重戦機エルガイムとは、日本サンライズ制作のロボットアニメである。
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概要
1984年から1985年にかけて放映された。監督は富野由悠季。永野護などスタッフに若手を多く起用している。
なお、人気は高かったようで、後に総集編2本と、まったくのオリジナル新作1本の計3本、OVAが発売された。
富野アニメの順番で言えば、聖戦士ダンバインの後で機動戦士Ζガンダムの前。
ただし、富野由悠季は翌年のΖガンダムの準備に追われたこともあり、この作品では若手スタッフにかなりの部分を任せていたらしく、特にキャラクターデザイン、メカニックデザインと世界設定を担当した永野護のカラーが強く出た作品となっている。
そのため、現在では永野護の代表作となったファイブスター物語のプロトタイプ的な作品と見る者も多い。
カモン王朝の末裔である主人公ダバ・マイロードが、ポセイダル軍に叛旗を翻しこれを打ち倒す物語。コミカルな要素も多いが、特に中盤以降はシリアスな展開も多い。
2002年に白石琴似によるコミカライズ『アンダー・ザ・サンズ』も出版。基本的設定は共通であるが、シナリオ及び結末が大幅に異なる(詳しくは後述)
主な登場人物
余談だが、本作のキャラの名前は基本的に日本人同様「姓」・「名」となっている。これはダバの本名がカモン・マイロードであることからも読み取れる。
- ダバ・マイロード - 声:平松広和
- 主人公。アムとレッシイに二股をかける色男……と、当時のファンからも見られていたが、実際のところ二人が勝手に惚れて盛り上がっていた、という感が強い。というのも、彼にはそもそも義妹の許嫁がいたからである。なにそのエロゲ。だが、その義妹は……。
さらに、実は亡国の王子だったという事実も判明し、後半ではお国再興のために反乱軍のトップとして戦う事になってしまう。
そして、ついに最後の敵を倒した後、彼が取った選択は、当時の視聴者に衝撃を与えた。
- 主な搭乗機はエルガイム、エルガイムMk-II。
- リリス・ファウ - 声:川村万梨阿
- 妖精族フェラリオの少女。当初見世物小屋にいたところをダバに助けられて、以後一同と行動を共にする。
- どう見てもダンバインのチャム・ファウである。声も同じだし。
(当時のファンによると、チャムよりはやや平和主義寄りらしい)
- ミラウー・キャオ - 声:大塚芳忠
- 金髪リーゼントのお調子者メカニック。女好き。ダバの幼なじみで親友というか悪友。メカニックの腕はかなり変態的(誉め言葉)で、エルガイムMk-IIを完成させたのも彼である。
- 後半では量産機ディザードで戦闘に参加することもあった。
- ちなみに小説版では放射線障害で死亡していたりする。
- 実はバイセクシャルという忘れられた設定がある。
- ファンネリア・アム - 声:本多知恵子
- ダバに惚れてダバ一行に加わった少女。元盗賊で気が強く、後にレッシィがダバに惹かれて一同に加わってからは、しょっちゅう喧嘩していた。
ただし、ダバに対しては一途であり、彼の近くにいるために戦いに身を投じ、最終的には敵のエース級の相手を撃破するまでになっている。
- 搭乗機は最初は量産機のディザードだったが、ダバがMk-IIに乗り換えて余ったエルガイムに搭乗。最終戦ではこれが功を奏する。
- ガウ・ハ・レッシイ - 声:川村万梨阿
- ポセイダル軍十三人衆の一人。当初はガチガチの軍人だったが、ダバに惹かれて反乱軍に加わり、物語中盤ではアムと恋のさや当てを演じる。終盤ではダバ達から一歩引いて離れ、ホエールの艦長も務めた。
- 搭乗機はヌーベル・ディザードなど。
- 最初の軍人時、ダバに寝返ったとき、ダバから離れて以降と、3回もキャラデザが変わっている。ぶっちゃけ中盤レッシィが一番可愛いと思います。
- ギャブレット・ギャブレー - 声:速水奨
- 元は食い詰めた下級貴族で、ポセイダル軍への仕官をしようとしていたところで、たまたまダバ一行とトラブルになってしまった。その後仕官は叶うのだが、なぜかダバ達とばかり戦うことになる。また、色々あってダバの義妹に惚れてしまったりもしている。
- いわゆる主人公のライバルポジション。ちなみに最終的には、ポセイダル軍十三人衆入りを果たすまで昇格し、一艦を任されるまでになっている。
少々思い込みが激しいものの、いわゆる好青年の類であり、ポセイダルとの最後の戦いでは義によってダバに助太刀する。
- 乗機はバッシュ、アシュラ・テンプル、アトールなど。色々乗り換えているのもライバルポジションの宿命か。
- 「戦闘メカ ザブングル」にはほぼ同姓同名の女性キャラクター(ミス・ギャブレット・ギャブレイ)が存在する。
- オルドナ・ポセイダル - 声:島津冴子
- 金色の瞳に銀色の髪の毛というド派手な姿の惑星ガストガルの統治者。
かつてペンタゴナ統一戦争をテンプルナイツを率いて戦い勝利することで、現在絶対者としてペンタゴナワールド全体に君臨。バイオリレーションにより永遠の若さを保っている。
- なお、普段テレビに出ていた『オルドナ・ポセイダル』なる人物の正体はアマンダラ・カマンダラの愛人、ミアン・クゥ・ハウ・アッシャー。
- アマンダラ・カマンダラ - 声:豊田真司、堀部隆一(※TV版)
- ペンタゴナワールド有数の死の商人。アマン商会総帥。ポセイダル軍と反乱軍双方に武器を供給している。
- その正体はオルドナ・ポセイダル本人でありラスボス。この人もバイオリレーションで若さを保っていた。
- ネット界隈では、サングラスと髭が似ている(?)魁!!クロマティ高校の山口ノボルのセリフ「そ・・それだよ 視聴者が求めていてるモノは!!」を発しているネタ画像が広まっている。
主なヘビーメタル
ヘビーメタル(Heavy Metal)は、エルガイムにおけるロボットの総称。モーターヘッドではない。
いわゆるカスタム機であるA級と、量産機であるB級があり、基本的にはB級は束になってもA級には勝てない、となっている(実際は束になってかかれば勝てることもある)。また、B級よりさらに作業機械に近い、マシンナリィと呼ばれるものもある。
A級よりさらに上位機となるオリジナルヘビーメタルも存在するが、本編で登場したのは、オージとエルガイムのベース機となったガイラムのみ。
- エルガイム
- A級ヘビーメタル。搭乗者はダバ→アム。前半の主役機。
- 全身純白な機体であり、元はヤーマン族が残した機体ガイラムを量産も可能なようにデチューンした機体(ガイラム自体は後にフル・フラットが乗ってくる)。ジャンプ時などに、足の装甲(ランダムスレート)が左右に開くのが印象的。
- 武器はパワーランチャー、セイバー、ランサー、Sマイン等。FSSのジュノーンのご先祖様(デザイン的な意味で)。
- 最後の戦いの最後を飾った機体でもある。
- エルガイムMk-II
- A級ヘビーメタル。搭乗者はダバ。後半の主役機。
- 元はポセイダル軍で開発された(未完成)機体アモンデュール・スタックだったものを、色々あってキャオが魔改造の末に完成させた。最大の特徴は飛行形態への変形能力を持つこと。
エルガイムと較べると、グレーがかった色合いと、鋭い目つきから、より戦闘的なイメージがある。
- 武器はパワーランチャー、セイバー、バスターランチャー等。
- 実はその頭部は最強のHMと名高い幻の機体・ブラッドテンプル(3号機)のもの。そしてその頭部には……。
- グライア
- ポセイダル軍で最も普遍的に使用されているB級ヘビーメタル。いわゆるザクポジションの機体。
- バッシュ
- A級ヘビーメタル。FSSのバッシュ・ザ・ブラックナイトのご先祖様(デザイン的な意味で)。いまいち活躍の印象が薄い。最後にギャブレーが乗ってくることでは有名か。
- 本編中に出てくる機体はすべてコピーで、オリジナルはすでに失われているらしい。
- オージェ
- A級ヘビーメタル。金色の肩バインダーから、ダバ達には「金ピカ」と呼ばれていた。
- このバインダー先端のパワーランチャーと、バインダーに内装していた30基以上のランサーを乱射する攻撃で、本編前半のボスキャラと言っても過言では無かった。オルドナ・ポセイダル自らによる設計とされ非常に高価。
- 勘違いされやすいが、13人衆が一人、ネイ・モー・ハン専用機というわけではない。作中では少なくとも彼女のを含めて二機存在している。
- 永野護のお気に入りであり、ファイブスター物語でも「オージェ」の名を冠する騎体が幾つも登場している。
- なお、この機体はレプリカで、オリジナル機体は最終回で真のポセイダルが乗っていたあれ(オージorオリジナルオージェ)である。
- アシュラテンプル
- A級ヘビーメタル。通常の腕とは別に、サークルバインダーという円形の楯+パワーランチャーを持つ副腕が一対、つまり腕が4本ある異形の機体。
- カルバリーテンプル
- A級ヘビーメタル。主にポセイダル軍の親衛隊が使用していた。スパロボで有名なレッシィの乗機は、本来はクワサン・オリビー専用機「ヘルミーネ」。
- アトール
- A級ヘビーメタル。終盤でギャブレーが乗っていたのと、変態的なごちゃ混ぜ機体アトールⅤ(マクトミン機)のせいで印象深い機体。
- ディザード
- B級ヘビーメタル。反乱軍が作った、言わば量産型エルガイム。先行試作された赤い機体(レッシィ専用機)と、量産された白い機体があり、赤い機体はレッシィ→アム→キャオと、常にダバのそばで使われていた。
- キャオ搭乗時にはメカニックである彼のチューンが入りA級並の性能になったという。
- ヌーベル・ディザード
- A級ヘビーメタル。レッシィにアマンダラから贈られた機体で、ディザードと名前は付いているが、ディザードやエルガイムには余り似てない。
- 実は設定では変形機能があるのだが、本編では変形したことがなかった。一説には永野護がスタッフに説明しなかったとか。
主な楽曲
主題歌の作曲は筒美京平。
- エルガイム-Time for L-GAIM- - 前期オープニング
- 歌:MIO / 作詞:売野雅勇 / 作曲:筒美京平 / 編曲:松下誠
- 風のノー・リプライ - 後期オープニング
- 歌:鮎川麻弥 / 作詞:売野雅勇 / 作曲:筒美京平 / 編曲:戸塚修
- スターライトシャワー - エンディング
- 歌:MIO / 作詞:井荻麟 / 作曲:筒美京平 / 編曲:松下誠
- 傷ついたジェラシー - 挿入歌
- 歌:鮎川麻弥 / 作詞:井荻麟 / 作曲:筒美京平 / 編曲:戸塚修
アンダー・ザ・サンズ
2002年スタジオDNA(現・一迅社)より刊行。著者は白石琴似。
当初はTVアニメ版のダイジェストを描く予定が富野由悠季自らが白石琴似へ「自分のやりたいようにやりなさい」とアドバイスし、再構成されたオリジナルストーリーとして展開された。
劇中ダバが反乱軍を率いてポセイダルに挑む構図は変わらないが、其処に至る経緯が大幅に異なる。主な相違点として……
……など、アニメ版と共通の部分が稀といっても過言ではない。当然結末も異なるので興味がある方は探してほしい。
関連動画
関連項目