セブン(Se7en)とは、1995年に公開されたデヴィッド・フィンチャー監督製作の映画である。
概要
キリスト教における「七つの大罪」(大食・強欲・怠惰・肉欲・傲慢・嫉妬・憤怒)をモチーフにした連続殺人事件と、それを探る刑事達を描いたサイコ・スリラー作品。
独特な映像センスや、ノイズを用いた音響効果などにより、ダークな世界観を描いている。
4週連続で全米興行成績1位の大ヒットを記録。第68回アカデミー賞で編集賞にノミネートされ、第22回サターン賞で脚本賞とメイクアップ賞を受賞した。
日本では1996年1月に公開され、こちらでも26億円と高い興行成績を残している。
ニコニコ動画では2011年11月からニコニコチャンネルで本編が公式配信されていた(現在は配信終了)。
登場人物
ウィリアム・サマセット(演:モーガン・フリーマン)
34年勤務し、定年退職を一週間後に控えたベテラン刑事。過去のとある経験もあって独身。冷静沈着な性格で、殺人現場を見たであろう子供を気にかけるなど情に厚く、周囲からも信頼されている。第一の殺人事件を「定年前にする仕事じゃない」と断ろうとするが、副署長から事件の捜査を命じられてしまう。
デビッド・ミルズ(演:ブラッド・ピット)
サマセットの後任として異動してきた若手刑事。かつて殺人課に5年した経歴を持つ、やる気満々の熱血漢。あまり頭が良い方ではなく、すぐに頭に血が昇ってしまう。妻のトレイシーを溺愛している。サマセットのバディとして連続猟奇殺人事件を追う。
トレイシー・ミルズ(演:グウィネス・パルトロー)
ミルズの妻。夫とは高校時代からのつき合い、かつ初恋の相手だった。ミルズの異動に伴って彼女も舞台となる都市に移住するが、治安の悪さもあって好ましく思っていない。サマセットを自宅での夕食に誘ったのをきっかけに知り合い、夫に言えないある秘密を相談する。
ジョン・ドゥ(演:ケヴィン・スペイシー)
連続猟奇殺人事件の犯人。「ジョン・ドゥ」は「名無し」くらいの意味で、本名・経歴・動機など一切が不明。「人は罪を日常的に犯し、皆がそれを見逃している」とし、自分がその模範となるべく『七つの大罪』をモチーフとした犯罪を決意したと語る。
第五の殺人の後に自首、逮捕。残る2つの死体についてサマセットとミルズだけに教えるとし、現場に案内するが……
第一の被害者
異様なほど肥満した男。椅子に拘束され、12時間に渡り食べ物を食べるよう強要された末に腹を蹴られ、胃が破裂して死亡。後の捜査で冷蔵庫の裏に『GLUTTONY(暴食)』の文字と、ミルトンの『失楽園』の一節が書かれたメモが発見される。
第二の被害者
意地汚い仕事ぶりで知られていた弁護士。オフィスの床に正座させられた上で『ヴェニスの商人』になぞらえるように1ポンド分の肉を切り取るよう犯人に脅迫され、腹の贅肉を切り取ったものの死亡。現場には『GREED(強欲)』の血文字が残されていた。
第三の被害者
前科者。第二の現場に残されていた指紋から身元が判明、緊急配備が敷かれた。SWATが突入した現場ではベッドに拘束された死体として発見──と思いきや微かに息があり、壁には『SLOTH(怠惰)』の文字が書かれていた。1年もの間薬物を投与されながら衰弱していく様が写真で残されており、切断された手首を犯人によって利用されていた。
第四の被害者
娼婦。犯人に銃を突きつけられて脅された客が、刃物をアレに見立てた装具をつけさせられた上で性行為に及んだことで死亡。現場には『LUST(肉欲)』の文字が残されていた。あまりにおぞましい行為によって、殺人の片棒を担がされた客は発狂寸前まで錯乱する羽目になった。
第五の被害者
モデル。犯人によって顔を滅茶苦茶に切り刻まれた上で、片手に受話器、片手に睡眠薬入りの瓶を握らされる。救急車を呼べば命は助かったが、自分の美が失われる事に絶望したモデルは自ら命を絶つ道を選んだ。壁の文字は『PRIDE(高慢)』。
第六の被害者
『ENVY(嫉妬)』で表される存在。ジョン・ドゥ。ミルズの幸福な生活に「嫉妬」し、妻(と胎児)を殺したと定義づけ、あらかじめ指定の地点に切り落とした首入りの箱が配達されるよう手配していた。それを確認して衝撃を受けるサマセットをよそに、ミルズに「自分が誰を殺したか」を語り、最後の罪を行うよう仕向けた。
第七の被害者
『WRATH(憤怒)』で表される存在。ミルズ。トレイシーの死と妊娠の事実をジョン・ドゥから告げられ、必死に制止しようとするサマセットの声も届かぬまま、ジョン・ドゥを射殺してしまう。これにより『七つの大罪』は完成された。
主題歌
余談
- カイル・クーパーが担当したオープニング・クレジットは極めて評価が高く、その作風は後続の作品においておおいに模倣された。
- 警部役でハートマン軍曹ことR・リー・アーメイが出演しているが、実はジョン・ドゥ役のオーディションを受けていた。これについて監督やピット、フリーマンが「容赦がなさすぎる」とコメントし、結果としてジョン・ドゥのキャストは別に決まったという。
- そのジョン・ドゥ役のケヴィン・スペイシーはオープニングではクレジットされておらず、エンディングで一番最初にクレジットされている。監督曰く「主役2人とグウィネスの後に名前が出るやつが犯人だと推測されるだろうから」という理由。
- ちなみに本人はサプライズを意図し、公開まで自分の名前を出さないように依頼していた。ところが宣伝の際にうっかり映画会社がネタバレをしてしまい、カンカンになったという。
関連動画
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関連項目
- ブラッド・ピット
- デヴィッド・フィンチャー
- Nine Inch Nails
- 七つの大罪
- ジョン・ドゥ
- 映画の一覧
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