エアダブリンとは (エアダブリンとは) [単語記事]

エアダブリンとは、1991年生まれの競走馬。3冠馬ナリタブライアンのクラシック路線におけるライバルである。蹂躙されただけとか言わない。

主な勝ち鞍
 1994年:青葉賞(GIII)、ステイヤーズステークス(GIII)
1995年:ダイヤモンドステークス(GIII)

※以下、本馬活躍時の年齢表記に合わせて実年齢+1歳で記述します。

概要

エアダブリン Air Dublin
生年月日	1991年 4月21日
没年月日	2016年 7月30日
馬種	サラブレッド
性・毛色	牡・鹿毛
生産国	日本
生産者	社台ファーム (北海道千歳市)
馬主	(株)ラッキーフィールド
調教師	伊藤雄二(栗東)
馬名意味	冠名「エア」+アイルランドの首都ダブリン
登録日	1993年 4月15日
抹消日	1997年 6月25日
戦績	15戦5勝[5-2-5-3]
獲得賞金	3億3810万6000円
競走馬テンプレート

血統

父トニービン　母ダンシングキイ　母父ニジンスキーという血統。

父は凱旋門賞を制し、種牡馬としては府中適性と豊かなスピードを武器にサンデーサイレンス・ブライアンズタイムと並び「御三家」と称された名種牡馬。本馬はその2年目の産駒にあたる。

母はアメリカから輸入されてきた繁殖牝馬で、日本で初めて種付けされて生まれたのが本馬である。その後サンデーサイレンスとの間にダンスパートナー・ダンスインザダーク・ダンスインザムードと3頭のGI 馬を設けた超が付くレベルの名牝だが、その繁殖力を示したのがほかでもない本馬である。

母父は現状最後の英国三冠馬にして、種牡馬としても規格外の実績を挙げた名馬。現代基準からすると非の打ちどころのない良血馬である。

戦歴

デビュー~皐月賞

3歳10月に府中にてデビュー。この年のクラシック戦線におけるトニービン産駒の活躍に加え、岡部幸雄を鞍上に迎えたこともあり1.1倍の圧倒的支持を受けたものの5着惨敗。しかしながら続く折り返しの新馬戦、エリカ賞(500万下)を連勝してオープン入りを果たし、2歳を終える。

4歳になりクラシックを目指すこととなった本馬だが、この年のクラシックには圧倒的本命がいた。

ナリタブライアン。低い姿勢の走りと白のシャドーロールがトレードマークのこの馬は、朝日杯を制して3歳王者となり4歳初戦の共同通信杯も快勝。クラシックに向けて順調に歩を進めていた。

ナリタブライアンへの挑戦権を得るべく、本馬は皐月賞トライアルの若葉ステークスから始動。しかしながら4着に敗北(1着は3度の屈腱炎を克服して秋の盾を獲るオフサイドトラップ)し、皐月賞は断念することとなる。その皐月賞はというと、ナリタブライアンが後続を3馬身半突き放し、コースレコードを出して快勝を収めたのであった。

日本ダービー~菊花賞

皐月賞を断念した陣営は、日本ダービーを目指してトライアルレースの青葉賞に臨む。本馬は2.1倍の1番人気に応えて1 1/2馬身差の快勝(ちなみに3着にサクラローレルを破っている)、ダービーへの優先出走権を獲得する。

そして迎えた日本ダービー。ナリタブライアンが単勝支持率61.8%、1.2倍(！)の圧倒的支持を集める(2番人気のナムラコクオーで8.6倍である)なか、本馬は4番人気に推される。とはいえ単勝21.0倍と穴馬程度の評価であった。

レース本番、やや出負けした本馬は後方からの競馬を選択。向こう正面から馬群がばらけ始め、道が開くと同時に力強く進出。大外から最終コーナーでまくりをかけて直線突き放すというド派手なレースで2冠を達成したナリタブライアンには及ばずとも、3着には2馬身差つけての2着。ナリタブライアンとの差が5馬身あるのは見ないことにしよう。

この2戦の好走に加え、母父の血統的にも距離延長に対応できそうであることや伊藤調教師の明言もあり、3冠阻止への期待がかけられることとなった。

しかし秋、本馬は不調に陥る。始動戦のセントライト記念は1番人気を裏切る3着。ナリタブライアンと再び相まみえたトライアル2戦目の京都新聞杯では2番人気(といっても11.3倍、ナリタブライアンは元返し1.0倍)で3着。先行策をとるも最終直線でナリブに並びかけられ、食い下がるもじりじり引き離される…という、どうにも力の差を感じる負け方であった。(ちなみにレースの勝ち馬はそのナリブごと内から差し切った夏の上がり馬スターマン)

そして本番菊花賞。ナリタブライアンが相変わらず1.7倍の高い支持を集める中、本馬は3番人気の6.1倍とそれなりに支持される。やはり血統だろうか。レース本番はスティールキャストが大逃げをかまし、ナリタブライアンが中団に構える中後方からのレースとなる。向こう正面で上がっていくが最終コーナーで進出を始めたナリタブライアンとの差は開いていく一方、10年ぶりの3冠達成を見届ける3着に終わった。

初古馬戦~天皇賞春

陣営は次走に有馬記念ではなくステイヤーズステークスを選択。ナリタブライアンやヒシアマゾン、ライスシャワーといった強豪との対戦はいったん回避する形となった。こうなると1.7倍の1番人気に推されたステイヤーズステークスは負けられない。57.5kgという斤量もなんのその、2番人気ステージチャンプと並んで向こう正面から進出しゴール前で逃げ馬シュアリーウィンをきっちり捉えて古馬混合戦でも重賞制覇を果たした。タイムは3分41秒6、今もなお破られない大レコードである。ちなみに回避した有馬記念は1着ナリタブライアン、2着ヒシアマゾンと4歳馬がワンツーフィニッシュとか言うとんでもない結果になった。

明けて5歳、当然ながら狙うは春天→宝塚の古馬中長距離王道である。本馬は2大ステップレースである阪神大賞典でも日経賞でもなく、ダイヤモンドステークスを選択。府中で良績をあげてきたことも考慮したのであろうか。そしてレースも圧巻、59kg背負わされながら逃げ粘るシュアリーウィン(斤量差4kg)をきっちり捉えて重賞3勝目。前走より上がった1.4倍の人気に応えて見せた。ちなみにシュアリーウィンは結局重賞を勝てずに引退。こいつさえいなければ…。

そして本番天皇賞(春)。ナリタブライアンは王道の阪神大賞典を勝ち切っていざ春天…のはずが股関節炎を患って療養に入り、そのナリタブライアンを倒しうると目されたサクラローレルも骨折。大本命不在のレースとなる中、本馬は重い斤量を背負っての重賞連勝が評価されて3.5倍の1番人気に推される。しかしレースでは出負けするわホームストレートでかかって上がっていくわのちぐはぐな競馬になってしまい、ライスシャワーが復活をとげる後ろで直線伸びず5着に終わる。

宝塚記念~その後

次走は宝塚記念を選択。この年の宝塚記念はナリタブライアン・ヒシアマゾンの両名が不在ということもあり、1番人気のサクラチトセオーで4.4倍と混戦模様だった。そんな中本馬は10倍台の6番人気。岡部幸雄から四位洋文への乗り替わりに加え、長距離 GIII2勝の馬にとって2200は短いという判断だろうか。レース本番、またしても出遅れるが今度はしっかり折り合って中団前目につける。そして直線を4番手で迎えると前を行くタイキブリザードとダンツシアトルに襲い掛かる…が惜しくも届かずクビ-クビ差の3着まで。これは屈腱炎を乗り越えてレコードを出したダンツシアトルを褒めるほかない。

そしてこの激走の代償は大きく、ダンツシアトルともども屈腱炎を発症。ダンツシアトルは残念ながら復帰できず引退となったが、本馬は2年近い休養を経てオープン特別のメトロポリタンSから復帰。59kgの酷量も6番人気の低評価もなんのその、2着に好走する。続く目黒記念も59kg背負わされながら3着。すでにターフを去ったナリタブライアンのライバルがついに復活か、と色めき立った。

しかし宝塚記念を目指す中で屈腱炎が再発。復帰をあきらめ引退となった。ズブさも相まってGIには手が届かなかったが、1度も掲示板を外さない堅実な走りを見せた。

種牡馬としてはトニービンの後継であること、半弟妹がGIを取ったこと、そしてGIを取れなかったことによる50万円という破格の種付け料から人気沸騰。初年度にはなんとサンデーサイレンス以上の194頭への種付けを行った。しかしながら産駒はズブさが遺伝してさっぱり走らず、オープン馬と地方重賞馬が1頭ずつという有様。当然人気は急落し、2003年には韓国へと輸出された。当地で10年間種牡馬生活を送ったのちに乗馬として余生を送り、2016年に死亡した。

血統表

*トニービン Tony Bin 1983 鹿毛	*カンパラ 1976 黒鹿毛	Kal amoun	*ゼダーン
			Khairuni ssa
		State Pen sion	*オンリーフォアライフ
			Lorelei
	Severn Bridge 1965 栗毛	Horn beam	Hyperion
			Thicket
		Priddy Fair	Prec iptic
			Cam panette
*ダンシングキイ Da ncing Key 1983 鹿毛 FNo.7	Nijinsky II 1967 鹿毛	Northern Dancer	Nearctic
			Natalma
		Fla ming Page	Bull Page
			Fla ring Top
	Key Partner 1976 黒鹿毛	Key to the Mint	Graustark
			Key Bridge
		Native Partner	Raise a Native
			Dinner Partner
競走馬の4代血統表