『科捜研の女』とは、テレビ朝日と東映が制作し、テレビ朝日系列で放送されているサスペンスドラマのシリーズである。
概要
木曜夜8時の「木曜ミステリー」枠で1999年から放送されているサスペンスドラマ。枠自体に「京都枠」という俗称があるように、古都・京都を舞台に、京都府警の科学捜査研究所に所属する法医研究員の榊マリコとその仲間たちが、様々な科学捜査を駆使して様々な犯罪のトリックを解明していく物語。
放送初期の4シリーズ放送の後にブランク期間を設けた後、設定を一新した『新・科捜研の女』としてリスタート、2009年のシーズン9からタイトルを戻し、以降ブランクを挟みつつも20年以上の長きにわたり放送されている。時には2時間スペシャルも単発で放送されるなど、今では水曜9時枠の『相棒』と並んでテレ朝・東映のサスペンスドラマの2大看板となっている。
2019年4月からはシリーズ開始20周年&テレ朝開局60周年記念企画として、シリーズで初めてとなる1年間の通年放送を実施。実に1998年11月〜1999年9月放送の『暴れん坊将軍』以来20年ぶりの快挙となった。2021年9月にはシリーズ初の劇場版も公開されている。
その一方で「木曜ミステリー」は2022年7~9月期の『遺留捜査』第7シーズンをもって20年以上の歴史に幕を下ろす。その代わりとして2022年10月改編で火曜夜9時のバラエティ枠をドラマ枠に転換、本作品もこちらに移動することになった。そして2023年に年度上半期が2ヶ月おきで入れ替わっている水曜9時枠に再び移動し、『特捜9』『刑事7人』に続く8・9月期作品としてシーズン23が、7~9月期作品としてシーズン24が放送されることになる。
余談となるが、
主な登場人物
2024年現在のレギュラーメンバーを記載。
- 榊マリコ(沢口靖子)
- 物語の主人公。法医学を専門とし、科学捜査に信念とプライドを持ち、「科学は嘘をつかない」を信条としている。FBIで学んだその技術は確かで、これまでに数多くの難事件を解決に導いている。
- ただ、一度決めたら突っ走ってしまう、良くも悪くも尋常じゃない行動力の持ち主でもあり、関係者が振り回されることもしばしば。また女子力も低すぎで、料理したら珍妙な物ができあがってしまう。こうした事もあり元刑事部長の倉橋拓也(渡辺いっけい)とは離婚していたりする。
- 父の伊知郎(小野武彦)は過去に科捜研の所長としてマリコの上司となり、親子同居していたこともある。母のいずみ(星由里子)は実家の横浜在住。
- 土門薫(内藤剛志)
- 京都府警捜査一課の刑事。シーズン5から登場(初期シリーズでは内藤は科捜研のプロファイラー→作家の武藤要として出演)。犯人逮捕に全力を尽くす熱血刑事。科捜研に強い信頼を持っており、中でもマリコとは相棒と呼べる仲である。
- 妹の美貴(加藤貴子)も警察官で、科捜研の研究員として勤務していたことがあった。現在は退職しメンタルケアのカウンセラーとなっている。
- 日野和正(斉藤暁)
- 現在の科捜研の所長。シーズン5から登場し、科捜研メンバーではマリコと並ぶ古株で、スペシャル第3作から伊知郎の後任として所長に昇格した。専門は文書鑑定。パッと見いい加減に見えるものの、変わり者だらけの科捜研の中では常識人に分類される。と言うことで暴走しがちなマリコのストッパー役にもなっている。
- 宇佐見裕也(風間トオル)
- スペシャル第3作から登場。航空科学研究所から中途採用。化学を専門としており、他にも様々な分野に精通しているなど博識。常に冷静かつ的確なアドバイスを行う優しい人物。お茶に造詣があり、会議などでは自ら淹れたお茶を所員に振る舞うことも。
- 涌田亜美(山本ひかる)
- 捜査一課にいた木島修平(崎本大海)の大学時代の後輩で、就活に失敗しネットカフェで寝泊まりしながらバイトに明け暮れていたが、シーズン13より科捜研の研究員となる。映像データを専門とし、かなりのパソコンオタクで、防犯カメラの画像解析からパソコンスマホのデータ復元に至るまでその実力を発揮するが、その実空気が読めない性格。ただ人当たりは良い。また泊まり込みの作業も苦にしないタフな体力も持ち合わせている。
- 君嶋直樹(小池徹平)
- シーズン22から新たに所属した物理担当の研究員。元いた京都環境生態研究センターの研究室閉鎖を受けて科捜研に転職。しかし所属早々に元同僚が関与する元上司の焼死事件に巻き込まれることになってしまう。「可能性」という言葉を聞くと目を輝かせ前のめりになる一方で、家では家庭を大事にし、愛妻家かつ幼い娘を可愛がる子煩悩なパパでもある。
- 加瀬淳平(加藤諒)
- シーズン24から登場の、京都市役所の人事交流により科捜研に派遣された会計係。捜査の知識はないが捜査手法には興味を抱いており捜査手法について質問することが多い。メタ的には解説を促すための初心者役やミスリードに引っかかる担当を兼ねているもの思われる。
- 風丘早月(若村麻由美)
- シーズン8から登場の洛北医科大学医学部病理学科法医学教室教授。解剖医としてはマリコからの無茶振りを呆れながらも渋々引き受け難なくこなすほどの腕前の持ち主。普段は2人の子供を育てるシングルマザーで、陽気な性格をしており、同年代のマリコとは意気投合して仲が良い。解剖結果を届けに来た際には一緒にスイーツの差し入れを持ち込んでおり、風丘先生のスイーツと宇佐見さんのお茶が研究員の癒やしの一時となっている。
- 蒲原勇樹(石井一彰)
- シーズン15から土門の部下として行動を共にする京都府警捜査一課の刑事。クールな外見と真面目で冷静さを持つ優秀な刑事だが、素直で熱くなったり、誠実な人柄を見せることもある。
- 藤倉甚一(金田明夫)
- シーズン13から鑑識課長として登場し、スペシャル4作目で京都府警初のノンキャリアでの刑事部長に抜擢。正義感が強く頑固な性格で、私情を挟むことを良しとせず、土門とは「それなりの証拠を提示しろ」と言っては対立し、マリコとも「科捜研が表に出ることを良しとしない」としてやはり対立する。もっとも肝心なときには協力することもある。
- 佐伯志信(西田健)
- 京都府警本部長。気さくな性格ではあるが、典型的警察官僚というべき事なかれ主義も目立つ。ただ、いざとなったときの対応はしっかりしている。
過去の登場人物
- 宮前守(山崎一)
- シリーズ初期の科捜研所長。事なかれ主義で刑事部長に頭が上がらないが、マリコの熱意に負けて鑑定を手伝うこともある。後にSPring-8に栄転、スペシャルや映画でゲスト出演しては同所の施設を活用して捜査に協力する。
- 小向光子(深浦加奈子)
- シリーズ初期に登場の科捜研の事務員兼会計係。経費節減に熱心で無駄遣いに厳しいが、時にはマリコから押しつけられる形で鑑定を手伝わされることもあった。産休で休職した際には土門の妹の美貴が代わりに事務員を務めたこともあった。演じる深浦が2008年に早世したため以降は登場せず、加瀬が登場するまで長らく事務員がいない状態で、経費管理は所長の担務となっていた。
- 榊伊知郎(小野武彦)
- シリーズ中期に科捜研所長を務めたマリコの父。元大学教授で考古学者だったが、宮前の後任として所長に就任する。マイペースで温厚そうに見えるも、愛娘には時折きついことも言うが親子仲は良好。在任当時はマリコの家に同居していたり、職場でも無意識に「マーちゃん」「父さん」と呼び合ったりすることも。後に科学鑑定監察所へ異動するため退職、以来ゲスト出演しては監察官としてマリコの尋問を担当する一方、マリコの鑑定にも協力する。
- 乾健児(泉政行)
- 物理担当の研究員で、画像解析、銃器鑑定、機械・建造物の破損、交通事故解析に携わる。科捜研には珍しい常識人で、マリコの助手的立場としてサポートするものの、マリコに振り回されこき使われることがほとんど。父のような医師を志していたがある出来事が原因で父と確執が起きるも、その父が末期ガンで余命一年を宣告されたことから、看取るため退職する。
- 吉崎泰乃(奥田恵梨華)
- 映像データ担当の研究員。官民交流の一環で民間企業から臨時研究員としての所属を経て、正式所属となった。真面目かつ几帳面な性格だが、お人好しすぎるあまり冗談にも丁寧に答えようとしたり、ガンコで融通が利かない面も持つ。後にサイバー犯罪対策課へと転属、後のシリーズや映画でも事件解決に協力する。
- 相馬涼(長田成哉)
- 乾の後任としてシーズン11の第9話から所属する物理担当の研究員。空気が読めず思った事をそのまま言ってしまい、さらには陽気なお調子者。また単独行動が多いことからマリコからもしばしば注意される。もっとも観察眼が鋭かったり、コツコツと粘り強い捜査・実験も行うなど、相馬の閃きと努力が解決の糸口となることもある。後にカナダの科学捜査センターからの誘いを受けて転職し現在はカナダ在住。一時帰国や映画ではカナダからのリモートでの捜査協力で度々登場している。
- 橋口呂太(渡部秀)
- シーズン16の正月スペシャルで相馬の代わりに所属することになった研究員。名前の読みは「ろた」。物理を専門とし、初めて扱う機材も説明書無しで容易く操作することが可能。また観察眼にも優れている。ただ社会常識に欠けており、目上の人にもため口で話すなど、マイペース過ぎる性格の持ち主。現在は教師を目指し文部科学省の化学教育機関へ研修に行っている。
よく用いられる捜査手法
- 検視・司法解剖
- 検視は現場にて榊が行い、解剖は洛北医大にて風丘が行う。解剖の際に確認すべき点があり榊が立ち会うことも。死体の状態から死因や死亡推定時刻など捜査のベースとなるデータを割り出す。DNA型や血液型の鑑定も榊の担当。
- 下足痕鑑定
- 現場にあった足跡から犯人の神龍経路や逃走経路を探る。靴のサイズから犯人のおおよその体格がわかることも。日野の担当であり、通行人や野次馬の足跡との識別にぼやく姿がよくみられる。
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- 成分分析
- 犯行現場に残されていた土・草花・繊維片などの成分を分析して何に由来するものかを識別する。宇佐美の担当であり彼の博識っぷりが発揮されることもある。
- 防犯カメラ映像解析
- 防犯カメラの映像を確認し、不審人物が映っていないか探し出す。担当は涌田。不審人物の顔が不鮮明な場合は拡大鮮明化が行われるが、「画素数の少ない映像から人物を特定できるほどの画像を得るのは無理ではないか」としばしば視聴者から突っ込まれる。
- 成傷器鑑定
- 凶器として用いられた物品に服の繊維など事件の手掛かりになるものが残されてないかを調査する。担当者は君嶋。凶器が現場に残されていない場合は逆に傷口の形状から凶器の形状を推定することもあり、特殊な道具が凶器となった場合は重要な手掛かりとなる。
- マリコビーム
- 期待のこもった視線を送ることで短期間での調査実施を相手に請け負わせる榊の必殺技。主な犠牲者は風丘。
関連動画
関連リンク
関連項目