炎上(えんじょう)とは、炎が高く上がることである。手を付けられなくなるぐらいの火災。またはどえらいことになった時の比喩表現にも使われる。
概要
炎上とは、ニコニコ大百科の先輩である「大辞泉」さんに頼ると以下のように解説される。
えん‐じょう〔‐ジヤウ〕【炎上】
[名](スル)
1 《古くは「えんしょう」》火が燃え上がること。特に、大きな建造物が火事で焼けること。「タンカーが―する」
2 (比喩的に)野球で、投手が打たれて大量に点を取られること。「救援投手―5失点」
3 (比喩的に)インターネット上のブログなどでの失言に対し、非難や中傷の投稿が多数届くこと。また、非難が集中してそのサイトが閉鎖に追い込まれること。
元々の意味は炎が上がると言う1の意味であり、2と3は比喩表現になる。
同じく比喩的な表現として、なんらかの開発計画がトラブル等によって大幅に遅延・停滞することを炎上と表現する用法もある。(「新型エンジンの開発が資金難で大炎上」など)
また野球用語としての炎上については→投手炎上スッドレ、野球板用語集などの項を参照のこと。
炎上について
人間はいろいろなことに火を使うので度々、身の回りで炎上が起きる。
地球上のあらゆる種に共通する本能的な恐怖がある。火だ。備わった恐怖のリストに火がないことは、人間だけの際立った特徴である。人間は火を怖れないどころか、むしろ子どもたちは興味を持つ。どこの親も子供がマッチをいたずらするのに頭を悩ませる。進化の途上で異例の出来事が起こり、火に対する恐怖を跡形もなく消してしまったに違いない。
生物とは原初より本能的に炎を恐れるものであるはずだが、虫などは自分から炎の中に飛び込んでいく場合もある。
人間は炎を恐れる反面、虫のように自分から炎に近づく者もいる。「火事と喧嘩は江戸の華」と言われたように、火災と聞くやどこからともなく大量の野次馬が集まり、燃え盛る建築物に魅入る者も多い。
ニコニコ動画における「炎上」の動画タグは炎の炎上とインターネット上の炎上と野球用語としての炎上がすべて使われている。またブログの炎上についてはより限定的な「ブログ炎上」なるタグも用いられる。ニコニコ動画では大規模火災のニュース映像やホームビデオ映像の動画が投稿されている。
インターネット上における炎上
インターネット上において炎上と言えば、書き込み欄などが非難や攻撃的な書き込みが相次ぎ手が付けられ無くなった様子を比喩的に使われる。
本来の炎上の意味から『消火・鎮静ができないぐらい勢いが強くなっている』という意味も若干含まれている。
多くの場合は誰かが問題のある行動を起こし、それに反応した沢山の人間が一度に批判の書き込みなどを行う構図になっている。また筋の通った批判は少なく、感情の赴くままに言いがかり・難癖をつけている書き込みが大半であるのもインターネット上の炎上における特徴の一つである。
また、語尾が「~らしい」「~そうだ」「~のようである」などの言い回しの情報であるにもかかわらず、そのような情報をネット上で見ただけで鵜呑みにし、事の真相が不確かなまま炎上がひとり歩きするケースも多く見られる。これは、人間は「事実」や「真実」を信じるのではなく、「自分が信じたいことを信じる」という心理的な作用が働いていることにも一因があるものと考えられる。
インターネット上の炎上がなくならない理由は、相手の顔が見えないことや匿名による書き込みと、それが原因で作用する人間の脳の働きの性質によるところが大きく関わっていると言われている。
匿名で発言できる環境下において人間の脳は「共感」や「他者の痛み」といった感情を司る部分の働きが停止してしまう効果がある。その結果、自分の言動を客観的に見ることが出来なくなり、感情の赴くままに他者を攻撃する自分の行動が「正しい」と確信してしまうのである。インターネット上においては、自分自身が誰の目にも晒されていないことがほとんどであるから、尚更その傾向が強い。匿名掲示板のみならず、実名登録制のFacebookでも同様のことが稀に起きていることから、匿名性よりも閉鎖性(物理的に誰の目にも触れられていない環境であること)の方が、発言の暴力性に強く影響を与えているのかもしれない。
もう一つ考えられる理由は、擬似的復讐である。人は、復讐したときに大きな快楽を感じる。例えば人が死亡事故や事件や事故で加害者がネット上で非常に厳しく責められるのは、社会制裁を与えるだけでなく、ネットユーザーが被害者に感情移入し被害者に成り代わって復讐することで、自分が精神的な快楽を得たいだけなのかもしれない。
さらには掲示板やツイッター、SNSなど他のユーザーの発言が容易に見えることや、ニュース記事にコメントを自由につけられるようになってからはさらに炎上に拍車がかかっている。「みんなも言いたいことを書いているんだから、オレも言いたいことを書いていいだろう」、という集団心理(=いわゆる「赤信号、みんなで渡れば怖くない」状態)が非常に働きやすいためである。そして「炎上」という自然現象の言葉を使う事によって炎上しているのはリアルの火事のように止められない。仕方の無い事である。と思われるがネットの書き込みは全て責任能力があり知能を持った人間が書き込んだものである。決して制御できないものではないし、そこには必ず意志が存在している。一人一人が理性を持てばネットでの炎上という現象は起こりえない。炎上という言葉には自然現象に例えての責任逃れの意味を含んでいる。
最後に考えられる理由は、ただの「八つ当たり」である。過重なストレスを抱えたり、日常で腹の立つことがあって不機嫌、不愉快な状態だと普段よりも我慢の限界が低くなる、といった経験は誰にでもあるだろう。そのような心理状態のときに、ネット上で些細な情報を見ると、普段利くはずの心のブレーキが利かなくなるという訳である。前述のネット特有の心理作用や、集団心理が絡むと尚更である。
いずれにしても、他者を非難し攻撃する行動の根底にあるのは正義感ではなくただの承認欲求、いわば自分だけの正義に酔いしれているだけのかまってちゃんであることが多いのである。さらに自分自身を客観視出来ない状態に陥っていることが多いので、ひとたび炎上すると、それを静めることは困難を伴うことが多い。
自分がこうした炎上に絡んだり、巻き込まれたりしないためには一にも二にも「スルースキル」を高めることが不可欠である。自分が批判の対象となった場合はもちろんのこと、世の中のありとあらゆる犯罪や不祥事、スキャンダル、またはインターネット上での挑発的な書き込みなどに対して自分がイラッと来てしまった場合も「自分は自分、他人は他人」「こんなことに関わっても自分自身の大切な時間を無駄に失うだけだ」などと心を落ち着かせ、自分自身がさらなる燃料投下をしてしまうことのないようにするのが望ましい。
それでも怒りが収まらないのであれば…次の言葉を頭に入れておいて、思い出そう。つまりは、こういうことである。
おまえの快・不快を善悪にすり替えんなよ!
インターネット上の炎上の流れ
インターネット上の炎上の流れを大雑把な例を上げると以下のようになる
- 誰かが問題のある行動(火種)を起こす。
- 2ちゃんねる・Twitter等のサイトで話題になり小規模な祭りに、問題のある行動をした利用者の利用者しているウェブサイトに訪問をはじめる。
- ニュースサイト(J-CASTニュースなど)が取り上げることでソースを必要とする掲示板にも展開、業火と化す
- 大手ニュースサイト(Yahooニュースなど)が取り上げるに至って野次馬が大量流入、ピークを迎える
- さらに一般メディア(テレビ、新聞、ラジオなど)が取り上げ、ネット叩き
というのが現在の一般的な炎上の流れとなっている。
一方、そもそも炎上していないところをメディアが「炎上」として報道することで騒動を起こす例もある。これは「メディアによる放火」などと呼ばれ批判されている。
ニコニコ動画およびニコニコ大百科では
不祥事や失言が発生して話題になると、野次馬やらVIPPERやらが動画に殺到して祭りを起こす場合もある。この場合は「動画がコメで炎上している」と表現できるだろう。荒れすぎると運営により【タグ編集はできません】処理が施されることもある。有名人が不祥事を起こした際は多数の野次馬(ネットイナゴ)の飛来が予想され、一度火が付くと廃墟と化すまで事態は収束しない。元からいたファンにはある程度の諦めも求められる。ニコニコ動画に関する話題の集積地である2ちゃんねるyoutube板では、一部の炎上物件の話題で本スレの機能自体が停止することを避けるために、あらかじめ議論隔離スレやアンチスレによる住み分けが行われているジャンルも散見される。
また、ニコニコ大百科においても、炎上物件の掲示板は短期間で爆伸びする傾向がある。植田佳奈、変態スネーク、ゼブラ、鷲崎健、のび太の東方紅魔郷など「動画の荒れ」に呼応したものが多く、当事者のブログなどよりも動画からの距離が近くハードルが低いことから、大百科の記事に非難が集中する。記事に掲示版を付随させたニコニコ大百科ならではの炎上のかたちと言えるだろう。起こっている現象自体は基本的にブログ炎上と変わらないが、大百科の場合は当事者不在の欠席裁判とならざるを得ず、結局のところは単なる不毛なループに陥りがちである。
関連動画
関連項目
- 祭り
- 炎上商法(炎上マーケティング)
- 炎上動画
- 炎上(松岡修造)
- ネットイナゴ
- ネット言論
- 防火ロイド
- ピックル
- ~からきました
- 悪事千里を走る
- ニコニコ動画で話題になった事件・騒動の一覧
- 炎
- 燃やし手
- メディアによる放火
- SNS
- バカッター
- バイトテロ
- デマ / デマ拡散 / 拡散希望
- 情報操作(印象操作)
- 冤罪
- 圧力団体
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