[序章]
君は、アドル・クリスティンという名前を知っているだろうか?
アドル・クリスティン――今をさかのぼること千と数百年の昔、
エレシア大陸の西端、エウロペ地方の北東に位置する、名も知れぬ
小さな山村に生まれ、16才の時より、63才にしてこの世を去るまで、
エウロペを中心とした海外諸地域を旅してまわった勇猛果敢なる冒
険家である。
貧しい農夫の子として生まれた彼は、自他ともに認める快活で何
にでも興味を示す好奇心旺盛な若者であったという。
特に彼は、外の世界についてよく知りたがり、ある日彼の村に立
ちよった旅人との出会いがきっかけで、自らも冒険の旅に出ること
となる。
その彼の行動範囲は、主となる交通手段が歩きと船だけだった当
時の世界では、驚くべきものがあった。
南方はアフロカ大陸の中央部、東方はオリエッタ地方のティグレ
ス川にまで及び、晩年は北の極点を目指した――しかし、これは失
敗に終わったらしい――と言われている。
これを見る限りでは、彼の異郷の地に対する冒険心、探究心、そ
して憧れは相当なものだったことがうかがわれ、彼はその行く先々
で起こった出来事を、冒険日誌なるものに記し、それを後世に残し
ていった。
代表的なものとして――
『アルタゴの五大竜』
『セルセタの樹海』
『砂の都ケフィン』
――などが挙げられる。
百余冊にも及ぶそれらは、現在彼の生家の地下庫に保存され、西
世界を嵐の如く駆けめぐった彼とは対照的に、静かに眠っている。
私たちは、これらの本を読むことによって、彼がどのような冒険を
くりひろげてきたのかを知ることが出来るのである。これから書かれる物語は、その記念すべき第一作目『失われし古
代王国』の出だし部分を翻訳、小説化したものである。
冒険地は、今や大海の底に眠るとうたわれる国エステリア。
物語は、彼がその国へ赴くいきさつをおり込みながら進んでゆく。
光と闇が、いまだ混迷を極めていた時代。彼がその肌で体験した
ことを、彼自身になったつもりで読んでいただきたい。
アドル・クリスティンとは、ギャルゲー主人公も真っ青の一級フラグ建築士 その生涯に百あまりの冒険を達成したという稀代の冒険家である。
主な担当声優はドラマCD、OVA、「イースvs.空の軌跡」では草尾毅氏。
「セルセタの樹海」以降は梶裕貴氏。
なお、TVアニメ「みんな集まれ!ファルコム学園」では両氏による共演がなされている。
ちなみに、アドル・クリスティンを命名したのは当時日本ファルコムに在籍していた五十嵐哲也氏。
上記のプロローグノベルも彼が書いたものである。
アドルという名前自体の由来は、五十嵐氏の過去ツイートに「当時の漫画のなんとかアレクシスから」と書かれていることから、少女漫画「シャンペン・シャワー」の主人公である「アドリアン・アレクシス」(作中での愛称が「アドル」)からとられていると思われる。
日本ファルコムより発売される人気ARPG「Ys(イース)」シリーズの主人公。
(彼が誕生する数百年前を描く「イース・オリジン」は例外)
海のない、山と緑に囲まれた辺境の寒村に生まれる。物心付く前に母は亡くなっており父の手で育てられる。村に時折やって来る行商人や、父(アドルが生まれる前は紀行家をしていた)に外の世界の話を聞くうち、「外の世界を自分の目で見てみたい」という強い憧れを抱くようになる。そして16歳の時故郷を旅立つ。
旅立ちから約1年後、17歳の時「呪われた国エステリア」の噂話を旅先で聞く。「エステリアに行って生きて帰った者はいない」と警告されながらも、抑えきれぬ好奇心からエステリアへの渡航を試みるが、その途中小舟は難破。エステリアには漂着するという形で何とかたどり着き、奇跡的に生き延びる。そしてエステリアに伝わる「魔法王国イース」の伝説に関わっていく。これが「YsⅠ」の物語の幕開けであり、アドルの一番最初の冒険となる。
旅先では常に自分の生命、果ては世界の存続に関わるような陰謀に何度も関わっていく(巻き込まれたり、自分で首を突っ込んだり様々)が、その全てを因縁や使命感ではなく、冒険者としての情熱と好奇心と良心を持って、事態を解決に導いている。そして事態が収束すると、また新たな冒険に旅立っていく。
イース1当時の設定によると63歳で死去している。
説明書のプロローグノベルでは「63歳でこの世を去った」という記述と「晩年は北の極点を目指したがこれは失敗に終わったといわれている」という記述が両方存在し、かつ離れて記載されているため、実は63歳で極点を目指した、というわけではなかった可能性がある。
実際、当時の公式本である「イース大全書」では、「生家で、家族に見守られながら息を引き取った」ことが明記されている。
なお、イース1のリメイク作である1998年発売の「イースエターナル」のプロローグノベルでは、アドルは50代に入って故郷に帰り、冒険日誌を書き始めたことになっている。これも、原作当初の設定と競合しない内容であることに注意が必要である。
2023年現在は、もっぱら北極点を目指して行方不明になった※事にされている。
※晩年(60過ぎと言われている)、百あまりの冒険を成し遂げた後、故郷に戻り、家族(配偶者については明らかにされていない)とともに暮らしながら自身が経験した多くの冒険を手記の形で残す(この手記の一部をゲームとして追体験しているという設定)。全ての冒険を記した後再び旅立ち、北極点を目指したが行方不明となる。(死亡説もあり)
長いシリーズ展開の中で設定も若干変遷しているが、どのパターンでも物語的には美味しく、その最期までも実に魅力的なキャラクターであると言えるだろう。
燃えるような赤い髪をしており、初期こそ無名だったものの、シリーズが進むにつれて多くの冒険を成し遂げていき、「赤毛のアドル」として知られていくようになる。また各作品を担当する絵師により風貌は若干異なるが、基本的に甘いマスクをしたイケメンである。シリーズ初期はまだ幼さを残した童顔だったが、時系列的に後の方にあたる作品である「イース7」では精悍な顔立ちが描かれる。
好きなものは冒険。そして漂流とピッカード。行き倒れて美少女に介抱してもらうことを好む。
ゲーム中は基本的に台詞を喋る機会はほとんどない(ただし作品によっては一部、もしくは全体にわたってセリフがあることも)が、性格は温厚、困った人を見捨ててはおけない底なしのお人好しである。その一方強い情熱と意志を持っており、ちょっとやそっと死にかけたぐらいではこりない冒険バカ。冒険バカについては本人も自覚があるようで、イース7予約特典のドラマCDでは自ら病気とまで評していた。
その夢見る瞳と優しさにハートを打ち抜かれた女性は数知れず、一級フラグ建築士という副業一面もある。また、とあるシリーズ作ではモブキャラにまでプレゼントが出来るため、登場する女性全てに粉をかけるナンパ師とすることもできる。だがしかし、どんな美少女でも彼の好奇心を抑える事は不可能なようで、稀代のフラグクラッシャーでもある。
剣の腕はかなり知られているらしく、「赤毛のアドル」としての名が知られると同時に評判も上がっていく。しかし初期シリーズ作は体当たりで戦っていた。 「イースⅥ」「イース7」では三種の剣(片手剣、レイピア、両手剣)を使い分けている。「イースⅨ」の時点であらゆる流派とも違うがその神髄に通ずる程の我流剣術を披露している。じゃじゃ馬とも評される程の扱いが難しい剣である程実力が発揮されるようである。他にもそれぞれの舞台で様々な魔法のアイテムや特殊能力を授かり、それを駆使して戦い抜く(それらは次作では持っていないため返却していると思われる)。他に軽装の鎧、盾、作品によってはマフラーをしている事もある。『セルセタの樹海』以降、鎧や盾を身に付けない軽装での冒険を行っている(その場合お馴染みのシルバーアーマーはDLCとして付属する事が殆どである)。
冒険で見つけた名剣の数々は次の冒険の時には失われており、その地域由来の宝剣ならば大半は返しているが、自分の為に作られた剣は持ち歩いた後に様々な理由で失っている。例を挙げるならば「Ⅴ」の錬金剣イシオスブレードはゲーテ海を渡った際に古代種に襲われ戦闘となり、そのまま漂流して失ってしまい、「Ⅶ」の竜剣カリオシリオンはイスパニの道中で出会った女の子を救う為に止むを得なく投げ槍として使用し、刺さったまま魔物が去ってしまった。これは本人もかなり気にしており、自身が呪われているのではないかと思い始めている。しかし代わりにショートソードを用意すると、これは次の冒険が始まる予兆ではないかとワクワクするようだ。
そんな「大切な人を救う為なら自分が大事にしていた愛剣を失うのも厭わない」性格だからこそ、アドルの元には名剣が次々と集まるとも評される。彼の人徳こそ一番の武器なのかもしれない。
ちなみに、アルファベット表記でのつづりは当初は“Adoru ”だったが、現在は“Adol”に変更されている。このため、Adoru表記の頃からあるアドルのテーマについては、“Theme of Adoru 1993”と“Theme of Adol 2001”といった形で、2種類の曲名になってしまっている。
冒険家を名乗ってはいるが、作品によっては剣士や勇者と呼ばれる機会も多い。
「イース セルセタの樹海」にて明らかになった手帳を見る限りだとかなりのメモ魔であり、また、絵心もあるようである。また、"冒険家"という称号は、セルセタの始原の地に居を構える有翼人エルディールから名付けられたものだとも判明した。
冒険家としての世間の評判とは裏腹に、「Ⅷ」の次点でエウロペ大陸を広く進軍するロムン帝国に目を付けられており、「Ⅵ」のカナン諸島に向けたロムン艦隊消失事件を切っ掛けに指名手配され、「Ⅸ」で実際に捕らえられ尋問を受けた事もある。
1.失われし古代王国 序章 | PC-88版 |
PCE版 |
PSP版 |
2.失われし古代王国 最終章 | PC-88版 |
PC-88版 |
|
3.フェルガナ冒険記 | PC-88版 |
GENESIS版 |
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4.セルセタの樹海 | SFC版 |
PCE版 |
|
5.砂の都ケフィン | SFC版 |
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6.翼の民を求めて | Win版 |
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7.アルタゴの五大竜 | |||
8.ゲーテ海案内記 | |||
9.バルドゥークの檻 | |||
10.北人の失楽園 |
作品によっては漂流ではないが、気絶して行き倒れることは多数ある。
イース | |
イースII | |
ワンダラーズフロムイース | |
イース フェルガナの誓い | |
イースIV MASK OF THE SUN | |
イースIV The Dawn of Ys | |
イース セルセタの樹海 | |
イースV 失われた砂の都ケフィン | |
イースVI ナピシュテムの匣 | |
イースSEVEN | |
イースVIII LACRIMOSA OF DANA |
先述の通り、アドルは病的なまでの冒険馬鹿であると同時に一級フラグ建築士でもある。しかし、実はシリーズを通してメインヒロインとなる女性キャラの名前は全て、最後の発音が“a”という共通点がある。
具体的には以下の通り。
このような法則があることから、『イースvs空の軌跡』ではティータやクローゼ(本名がクローディア)が攻略されるのではないかとも言われたが、幸いにして杞憂に終わった。
エステルに関しては最初から攻略対象外と見なされていたのは言うまでもない。
掲示板
197 ななしのよっしん
2024/06/03(月) 02:25:11 ID: IHX0VBU9r2
年平均三回(以上かも)ゲームで描かれているレベルの冒険してるのか
198 ななしのよっしん
2024/09/01(日) 06:09:12 ID: BmMvCchpnE
あまりにも高頻度で世界存亡の危機に関わったり、神々と接触したりしてるせいで
(作品世界での)史実は単なる大ぼら吹きで、イースシリーズはアドルの自伝を元に脚色された
フィクションじゃないかって気がしてきた
ゲーム中でも冒険譚語っても信じてもらえないレベルになってきてるけど
199 ななしのよっしん
2024/12/16(月) 01:29:22 ID: osnu0mw4D6
>>198
そもそも交通網もろくに発達してない時代に冒険家の肩書き持ってあちこち行ってるのが変人扱いされるに充分だしな
まだギリギリ神秘が残っているから信じてくれる人も作中は多いけど、数百年後の扱いはマジでどうなっているのか
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/27(金) 07:00
最終更新:2024/12/27(金) 07:00
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