レジネッタ(Reginetta)とは、2005年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牝馬。
小牧太に涙のGⅠ初制覇を贈り、三連単700万馬券を叩き出した桜花賞馬。
主な勝ち鞍
2008年:桜花賞(JpnⅠ)
2010年:福島牝馬ステークス(GⅢ)
父*フレンチデピュティ、母アスペンリーフ、母父*サンデーサイレンスという血統。
父はクロフネとノボジャックの活躍で輸入され、エイシンデピュティ、アドマイヤジュピタ、ピンクカメオ、サウンドトゥルーなどを送り出し、距離も芝ダートも問わない万能性で鳴らした名種牡馬。
母は4戦1勝。レジネッタは第3仔。5代母Change Waterの牝系からはドバイミレニアムや*ティンバーカントリー、ツルマルツヨシなどが出ている。
母父は説明不要。
2005年5月11日、社台系の追分ファームで誕生。オーナーは一口馬主クラブの社台レースホース。1口60万円×40口(=2400万円)で募集された。クラシック時は社台RHの勝負服と同じ、黄色に黒の縦縞のメンコが目印であった。
馬名意味は社台サラブレッドクラブのページによると、
イタリア語で「若き女王」、「女王にふさわしい人」。早くから大器の片鱗を見せ、同い年の牝馬には影も踏ませない。真の女王に君臨するのは彼女をおいて他にない。
とのこと。
メジロブライトやソングオブウインド、ヤマニンシュクルなどを管理した栗東の浅見秀一厩舎に入厩したレジネッタは、2007年9月9日、札幌・芝1200mの新馬戦でデビュー。池添謙一を鞍上に迎え、1番人気に支持されたが、ハナを切って逃げて力尽き10着に撃沈してしまう。
後に主戦を務めた小牧太いわく、気性はうるさく、走ると真面目すぎて引っかかる馬だったそうで、前に馬を置いて我慢させないと保たないタイプだったらしい。
続く同条件の未勝利戦は3番手から上がり最速の脚を繰り出して、逃げ粘った馬をクビ差かわして勝利。11月、京都・芝1600mの平場の500万下に向かうと、距離延長が懸念されてか9頭立て8番人気(31.0倍)という低評価だったが、ここも3番手から上がり最速の脚を繰り出して連勝を飾る。
これで阪神ジュベナイルフィリーズ(JpnⅠ)に乗りこんだが、池添は3番人気トールポピーに騎乗するため武豊に乗り替わりとなり、14.1倍の7番人気。好スタートからインの3番手あたりに構え、直線では一度は先頭に立って抜け出し押し切りを図ったが、後続に呑まれて6着。
明けて3歳はエルフィンS(OP)から始動。鞍上は池添に戻って2番人気に支持され、先行集団を見る位置で進めて直線大外に出して追い込んだが、武豊鞍上の期待の良血馬ポルトフィーノの逃げ切りに全く手も足も出ず3着に敗れた。
この時点で桜花賞出走には賞金が心もないレジネッタは、優先出走権を獲りにトライアルのフィリーズレビュー(JpnⅡ)へ。しかし今度は池添が前走でも被っていたもう1頭のお手馬・マイネレーツェルの方に騎乗することになり、ここで陣営が騎乗依頼をしたのは小牧太だった。
兵庫で9度のリーディングジョッキーと大活躍し、2004年に鳴り物入りで中央に移籍してきた小牧太騎手だったが、ここまでGⅠでは2001年天皇賞(春)での初騎乗以来48連敗中。移籍初年度の朝日杯FSを1番人気ペールギュントで落としてからは騎乗依頼も減り、園田の後輩である岩田康誠にすっかりお株を奪われ、GⅠでも人気薄での騎乗ばかりになってしまっていた。
そんな小牧騎手を迎えたレジネッタは、道中中団待機からスムーズに進路を確保し、直線で鋭く脚を伸ばす。小牧騎手も「完璧に乗れた」と自賛するレースだったが、さらに後方から来たマイネレーツェルとベストオブミーにかわされ、タイム差なしの3着。総じてフィリーズレビュー組は桜花賞成績が振るわないということもあり、優先出走権は無事に確保したものの、完璧なレースをしてこの結果には小牧騎手も「本番はちょっと足らんかなぁ」と思ったという。
何はともあれ迎えた桜花賞(JpnⅠ)。ポルトフィーノ(武豊)が熱発で出走取消となり、重賞2勝馬も不在で混戦ムードの中、人気を分け合ったのは2歳女王トールポピー(池添謙一)と、クイーンC勝ち馬リトルアマポーラ(武幸四郎)、チューリップ賞3着のオディール(安藤勝己)の3頭。レジネッタと小牧太のコンビはというと……43.4倍の12番人気だった。まあ重賞未勝利でフィリーズレビュー3着、鞍上もGⅠ未勝利では致し方ない評価である。
しかも小牧がパドックで跨がってみると明らかに動きが硬い上にイレ込んでいるという、どう考えてもダメそうな状態。さらにはトドメとばかり、レジネッタはゲート内で立ち上がってしまう。小牧騎手もこの瞬間思った。――「終わった」と。
ところがどっこい、前脚が着地した瞬間にゲートが開いたことでレジネッタはタイミング良く好スタートを切ることになるのだから、競馬というものはわからない。
先行馬が早めのペースで飛ばす一方、有力馬が総じて後方脚質だったこともあって隊列はばらけて縦長になり、7頭の前方集団と10頭の後方集団に分かれる展開。レジネッタは後方集団の前目につけた。直線に入って馬群は横にばらけ、レジネッタは大外から一気に追い込みをかける。先行したエイムアットビップが最初に抜け出したが伸びきらず、残り100mでも横並びの大混戦。最後のひと伸びでその混戦を断ち切って抜け出したのがレジネッタだった。
小牧騎手はゴールの瞬間、鞭を持った右手を高く突き上げてガッツポーズ。49度目の挑戦で悲願を掴み取り、お立ち台で「全国のファンの皆さん…」と言いかけたとことで言葉を詰まらせ、タオルを顔に押し当てて男泣き。「…お待たせしました」と絞り出すような言葉にファンは温かい声援を送った。
ちなみにフィリーズレビュー組から次に桜花賞馬が出るのは9年後、2017年のレーヌミノルになる。
なお、レースの方は2着には単勝94.3倍の15番人気エフティマイアが突っ込み、3着も5番人気ソーマジックが入ったことで12番人気-15番人気-5番人気での決着という大波乱。三連単の配当は、驚くなかれ700万2920円。前年のNHKマイルカップ(ピンクカメオ)が叩き出した973万馬券に次ぐ、この時点でのJRA重賞歴代2位の超高額配当となった。2024年現在も歴代4位に君臨する大荒れレースとなったが、よもやこれが大荒れ牝馬戦線の序章に過ぎないとは、このときは誰も知るよしもないのであった……。
さて、レジネッタと小牧太のコンビは続いて優駿牝馬(JpnⅠ)へ。桜花賞を勝ったとはいえ牝系も短距離寄りの*フレンチデピュティ産駒じゃ2400mはさすがに保たんだろう、というかそもそも桜花賞はフロックだろうと見なされて12.1倍の5番人気に留まった。
レースは中団で同じ勝負服のリトルアマポーラ・ライムキャンディと並ぶようにして進め、直線では馬群を割って脚を伸ばし抜け出しを図る。ところがここで横から思いっきり斜行してきたのが池添謙一のトールポピー。右鞭連打でどんどん内にササってくるトールポピーに内に押し込められてしまい、気持ちを切らさず追いかけたものの3着。
このトールポピーの大斜行が降着にならず池添の騎乗停止のみという裁決となったことは大いに議論を呼ぶことになったが、長い審議の最中に「これ以上、ファンを待たせちゃいけない。もういいから確定させて」と発言したのはレジネッタの浅見師だったという。ともあれ思いっきり不利を受けながら距離不安を克服して3着に残したレジネッタは実力を証明したと言ってよくかった。
ちなみにトールポピーが桜花賞8着で4番人気まで評価を下げ、前走はフロックと見なされ13番人気だったエフティマイアがまた2着に突っ込んだことで三連単44万円と、前走ほどではないがまた波乱気味の決着に。
春を終えたレジネッタは、放牧を挟み、夏のクイーンS(JpnⅢ)から早めに始動。3.1倍の1番人気に支持され、レースは後方から進めて直線で外に出して追い込んだが、開幕週の馬場を活かしたヤマニンメルベイユの逃げ切りに2馬身離されて2着。
続くローズS(JpnⅡ)も2.7倍の1番人気に支持されて、中団から直線で外を抜け出そうとするも、ゴール前でもムードインディゴ・マイネレーツェルとの追い比べに競り負けて3着。
前哨戦をいまいち勝ちきれないまま迎えた秋華賞(JpnⅠ)ではトールポピーと人気を分け合って4.0倍の2番人気に支持されたが、後方から追い込むものの最後の伸びを欠いて8着。1番人気トールポピー、3番人気エフティマイアと一緒に馬券外に飛び、自身の桜花賞を上回る三連単1098万馬券をアシストすることになってしまったが、このレースについては勝ったブラックエンブレムと激走したプロヴィナージュの記事に譲る。
続くエリザベス女王杯(GⅠ)ではポルトフィーノがカラ馬1位入線の伝説を作る中で見せ場なく12着に撃沈。以降、レジネッタは長いスランプに突入することになる。
エリ女から5ヶ月休み、明けて4歳、阪神牝馬S(GⅡ)で復帰(5着)したレジネッタだったが、ここからはいかにも桜花賞馬らしく戦績は不振を極める。ヴィクトリアマイル(GⅠ)は16着撃沈。函館記念(GⅢ)9着を最後に小牧騎手も降板となってしまい、以降は府中牝馬S(GⅡ)で3着があったぐらいで、エリ女も除外となってしまい、オープン特別でも掲示板入りもままならないようなレースが続いた。
不振の続くレジネッタだったが、5歳となった2010年、京都牝馬S(GⅢ)で0.4秒差の6着、中山牝馬S(GⅢ)で0.2秒差の5着と持ち直しの気配を見せる。
そして5歳の4戦目、別のレースを除外となってしまい向かった4月の福島牝馬S(GⅢ)。テン乗りの中舘英二を迎えたレジネッタは、中団外目でレースを進めると、直線で鋭く末脚を伸ばし、連覇を狙ったブラボーデイジーをアタマ差捕らえきったところがゴール板だった。
復活の重賞2勝目を挙げ、いざヴィクトリアマイルへ! ……と思いきや、このときゲート内で立ち上がってしまったことで発走調教再審査を食らい、VM出走は不可能に。そんなあ。
これで完全復活の機を逃してしまったか、その後は4戦したものの4着が最高で、再び中舘を迎えた愛知杯(GⅢ)9着を最後に現役引退となった。通算28戦4勝 [4-1-5-18]。
引退後は故郷の追分ファームで繁殖入り。2024年現在も繁殖牝馬として現役で、まだ重賞クラスの産駒は出ていないものの、デビュー済みの8頭のうち5頭が中央で勝ち上がっている。牝馬も5頭いるので、牝系の血は繋がっていくだろう。
*フレンチデピュティ 1992 栗毛 |
Deputy Minister 1979 黒鹿毛 |
Vice Regent | Northern Dancer |
Victoria Regina | |||
Mint Copy | Bunty's Flight | ||
Shakney | |||
Mitterand 1981 鹿毛 |
Hold Your Peace | Speak John | |
Blue Moon | |||
Laredo Lass | Bold Ruler | ||
Fortunate Isle | |||
アスペンリーフ 1997 鹿毛 FNo.4-m |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*マクダヴィア 1992 栗毛 |
*ブラッシングジョン | Blushing Groom | |
La Griffe | |||
Northern Aspen | Northern Dancer | ||
Fall Aspen |
クロス:Northern Dancer 4×4(12.50%)、Prince John 5×5(6.25%)
掲示板
2 ななしのよっしん
2024/04/02(火) 10:53:51 ID: WRJxqlAOkh
レジアイス
レジロック
レジスチル
レジギガス
レジドラゴ
レジエレキ
レジネッタ
3 ななしのよっしん
2024/04/02(火) 11:58:13 ID: IsEPVU3Nzn
4 ななしのよっしん
2024/04/10(水) 00:14:57 ID: k/NPrtIjeC
https://
>インタビューの6回目は、「メイショウ」の冠名でおなじみの松本好雄オーナーをお迎えしました。
(中略)
―それはすごい! ご招待された各界の功労者のうち、お話しできるのは一部の方だけですよね。
松本:そうなんです。僕は大相撲の白鵬関のわりと近くにいたんですが、順番が来ると陛下が、今年の桜花賞は荒れましたね、とおっしゃったんです。よくご存知だなと驚いてしまいましたよ。何の年だったのかな、あれは(笑)(※2008年、12番人気のレジネッタが勝利)。
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最終更新:2024/12/21(土) 21:00
最終更新:2024/12/21(土) 21:00
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