ジェダイ・アカデミー三部作

ジェダイ・アカデミー三部作（The Jedi Academy Trilogy）とは、『スター・ウォーズ』サーガの小説シリーズである。ジェダイ・アカデミー・シリーズとも。

「レジェンズ」作品群に属する。全3作。著者はケヴィン・アンダースン。

なお、当記事における人名・役職名など固有名詞の日本語表記は、原則的に本書邦訳に基づく。

概要

いよいよジェダイ騎士団の再建に乗り出すルーク・スカイウォーカーの試行錯誤、執念深く予想のつかない帝国軍の女提督ダーラの脅威、そして霊体となって生き延びてきた古代のシスの暗黒卿エグザ・キューンとの戦いを描いた三部作。雄敵ダーラ提督、およびキップ・デュロン、ストリーンなどの新ジェダイ・オーダーの主要人物の初登場作品である。

同時期に進行していた、数千年前のジェダイとシスの戦いを描くコミック「Tales of the Jedi」シリーズと連携し、同じアンダースンの脚本により過去のエグザ・キューンが同シリーズにも主要人物として登場することとなった。その他にも、作品間のリンクに熱心なアンダースンらしく、ウエスト・エンドのゲーム関係やダークホースのコミック関係から持ち込まれた設定が散りばめられている。

ストーリー

遠い昔、はるか彼方の銀河系で……

新共和国に、ジェダイを蘇らせる日が来た。ルーク・スカイウォーカーは銀河を回り、有望なフォース感知能力者を探す。同じ頃、ハン・ソロは外交交渉に訪れた鉱山惑星ケッセルで古い因縁のある独裁者モルース・ドゥールに囚われてしまう。彼はスパイス鉱山で働かされるが、出会った少年キップ・デュロンと協力して脱出し、すぐ近くのモー・ブラックホール星団へと逃げ込む。

危険を冒しブラックホールの合間を抜けた先で彼らが見たものは、スター・デストロイヤーの艦隊だった。星団の中央には外界と遮断された帝国の秘密超兵器研究所が隠され、帝国軍の女性提督ダーラが艦隊を率い護衛していたのだ。侵入者を捕らえたダーラは帝国の崩壊を知り、再興の戦いに出ることを決断。だがハンたちは機先を制して恒星を滅ぼす超兵器サン・クラッシャーを盗み出し、新共和国へと逃れる。

ルークは衛星ヤヴィン4をジェダイ・アカデミーの地とし、いよいよ12人のジェダイ訓練生の育成に着手する。順調に訓練が進むかに見えたのもつかの間、謎の黒い影が現れて彼らを惑わしはじめ、立ち向かったひとりの訓練生が死骸で見つかる事態となった。それを傍目に、調査を終えたサン・クラッシャーのガス惑星ヤヴィンへの処分に帯同したキップが、新たな訓練生としてアカデミーに加わることとなる……。

【以下、後半はネタバレ回避のため格納】

熱心に鍛錬に励むキップの前に現れる黒い影。その正体は、古代のシス卿エグザ・キューンの霊だった。彼はエグザ・キューンが提示する暗黒面の強大な力に魅了され、帝国への復讐を遂げようとする。暗黒面の恐ろしさを経験で知るルークはキップと対峙するが、彼の力の前に敗北を喫し、精神を肉体から引き剥がされてしまった。キップはフォースでサン・クラッシャーを引き上げ、アカデミーを去った。

いっぽうモーを出たダーラは手始めに新共和国の輸送船と植民地を皆殺しにし、造船惑星カラマリに全面攻撃を仕掛ける。惑星は大きな打撃を受けたが、帝国に忠誠を誓う惑星カリダの策謀で偶然にも故郷に隠棲していたアクバー提督がダーラの策を見破った。撤退を余儀なくされたダーラはなお決死の反撃を企むが、そこに現れたキップのサン・クラッシャーに艦隊を焼き滅ぼされる。

次いでキップは兄を探しにカリダに赴くが、帝国当局の卑劣な態度に激昂して恒星に破壊弾を撃ち込んだために兄を死なせてしまい、自らの行為に打ちひしがれる。ヤヴィン4では、師を失い混乱する訓練生たちが、ハンとレイアのあいだの双子ジェイナとジェイセンを通してルークの霊体に導かれ、一丸となってシス卿に立ち向かっていた。結集した彼らの力の前にエグザ・キューンは倒され、ルークの精神は無事に肉体へと戻った。キップをなお突き動かす暗黒面の力も消え、彼は後を追ってきたハンに降伏する。

ルークの裁定で、キップはサン・クラッシャーをモー星団のブラックホールに沈めることになった。そのモー星団では研究所の接収に来た新共和国艦隊と生き延びたダーラの旗艦が死にものぐるいの戦いを繰り広げ、ダーラの旗艦は研究所の動力炉に突っ込んで消える。研究所の科学者たちはプロトタイプ・デス・スターで逃れていたが、戻ってきた超兵器に固執して後を追い、ともにブラックホールへと落ちていった。

ダーラは爆発寸前の無謀なジャンプで生き延び、なおも復仇に闘志を燃やす。同じくキップも死んだかと思われたが、サン・クラッシャーの小さなメッセージ・シリンダーに身体を押し込んで脱出に成功する。キップも訓練生たちも巨大な試練を乗り越え、立派なジェダイとなった。これからはジェダイ・アカデミーのもと、フォースの正しい使い手は増えていき、光の勢力は闇を圧して広がり続けるだろう。

シリーズ

原著は長篇小説全3作（ペーパーバック）でいずれも1994年刊行。邦訳にあたっては全作が文庫版上下巻構成で1995年から翌年にかけ竹書房より出版された。日本語訳はすべて石田亨による。邦訳本表紙イラストは全巻で原著のジョン・アルヴィンによる表紙イラストをもとに内道宗広が作画しており、黄緑色の背表紙が目印。

※英字表記は原著、日本語表記は邦訳を示す。邦訳書籍の「ジェダイ・アカデミー・シリーズ」表記および巻数表記は表紙カバーにのみ配されている。

1. Star Wars: Jedi Search / スター・ウォーズ ジェダイの末裔
2. Star Wars: Dark Apprentice / スター・ウォーズ 暗黒卿の復活
3. Star Wars: Champions of the Force / スター・ウォーズ フォースの覇者

ジェダイ・アカデミー

ルークがガス惑星ヤヴィンの第4衛星（ヤヴィン4）にあるマサッシ神殿に設けたジェダイの養成所。

最初のデス・スターを破壊したヤヴィンの戦いの際に反乱同盟軍が基地として使用していた地であり、鬱蒼たる熱帯雨林に囲まれどこか不思議な力の漂う古代の神殿は、ジェダイの修業にふさわしい場所といえた。しかしこの密林衛星は、四千年前の戦いで滅んだシス（マサッシ文明）の故地であり、古代のシスの暗黒卿エグザ・キューンの霊が潜む地だったのである。

つい先だってクローン皇帝に屈し暗黒面への堕落を経験したルークにとって、訓練生が暗黒面に堕ちる危険、そして彼らをジェダイの道に引き戻す困難は、当然想定されるものだった。彼は「ダソミアの魔女」がジェダイの難破船＜チューンソア＞から手に入れたジェダイの秘伝やクローン皇帝が秘蔵したジェダイ・ホロクロンを揃えて備えたが、古代の闇の力はそうした想定をも越えて襲いかかってくるのだった。

モー秘密研究所

かつて帝国の〈大モフ〉ターキンが、惑星ケッセルの近隣、モー・ブラックホール星団の深奥に設置した超兵器研究所。星団外から研究所まで至る経路は無数のブラックホールのため複雑で危険極まりなく、適切な航路を知らなければまず到達不可能である。

帝国の研究所ながら半ばターキンの私設研究所という感があり、デス・スターを始めとする帝国軍の超兵器の数々がここで開発された。ターキンの信頼するダーラ提督が4隻のスター・デストロイヤーを率いて護衛を任されていたが、デス・スターとともにターキンが死んだことで外部との交信が途絶え、以後は完全に孤立した状態でさらなる超兵器の研究・開発が進められていた。

最新の超兵器は、戦闘機程度の大きさながら恒星を超新星爆発させる変調共振弾を搭載し、無敵の装甲を誇るサン・クラッシャー。数年前に新共和国に大打撃を与えたクローン皇帝の超兵器ワールド・デヴァステイターも元々はこの研究所の産物であった。他にも、フレームにスーパーレーザーだけを装備したプロトタイプのデス・スターが周囲を遊弋している。

登場人物

ジェダイ

ルーク・スカイウォーカー　Luke Skywalker

人間・男性。ジェダイの長（マスター）。
ついに新世代のジェダイの育成に着手。銀河中からフォース感知者を探し出し、ヤヴィン4にアカデミーを開いてジェダイの道を教えはじめる。過去の経験から暗黒面を強く警戒するが、アカデミーは強大なエグザ・キューンの魔の手に脅かされ、自身もかつてない危地に陥ることとなる。

キップ・デュロン　Kyp Durron

人間・男性。ケッセルのスパイス鉱山で奴隷労働に従事する少年。兄を帝国に拐われている。
かつてジェダイの老婆ヴィマ・ダ・ボーダにフォースの扱いを手ほどきされた。その力を活かしてハンのケッセル脱出を助け、後にジェダイの訓練生となる。しかし激情的な性格が仇となってエグザ・キューンにより暗黒面へと誘われ、その声に呪縛されていく。

ストリーン　Streen

人間・男性。初老のジェダイ訓練生。
自身のフォースを活かし、ベスピンの浮遊ゴーストタウンでひとりティバナ・ガスを採掘して暮らしていた。ルークに発見され、ジェダイの道を歩み始める。訓練生内の年長者だが変わり者。

マラ・ジェイド　Mara Jade

人間・女性。密輸業者タロン・カルデの腹心。
ルークの命を狙ったこともある旧敵であり、かつては皇帝に仕えてフォースを学んでいた。ルークの誘いで、一時的に訓練生に加わりジェダイの技を学ぶためヤヴィン4を訪れる。

ガントリス　Gantoris

人間・男性。イオール・シャーの植民者出身のジェダイ訓練生。
ルークと出会う前から「闇の使者」の悪夢に悩まされている。訓練の中で暗黒面の力に惑わされ、怒りのままに「闇の使者」の正体エグザ・キューンに挑むがフォースに身を焼かれて死ぬ。

この他、「ダソミアの魔女」出身の女戦士キラナ・ティ、過去千年間クローンで世代を重ねてきた種族のドースク81、古代のジェダイ史に興味を持つ女性ティオン、旧共和国時代のジェダイの子孫カム・ソルサー、カラマリの大使でモン・カラマリの女性シルガルといった訓練生が登場する。

新共和国

ハン・ソロ　Han Solo

人間・男性。新共和国の将軍にして＜ミレニアム・ファルコン＞船長。レイアの夫で三児の父。
ケッセルで出会った生意気で将来有望な若者キップを大いに可愛がり、やがては暗黒面に傾斜していく彼を助けようと全力をつくす。今回なにかと＜ファルコン＞を失ったり取り戻したりする。

レイア・オーガナ・ソロ　Leia Organa Solo

人間・女性。新共和国の外務担当大臣。ハンとのあいだに3人の子をもうける。
ハンの行方不明ややんちゃな子供たちといった家庭の出来事の一方、政治家としてもカリダへの対応やモン・モスマの病臥、アクバーの不祥事と隠退といった心配事に悩まされる。

ジェイナ、ジェイセンとアナキン・ソロ　Jaina, Jacen and Anakin Solo

ハンとレイアの子。2歳半の双子の姉弟ジェイナとジェイセン、そして赤ん坊の末弟アナキン。
危険を避け秘密の惑星アノスで育てられるが、双子はコルスカントに戻る。まだ幼いが活発な悪戯っ子の双子は保母役のC-3POやチューバッカを大いに振り回している。ともに強いフォースを持つ。

ランド・カルリシアン　Lando Calrissian

人間・男性。ハンの旧友。宇宙艇＜幸運の女神＞の船長。
相も変わらず自前のビジネスをサバックの賭けで失っている名うてのギャンブラー。ケッセルの鉱山に興味を示すいっぽう、いつもの惚れっぽさでマラに惹かれ、彼女と行動を共にしようとする。

チューバッカ　Chewbacca

ウーキー・男性。ハンの相棒。
ハンのケッセル行きに同行。スパイス鉱山やモー研究所に囚われた際には奴隷として肉体労働に従事させられる。モー研究所で10年以上働かされているウーキーの同胞を見つけ、その前途を憂う。

モン・モスマ　Mon Mothma

人間・女性。新共和国の国家元首。
新共和国の指導者として、共和国の復活を象徴するジェダイの再建を支持し、大いに支援する。しかしカリダのファーガン大使との直接交渉が物別れに終わって以降、急速に体調を崩してしまう。

アクバー提督　Admiral Ackbar

モン・カラマリ・男性。新共和国同盟軍総司令官。
新共和国最高の戦略家。かつて〈大モフ〉ターキンの奴隷だったこともある。乗機が事故を起こして貴重な遺産を破壊する不祥事に見舞われ、失意のうちに辞職して故郷カラマリに隠退する。

ウェッジ・アンティルス　Wedge Antilles

人間・男性。新共和国軍の将軍。旗艦は護衛フリゲート艦＜ヤヴァリス＞。
ヤヴィンやエンドアの戦いで活躍した熟練の戦闘機乗りで、その精神をいまだ失っていない。目下は地上勤務で、戦火で荒廃したコルスカントの都市再建工事の監督にあたっている。

ターフェン　Terpfen

モン・カラマリ・男性。新共和国軍の整備士。
かつて帝国の奴隷だった頃に脳をサイボーグ化され、意思に反してファーガンのスパイに仕立てられている。尊敬するアクバーやレイアを傷つけ、機密情報を敵に流す自身の裏切りに苦悩する。

ウィンター　Winter

人間・女性。オルデラン出身でレイアの側近。
レイアが誰よりも信頼する補佐であり、現在は秘密の惑星アノスでレイアの子供たちの養育にあたっている。記憶力に長け、感情を表に出さないタイプ。

モー秘密研究所

ダーラ提督　Admiral Daala

人間・女性。銀河帝国軍の提督。旗艦はインペリアル・スター・デストロイヤー＜ゴルゴン＞。
〈大モフ〉ターキンに信頼され、モー研究所を護衛していた。長く孤立していた間に帝国が崩壊したことを知り、逆襲の狼煙をあげる。ターキンの薫陶を受けた優れた戦術家であり、その戦いぶりは執拗にして無情、徹底的で情け容赦のない攻撃を仕掛ける。

キウイ・ズークス　Qwi Xux

オムワット人・女性。モー秘密研究所の若く純朴な天才科学者。
幼い頃から選抜隔離されて育てられた世間知らずの異才で、自らの開発した超兵器を平和目的の発明と強く思い込んでいた。ハンの尋問をきっかけに真実を知り、大きな衝撃を受ける。

トール・シヴロン　Tol Sivron

トワイレック人・男性。モー秘密研究所の所長。
事務の手腕には優れるがきわめて官僚的な管理職。帝国の前途より研究所の維持を優先し、自身の管理する研究所から視野が一歩も出ない横柄で近視眼的な態度でダーラをしばしば苛立たせる。

その他

モルース・ドゥール　Moruth Doole

ライベット人・男性。スパイス鉱山を持つ刑務所惑星ケッセルの独裁者。
自己の権力を守るために密輸業者や傭兵の艦隊を作っている。古い恨みからハンを捕らえるが、新共和国の外交使節と判明すると後難を恐れ、スパイス鉱山で働かせて抹殺しようとする。

ファーガン　Furgan

男性。帝国を強硬に支持するカリダの大使で、同星にある帝国軍事教練センターの責任者。
狂信的な皇帝崇拝者であり、主導権争いを繰り返す軍閥を侮蔑し帝国の再興を夢見る野心家。陰から新共和国に大きな打撃を与える卑劣な企みを推し進めている。

エグザ・キューン　Exar Kun

4000年前のシスの暗黒卿。肉体から切り離され霊体となった存在。
古代のジェダイ騎士団の前に敗北して以来、妄執のまま霊体として生き続けてきた。自身の力を取り戻すため、ガントリスやキップのようなジェダイの訓練生に働きかけ暗黒面へと誘おうとする。

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関連項目

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