タケシバオーとは、1965年生まれの競走馬、種牡馬。日本競馬史上初めて怪物と称された元祖「怪物」。日本競馬の「比較対象外」。別名「野武士」「無茶苦茶な馬」。
主な勝ち鞍
1967年:朝日盃3歳ステークス
1968年:東京4歳ステークス
1969年:天皇賞(春)(八大競走)、東京新聞杯、京都記念(春)、毎日王冠、英国フェア開催記念
1967年啓衆社賞最優秀3歳牡馬
1969年啓衆社賞最優秀5歳以上牡馬、年度代表馬
父*チャイナロック、母タカツナミ、母父ヤシママンナという血統。チャイナロックはいろんな意味でタフな馬で知られた当時のリーディングサイアーである。ただし、タケシバオー出生時点ではまだ無名であった。
一方の母は未出走馬で、祖母にいたっては大井競馬場で未勝利に終わっているというドが付くくらいの三流血統。しかも牧場時代にはみすぼらしい馬体で、調教師に「これが馬ですか?」と言われた事もあったそうな。よく中央デビュー出来たものである。
1967年6月にデビューするも2戦連続で2着と敗れ、ようやく3戦目で初勝利を挙げた。しかし4戦目の3着を挟んで5戦目からは6連勝である。しかもそこには同競走での最大着差だった7馬身差[1]でぶっこ抜いた朝日杯3歳ステークスや8馬身差のコースレコードで圧勝した東京4歳ステークス(現・共同通信杯)が含まれていた。なんという下克上。当然、クラシックでは関東の総大将として注目を集め、アサカオー、マーチスと共に「三強」と騒がれた。
弥生賞では逃げ馬の挑発に乗って当時の芝1000メートルの日本レコード58秒3を上回る57秒7で1000メートルを通過して見せた、…が、さすがにそんなペースで飛ばしては最後までもつわけもなくゴール前でアサカオーに差されての2着と敗れた。その後はオープン勝ちを挟んでスプリングSでマーチスの2着、皐月賞もマーチスに差されて2着、NHK杯もマーチスの2着とマーチスに三連敗、ダービーではタニノハローモアの逃げ切りに屈して2着と4戦連続の2着であった(ダービー後にもう一度2着となったので5連続になっている)。今ならそのシルバーコレクターっぷりは某所でスレが立つレベルである。しかし、春に惜敗を続けた馬は菊花賞で期待出来る。ファンもそう思ったであろう。しかし……。
秋に入ってタケシバオーは菊花賞を蹴って海外遠征を敢行するのである。出走したのは当時のアメリカの国際競走の花形・ワシントンDCインターナショナル。現在と比較すればまだまだ困難だった競走馬輸送に耐えてアメリカに渡ったタケシバオー。しかし結果は8頭中8着のシンガリ負け。まあレース中に他の馬に蹴られたらしいのだが、レースを見る限りではとても勝ち目は無さそうな感じ。勝ったのは当年の英二冠馬Sir Ivorなので尚更である。
タケシバオーは日本へ引き揚げたが、帰国後2戦続けて2着に敗れシーズンを終えた。
が、タケシバオーがその真価を発揮するのはここからなのであった。東京新聞杯(ダート2100m)を6馬身差の日本レコードタイムで圧勝。ファンが首を傾げている間に、ダート1700mの平場オープンを斤量60kg背負って日本レコードタイムで大差勝ちした。しかもこのレコードタイム、ダートでありながら芝の日本レコードタイムより1秒以上も早かった[2]のである。芝競走でのレコードタイムはモンタサン[3]やイットー[4]らのレコード更新をもってしてもタケシバオーのダートの時計に追いつくことができず、ようやくノボルトウコウの福島民報杯でダート1700mの時計を追い越すことができるのだった。ちなみに、ダート1700mの日本レコードとしては37年間も破られることがなかった。
あれよあれよという間に、京都記念(芝2400m)では62kgを背負って完勝。だんだん手が付けられなくなってきたぞと思っていると続く阪神芝1600mの平場オープンでも斤量60kgで9馬身差の日本レコード勝ち。ダート1700→芝2400→芝マイルときて、いよいよ天皇賞(春)(芝3200m)へ挑んだタケシバオーはこのレースも2馬身差で楽勝した。一説には春天のラスト1ハロンで10秒台の末脚を披露したという。
宝塚記念は熱発の影響で回避したが、続けてジュライステークス(芝1800m・不良)を斤量65kgで勝ち、ダート2100mの毎日王冠も斤量62kgで勝利。次はなんと芝1200mのスプリンターズステークス[5]である。このレースは再びのアメリカ遠征前の壮行戦も兼ねていたが、タケシバオーはこれを斤量62kg背負って日本レコード勝ちした。
しかし今度こそと挑戦した肝心のワシントンDCインターナショナルは長旅の疲れから熱発してしまい、またシンガリ負け。関連動画に遠征時のコンテナが映っているので見て欲しい。あんなんで良くアメリカまで行ったよという感じである。この遠征の疲れがどれほどだったかというと、帰国後に馬場で転倒して故障してしまうほどだった。あのタフなタケシバオーがだ。並みの馬なら死んでいたかもしれない。
当然ながら有馬記念出走は断念、そのまま引退を余儀なくされた。
遠征から帰って暫くは腰がふらついて種牡馬入りも危ぶまれたほどだったが、自家生産を中心として細々と種牡馬活動を開始した。当時は内国産種牡馬不遇の時代で、最初は人気もなく牝馬も集まらなかった。しかし出生率の高さと産駒の良さが評判となると種付け料の安さもあって徐々に交配の申し込みが増えていき、1982年には一流種牡馬並に94頭の種付けをこなすまでになった。
産駒はタフで使い減りのしない馬が多く、地方競馬で人気を集めたという。また繁殖にあがった牝馬も丈夫な仔を良く出すと評判で、牧場にとってはありがたい存在だったという。
代表産駒には、南関東の三冠馬ハツシバオー、6年連続重賞制覇という記録を持つドウカンヤシマ、よくぞクラシックに間に合わせたイイデセゾン、愛知杯連覇のトウカンタケシバなどがいる。BMSとしてはダートの1200mと芝の3600mでレコードを記録した皐月賞馬ドクタースパートを出している。
牧場でのタケシバオーは丈夫で病気一つしない馬だったそうで、高齢になっても受胎率が下がることなく晩年まで元気に種付けを続けていた。しかし1992年1月12日に突然倒れ、急死した。27歳だった。
余談だが、タケシバオーは馬っ気がきつい馬で、隣のゲートに牝馬が入るなどするともうそわそわして大変だったという。種牡馬になれて良かったね。
29戦16勝2着10回3着1回ということで、日本国内では3着内率100%と抜群の強さを誇った。本格化前の3歳クラシックを獲れなかったのが如何にも惜しいが、古馬になってからの強さは物凄いの一言。生涯獲得賞金が初めて1億円を超えたのも、このタケシバオーである。
タケシバオーは日本中央競馬会での最多記録となるレコード勝ち5回を記録している。基本的にスピード馬だったのだろうと思われる。
なんというか、距離も条件も斤量も問わないあまりの無敵ぶりに「斤量100kg積んだろか」「横綱大鵬に乗らせろ」と言う声が上がる始末。終いにはタケシバオーがどのレースに出ても「ふ~ん、奴ならありなんじゃね」と誰も驚かなくなったそうである。
とにかく、現在でも「無茶なローテーション」「無茶な斤量」というとタケシバオーの名前が出てくるという、伝説的存在である。ナリタブライアンが高松宮記念出走を決めた時「無茶過ぎる。タケシバオーじゃないんだから」と言われた事が端的な例だろう。タケシバオーは別格、比較対象にならないというような扱いが不思議に思われないほど無茶苦茶な馬であった。
2004年、顕彰馬に選出されている。GI級競走は朝日杯と天皇賞だけという戦績から旧基準では選考対象となる資格を満たしていなかったのだが[6]、2001年に選出方法が記者投票へと変更されたため選出された。既に引退から30年以上、没後10年以上が経っていたことを考えると驚きの結果である。それだけ強い印象を残す馬だったということだろう。
*チャイナロック China Rock 1953 栃栗毛 |
Rockefella 1941 黒鹿毛 |
Hyperion | Gainsborough |
Selene | |||
Rockfel | Felstead | ||
Rockliffe | |||
May Wong 1934 栗毛 |
Rustom Pasha | Son-in-Law | |
Cos | |||
Wezzan | Friar Marcus | ||
Woodsprite | |||
タカツナミ 1958 黒鹿毛 FNo.5 |
ヤシママンナ 1950 黒鹿毛 |
*プリメロ | Blandford |
Athasi | |||
第参マンナ | *シアンモア | ||
マンナ | |||
*クニビキ 1951 黒鹿毛 |
Nice Day | Mid-day Sun | |
Belle Aventure | |||
Starlet | Actor | ||
Marevere | |||
競走馬の4代血統表 |
JRA顕彰馬 | |
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競馬テンプレート |
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掲示板
48 ななしのよっしん
2023/06/11(日) 21:25:45 ID: zA1kxcygvx
馬は悪くないし記者も悪くないよ
悪いのはゴリ押しだなんだと批難してる無知無関心な人たち
49 ななしのよっしん
2023/06/12(月) 00:50:59 ID: zA1kxcygvx
オペラオーの落選に関してはエルコンやスペシャルに投票してた人たちも同罪なんだけど、不思議なことにタケシバオーを批難する人たちもエルコンやスペシャルをゴリ押しとは批難しないんだよね
まあつまり叩いてる人たちってそういうことなんだろうなっていう
50 ななしのよっしん
2023/08/19(土) 06:35:00 ID: zA1kxcygvx
記事にあるタケシバオーが旧基準なら顕彰馬の選考対象外だってのは嘘だよ
スプリンターズSは90年からGI昇格してるしJRA公式でもタケシバオーをGI級3勝としてる
なにより90年の選考会議で普通に選考対象にされてたし賛成か反対かの投票もされてる
あくまで話題性や大衆性で他の馬が優先されたってだけ
急上昇ワード改
最終更新:2024/05/15(水) 11:00
最終更新:2024/05/15(水) 11:00
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