貴重で脆く簡単に型取りが許可されないので複製といえども貴重な標本。皮膚の様子をよく観察してみよう。
- ニッポノサウルス … 戦前に日本領だった樺太(サハリン)で発見され日本人によってはじめて学名が付けられた恐竜。日本の恐竜研究史で重要な恐竜だが全身復元骨格が展示されている博物館は国内で3か所しかない。というか国立科学博物館に展示されている復元骨格も福井県立恐竜博物館が開館する際に一緒に作られた標本である。[1]開館当初から日本の恐竜エリアに居たが2020年から鳥盤目エリアに移動してきた。
- エドモントニアの一種 … ノドサウルス類のヨロイ竜の実物化石。背中が鎧のようにいくつもの骨板でおおわれている。実物化石なので骨板一つ一つがフレームで支えられているのも見どころ。尻尾にコブはついていない。
- ユーオプロケファルス … アンキロサウルス類のヨロイ竜の実物化石。背中は骨板におおわれ尻尾にコブがある。
- ヘスペロサウルス … ステゴサウルスの近縁種。実物化石。ヘスペロサウルスの命名の基準となった標本(ホロタイプ)で研究者も見に来るような骨格標本なので注目して見よう。
福井県の恐竜
ある意味もう一つのメイン展示。福井県産恐竜の実物化石や復元骨格が展示されている。
- 勝山産のワニ化石 … 恐竜化石ではないが昭和57年に発見され福井県勝山の化石発掘のきっかけとなった記念すべき化石。
- フクイラプトルロボット … 動いて鳴くリアルに復元されたフクイラプトルロボット。リアルすぎて(ry
手取層群の恐竜
福井県勝山市で化石が産出している地層は手取層と呼ばれている。手取層は石川・富山・岐阜にも分布しそこで発見され化石の複製が展示されている。
1階 地球の科学
「水と地球」「火と地球」をテーマに地層や岩石など地学についての展示ゾーン。福井県だけあって東尋坊の岩石も展示されている。
- 地球からの贈り物 ―鉱物― … 誕生石の加工された宝石と原石や結晶が美しい鉱石から後ろの文字が二重に見える方解石や紫外線照射で光る蛍石などの変わり種の鉱石まで多様な鉱物が展示されている。
- 石を調べる … 堆積岩の仲間・火成岩の仲間・変成岩の仲間を見て触って調べられるコーナー。回転テーブルを動かして調べたい岩石を選ぶと中央に置かれたモニターで解説や拡大画像が映し出される。
1階から2階へはドーム型の展示室を半周する形でスロープがつないでいる。スロープからは通路から見るのとはまた違う恐竜たちが見られる。
2階 生命の歴史
このエリアだけでも小さな生命史博物館ぐらいのボリュームがある。生命の誕生から哺乳類の時代まで、鳥類・哺乳類の進化や恐竜以外の爬虫類や植物の、化石やジオラマが展示されている。バルコニー状になっているので1階の展示エリアを一望できる。
陸上への進出
図鑑のイラストでよく見る生物の海からの上陸を化石とともに原寸大のジオラマで再現している。脊椎動物だけでなく植物の上陸も表現されている点にも注目。
大森林が育んだ動物たち
前コーナーから原寸大ジオラマが続き石炭紀の巨大シダ植物の森が再現されている。ジオラマをよく見ると巨大な昆虫類もいるがこれも実際に化石が見つかっているサイズである。一匹だけ動くジオラマがいる。
海と空の爬虫類
翼竜・魚竜・首長竜など恐竜ではない爬虫類の骨格が展示されている。空と海と言いつつ海のウエイトの方が大きい。大きいだけでなく質もいいので細かい所も見てみよう。
多様化した恐竜
壁の上部には復元模型付きの巨大な恐竜の系統樹があるが目を引くのは下部の始祖鳥化石である。恐竜博物館開館当時に見つかっていた始祖鳥化石全6体と中国の羽毛恐竜化石が並んでいる。複製ではあるが羽毛の繊維まで確認できる高品質な標本なので注目してみよう。
- ロンドン標本・ベルリン標本 … 始祖鳥をよく知らなくても写真は見たことはあると思われる最も有名な始祖鳥標本。実物から直に型取りをして作られた高品質の複製。羽毛化石は繊細で滅多に型取りを許可されないので複製といえどもかなり貴重。
哺乳類時代の陸
定番のマンモスやオオツノジカはもちろん温暖な時代の奇蹄類などの化石も充実している。
哺乳類時代の海
足元には四足歩行のクジラ「パキケタス」、頭上には海に適応した「ドルドン」とさらに巨大な「バシロサウルス」とクジラ類の標本が充実している。
展示室以外
本館1・2階 ダイノラボ
展示室からエントランス側に出ると左側にある化石に触れたり恐竜クイズに挑戦したり体験型のエリア。
本館1階 化石クリーニング室
母岩に包まれた化石を取り出すクリーニング作業を外から見学できる。
新館 特別展示室
リニューアル前から面積が拡大されたほか特別展示のない時期にはコの字型の高さ9mの大型3面スクリーンに実物大の動くCG恐竜映像が上映される。
新館 収蔵庫
一部がガラス張りにされ常設展示されていない標本や模型の一部を見ることができる。
新館 化石研究体験
常設展の観覧料から別途料金が必要になるが化石クリーニング体験やCTスキャン分析体験、ティラノサウルス頭骨模型の組み立て体験といった本格的な研究の体験ができるプログラム。
その他
トリビア
- 展示室の卵型ドームがパラボラ集音器の役割を果たし離れた地点の音が聞こえる場所がある。具体的にはスロープのイチョウのジオラマ付近と生命の歴史エリアのアンモナイト標本付近。
- 恐竜博物館付近を空撮すると恐竜の顔に見える。
関連動画
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関連コミュニティ
関連項目
関連リンク
脚注
- 1
- 0pt
- ページ番号: 5337584
- リビジョン番号: 3161984
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