「たけしの挑戦状」とは、1986年12月10日にタイトーから発売されたファミリーコンピュータのアクションゲーム。
概要
1980年代当時にお笑いタレントとして絶大な人気を誇っていたビートたけしが制作に参加したということで鳴り物入りで発売されたファミコンゲームである。ファミコンのゲームで芸能人の名前が冠されたソフトはこれが初めてであり、たけし自身の人気も相まって話題を呼び、約80万本も売れた大ヒット作となった。これは同時期に発売された「ドラゴンクエスト」の当時の売り上げに匹敵する数字である。
2009年3月31日よりWiiのバーチャルコンソール(その後Wii用VCは2019年に終了)、2017年8月15日よりAndroid・iOSでも配信されている。
2019年8月に「たけしの挑戦状 ビヨンド」としてなんと舞台化が発表された。ヨーロッパ企画の上田誠が脚本を担当し、2020年4月から東京・大阪などで公演予定。新型コロナウイルスの影響で全公演が中止になってしまったが、公演グッズが通販サイトで販売されている。
独創的過ぎる展開
- 主人公は妻子持ちのしがないサラリーマン
- そこらの通行人に殴りかかって倒すことができる
- 家に帰るや否や女房と子供に襲われる(逆に倒すこともできる。家を出入りすると一瞬で復活するが)
- 離婚して有り金を全部慰謝料として取られたり、会社を退職したりという選択肢がある(どちらもクリアに必須)
- クリアに必須のアイテムを入手するために、リアルで1時間操作せずに放置するイベントがある(つい魔が差してボタンを押すと「せっかく ちゃんすを あたえてやったのに なさけないやつ」と言われ、アイテム入手不能=クリア不能に)
- ところが実際は5分経過した後にとある操作をすれば入手できたりする。
- ゲーム内にパチンコ屋があって本当にパチンコを打てる。景品の中にクリアに必須のアイテムがある
- パチンコ屋で入手できるクリアに必須のアイテムは玉4000発と交換なのに、玉3000発になった時点で強制退店させられる。それをもらうためには、玉を全部スッたあとにその場でIIコンのマイクに向かって「出ねえぞ」と叫ぶ。そうしたらヤクザが3人出てきて襲ってくるので全員殴り倒す。すると玉が5000発もらえる。というイベントをこなす
- IIコンのマイクでスナックにあるカラオケを歌い、下手だと「へたくそ やめて かえれ」と言われる
- 通行人に話しかけるときは、IIコンのマイクに向かって「もしもし」と叫ぶ
- しかも、設定により話しかける代わりに脅しかけることも可能
- パスワードを入力して続きから始める画面「こんてにゅうや」になぜかある「おやし゛ を なく゛る」という選択肢を選ぶと、「き゛ゃー ひとこ゛ろしーー」と言われ、なぜか主人公がいきなりライフゼロで倒れてゲームオーバー画面になる
- さらにゲームオーバー画面は主人公のお葬式
- ルートを間違えると乗った飛行機が突然爆発したり、ハンググライダーに乗って鳥と接触すると一発で爆発したり、謎の未開民族に釜ゆでにされたり、中盤である人物を倒しておかないとエンディング寸前のシーンで「しねっ」と言われて突然葬式になったりなど、ライフがゼロになって倒れる以外にお葬式になるバリエーションがとても多い
- ゲームオーバーになって再開するには、20文字あるパスワードを入力し直さなければならない
- なのに、入力したパスワードが間違っていると、こんてぃにゅうやおやじに「は゜すわーと゛ か゛ ちか゛います」と言われ、やはり主人公が倒れてまたお葬式になる
- おそらくファミコン初のマルチエンディング
などの当時としては(一部は現在でも)非常に斬新な要素が多く取り入れられていた。
これらのアイディアは当時ファミコンゲームにハマっていたというたけしが開発担当者に提案したものを採用したもの。
当時のファミコンの能力では到底構築不可能なこれらのアイディアがどのように生まれたか?については二説ある。
- ビートたけしは開発担当者と打ち合わせをした際酒を飲んでおり、泥酔した状態で思いつきを適当に語っていた。(ビートたけしが当時を回想した際の発言)
- ビートたけしは「たけしの挑戦状」のために大学ノート一杯に綿密にアイディアを書き記していた。しかし、「こんなに難しくしたらゲームバランスが崩壊してしまう」という忠告に耳を貸さず押し通してしまったためにこのようなゲームが生まれた。(何度もたけしと打ち合わせをしたメインプログラマーの証言)
どちらにしろこんな無理難題を1本のゲームにまで仕上げたなんて、まさに開発担当者は「えらいっ」!
なお、本作のプログラムを担当した森永英一郎氏は、本作の発売後にソニーに転職し、GPSカーナビ、デジタルカムコーダー、Net MD、ミラーレス一眼デジタルカメラ、AIBO、アルクニャンなどの開発を担当し、世に送り出している。本作でのプログラミング経験も大いに役立ったらしい(魔改造の夜より)ので、日本を代表するエンジニアを生み出す地盤の一つになったという意味では本作の存在はまさに「えらいっ」!
『偉大なるクソゲー』が巻き起こした波紋
だが、予想された通り、攻略本なしではクリア不可能といわれるほど理不尽に難易度が高くなってしまい、いろいろな要因から一般にはクソゲーの代名詞として扱われている。
本作の発売直前(1986年12月9日)にビートたけし自身が、たけし軍団とともに講談社『フライデー』編集部へ殴り込みをかけた『フライデー事件』を起こしており、発売が危ぶまれたが結局発売された。ただしテレビCMは放送自粛を余儀なくされた。
ゲームよりも大田出版から発売された攻略本の上・下巻のほうが(読み物として)面白いデキとなっており、絶版となった現在では高額で取引される。
しかし、この攻略本を読んでもクリアが困難だったため、版元の太田出版に毎日質問と抗議の電話が鳴り響いた。最初のうちはちゃんと電話に出ていた担当者も疲れ果て、挙句には「担当者は死にました」と嘘をついていたという伝説も近年明らかになった。
発売当時、たけしの弟子であるたけし軍団の面々も街で見かけられると、購入者の小学生から「金返せ!!」と罵られることが頻発しており、人前で手を上げるわけにもいかず困ったという話がある。
また、ビートたけしの相方であるビートきよしもプレイしたものの攻略できず、たけしに直接「攻略法を教えてくれ」と電話したそうだ。
「十年に一度のクソゲー(の一つ)」という異名を持つほどの伝説的存在のゲームであるため、逆に今やりたいという一部のファンからの要望があったからなのかは定かではないが、最初に書いたとおり、バーチャルコンソールで配信された(500Wiiポイント)。
エンディングのアスキーアート
またネタバレになるが、プレーヤーの意表を突くような伝説的なエンディングメッセージが有名。
「えらいっ」→おおよそ5分待った後→「こんなげーむにまじになっちゃってどうするの 完」
今では2chなどで下記のようなアスキーアートとして見受けられる。
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r'~:::::_,,,_:::::::::::::::ヽ
|:::r'~ ~"""''-、::| ┌───────────┐
|;;| ,へ、 ,.ヘ、.|::| │こんなけ゛ーむに まし゛に│
r'レ' .・ .::::::. ・ .'y^i │なっちゃって どうするの │
ゝ'、 '、___,'. ,;'-' └───────────┘
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';、 .,;' .!~二~7
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ピコカキコによるBGM
シューティング面: |
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パチンコ屋: |
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はとぽっぽ: |
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おきなわゆんた: |
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ねこにゃんたいけん: |
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あめのしんかいち: |
お絵カキコ
関連動画
最速クリア
プレイ動画
CM
BGM
3万発パンチ動画
タイトル画面で3万発パンチをするとエンディングに飛ぶという裏技をTASさんがやった動画(実際には30,720発必要とのこと)。
2万発とあるのはTASができる前の誤った情報が周知されていたためと思われる。
その他色々
ニコニコ生放送
バーチャルコンソールでの配信開始に合わせ、2009年3月31日21:00~22:30に運営生放送として「『たけしの挑戦状』被害者の会 ~開発者出て来い!スペシャル~」を放送。開発当時を知るタイトーの開発者をゲストに迎えた。
なお、本放送では「mF247の管理人」が運営コメントなど裏方を担当しており、出演者に無視されながらも、悪乗りしたりし頑張って盛り上げていた。
関連静画
関連項目
- えらいっ
- クソゲー
- りり(酷いエンディングで比較されるもの)
- ゲームのタイトル一覧
- バーチャルコンソール
- VC配信ソフト
- へたくそ やめて かえれ
関連リンク
- チーフプログラマーを担当した人の自己紹介ページ
- バーチャルコンソール版紹介ページ(任天堂)
- 「たけしの挑戦状」を作った男,福津 浩氏が追い続けた新世界(後編)たけしさんとの仕事と,幻の続編 「ビデオゲームの語り部たち」:第30部 2022.7.19
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