花園教会水族館(はなぞのきょうかいすいぞくかん)とは、京都にある花園キリスト教会が運営している日本で(たぶん)唯一の教会の中にある私設水族館である。略称は、花水(はなすい)。
概要
京都市右京区太秦安井の住宅街に建つ花園キリスト教会の中に2014年開設された。館長は同教会の篠澤俊一郎牧師。教会の建物にあったガレージを利用している施設の為、非常に小さな水族館だが、環境省と農林水産省に認定を受けた正真正銘の水族館である。最寄り駅は花園駅(JR西日本)。
入館料は無料。運営は篠澤牧師と数人のボランティアで行われており、寄付やクラウドファンディングに支えられている。教会の子ども会集会所が隣接しており、子供達が生き物をガイドしてくれるなど運営に参加していて水族館としての教育の役割が強い。遊びに来る子供達の声でいつも賑やかである。
展示生物のほぼすべてが外来種であることが特徴。180種を超える種類の生体、はく製が存在する。魚類は淡水魚専門であり、爬虫類・両生類も多く展示されている。大型水槽に大きな魚たちがたくさん混泳しており有料でエサやり体験もできる。
6割以上の生き物が引き取り個体であることも独特である。元飼い主の被災や高齢化を理由に飼うことができなくなったペットや、捨てられた生き物達が引き取られ飼育されている。生物をなんでも受け入れているのではなく、元飼い主の方に飼えなくなった理由をしっかり聞き、理解できるものに限って引き取っている。いろいろなバックグラウンドを持つ生き物達を通じて命の大切さを伝えている。
館内の展示やガイドのアイデアは篠澤牧師が各地の水族館など展示施設で学んだものからヒントを得て作られている。ボランティアや子供達、常連の来館者による手作りの展示もたくさん採用されている。良いものはどんどん吸収して反映していくスタンスで来館するたびに新しい変化があり何度も足を運びたくなる。いきものクイズシートやどうぶつ図鑑シートが用意されており、水族館で学んだことをまとめるとポイントに応じて子供達におもちゃやお菓子などの景品がプレゼントされる。景品の多くも物品寄付に支えられている。
基本的に生き物に固有の名前はついておらず、子供達や来館者が自由に名前を呼んでいる。オキシドラスはしばしば吸引力の変わらないダイソンと呼ばれる。唯一、肺魚プロトプテルスアネクテンスのみ、ジュニーという名前がついている。
水族館のにんきもの
アルダブラゾウガメ
非常に頭が良く人懐っこい大きなカメさん。水族館通路のど真ん中を普通に歩いており、人をみつけると足元に寄ってきてくれ愛らしい。甲羅をさわれるのみならず、頭や首元などもさわらせてもらえ触れ合いがとても楽しい。躾がしっかりされており、エサと人の指との違いを認識している。好物はチンゲンサイ。
フトアゴヒゲトカゲ
とても人慣れしているトカゲさん。腕や手の平に乗せるなど触れ合いができる。ヒトとの信頼関係が構築されており、おとなしく何をされても動じず来館者を受け入れてくれる。水族館に寄付されたミニサイズの帽子をかぶって度々ファッションショーが開催される。
カミツキガメ
特定外来生物に指定されているカメさん。故に生きた個体を見る機会が少ない為、とても貴重な体験ができる。強靭なジャンプ力を持ち、脱走の危険があるため水槽には南京錠などで対策されている。チューブを噛みつかせて来館者と引っ張り合い力比べをする体験ができる(2020年2月現在カミツキガメさん負傷の為お休み中)。
デンキナマズ
(自称)日本一大きい電気ナマズさん。全長約70cm、テレビ番組でさかなクンもその大きさに驚いた。篠澤牧師が試しに電撃を受けたところ一瞬腕が上がらなくなった(※良い子は真似しないでね)。
プロトプテルスアネクテンス
生きた化石と言われるハイギョさん。名前はジュニーちゃん。水族館で唯一名付けがされている。よくみると優しい顔をしていてカワイイ。肺魚の為、たまに水面近くへ呼吸をしに泳ぐ姿が観察できる。天敵はハシビロコウさん。
メキシコサラマンダー
80年代に日本中で大ブームとなったサンショウウオさん。ウーパールーパーの流通名で有名。現在も続く各種ペットブームの流通、処分問題の犠牲者でもある。篠澤牧師が初めて引き取りを行った動物でもあり、命の大切さを伝える水族館にとって原点とも言える生き物である。
アレクサ(ブラックバス型ガイドロボット)
大学院生が作成したブラックバスさん(ロボット)。特定外来生物に指定された生き物との付き合い方について問いかけをしてくれる。流ちょうな日本語を操るが早口言葉は苦手。
パールちゃん(マスコットキャラクター)
ボランティアの当時中学生の女の子が描いたピンク色のナマズさん。水族館の公式キャラクターである。国際連合の生物多様性キャラクター応援団の一員。故郷である琵琶湖についてお話する事が得意。館内ではエサやり等の来館者案内で活躍している。好物はプリンとイチゴ。Twitterもやっている。
しのざわおにいさん(本名:篠澤俊一郎)
格闘技をやっていた通称たたかう牧師さん。カミツキガメさんに何度も指を噛まれたがそれに怒ることもせず大切に飼育を続ける優しく強い水族館館長である。各地、震災の復興支援や高齢者・子供支援など牧師としての活動は多岐にわたる。アニメけものフレンズを新世紀エヴァンゲリオン以来の衝撃と評価するなど大のアニメ好きでもある。歴代のサクラ大戦ファン。ゲーム会社に勤めていた過去も持つ。
エピソード
私設水族館のはじまり
東日本大震災の復興支援活動で家を空けることが多かった篠澤牧師。わずかな時間を使って家族とザリガニ釣りに出かけた際、娘さんが「ザリガニを飼いたい」と言ったことをきっかけに生き物を飼育することに真剣に向き合い始める。趣味として教会内に設置していた水槽の魚をみた地域の子供達が「生きた魚を見たことがない」と言ったことから、子供達にもっと生き物をみせてあげたいと思うようになる。
たくさんの困難を乗り越え、教会内の生き物展示が話題になり始めた頃、あるお爺さんからカミツキガメの引き取りを依頼される。特定外来生物に指定されていることでその譲渡や運搬が禁止されているカミツキガメをなんとか引き取り飼育する為、環境省と協議。水族館となることでカミツキガメの引き取りができることがわかる。あいまいな水族館の定義とのたたかいの末、環境省と農林水産省から正式に水族館と認定される。国内では(たぶん)唯一の教会の中にある私設水族館が開設された。
ニコニコ動画では
どうぶつ図鑑
ニコニコ生放送で放送されていた『「けものフレンズ」presentsどうぶつ図鑑』の第52回ゲストとして登場。国立環境研究所の坂本洋典先生(通称:さかもとせんせい)からお友達紹介され池袋P'PARCOニコニコ本社ニコぶくろスタジオに、しのざわおにいさん(篠澤牧師)が駆けつけた。
花園教会水族館と展示生物達について紹介。水族館のたくさんの魚の中から番組出演者の築田行子さん、田村響華さん、じゅん☆じゅんさんが気になったものについて解説した。番組内で毎回作成している番組オリジナルどうぶつ図鑑では、築田行子さんが淡水魚としてキングコングパロット、オレンジフィンアーマードプレコ、ピラルクについて学んだ事をまとめた。
番組の動物を学ぶシステムに影響されて、水族館にオリジナルどうぶつ図鑑を作るテンプレートを置くようになる。
ユーザー生放送
ニコニコ公式生放送「今月のいきもの」の定点放送に影響を受け、水族館のいきもの定点放送コミュニティを開設している。
水族館の生き物達をwebカメラで配信、紹介しながら、ニコニコ新市場のネタお題でお絵かきなどを駆使して視聴者参加型の放送をしている。水槽の中にカメラを入れてみるなど、他の水族館では少し難しい試みをしている点などは私設水族館ならではである。
教会と水族館業務の合間を縫って活動している為、放送の頻度は不定期。
コラボレーション
侵略! 外来いきもの図鑑
書籍、ウラケン・ボルボックス(著)、五箇公一(監修)「侵略! 外来いきもの図鑑 もてあそばれた者たちの逆襲」と水族館が外来種の生き物つながりでコラボしている。
館内では書籍ページを引用して外来種の生き物たちを楽しく学べる展示が行われている。水族館限定のリーフレットには外来生物達をマーベルヒーローアベンジャーズに見立てた描き下ろしのイラストが使用される。
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けものフレンズ
2020年2月1日~3月29日の期間、メディアミックス作品「けものフレンズ」と水族館がコラボしている。
館内には外来生物代表として、アカミミガメ(けものフレンズ)とメキシコサラマンダー(けものフレンズ)の公式イラストを使用した動物解説パネルが展示される。コラボオリジナルデザインのどうぶつ図鑑シートも無料配布され、フレンズ達がオリジナルどうぶつ図鑑を作成できる。
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聖書どうぶつ図鑑
Twitter公式アカウントにて毎日一つの動物についてフォーカスしたツイートを行っている。
聖書・古代エジプトに関する動物について解説しており、インターネットだけでは知りえない知識もたくさん紹介されている。篠澤牧師とその子供達が描く動物の図鑑イラストも可愛い。
フォロワーからの解説してほしい動物についての調査依頼も常時受け付けている。
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寄付について
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クラウドファンディング
水族館ではクラウドファンディング型の寄付を募っている。
水槽と水の重さによる床抜けの恐れが発生し水族館が存続の危機にさらされたことがあった。現在のガレージ内への水族館リフォーム工事の費用についてクラウドファンディングで閉館の危機を乗り越えた。
2020年2月現在、水族館の光熱費対策として太陽光パネル設置のクラウドファンディングを行っている。太陽光パネル設置工事は既に完了したが寄付は継続中。
寄付を行うと金額に応じて支援者には様々なリターンが用意されている。リターン品には、オリジナルイラストの缶バッジ・マグネットやピラルクの鱗を利用したキーホルダーなど水族館手作りのものから、フィリピンなど海外支援にもつながる現地のお土産が用意されている。
物品寄付
Amazonの花園教会水族館ほしいものリストを通して物品の寄付ができる。
水槽の備品・消耗品や生き物のエサなどを寄付することができ、遠方に住んでいる支援者も水族館運営の力になれる。
支援者には後日、Twitterにてお礼のツイートが贈られる。
開館案内
開館の案内について記載する。
開館時間
料金
関連リンク
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