パワーレンジャーシリーズ
「パワーレンジャーシリーズ」とは以下の事柄を表す。
当記事では主に1について記述し、2についても触れる。
『パワーレンジャーシリーズ』(Power Rangers)とは、日本の『スーパー戦隊シリーズ』をアメリカ合衆国でリメイクした特撮番組シリーズである。略称は「パワレン」、「PR」。
2010年5月以降、著作権を所有しているのはサバン・キャピタル・グループ傘下のSCG Power Rangers LLC。
1993年の『パワーレンジャー』から始まる長寿シリーズ。世界60ヶ国で放送されている。現在の製作会社のサバン・ブランド曰く「世界一の子供向けアクションブランド」。1991年にアメリカのサバン・エンターテイメントが東映にオファーを出した事から製作された。
日本で前年に放映されたスーパー戦隊シリーズの作品をベースにアメリカで制作。製作費は日本の約3倍とされる。基本的なフォーマットはスーパー戦隊シリーズと同様となっている。なお、日本のスーパー戦隊シリーズを改変無しに放送する事は放送コードの関係上不可能であるとされる(日本では問題のない表現でもアメリカでは放送禁止になっていることがある為。『ハリウッド・アクション! ジャッキー・チェンへの挑戦』より)。
東映はパワーレンジャーの製作には基本的に干渉せず、アメリカ側に一任している。
基本的に作品間との繋がりは無い原作と違い、パワーレンジャーはすべての作品が同一世界観となっており、1作目から『パワーレンジャー・イン・スペース』までは完全な続編となっている。
『パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー』以降、番組後半に今年度と前年度のレンジャー同士が共演する話が、一部の作品を除いて放送されている。
アクションシーンは日本で撮影された映像と現地で撮影された映像を併用している。初期のアメリカで追加されたアクションシーンでは現地のスタントマンが演じていたが、日本のヒーローアクションのノウハウをアメリカ人は知らない為、迫力不足な映像が出来上がってしまった。これを改善する為、日本からスタントマンを招聘し、変身後のアクションは基本的に日本人が演じることになった。無論、スタントマン全てを日本人にする事は不可能なので現地スタントマンも引き続いて参加している。
なお、東映のスタッフであった吉川進によれば、パワーレンジャーの成功のおかげで終了がほぼ決定していた『スーパー戦隊シリーズ』の継続が決定したとされる。
秋に新番組が始まるアメリカにおいて、本シリーズは第1作『パワーレンジャー』を除き、春からスタートとなっている。これはバンダイアメリカが「秋にスタートだと、最大の商期であるクリスマスシーズンまでの時間が短すぎ、企画や生産調整が難しい」と要望したためである。
パワーレンジャーの前史には様々な証言があるが、そもそもの発端は1978年に東映とマーベル・コミック社による、3年間の業務提携に端を発する。この契約の間、東映は『スパイダーマン(東映)』『バトルフィーバーJ』『電子戦隊デンジマン』『太陽戦隊サンバルカン』等を制作するが、この一件で東映の日本特撮に注目したのが、言わずと知れたマーベルの代表スタン・リーであった。
そのスタン・リーが当時マーベル・プロダクションの社長だったマーガレット・ローシュにこれらの作品を見せたところ、彼女もこれを大変気に入り、実際に『太陽戦隊サンバルカン』を全米のテレビ局に対し、吹き替えや俳優の一部差し替えを行うことで放送しようと検討した。その結果、HBOによりロサンゼルス等の一部地域にて試験的に放送が行われたが認知されず、それ以外の局にも全く相手にされなかったという。
それから数年後、サバン・エンターテイメント社長のハイム・サバンは1980年代に日本に訪れた際に『スーパー戦隊シリーズ』を視聴し、この作品シリーズに興味を持つ。そして1991年に東映に輸入を打診した。
東映はスーパー戦隊シリーズのアメリカ進出には懐疑的だったが、交渉の席で『超電子バイオマン』の主題歌を歌ってみせるなどサバンから並ならぬ熱意を感じたとされる。また当時のスーパー戦隊シリーズは放送時間変更の煽りを受けていた『地球戦隊ファイブマン』等で視聴率や玩具売り上げが低迷しており、バンダイのシリーズ担当だった野中剛によれば「より利益を上げる為にもスーパー戦隊の海外輸出(サイドビジネス)に取り組むべきだ」といった声が社内にあったとしている。
これらの経緯もあり東映はスーパー戦隊の輸出に承諾し、パワーレンジャーの製作が開始された。
アメリカのテレビ関係者もパワーレンジャーの成功には懐疑的だったが、当時マーベルから退任しFOXキッズ・ネットワークの社長に就任していたマーガレット・ローシュは、サバンが持ち込んだ『超電子バイオマン』のビデオを見て「かつて自分とスタン・リーが見たものだった」とし、本作の成功を確信してフォックス放送での全米放送を開始した。
その結果、第1作『パワーレンジャー』はアメリカで大ヒットしたが、放送中は政府や保護者団体などから「暴力的過ぎる」として打ち切りを要求されたことも多々あったとされる。
放送後しばらくは人気も上々だったが、シリーズが進むにつれて人気が停滞し、1997年にマーガレット・ローシュが辞任し、1998年の『パワーレンジャー・イン・スペース』でシリーズを終了させることがフォックス放送により通達された事もあったが、同作の成功により打ち切りは撤回された。
2001年10月、ウォルト・ディズニー・カンパニーがサバン・エンターテイメントの親会社であるFOXファミリー・ワールドワイドを買収した為、2002年放送の『パワーレンジャー・ワイルドフォース』以降の作品はブエナビスタ傘下のBVSエンターテイメント製作となった。
『ワイルドフォース」には旧サバンのスタッフが多数参加していた為か、ディズニーは翌年の『ニンジャストーム』をディズニー製作のパワーレンジャー1作目としている。
製作会社の変更により放送局がFOX放送からABC放送に移り、2003年からはABCファミリー、2004年からはトゥーン・ディズニーでも放送が開始された。ABCファミリーとトゥーン・ディズニーでは旧作の再放送も行われた。2005年から2008年まではJETIXブランドの1つとして扱われた。
ディズニー製作となったことにより、ウォルト・ディズニーワールド・リゾートではパワーレンジャーがミッキーマウスなどとともにパレードに出演していた。
『ニンジャストーム』以降、撮影ロケ地がアメリカからニュージーランドに変更された。そのため、日本のアクションを現地のスタッフに一から教えなければならなくなったという。ニュージーランドには東洋人のスタントマンがほとんどいないため、日本人サイズの着ぐるみがはいらず、破損するなどといったトラブルもあった。
『魔法戦隊マジレンジャー』と『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のOPの一部はニュージーランドで本作のスタッフの協力の下撮影されている。
2009年の『パワーレンジャー・RPM』にてディズニーはシリーズ終了を発表。2010年は第1作のリマスター版を放送することとなった。
2010年5月にディズニーはパワーレンジャーの権利をハイム・サバンが設立した新会社、サバン・ブランドに売却。
パワーレンジャーは同社の最初の資産となり、シリーズの配給権はマルビスタ・エンターテイメントに移行。
権利の移行によりディズニーブランドのパワーレンジャーは同年8月に終了。2011年からニコロデオンで新シリーズが放送開始が決定。また、系列のニックトゥーンで旧作の再放送が行われる。新シリーズの撮影はRPMまでと同様にニュージーランドで行われる。
サバン・ブランドの社長エリー・デケルは「ハイム会長はパワーレンジャーは真に不朽のものだと感じていた」と述べておいる。
2018年にサバンから多くの権利がアメリカの大手玩具会社・ハズブロ(トランスフォーマーなどで有名)へと移行。これにより玩具もバンダイアメリカではなくハズブロから出ることとなる。
1993年の『パワーレンジャー』から2002年の『パワーレンジャー・ワイルドフォース』の第26話まではFOX放送内のFOXキッズで放送。
製作会社の変更により『ワイルドフォース』第27話から2010年の『パワーレンジャー(リマスター版)』まではABC放送内のABCキッズで放送。ディズニー系列のABCファミリー(JETIX)、トゥーン・ディズニー(JETIX)でも放送されていた。
再度の製作会社変更により2011年の『パワーレンジャー・サムライ』はニコロデオンで放送開始、系列のニックトゥーンでも放送予定。
マーベル・コミックの子会社、マーベル・プロダクションの社長だったマーガレット・ローシュによれば、自身がマーベルにいた頃に東映版『スパイダーマン』と当時の『スーパー戦隊シリーズ』の米国放映が企画したが、実現には至らなかったと述べている。
1987年から1988年にバラティ番組『Night Flight』内で『科学戦隊ダイナマン』が数話放送されているが、吹き替えによる改変が多く、原形をとどめていない。
括弧内は元になった作品。
ヨーロッパではアメリカから数ヶ月送れか1年遅れで放送がスタートし、ドイツ・イギリスなどではアメリカでもDVD化されていないシリーズのDVD-BOXが発売されている。
日本では1995年に1996年に『パワーレンジャー』がテレビ朝日で第48話まで放送され、同時期に劇場版も公開されている。その後、1998年にスーパーチャンネルで再放送され、1999年から未放送分の日本語版が製作されたが同年7月に放送された第100話で放送が終了し、翌月から約100話分のエピソードを飛ばし(日米のタイムラグを少なくするためとされる)、『パワーレンジャー・ターボ』が劇場版を含めて放送された。その後、『パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー』まで全話放送されたが、2003年の『パワーレンジャー・ライトスピードレスキュー』が24話分放送されたのを最後に日本では放送されていなかった。
『パワーレンジャー・ライトスピードレスキュー』の放送終了から5年以上が経過した2011年にスーパー戦隊35周年記念で始動した「パワーレンジャー日本語吹替版プロジェクト」により、『パワーレンジャー・S.P.D』が東映チャンネルで放送。
その後も以降のシリーズ作も、『オペレーション・オーバードライブ』から『RPM』までの作品を除いて日本でも放送されている。
2007年のディズニーのインド進出3周年を記念して主要都市をパワーレンジャーが回るツアーが行われた。
韓国では過去にパワーレンジャーシリーズが放送されていたが、『爆竜戦隊アバレンジャー』を『パワーレンジャー・ダイノサンダー』として放送して以降は『スーパー戦隊シリーズ』をパワーレンジャー名義で放送。日本版の数ヶ月遅れで展開している。
ただし、『炎神戦隊ゴーオンジャー』の後は『侍戦隊シンケンジャー』ではなく『百獣戦隊ガオレンジャー』を放送している。
なお、80年代末~90年代半ばには『超新星フラッシュマン』『超電子バイオマン』『光戦隊マスクマン』『電撃戦隊チェンジマン』『超獣戦隊ライブマン』『大戦隊ゴーグルファイブ』『高速戦隊ターボレンジャー』の順でスーパー戦隊シリーズが翻訳されて放映されていた。
ただし、「パワーレンジャー」というタイトルが付いていないためここでは含めない。
『ニンジャストーム』以降に撮影ロケ地となっているニュージーランドでは暴力番組として放送1年目に打ち切られているが、ジャパンデーのイベントなどでアクションショーが行われている。
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最終更新:2023/01/28(土) 22:00
最終更新:2023/01/28(土) 22:00
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