レッドブル・レーシング・リミテッド(Red Bull Racing Limited)とは、2005年よりF1世界選手権に参戦しているオーストリアのコンストラクターである。ファクトリーの本拠はイギリスのバッキンガムシャー州。チーム代表はクリスチャン・ホーナー。
エントリー名 | アストンマーティン・レッドブル・レーシング |
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チーム国籍 | オーストリア |
チーム本拠地 | イギリス バッキンガムシャー州 |
チーム代表 | クリスチャン・ホーナー |
テクニカル ディレクター |
エイドリアン・ニューウェイ ピエール・ヴァッへ 田辺豊治 |
ドライバー | マックス・フェルスタッペン(オランダ) セルジオ・ペレス(メキシコ) |
テストドライバー | セバスチャン・ブエミ |
シャーシ | RB18 |
パワーユニット | RBPTH001 |
タイヤ | ピレリ |
スポンサーとしてF1に参画
1995年に、ザウバーF1のメインスポンサーとして参画し、2004年までスポンサー契約を継続した。
その間、F1ドライバーのスカラシップを開始、エンリケ・ベルノルディ(アロウズ)、クリスチャン・クリエン(ジャガー)をF1デビューさせている。
ザウバーにスカラシップドライバーを入れようとするも、ザウバーと対立。さらにジャガーがF1撤退を決めたため、2004年末にジャガーを買収、レッドブル・レーシングを立ち上げた。
さらに2005年末には、元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーとともにミナルディを買収、 スクーデリア・トロ・ロッソとして実質的なジュニアチームとした。
レッドブル・F1でも翼を授ける
2005年
2005年、ジャガーが開発していたパッケージ(R6→RB1)及びエンジン(コスワース)をそのまま受け継ぎ参戦。
なおデビッド・クルサード先生は初参戦時からアドバイザーの現在まで長く在籍している。
・レギュラードライバー:デビッド・クルサード、クリスチャン・クリエン、ビタントニオ・リウッツィ
・リザーブドライバー:ビタントニオ・リウッツィ、スコット・スピード
2006年
2006年、パワー不足のコスワースエンジンを、買収したトロ・ロッソに使用権を譲り、フェラーリエンジンを獲得、そしてシーズン中盤でマクラーレンからエイドリアン・ニューウェイが加入する。
フェラーリエンジンの排熱が大きく、コンパクト化されたマシンのせいでオーバーヒート気味になることが多く苦戦したものの、モナコGPにおいてクルサード先生の頑張りで初表彰台獲得した。
・レギュラードライバー:デビッド・クルサード、クリスチャン・クリエン→ロバート・ドーンボス
・リザーブドライバー:ロバート・ドーンボス→ミハエル・アマミュラー
2007年
2007年、フェラーリエンジン使用契約をセカンドチームのトロロッソに譲渡し、ルノーエンジンを獲得。
ウィリアムズからマーク・ウェバーがこの年より参戦。
・レギュラー:デビッド・クルサード・マーク・ウェバー
・リザーブ&テスト:ミハエル・アマミュラー、ロバート・ドーンボス、セバスチャン・ブエミ
2008年
2008年、前年と同様なパッケージングで参戦するも苦戦、
セカンドチームのトロロッソに初PPと初優勝を先越され、コンストラクター選手権でも負けてしまう。
・レギュラー:デビッド・クルサード・マーク・ウェバー
・リザーブ&テスト:セバスチャン・ブエミ
2009年
2009年、トロロッソからセバスチャン・ベッテルが加入。
シャシー規定が大きく変わったこともあって、開発されたRB5は大きな戦闘力を持ち、第3戦中国GPでチーム初PPと初優勝を飾る。
前半戦ではブラウンGPに水をあけられるものの、マルチディフューザーなど大幅な改良を施したイギリスGPから勢力が逆転、両雄の活躍で終盤戦までチャンピオン争いをするものの、ブラウンGPに逃げられてしまった。
・レギュラー:マーク・ウェバー・セバスチャン・ベッテル
・リザーブ:デビッド・クルサード→ブレンドン・ハートリー
2010年
2010年、前年の改良型であるRB6は圧倒的な速さを見せつけ、予選ではPPをいくつも獲得する。
しかし、決勝でトラブル、ドライバー同士のクラッシュなどでポイントを落としていくものの、最終戦で辛くもベッテルがチャンピオンを獲得、コンストラクターズタイトルも手にした。
・レギュラー:セバスチャン・ベッテル、マーク・ウェバー
・リザーブ:ブレンダン・ハートレー、ダニエル・リチャルド
2011年
2011年、KERSを搭載しつつもサイドポッドを縮小したRB7を投入。ブロウンディフューザーの開発に成功し、予選での速さが増して、前半戦で他のドライバーに圧倒的な差を広げることに成功した。
・レギュラー:セバスチャン・ベッテル、マーク・ウェバー
・リザーブ:ブレンダン・ハートレー、ダニエル・リチャルド
2012年
2012年はRB7の正統進化系にあたるRB8を投入。特徴としてはノーズの部分に吸気口を設けたのだが、これに疑惑の目が向けられた。またこの年からエンジン排気による空力利用の規制がより厳しくなり、空力でタイムを稼いでいたレッドブルには厳しいシーズンとみられていた。しかしシーズン序盤はウェーバーが着実にポイントを稼ぎ、モナコGPではオーストラリア人初のモナコウィナーとなった。ベッテルもヨーロッパGPでのリアイア以降は成績も安定し、蓋を開けてみればレッドブルの3年連続チャンピオンと言う結果に終わった。
2013年
2013年は日産の海外ブランド「インフィニティ」がスポンサーがタイトルスポンサーに就任し、サイドポッドに大きなロゴマークがあしらわれた。レッドブルと言えばこのデザインと言う人も多い。新投入されたRB9はRB8と比べさほど大きな変化は見られなかった。この年レッドブルはまさに全盛期であり、ベッテルは第11戦ベルギーGPから第19戦ブラジルGPまで9連勝を飾り、ぶっちぎりでチャンピオンを確定させた。しかしベッテルはレッドブルのチームオーダーを無視するなど、レッドブルとチームメイトのウェバーとの関係性を悪くした年でもあった。象徴的なのは第2戦マレーシアGPでウェバーが1位でチェッカーを受けるはずのチームオーダーをベッテルが無視し、怒ったウェバーが控室でベッテルに「マルチ21」と発言し両者表彰式の前にも拘らず険悪なムードとなった。ウェバーはこの年でF1引退、活躍の場をWECに移すと発表した。※マルチ21はカーナンバー2のウェバーがカーナンバー1のベッテルの前でゴールするチームオーダー。
2014年
2014年はウェバーに代わり、トロ・ロッソからダニエル・リチャルドが昇格する。この年よりエンジンが大改訂され26年ぶりにターボエンジンが搭載された。しかしルノー製パワーユニットの信頼性、パワー性能が大幅に落ち、メルセデスの台頭を許す形となった。ベッテルはこの年未勝利に終わり、リチャルドもカナダGP、ハンガリーGP、ベルギーGPの3勝に留まった。チームもコンストラクターズタイトル2位と、5年ぶりに王座から陥落した。またマシーンのデザインに携わってきた’’空力の奇才’’エイドリアン・ニューウェイが今年度限りで一線を退くと発表された。
2015年
2015年はベッテルがフェラーリに移籍したことで、トロ・ロッソからダニール・クヴィアトが昇格し、ダニエルコンビとしてシーズンを迎えることとなった。マシーンはRB11。ルノー製パワーユニットの戦闘力はさらに差を付けられ、優勝はおろか表彰台にすら立てないレースが続いた。結果この年表彰台に立てたのはリチャルドによるハンガリーGP3位、シンガポールGP2位の2回のみであり、ルノーに対する不信感をますます強める運びとなった。
・レギュラー:ダニエル・リチャルド、ダニール・クヴィアト
2016年
2016年のRB12はカラーリングを一新し、黒を基調としたデザインへと変更した。前年度の結果により関係性を悪化させたルノーと揉め、メルセデスやフェラーリにパワーユニット供給を求めるも断られたため、結局ルノー製パワーユニットにタグ・ホイヤーと言うブランドを搭載し参戦する。マシーンは前年度よりも成績が安定したものの、クヴィアトがベッテル、リカルドを巻き込むクラッシュを引き起こしてしまいトロ・ロッソに降格、逆にトロ・ロッソからマックス・フェルスタッペンが昇格する。そのフェルスタッペンが昇格後早速スペインGPで優勝するといった才能を遺憾なく発揮し(史上最年少優勝記録)、リカルドもマレーシアGPで優勝するなど前年度よりは成績が上向く結果となり、コンストラクターズタイトル2位でシーズンを終えた。しかしタイトル1位のメルセデスは765ポイントとF1史上最多となるポイントを獲得した一方、レッドブルは468ポイントと実に300近いポイント差を開けられてしまった。
・レギュラー:ダニエル・リチャルド、ダニール・クヴィアト→マックス・フェルスタッペン
2017年
2017年は新しくタイトルスポンサーにアストンマーチンが就任した。新マシーンのRB13は相変わらずルノー製パワーユニットとの戦いを強いられた。アゼルバイジャンGPではベッテルがハミルトンにわざと車をぶつけるという事件を起こした結果、リチャルドが優勝をかっさらったが、フェルスタッペンがカナダGP、アゼルバイジャンGP、オーストラリアGPで3戦連続リタイアを喫するなど、マクラーレン・ホンダとリタイア争いを繰り広げた。それでもシーズン後半にフェルスタッペンがマレーシアGP、メキシコGPで優勝をするなど、コンストラクターズ3位とトップ3チームとしての意地を見せたシーズンとなった。
・レギュラー:ダニエル・リチャルド、マックス・フェルスタッペン
2018年
2018年のRB14は、ルノー製パワーユニットの契約最終年という事もあり、ルノーからは翌年以降の契約をどうするのか決断を迫られた。一方レッドブルはBチームであるトロ・ロッソにホンダ製パワーユニットを搭載させていたため、来期はホンダに乗り換えるのではないかと言う話も出ていた。結果6月19日にレッドブルはルノーとの契約を結ばず、パワーユニットをホンダに乗り換えることを発表した。この発表以降ますますレッドブルとルノーの関係は悪い方へと向かい、まさに最悪の状態となった。レッドブルはルノー製パワーユニットへの批判を毎日のように繰り返し、逆にルノーはレッドブルに十分なパワーユニット部品を供給しないといった事が行われた。その被害にあったのがリチャルドであり、リチャルドはなんとシーズン8回ものリアイアを喫してしまう。そのリチャルドとは対照的にフェルスタッペンがカナダGP以降成績を大きく上げ、チーム内での立場を優位なものにしていった。リチャルドは中国GP、そしてモナコウィナーとなったものの、8月3日にルノー移籍が発表された。レッドブルは前年度と同じく3位でシーズンを終え、ルノーとは喧嘩別れの様に契約を終えホンダパワーユニットを迎えることとなった。
・レギュラー:ダニエル・リチャルド、マックス・フェルスタッペン
2019年
2019年からあの’’空力の奇才’’エイドリアン・ニューウェイが現場復帰することが発表された。またリチャルドに代わってトロ・ロッソからピエール・ガスリーが昇格、さらにルノーに代わってホンダにパワーユニットをスイッチした。実は本チームにとっては初めてのワークスサポートによるエンジン供給を得たことになる。これでホンダの名前が前面に出ることになり、本来は同じ自動車メーカーなので並び立たないはずのアストンマーチンは、協議の結果サポートを継続。エントリー名に名を残すことになった。そのため、報道では「アストンマーチン・レッドブル」と書かれたり「レッドブル・ホンダ」と書かれたりするちょっとややこしい状況に。
ホンダパワーユニット搭載第1戦目はフェルスタッペンがフェラーリのベッテルを抜いて3位を獲得するといった結果を残した。ホンダとしては2008年のイギリスGP以来の表彰台となり、今後が大いに期待できる結果となった。その後もフェルスタッペンはスペインGPで3位、モナコGPで2位チェッカー(ペナルティで記録上は4位)と表彰台を常に狙えるレベルの実力を発揮した。そして、チームにとっての地元、オーストリアGPで序盤の出遅れを挽回してのオーバーテイクショーの末、ホンダにとって2006年ハンガリーGP以来13年ぶりの優勝をもぎ取ることになった。
続くイギリスGPでは予選からフェルスタッペンとガスリーが4、5番手スタートと上々の立ち上りから、2戦連続の表彰台も見えたかに思われたが、フェルスタッペンが3番手に浮上直後、抜いたベッテルに後ろから追突を受けて5番手に順位を落としてしまう。結果ガスリー4位、フェルスタッペン5位と表彰台は逃したものの、ガスリーの予選1回目でのトップタイムや、トロロッソ時代の2018年バーレーンGP以来の4位と、不調が続いていたガスリー復活の兆しも見えた結果となった。
第11戦ドイツGPではシーズン初のウエットレースという大荒れの展開を制し、フェルスタッペンが2戦ぶりの優勝を勝ち取る。なお今GPではトロ・ロッソのクヴィアトが3位に食い込むという今季初のトップ3チーム以外からの表彰台をもぎ取り、ホンダパワーユニット勢がワン・スリーフィニッシュを飾った。さらには最下位から追い上げた2位のベッテルと合わせ、表彰台に立っている全員がレッドブル育成出身・元トロロッソというレッドブル関係者で独占された光景も見られた。ハンガリーGPでは王者メルセデスのハミルトンとの勝負の末敗れはしたものの、マシンの性能差よりも戦略面での敗北であった為、ホンダPUがメルセデスと対等に争える位置まで復活した事を印象付けるレースとなった。
しかしその後はメルセデスのマシンアップデートやフェラーリのPU強化によってレッドブルの敗北が続いていたが、後半戦に投入したホンダPUのスペック4と、日本GPにエクソンモービルが投入したホンダ使用の燃料の影響で再び戦闘力を取り戻し、第20戦ブラジルGPでは高地に強いホンダPUの力もあって、レッドブルのフェルスタッペンが1位、トロロッソのガスリーが2位という非常にレアな光景が見られた。最終的にはコンストラクターランキングが3位、フェルスタッペンもドライバーズランキングで3位という結果に終わった。
ホンダとはPU供給の契約が2021年まで延長された。レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコ氏は「彼らは我々に約束通りの物を届けてくれた。実際にはそれ以上だったかもしれない」「彼らとの協力関係には非常に満足している。そして彼らが来季に向けて準備しているものは、我々に自信を与えてくれるんだ」と発言している。
2020年
2017年からタイトルスポンサーを務めていたアストンマーチンが2021年よりレーシングポイントのタイトルスポンサーになる事が決定し、2020年限りでの契約となることも発表された。
これまでジュニアチームとして並び立ってきたスクーデリア・トロ・ロッソはスクーデリア・アルファタウリと名を改め、よりパーツの共用などの関係を深めた姉妹チームとなることになった。
現在のスポンサー
- Red Bull(飲料メーカー、親会社)
- ASTON MARTIN(タイトルスポンサー)
- RAUCH(飲料メーカー)
- HONDA(自動車・二輪・船舶、耕運機、飛行機製造販売、PU供給)
- Mobil 1・Esso(エクソンモービルのエンジンオイル(前)、並びにガソリン(後)、ガソリン供給)
- TAG HEUER(時計メーカー)
- PUMA(スポーツ用品メーカー)
- Citrix(ソフトウェア・ネットワークメーカー)
- SIEMENS(通信、電力、交通、医療、軍事、家電メーカー)
- Hewlett Packard(コンピューター、プリンターメーカー)
- AT&T(情報通信、電話会社)
- IBM(コンピューター製造、販売)
- DITA(サングラスメーカー)
- 利來国際(ホテル、カジノ)
- PIRELLI(タイヤメーカー、全チームタイヤ供給)
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