乗用車の種類を表す呼称を簡潔に纏めました。大別種の検索は上の見出しからどうぞ。なお、同ジャンル名において各国での定義が違う場合がありますが、そういったケースは注釈が無い限り日本での定義を主とします。また大型車両、特殊車両などのいわゆるはたらくくるまは趣旨が違うため記載しません。
セダンボンネット、キャビン(客室)、トランク(貨物室)の三区画で構成される車を指す。その中でもドアの枚数が4枚の車が主流。それゆえ車格が大型になりやすく、高級感や礼装感がある。構造上、客室の中から貨物室へは直接アクセス出来ない物が殆ど。各国で呼称が違うが、セダンはアメリカ読み。その構造から3BOXカーとも言われるが、 呼称としては一般的ではない。 同義語関連語 |
クーペ固定屋根で2ドアかつ2人乗りの車を指すが、言外にスポーティなスタイルを持つという特徴が含まれる。そのため、近年ではスポーツカー・テイストな4ドア4シーターセダンもこう呼ばれる事がある。逆にレトロな外見だと2ドアセダンに含まれる車もあるため、どちらかというとスタイリングに重きを置いた呼称。なお、発音が違うだけで呼称は各国で統一されている。 関連語
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オープンカー屋根(ルーフ)を外す事が出来る車。屋根側のフレームが無くなる構造上、強度が低下するので必然的に2ドアクーペの形状をベースにする事が多い。尚、天井の一部が窓のように開く物はサンルーフという機能であり、オープンカーには含まれない。 同義語類義語関連語
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ステーションワゴンセダンのルーフをそのまま最後部まで伸ばし、貨物室と一体化させた2BOXカーを指す。ベースがセダンの為、車体が大型(5ないし3ナンバー)で、ベンチシートだったり3列になっているなど搭乗員数が多いのが特徴。それゆえ4ドア以上が主流。また後部座席横まで窓と柱が備わっている点もバンとの違いの一つ。手荷物を積んで駅まで移動して乗り換える、という用途に由来する名称。 同義語類義語 |
ピックアップトラックアメリカでの車両分類の一つで、運転席から後ろが屋根の無い開放型の荷台になっている車を指す。基本的に客室は2ドア2シーター。荷物さえ運べればいいので要求される走行性能は低く、それゆえ開発費を浮かす目的で乗用車やSUVと車台を共有するのが一般的。フレーム構造が用いられる。税制優遇措置があるためアメリカではとても普及している。 同義語関連語 |
SUVアメリカでの車両分類の一つで、スポーツ・ユーティリティ・ビークルの略。用途上の分類であり明確な定義が無いため、アメリカでの浸透度の割に日本ではいまひとつジャンルとして認知されていない。あえていうならば車高が高くて頑丈な作りをしており、タイヤが大きくて比較的オフロードにも強く、ステーションワゴンのように後端まで屋根がある車。または、それらの特徴が複数該当する車。最大の定義は「メーカーがSUVと名乗ったらSUV」と言った方がいいかも知れない。 類義語
関連語
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ミニバンSUVと同じく具体的な定義条件は無いが、1.5BOX(短ボンネット)ないし2BOXで天井が高くて客室が広く人間を乗せる事に重点を置いた車を指す。3列目シートを備える物も多い。小荷物や小グループ輸送のために使われるフォード等の「フルサイズのバン」より一回り小さい、というのが名称の由来で、アメリカでも用いられる車種区分。大型の物になるとステーションワゴンとの区別が曖昧になっているが、あえて分けるなら天井が高ければミニバンとされやすい。 同義語
類義語 |
ライトバンピックアップトラックの荷台に屋根を付けて貨物室としたもので、物によってはステーションワゴンに似た形をしているが成り立ちが違う。そのため貨物室の床は板金剥き出しであったりと幾分ラフな作りの物が多く、折り畳み後部座席などを備えていない場合は貨物室に窓も無い。ライトの由来は貨物車の中で比較的小型の物を指すが、後部座席を折り畳むステーションワゴン型のバンなどもあるため、その辺りの垣根はあやふや。 関連語 |
ワンボックスカーボンネットやトランクなどが区分けされておらず、内部空間が全て繋がっている車体構造を指す日本独自の呼称。ハッチバックと同じく形状に由来する呼称であり分類名ではないが、ステーションワゴン、ライトバンとの区別の為にあえてこの名称で呼ばれることがある。 関連語 |
ハッチバック最近主流であるファミリーカーの代表格。車席と貨物室が一体化し、開口部の広いハッチ(扉)をリアに持つ形状の車種。後部座席を折り畳む事で貨物室を広げる事が出来る車種も多い。ステーションワゴンやミニバンに採用例が多いが、近年はセダンやクーペにも採用されている。ちなみに、単にハッチバックとだけ言われる車は殆どミニバンだと思っていい。 類義語 |
分類その他
コンパクトカー
車格を大雑把に表すための呼称。日本では軽自動車よりもサイズが大きく、全長がおよそ4.2m前後までの自動車を指す。ほとんどが5ナンバー規定以下だが、前述の用途なので若干の超過(全幅が1.7mを超える3ナンバー車)は含めてもよい。アメリカでは欧州におけるCセグメント相当の車を指し、ヨーロッパではおおよそA~Bセグメントを指す。
スポーツカー
乗り心地や快適性より運転そのものを楽しむ事を重視した設計の車全般を指す。その傾向からクーペとオープンカーが大 半を占めるが、近年はセダンやハッチバックなども含まれるようになった。ちなみにモータースポーツにおいては「スポーツカー」とはオープンホイール (フォーミュラーカー)ではないレース専用設計の車を指し、ここで言うスポーツカーは「GT」に分類されるので注意が必要。
スポーツコンパクト
ホットハッチの事。正確にはハッチバックに限らず、駆動形式がFFの乗用車をベースに運動性能を高めたモデルを指すアメリカでの分類形式。日本ではスポコンと略される事も。
ツーリングカー
長距離移動に対応できる耐久性と快適装備を備えた車のこと、日本工業規格ではスポーツカーとセットで定義されている。20世紀初頭では旅行を主目的に作られた乗用車を指していたが、現在では大抵の乗用車はツーリングカーかスポーツカーである。
グランドツーリングカー
快適な長距離運転を可能にするための巡航性能と乗り心地、そしてスポーツ走行にも耐えうる運動性能を両立したハイパフォーマンスカーの事。その要求性能の高さから、セダン又はクーペの高級車といった位置付け。同義語はGTカー、グランドツアラー(イギリス)、グランツーリスモ(イタリア)、グラントゥーリスム(フランス)など。
アメリカンマッスルカー
単にマッスルカーとも。定義は簡単、デカくて速くて重くて大雑把で大馬力で燃費が悪い、と設計思想がいかにもアメリカらしいアメリカ産スポーツカーの事。1972年のマスキー法制定以前に発売されたものはオールドマッスルカー、それ以降に発売されたものはニューマッスルカーなどと呼ばれる。オールドマッスルカーは溢れんばかりのパワーにより直線は速いがコーナーは苦手な物が多い。これらのほとんどは、NHRAなどのドラッグレースの無改造部門に出場させるために開発されたもので、ほぼベースモデルとは全く別物のエンジンを搭載する非常に高価(車両本体とほぼ同等)なオプションパッケージを装着している。また、ニューマッスルカーは内装、外装においてはヨーロッパの高級スポーツカーに見劣りするが、それらと同等の馬力と走行性能を持っており、なおかつそれらより価格は半分以下に収まっているため売却する際の残存価値を考えなければ非常にお買い得だったりする。
スーパーカー
スポーツカーかグランドツーリングカーの一種。人目を惹くスタイリッシュな見た目と極めて高い運動性能や機能性能を持つ。
エキゾチックカー
スーパーカーと定義は似ているが、こちらは必ずしもスペックが高くない車を指す俗称。つまり見た目や雰囲気といった内外装を最優先させた車。品の良いクラシックカーなどはどちらかというとこれに当たる。
RV
レクリエーショナル・ビークルの略。アメリカではキャンピングカーの事を指すが、日本でレジャー向けの車に誤用されてそのまま広まってしまったため、ステーションワゴン、ワンボックス、ミニバン、SUVをひっくるめた俗称となっている。現在はそれらの細分化されたジャンルが一般にも認知されつつあり使われなくなってきている。
バン
屋根付き貨物自動車を全てひっくるめた俗称。ミニバンを含む事もあるが、日本では貨物自動車は十把一絡げにトラックと言われる事が多いのであまり使われない。
ワゴン
ステーションワゴン、ミニバン、ワンボックスカーといった客室の大きい車を全てひっくるめた俗称。
トラック
ピックアップトラック、コンテナトラックなど車体サイズに関わらず貨物自動車を全てひっくるめた俗称。
軽自動車
日本独自の規格。排気量が660cc以下かつ車両サイズが規定以内の自動車は税金が安くなり、ナンバープレートが白から黄色になる。海外でも「K Car」として認知されている。
セグメント
ヨーロッパで使用されるサイズ上の分類。Aが最小で日本の軽自動車規格に近く、最大のFが全長5m以下。詳細な定義を書くとややこしいので大雑把にこう覚えておけば良い。詳しくはwebで。なお、ピックアップトラックやライトバンなどの商用車は乗用車のセグメント分類には属さない(グローバルインサイト社による基準の場合。他にも基準が複数あったり曖昧だったりして日本の自動車雑誌ですら間違った使い方をしている場合があるのでどれが正しいかとは明記できない)。
クラス
一般に等級・階級という意味。メーカーが自社の車格を定義付ける目的で独自に設定したり、他車との比喩・比較をする際に使われる単語。共通のサイズ規定などが定義されている訳ではないので、そういう時はセグメントを使う。
機構
駆動形式
自動車が動くためのエンジンは非常に重量のある部品であり、これをどこに搭載し、どのタイヤに力を伝えるのかで走行時の特性が大きく変わるので、用途によっては重視される。
- フロントエンジン・フロントドライブ(FF)
- 前に積んだエンジンから直結で前輪を駆動させる方式。軽い、安い、広いと3テンポ揃っているので乗用車では主流。反面前輪に負担が集中するうえに集中させなければ駆動力不足に陥るというジレンマを抱えている。そのためハイパワーに弱く、スポーツ走行には不向き。
- フロントエンジン・リアドライブ(FR)
- エンジンは前に置き、プロペラシャフトという回転軸を後ろまで伸ばして後輪を駆動させる方式。FFと違い前後輪で役割分担されているので挙動が素直で構造もシンプルなため拡張性が高い。
- ミッドシップエンジン・リアドライブ(MR)
- 座席後部にエンジンを配置、前輪と後輪の間の区間に重量物を集中させ後輪を駆動させる方式。回頭性がよく、前が空くためシャープな外見にしやすいのでスポーツカーに適した方式。
- リアエンジン・リアドライブ(RR)
- 後輪より後ろの貨物室直下にエンジンを置き後輪を駆動させる方式。乗用車の方式としては色々と欠点のある構造のため現在ではほぼ廃れている。
- フォー・ホイール・ドライブ(4WD)
- オール・ホイール・ドライブ(AWD)とも。いわゆる四駆。プロペラシャフトと直結の両方を使う方式。悪路に強い。更に普段二輪駆動で駆動輪が空転した時のみ四駆になるパートタイム4WDと、常時四駆のフルタイム4WDがある。
縦置き・横置き
前述したように、エンジンは非常に重量のある部品であるため、どの向きで置くか、どの角度で置くかによってでも重量バランスは大きく変化する。また、エンジンの置き方によって他のパーツをどのように設置するかということにおいても制約が加わる。
- 縦置き
- 車体を正面から見た際に、エンジンから出力する回転軸が縦向きになるように置く方式。車体全体のエンジンスペースが大きくなるが、車体の重心の中心にエンジンの重量を近づけることができるため回頭性、駆動系設計の自由度が高い。。しかし、巨大なエンジンを搭載した場合、衝突事故の際に乗員を保護するクラッシャブルスペースを設けることが難しいため、大型の車に採用される場合が多い。
- 横置き
- 車体を正面から見た際に、エンジンから出力する回転軸が横向きになるように置く方式。FF駆動形式でこの置き方を用いる場合、急加速すると左右の車輪へ伝えるトルクが均等にならず、真っ直ぐ進まなくなる、トルクステアという現象が発生する。エンジンスペース自体が小さくて済み、クラッシャブルスペースを設けることも容易ではあるが、基本的にエンジンを車体の中心から見て前後車輪軸の外側に置かざる得なくなることが多く、重量バランスが悪い。特に前輪と後輪の距離(ホイールベース)が長くなればなるほど重量バランスが悪化するため主に小型の車に採用される。この重量バランスの悪さを改善するためにエンジンを車体中心に向けて傾斜させて搭載したり、エンジンの搭載位置を前後車軸側に搭載する(FFミッドシップ)こともある。 また、大きなエンジンを搭載するとスペースが少ないためフロントタイヤの切れ角が大きく取れなくなったり、足回りに割けるスペースが小さくなってしまうが故にサスペンションの性能を十二分に取ることが出来なくなってしまう場合もある。
車体構造
- モノコック構造
- ボディ全体が薄い金属板でできており、卵の殻のように全体で応力を分散して受け持たせる構造。タンボール箱を思い浮かべてもらえば分かりやすいように思われる。フレーム構造のように下に土台を作らなくて良いので床下を低くできるうえに計量かつ衝突安全性にも優れる。が、腐食、変形などに弱く、そのような状態になると強度が大幅に低下する。つまりダンボール箱のように一度濡れたり潰れたりしてしまえば残念なことになる。特に延展性が高いアルミ製モノコックは一度ぶつけたら直すのにたくさんの手間とお金が必要だったりするため、アルミモノコックを採用している高級車は減少している。
- フレーム構造
- 骨組みを作ってそこに皮を着せるように部品を装着する構造。 特にラダーフレーム形式とスペースフレーム形式の二つが自動車では主に用いられることが多い。ラダーフレーム形式は昔ながらのシャーシにボディを乗せたもので、強度面においてモノコック構造より勝っている。ミニ四駆ようなものだといえば分かりやすいだろうか。だが、床下が高くなる、コストが高い、衝撃には強くても衝撃を吸収してくれないなどの欠点もある。スペースフレーム形式は鳥かごのようにパイプでカゴを作り、それに何らかの外張りを貼る形式である。近年のヨーロッパの高級車はアルミ押出形成材によるスペースフレーム構造が主流になりつつある。ちなみにこの形式の場合ボディパネルに応力がかからないのでFRPなどを用いてプレス形成では作れないようなデザインの自動車を作ることも可能である。そのため小規模なバックヤードビルダーなどは基本的にこの形式を用いている場合が多い。
関連項目
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