WarCraft3とはWindows/Mac用リアルタイムストラテジー(RTS)ゲーム。RTSジャンル成立の一役を担った「WarCraft」のシリーズ第3弾である。
概要
サブタイトルは「Reign of Chaos」で、拡張セットに「The Frozen Throne」がある。2002年にBlizzard Entertainment社(以下Blizzard社と表記)から発売された。
剣と魔法の支配するダークファンタジーな世界観をベースに、様々な生物・種族間の抗争をテーマとしている。
前作まではヒューマンとオークの2陣営だったがWarCraft3ではヒューマン・オーク・アンデッド・ナイトエルフの4陣営で構成される。それぞれの陣営が独自の生態・発展形態を持っており、陣営ごとのユニットも多くのRTSに見られるような大同小異ではなく、見た目・性能・特殊能力が著しく異なっている。
システム的には一般的なRTSの枠からはみ出した部分を多く内包するが、各陣営の強さが拮抗する絶妙なバランスに調整されており、その奥深さが多くの人々を引き付け、発売から7年経った現在でも世界中で遊ばれ続けている、現在のRTSを代表するタイトルである。
競技性の高さからe-Sportsの場での対戦タイトルとして採用されることも多い。
全体の特徴
大きな特徴として、各陣営ごとにヒーローというユニークなユニットがいることが挙げられる。ヒーローは名前の示す通り主役級の存在で、一般ユニットより圧倒的に強い。ヒーローはRPGのように敵を倒すことにより経験値を得てレベルを上げ、スキルを習得することが出来る。ヒーローは陣営ごとに4種類ずつおり、そこから使用ヒーローを選択する。
マップ上の各建物周囲・追加の金鉱等にはクリープと呼ばれるNPCモンスターが初期配置されている。これらは陣営の勢力拡大を邪魔する障害であるのと同時にヒーロー用の経験値やアイテムを稼ぐための貴重な資源である。
ゲームの進行時間に合わせて昼と夜が交互に切り替わる。昼と夜では視界の広さが違い、夜になると寝るクリープもいる。また種族によっては体力の回復量が昼と夜で変わったり、昼夜がスキルの使用条件に関わってきたりする。
建物建築等の内政部分はかなり単純化されている。収集する資源はゴールドとウッドの2種類だけで、1つの金鉱からのゴールド回収スピードには上限があり、ワーカーを多く割り当てることでは回収スピードは上げられない。短時間でより多く回収するにはマップに点在する他の金鉱を自陣の支配下にしなければならない。
各陣営ごとの建物としてアイテムショップがあり、これを建てることでヒーローはゴールドを消費してアイテムを購入可能となる。売られているアイテムの種類は陣営ごとに差があり、これも各陣営の特徴を強める要因となっている。
陣営の内政進行度は3段階あり、それぞれTier1~3と呼ばれる。上位のタウンホールへと建て替えることで上のTierへと移行する。Tierが進むと建築可能な建物や生産可能なユニットが増え、より強力な軍勢を作りだせるようになる。アイテムショップで買えるアイテムの種類もTierが進むと増えていく。 また、Tierが進むごとに同時にコントロール可能なヒーロー数が増加する(Tier3で最大3ヒーローまでをコントロール可能)。
マップ上にある酒場で4陣営に属さないニュートラルヒーローをゴールドで雇える。酒場では倒されてしまったヒーローは自陣の建物から再生するには時間がかかるが、酒場でならヒーローを即再生可能である。(高額な再生費用と体力1/2状態、マナ無し状態での再生になるが)。他には地上ユニットを運搬可能な飛行船等の雇えるゴブリン研究所、共用ショップとなるゴブリン商店&市場、各種クリープを雇える傭兵キャンプがある。
これらの建物はマップ上に最初からあるものなので、それらが存在しないマップを選択していたゲームの場合は登場しない。
各陣営紹介
- ヒューマン
- 人間・エルフ・ドワーフからなる混成軍。
資源回収は、ゴールドはワーカーが金鉱とタウンホール間を移動して行ない、ウッドはワーカーが森を伐採して行なう。
1つの建物の建築に複数のワーカーを使い、建築速度を速めることが可能。
ワーカーを一定時間だけ近接戦闘ユニットに変身させることが出来る。 - オーク
- オーク・トーレン(牛人間)・トロールからなる混成軍。
資源回収は、ゴールドはワーカーが金鉱とタウンホール間を移動して行ない、ウッドはワーカーが森を伐採して行なう。
建物の建築中はワーカーは建物の内側から建築するため、ワーカーを狙われるということがない。
強靭な肉体を有した近接攻撃向きのユニットが多いが、回復系が苦手。敵の建物を攻撃することでゴールドを取得する略奪のスキルを取得出来る。 - アンデッド
- アンデッドと魔界の軍勢からなる軍。
資源回収は、ゴールドはワーカーが金鉱で祈祷して行ない、ウッドは攻撃ユニットであるグールが森を伐採して行なう。
建物は魔界から召還するため、建築指示後にワーカーがその場を離れられる。また、要らない建物は逆召還することで建築時の何割かのコストを回収可能。
タウンホールと金鉱以外の建物は、建物のまわりに広がる腐土と呼ばれる土地の上にしか建てられない。
死体を資源として用いるユニットや、怪しげな術を使用するユニットが多い。 - ナイトエルフ
- ナイトエルフと木の精霊からなる軍。
資源回収は、ゴールドはタウンホールから伸ばした根を金鉱に絡めて吸いあげ、ウッドの回収はワーカーを木にまとわり付かせて伐採せず行なう。
ナイトエルフの建物の多くは生きている建物であり、自ら歩いて移動や戦闘が可能、木を食べてHP回復も出来る。
ナイトエルフのワーカーは建物を建築するのでなく、ワーカー自身が変態して建物となる。またワーカーに近接戦闘能力はないが、自爆することで召喚生物にダメージを与えたり、敵ユニットのマナを減少させることが出来る。
近接戦闘は苦手だが優れた射撃ユニットが多く、攻撃を一点集中させるのが得意。
女性型ユニットは融影という能力があり、夜間に行動を止めれば敵から見つからなくなる。
ゲームプレイ
遊び方にはシナリオに沿って定められた目的を遂行する1人用のシングルプレイと、複数のプレイヤーで未発展状態から始めてそれぞれの軍勢を作りあげ互いに滅ぼしあうマルチプレイがある。
シングルプレイ用のシナリオはそれぞれの陣営やユニットの特徴を紹介するチュートリアルを兼ねている。WarCraft3におけるシングルプレイはおまけ的・練習用的な印象が強い。
マルチプレイはLANやインターネット等のネットワークを介したプレイヤー対戦プレイである。対人だけでなくAIが操る陣営を相手に対戦プレイをすることも可能。
WarCraft3ではAge of Empiresシリーズのようにゲーム開始時にランダムにマップを生成するシステムは無く、予め準備されているマップデータを用いる。これは互いの配置や使える資源差の不公平を無くし対戦の競技性を高めるためである。(もちろんシナリオ用やお遊び用として奇妙な構造をしたマップデータも豊富にそろっている)
対戦プレイの大筋としては建物の建設・敵陣営の偵察と平行して自軍ユニットを揃え、ヒーローとともにクリープや敵ユニットを倒し、ヒーローのレベルを上げて敵軍に対抗していく。ヒーローユニットは倒されても死んだ時点のレベルから復活可能だが、倒される時に大量の経験値を相手に与えてしまうし復活までにかかる時間はヒーロー不在となるため大変不利である。自軍のヒーローを倒されないように立ち回りながら相手のヒーローを如何にして倒すかが対戦での焦点となる。
倒されるユニットが経験値を相手に与えてしまう他に、同時に保有するユニット数が多いとユニット製造コストが大幅に上昇するペナルティがあるため、ユニットを大量に作って数で力押しする戦術がとりにくい。ユニットを使い捨てていくのではなく、なるべく生き残るように大事に使いまわしていくプレイ傾向となっている。
WarCraft3は戦略級RTSに分類されるが、マイクロ操作と呼ばれるユニット個別の細やかなコントロールがとても重要で、勝敗の鍵を握っている。
MOD
WarCraft3はMODを使用した別ゲームがユーザーの手により多数作成されており、人気を博している。
MODによるゲームジャンルは様々で、RPGからカーレースまであらゆるゲームが作られているが、特に有名なのがDefense of the Ancient(DotA)から派生したDotA Allstarsと、TowerDefense系MODである。
- DotA Allstars
- コンピュータの操る2陣営の対立にヒーローとして参戦し、自陣を勝利に導こうというチーム対戦ゲーム。
つまりWarCraft3から内政操作と自軍のユニット群操作を取っ払い、ヒーロー操作に特化したゲームである。
WarCraft3はしっかりこなさなければならないことが多過ぎて気軽に遊べるゲームとは言えないので、そういう部分がつらいという人にオススメ。また、WarCraft3の対戦はH2H(1対1)が基本だがこちらは多対多となっているので多人数で楽しめる。
ヒーロー操作だけなかわりに本来のWarCraft3をはるかに超える数のヒーローからキャラを選べるようになっている。またアイテム作成等のフィーチャーが加わっている。 - TowerDefense系(TD系)
- 自陣に向けて迫り来る敵の隊列を、防御施設を配置することで殲滅して自陣を守りぬくゲーム。
現在では多くの機種・プラットフォーム向けにこのタイプのゲームが遊ばれているが、その始祖となったのがこのWarCraft3のMODとしてのTowerDefenseゲームである。
TD系は大きく分けると敵隊列の進行ルートが固定されている防御施設の数・種類・配置タイミングに特化したタイプと、防御施設の配置によって壁を作って敵隊列の進軍ルートをコントロール出来るタイプがある。また防御施設だけでなく、移動可能な戦闘ユニットが居てそれも駆使して敵殲滅するタイプもある。
他の機種・プラットフォーム用のTD系は1人遊び用だが、WarCraft3 MODのTD系は多くが多人数でも遊べるように作られている。ただし敵はコンピュータの送り込んでくる軍勢なわけで対戦ではなく、同じゲーム画面で他の人とチャットしながら遊べたり、負けそうな人を手助け可能な協力プレイといった感じである。
その他
- Blizzard社がサービス中のWoW(World of WarCraft)は、このWarCraftシリーズの世界観を元にしたMMORPGである。
- WarCraft3は世界的に大ヒットし今でも売れ続けているが、日本での売り上げは芳しくなくマイナーである。
- WarCraft3発売当時の日本の代理店はカプコンだったが代理店事業から撤退したため現在の日本語版は在庫分のみとなっており常時品薄である。特に拡張セットのThe Frozen Throne日本語版は高額での取り扱いになっている。基本セットのReign of Chaos日本語版単体が安価で売られていることがあるが、これを購入すると拡張セットにも日本語版が必須となるので注意。(現在のネット対戦では拡張版有りが当たり前なので拡張版が無いと対戦しにくくなるため)
- 英語版だがBattle Chestという基本+拡張セットの同梱パッケージが安価で入手可能なので今から始める人にはこちらがお奨め。
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関連項目
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