この記事は第129回今週のオススメ記事に選ばれました! よりニコニコできるような記事に編集していきましょう。 |
SUPER GTとは、日本の自動車レースの一カテゴリである。
概要
前身は全日本GT選手権(JGTC)。海外開催などのゴタゴタによりJAF管轄から外れたため、今の名称となった。
成績上位者に対するサクセスウェイト(ウェイトハンデ)、違うレギュレーションの車(GT500クラスとGT300クラス)が同時に走るなど、エンターテインメント性を重視したつくりになっており、国内の4輪レースとしては、最も高い人気を誇る。2014年の富士では震災前を1万人も上回る8万9400人の動員を記録した。
近年では初音ミクやイカ娘など、痛車仕様のレースカーが登場し、ニコニコチャンネルで公式チャンネルを設けて宣伝、個人スポンサーを募集するようになり、ニコニコ動画会員を中心に新たなファンを築きつつある。
レース中継はJ SPORTS(スカパー!/スカパー! プレミアムサービス、ケーブルテレビ他)などで視聴できる(J SPORTSのBS進出(2011年10月)によりBSの無料放送は2010年シーズンで終了)。
また、ダイジェスト番組「SUPER GT+」が毎週日曜夜11時30分からテレビ東京系列で放送されている。
2012年からはさらにニコニコ生放送「SUPER GTチャンネル」において、予選の生中継を実施中。
2014年の第6戦から有料ではあるが同じく「SUPER GTチャンネル」にて決勝も見れるようになった。
カテゴリ
カテゴリは550馬力程度の出力の車両が走行するGT500クラスと、450~550馬力程度の出力の車両が走行するGT300クラスに分かれる。
車両の出力は、リストリクター(エンジンに空気を取り入れる吸気口に取り付ける装置)によって、調整される。
2011年までは、それぞれ500馬力、300馬力程度の出力になるように調整されており、これがそれぞれのクラス名の由来。
2012年はGT300クラスのFIA-GT3車両はFIA-GT1世界選手権のBoP(性能調整)を基準にする事となり、2013年はその後継シリーズのFIA-GTシリーズ、2014年はブランパン耐久シリーズのBoPを使用、2015年はブランパンシリーズ主催のステファン・ラテル・オーガニゼーション(SRO)とSUPER GT主催のGTアソシエイション(GTA)が連携し、SROが定めたBoPにGTAによるデータ反映させる形でよりSUPER GTでも公平なBoPとして運用されることになる。
このFIA-GT3及びBoP採用に伴い、JAF-GT車両もリストリクター等が緩和され大幅にスピードアップ。
また、GT500クラスもリストリクターが緩和され、30~40馬力程アップしている。
GT500クラス
最高出力550馬力程度。
ゼッケンは白地に黒数字、ヘッドライトの色は白か青。
車両のエンジン、ホイールベース、オーバーハング等統一した規定が持たれている。
名目上は市販車をベースとするが、現在はルーフシルエット以外ベース車両とは別物の、市販車の皮を被ったプロトタイプカー、かつてのシルエット・フォーミュラの再来となっている(HSV-010に至っては市販車ですらない完全なレース車両)。
駆動方式はFR、エンジンはV型8気筒/3.4Lという規定のもと、各メーカーが製作している。
JGTC発足時は車両規定が緩かったため、Gr.B、Gr.Cなどのカテゴリーの枠を超えた車両も参戦していた。
マシン特性がフォーミュラカーに近い(コーナーリングスピード等)ため、ドライバーの年齢は20~30代が殆どである。
このクラスは日産、ホンダ、トヨタ(レクサス)の国内3メーカー系ワークスの独壇場となっている。
JGTC時代は外国車の参戦も多かったが、基本的にワークスではなくプライベーターだったため開発予算の高騰や日本車寄りのルール改正に耐え切れず、撤退したり、GT300への転向を余儀なくされた。
特にJGTC時代の1996年にマクラーレン・F1GTRがシーズン4勝を挙げ圧勝したのを皮切りに外国車迫害が顕著になっており、SUPER GTに移行後は2009年のアストンマーティン・DBR9を最後に参戦していない(しかもこの車両は同年のAsLMS(アジアン・ル・マン・シリーズ)に向けたテスト参戦で、真っ向から勝負する為の参戦ではなかった)。
2006年には前述の1996年に圧勝したチーム郷がマセラティ・MC12をひっさげてエントリーしたが、開幕前のテストで特認パーツを用いても国産勢に歯が立たず、結局参戦を見送ってしまった。
上記のエンジン規制など、日本メーカーからの圧力による改正をするあまり、閉鎖的なカテゴリーになってしまった。
また、パイプフレームの容認などもコスト削減の対策であったが、却って開発の激化を産んでコストは高騰化してしまった。
2014年・2017年規定、クラス1規定:DTMとの規則統一化
2014年から車両規定をDTM(ドイツツーリングカー選手権)と統一することになった。モノコックを始めとした主要なパーツは各メーカー統一となり、高騰し続けたコストの削減に大きく貢献する見込みである。その分他の部分では自由な開発が可能になり、より強力なダウンフォースを得ることが可能になった。
エンジンは2L直列4気筒ターボエンジン。スーパーフォーミュラと基本設計を同じにするこのエンジンはNRE(Nippon Race Engine)と呼ばれ、従来のターボの燃費の悪さを解消しつつターボの加速力を得ることを可能にした。さらにこれまたDTMと同様にカーボンブレーキが採用され、より強い制動力も得た。
2017年からはさらにDTMとの規定統一を進めた新規定になっており、コーナリングスピードの低減を目的としてダウンフォースを25%削減することが定められている。
強力な加速力、強力なダウンフォース、強力なブレーキング。この3つを得たことで500クラスは異次元の速さを得て、次々にコースレコードを塗り替えた。開幕戦でジャスト3秒ものコースレコードを短縮したオンボードがこちらである。
一方で、DTMとは異なりカーボンブレーキを温めるためのウォーマーは禁止されている。このためフォーメーションラップの前にウォームアップラップまたはパレードラップが一周追加され、ブレーキを充分暖められるようにされている。
2020年シーズンから適用される「クラス1規定」では、エンジンレイアウトがFR(フロントエンジン・リアドライブ)に統一された。これを受けてホンダはNSX-GTのエンジン搭載位置を、市販車と同じミッドシップから新規定対応のフロントレイアウトに変更した。ホンダにとってはHSV-010以来、7年ぶりのFR車参戦となる。
しかし、DTMでは2019年以降マニュファクチュアラーの離脱が相次ぎ、シリーズ存続策として2021年シーズンからはクラス1規格を廃止し、GT3規格をメインカテゴリーに採用した。このため、2023年現在クラス1規格を採用しているのはSUPER GTのみである。
参戦車両(2023年)
- ホンダ・NSX-GT(2017年~2023年) ※ハイブリッド非搭載、エンジンは2019年までミッドシップレイアウト。2020年からクラス1規定に従いFR化。2024年からシビックType-Rに置き換え予定。
- トヨタ・GRスープラ GT500(2020年~)
- 日産・Z GT500(Z34、2022年~)
過去に参戦していた車両
- トヨタ・スープラ(2005~2006年)
- 日産・フェアレディZ(2005~2007年)
- ホンダ・NSX(2005~2009年)
- フェラーリ・550(2005年)
- ランボルギーニ・ムルシエラゴRG-1(2005年) ※シーズン途中にGT300へ転向
- アストンマーティン・DBR9(2009年) ※AsLMSに向けたテスト参戦
- レクサス・SC430(2006年~2013年)
- 日産・GT-R(R35、2008年~2021年)
- ホンダ・HSV-010(2010~2013年)
- レクサス・RC F(2014~2016年)
- ホンダ・NSX CONCEPT-GT(2014~2016年) ※2016年はハイブリッド非搭載
- レクサス・LC500(2017年~2019年)
GT300クラス
最高出力450~550馬力程度。
ゼッケンは黄色地に黒数字、ヘッドライトの色は黄色。
GT500クラスに比べて性能が抑えられ、GT500に比べても低コストで参戦できるため元々はプライベーターの独壇場だったが、近年はメーカーの支援を受けてセミワークス化しているチームも居る。
ところが、それによって元々改造範囲の広い(魔改造レベル)「JAF-GT」規定や、「特認」で実質的なプロトタイプカーが参戦可能であったため、開発費用の高騰が問題となっていた。
このJAF-GTの魔改造についてだが、駆動方式やエンジン搭載位置の変更、ベース車由来では無いエンジンへの換装などは当たり前、挙句の果てにはハイブリッドシステムすら別物のマシン(CR-Z)が現れる始末。過去には改造し過ぎてメーカーからクレームをつけられた事も。
そのため2012年シーズンの規則改正で、新規参戦車両のベースがJAF-GT車両(カテゴリーA、カテゴリーBのみ)と、改造範囲は狭いが安価で導入可能なFIA-GT3車両に絞られた。
ただしFIA-GT3に合わせるため300馬力という制限も事実上撤廃となってしまい、GT300というクラス名自体が空文化したきらいもある。
尚、JAF-GTのカテゴリーC、カテゴリーD、旧FIA-GT1(2011年までの車両)、GT2車両は、2011年シーズンを最後に新規参戦が認められなくなり、2012年シーズンは当初「勝負にならない」性能調整を条件に前年度に参戦していたチームと車両のみが継続参戦可能となる予定だったが、性能調整に関しては東日本大震災の影響により2012年シーズンは「移行期間」という扱いになったため見送られた。そのため、リストリクター拡大等の措置は行われたが、それ以外の性能調整は殆ど緩和されなかったため一部を除き苦戦を強いられた。
2013年以降は該当車両が参戦不可となったため、2012年シーズン限りで全車が引退・参戦休止となった(ガライヤは将来何らかの形で復活を目指している模様で、参戦休止という扱いになっている)。
GT500と違いこちらはメーカー、車種とも多種多彩である。フェラーリ、ランボルギーニ、BMW、アウディ、ポルシェ、メルセデス、日産、レクサス、ホンダといったFIA-GT3勢と、スバル、トヨタ、ロータスなどのJAF-GT勢の戦いはGT500に勝るとも劣らない迫力である。各マシンごとの特徴が如実にでるのでGT500より面白いと言う人も多い。
例えばポルシェ911がプリウスに追い抜かれるという、普通ではあり得ない光景も見られる痛快なクラスとなっている。わけがわからないよ。
ドライバーの層も非常に幅広く、20歳前後の若手から還暦オーバーのベテランまで揃っており、FIA-GT3の本格導入後は海外メーカーの支援を受ける若手やワークスドライバーも増えている。
また、近年はアニメ“系”のキャラクターをマシンにペイントした痛車の参戦で、アニメファン等からも注目されている。
2008年にVOCALOID(初音ミク(第6戦~)と鏡音リン・レン(最終戦のみ))が参戦したのを皮切りに徐々に増え始め、2013年シーズンは5台が参戦。なお、GTでは痛車の元祖とも言われるマッハ号は「痛車じゃない」という意見も多いのでカウントしていない。ちなみに、初音ミクやイカ娘はイメージ通りの純粋な痛車だが、エヴァンゲリオンはキャラクターをペイントせず作中に登場する兵器である初号機や弐号機を模したカラーリングで、どちらかと言うとマッハ号寄りなデザインである。
流行の入れ替わりが激しいジャンルな為、1作品あたり1~2年程の参戦となるケースが多い。3年以上参戦しているのは初音ミク(2008年第6戦~)とエヴァンゲリオン(2010年第3戦~2013年、2016年~)のみである。
しかし、FIA-GT3車両の参戦によりエントリー台数が増える一方、JAF-GT車両(特に日本車)の参戦が減っており、2011年にはJAF-GT車両を使用していたMOLAとBANDOHがGT500へ転向、RE雨宮レーシングとハセミモータースポーツがスポンサー不足を理由に撤退するなど有力エントラントが多数離れる事態となり、日産・フェアレディZ、マツダ・RX-7がSUPER GTから姿を消すこととなった。
国産JAF-GTの減少についてはリーマンショックや排ガス規制の煽りで多くの国産スポーツカーが生産終了、開発中止になってしまい、ベース車がロクに無かった時期があったのと東日本大震災も重なりプライベーターも資金不足で安価なFIA-GT3車両に流れてしまったのも影響している。
2015年は、ハイブリッドカーのプリウスとCR-Z、ターボエンジンのみのBRZの3車種3台のみとなった。なお、CR-Zは2015年がラストイヤーとなる。一方、「現行車」の参戦終了が発表されていたプリウスはモデルチェンジして2016年も継続参戦する。
コストの面から見ると、FIA-GT3車両は新車でも4000万円台から購入できる(元々ジェントルマンドライバーがプロと組み合うことを想定して作られているため)上、シーズン終了後に中古車として売却してキャッシュバックも可能であるのに対し、JAF-GT車両は開発に1億円近い費用が掛かると言われている。また、エンジンも国内製の小排気量のものを使うため、馬力でも劣る上にピーキーな性能にならざるを得ないなどの問題も抱えている。その代わり、開発の自由度が高いので空力性能では有利である。以前はTCS等の電子デバイスも禁止されていたが、現在は解禁されている。
そのためシャシー共通化などのコスト削減案も出され、新たに共通モノコックとなる「JAF-GT300 MC(マザーシャシー)」規定を新設し運用する。2014年には、第7戦でスポット参戦により初登場(トヨタ・86MC)し、2015年からは通年参戦する。MCは「じゃじゃ馬」と呼ばれるほど開発が難しくトラブルも頻発しているが、2016年に早くもつちやエンジニアリングがプライベーターに期待されていた技術力を発揮、86MCでタイトルを獲得した。2017年シーズンでは歴代最多の6台(86×4台、エヴォーラ、マークX)が参戦したが、翌2018年以降はFIA-GT3車両へのスイッチもあり、MC車両は減少傾向にある。
さらに第2世代MCの開発が進まない中でFIA-GT3車両に比べてレギュレーション上の不利を被ることが多くなり、つちやエンジニアリングは2019年シーズンをもって86MCの使用を終了した。また2017年から3年間マークX MCを使用していた埼玉トヨペットGreen Braveは、マークXの生産終了を機に2019年シーズンをもってMC車両の使用を終了した。この時点ではマッハ号(86MC)とエヴォーラMCの2台が残るのみであった。2020年シーズンはインギングモータースポーツが86MCを導入し3台に増加したが、2021年シーズンはMCユーザー同士だったインギングとカーズ東海がジョイント参戦の形式をとってエヴォーラMCを選択したため、再び2台に戻った。2022年シーズンはArnageが86MCを導入する一方でインギングがエヴォーラMCの使用を終了し、台数は変わらず2台だが車種は86MCの1車種だけになった。
FIA-GT3も近年高コスト化が進んでおり、フェラーリやベントレーなどは一台8000万円もするようになった。しかもカスタマーサポートをしてくれないメーカーのマシンの場合、部品取り用にもう一台購入しなければならない。またメーカーからの注目が高まった分、ワークス系チームがプライベーターを駆逐してしまう事態も起きている。なお余談ではあるが、プロ化が進んで敷居が高くなったGT300に不満を持った有志たちが、2014年よりアマチュアドライバー向けのFIA-GT3レースである、スーパーカー・レースシリーズを発足させている。
2021年シーズンから、GT300の車両は前年までの「JAF国内競技車両規則」から「GTアソシエイションが定めるGT300車両規定」によって製作されるように変更された。これによりJAF-GT300車両は「GT300車両」、JAF-GT300MC車両は「GT300MC車両」と改称する。また、シーズン中の空力部品の仕様変更に回数制限が課せられる。
参戦車両(2023年)※下線は新規参戦車両
GT300
GT300 MC(マザーシャシー)
FIA-GT3
過去に参戦していた車両
JAF-GT
- トヨタ・セリカ
- トヨタ・MR-S
- トヨタ・カローラアクシオ
- トヨタ・プリウス(ZVW30)
- トヨタ・プリウス(ZVW50)
- トヨタ・プリウス PHV GR SPORT (ZVW52)
- レクサス・IS350
- 日産・フェアレディZ
- ホンダ・NSX
- ホンダ・CR-Z
- スバル・インプレッサ
- スバル・レガシィB4
- スバル・BRZ(ZC6)
- マツダ・RX-7
- ASL・ガライヤ
- ムーンクラフト・紫電
- ヴィーマック・320R
- ヴィーマック・350R ※JGTC時代にGT500から転向
- ヴィーマック・408R ※JGTC時代にGT500から転向
- フェラーリ・360
- フェラーリ・430
- フェラーリ・458 GTC ※テレビ中継ではFIA-GT扱いされていたが、LM-GTEなのでカテゴリーD扱い
- ランボルギーニ・ムルシエラゴRG-1 ※GT500から転向
- ランボルギーニ・ガヤルドRG-3
- ポルシェ・911 GT3RS(996、997)
- ポルシェ・911 GT3RSR(996)
- ポルシェ・911 GT3R(996)
- ポルシェ・911 GT3 Cup(996)
- ポルシェ・968
- ポルシェ・ボクスター
- BMW・Z4 Mクーペ
- ロータス・エキシージ
- フォード・GT
- モスラー・MT900R
- モスラー・MT900M
JAF-GT300 MC(マザーシャシー)
FIA-GT2
FIA-GT3
- ポルシェ・911 GT3R(997、991)
- アウディ・R8 LMS Ultra
- BMW・Z4(E89)
- BMW・M6 GT3
- アストンマーティン・V12ヴァンテージ
- アストンマーティン・ヴァンテージ GT3
- ランボルギーニ・ガヤルドLP600+
- ランボルギーニ・ガヤルドFL2
- ランボルギーニ・ガヤルドLP560-4
- フェラーリ・458 GT3
- フェラーリ・488 GT3
- シボレー・コルベット(C6、C7)
- モスラー・MT900R
- メルセデス・ベンツ SLS AMG
- ベントレー・コンチネンタルGT3
- マクラーレン・MP4-12C
- マクラーレン・720S
競技について
レース
レースはGT500クラス、GT300クラスの混走で行われ、各クラスの順位を競う。
1台につき登録された2名のドライバーが参加する。ただし、GTアソシエイション(統括団体)の定める場合は1名の追加登録が可能である。
予選
予選はKNOCK OUT(ノックアウト)方式で行われる。2012年までは一部のレースでスーパーラップ方式も採用されていた。
- KNOCK OUT(ノックアウト)方式
- Q1、Q2の2回のセッションに分けて行われるラップタイムによる上位勝ち上がりの方式。
- Q2で定められた規定の台数より下位の車両がQ1で脱落し、上位はQ2に進出する。脱落した車両はその段階で決勝でのグリッド順が確定する。最終セッションでの最上位車両がポールポジションとなる。
- ドライバーはQ1、Q2で別々に起用しなければいけない。
- 決勝で使用するタイヤは、Q1とQ2で使用したものを抽選で選ぶ。それ以外のタイヤは使用不可。
- セッション中に赤旗の原因を作った車両はそのセッションのタイムが全て抹消され、再アタックもできない。同セッションで複数居た場合は先に原因を作った車両が下位となる。
- 2012年までは3回セッションで、Q2に進出した車両は、Q2で使用したタイヤをQ3・決勝第1スティントで使用しなければならなかった。
- 2015年からは、GT300・Q1(15分)→インターバル(5分)→GT500・Q1(15分)→インターバル(10分)
- →GT300・Q2(12分)→インターバル(8分)→GT500・Q2(12分)で行われる。
- 予選1回目(~2012年)
- 両クラス混走→300クラス→500クラスの順で行われる。各カテゴリ上位3台の平均タイムより107%のタイムを「公式予選通過基準タイム」とし、参加するドライバーはこれを達成しなければならない。
- SUPER LAP(スーパーラップ)方式(~2012年)
- 1回目の予選走行順位上位10台が進出できる。ただし、各チーム参加するドライバー全員が公式予選通過基準タイムを達成できていない場合は進出できない。1回目の予選走行で11番手以下の車両はその段階でグリッド順が確定する。
- 下位より1台ずつ順番に一発勝負のタイムアタックを行い、ここでの順位により決勝でのトップ10リッドの順位が決まる。
- SUPER LAP進出チームは、SUPER LAPで使用したタイヤを決勝の第1スティント(スタート時)に使用しなければならない。
決勝
決勝走行はローリングスタート形式で行われ、1周のウォームアップラップ、1周のフォーメーションラップ後にスタートとなる。ウォームアップラップはパレードラップと称され、開催地の地元警察の交通機動隊または高速道路交通警察隊が複数台の白バイ及び交通取締用四輪車で先導し、その後ろをセーフティカー、参戦車両と続く。1周目終了後に警察車両が、2周目にセーフティカーが退き、正式なスタートとなる。
基本的に最低1回のピットストップ(給油)が義務付けられ(レースによって2回に設定され、給油が義務付けられなくなる場合がある)、1名のドライバーが一つのレースで総距離の2/3以上を走行してはならない(この場合の「総距離」はその車両の総走行距離ではなく、レース規定の走行距離を指す)。
各レース定められた距離に応じた周回数を周回する。
GT500、GT300両カテゴリを通じてトップの車両がその周回数をクリアし、チェッカーフラッグを受けた時点でレースが成立する。
その後コントロールラインを通過した車両に、各カテゴリのトップ車両とのタイム差・周回差に応じて各カテゴリの順位が割り当てられる。
トップ車両の周回数の70%以上の周回数をクリアしていれば、完走扱いとなる。
その他
- ドライバー識別灯
- マシンに搭乗しているドライバーは、フロントウィンドウに装着されている「識別灯」で見分けることができる。
- (2020年から)ドライバー名のアルファベット3文字
- (2014年から2019年まで)第1ドライバー 赤 / 第2ドライバー 青 / 第3ドライバー 緑 / 第4ドライバー 白
- (2013年まで)ファーストドライバー=常時点灯 / セカンドドライバー=点滅 / サードドライバー=消灯
- ピット作業
- ピット停車時はエンジンを停止しなければならない。給油作業中は一部を除いてタイヤ交換など他の作業を行ってはならない。ピットレーンに出られる人数は7人までで、一度に作業に当たれる人数は5人まで。タイヤ交換は2名で行う。
- タイヤウォーマー(機械などを用いてタイヤを暖める行為)は禁止(日向に置くのはOK)。その為、ピットアウト(タイヤ交換)後の最初の周回「アウトラップ」はタイヤが冷えているためラップタイムが遅くなる。
- 基本的に、タイヤ交換は義務ではないので無交換という作戦も可能。前後2輪のみ、左右2輪のみ交換も可能で、作業ルール上殆ど例は無いが1輪交換や3輪交換もOK。
- しかしタイヤトラブルが頻発したことからレースの安全面を考慮した結果、2020年シーズンの第2戦では、GT300クラスの全車両に対して決勝では(ドライタイヤスタート時)ドライバー交代と同時にタイヤ4本全交換が義務付けられた。(参考リンク)
- また2016年から(前年SUGO大会におけるピット大渋滞を受けての)レギュレーション改正によりセーフティーカー導入中のピットレーン進入が禁止され、違反車両は60秒間のペナルティストップが課せられる事となった。この為、単純に車両の速さ、ドライバーの腕だけではなく、ピットエリアで作業にあたるピットクルーの作業能力(特にタイヤ交換)もレースを大きく左右させる、大きな見どころである。ピット作業の速さで特に有名なのは日産系エースチームのNISMOが挙げられる。
ドライバーズポイントとチームポイント
SUPER GTでは、ドライバーに与えられるポイント・ドライバーズポイントと、チームに与えられるポイント・チームポイントの二種類があり、それぞれ別に集計され、「ドライバー」・「チーム」それぞれのタイトルが与えられる。
基本的には、「ドライバーズポイント」が重要視される。
チームポイントは完走すれば最低でも1ポイントが得られるが、ドライバーズポイントは10位以内に入賞しなければポイントを獲得することが出来ない。
順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 予選PP (2016~) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ポイント | 20 | 15 | 11 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 1 |
700km以上のレース | 25 | 18 | 13 | 10 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
第3ドライバーのポイントは120km以上周回した場合に加算される。
レースが2週以上75%の周回未満で終了した場合は、ポイントは半分となる。
チームポイントは、上記ポイントに加えて下記の完走ポイントも加算される。
完走周回 | トップと同一 | 1周遅れ | 2周遅れ | 3周以上遅れ |
---|---|---|---|---|
ポイント(GT500) | 3 | 2 | 1 | |
ポイント(GT300) | 3 | 2 | 1 |
カーナンバー
各参戦車両は「2」から「999」までの好きな番号を選択することが出来る。ただし前シーズンに参戦していた車両のカーナンバーは次シーズンでも使用できる優先権がある。
「1」は前年度GT500クラス王者、「0」は前年度GT300クラス王者が使用できる。但しチャンピオンナンバーの使用は任意である為、前シーズンに使用していたナンバーを継続使用することも可能である。
2023年シーズンは、GT500クラス王者のTEAM IMPULはチャンピオンナンバー「1」を使用。一方のGT300クラス王者のKONDO RACINGはカーナンバー「56」を継続して使用するため、GT300クラスのチャンピオンナンバー「0」は5季連続で空き番号となる。
サクセスウェイト(ウェイトハンデ)
SUPER GTでは、成績上位車両と下位車両との戦力差を補完するために上位車両に重りを載せるサクセスウェイト(ウェイトハンデシステム)を採用している。2020年までは「ウェイトハンデ」と呼称していたが、2021年から「サクセスウェイト」に改称した。積載重量の計算方法は下記表の通り。
算出方法を「参戦レース数」で分類しているのは、スポット参戦が有利になるのを避ける為※。
50kg以下の場合は助手席部分への積載が義務付けられているが、それ以上の場合は自由な位置に積載できる。
かつてはレース結果が良くなかった場合はウェイトバンデを降ろすことが出来たが、シーズン中盤からウェイトハンデ増加を嫌って故意に順位を下げる行為が頻発。さらに、入賞圏内でもウェイトハンデを「最大まで降ろせる」順位が存在していたため、2009年最終戦の前戦ではファイナルラップにその順位を狙ってフィニッシュライン手前までスロー走行しながら競り合うという本末転倒な事態が発生したため、現在のルールとなった。
2014年・2015年は、GT500はウェイトハンデが50kgを超えた場合には50kg相当分を燃料リストリクター経で調整を行う方法に変更していた。2016年は従来までの実際の重量を載せる形に戻されていたが、2017年に再び燃料リストリクターを絞る形に変更、3種類の口径のリストリクターを用いて実重量と組み合わせて細かくハンデ設定する形になる。
参戦 | 積載ウェイト | |
---|---|---|
GT500 | GT300 | |
参戦6戦目まで | 累計ドライバーズポイント × 2kg | 累計ドライバーズポイント × 3kg |
参戦7戦目 | 累計ドライバーズポイント × 1kg | 累計ドライバーズポイント × 1.5kg |
参戦8戦目 | サクセスウェイト無し(0kg) | |
※ウェイトの最大積載量は100kg。 500クラスは50kg超過分を燃料リストリクター制限(最大85.5kg/h)に置き換え |
※例えば、第6戦までで何戦か好成績を収めたあとに数戦をスキップし、終盤戦でハンデが半減、もしくはゼロになったところで再び好成績を得ようという可能性を排除するため(AUTOSPORT webより)
タイヤ
SUPER GTはタイヤはワンメイクではなく、各チームがそれぞれの車両やドライバーの特性(財政事情を含む)に合ったメーカーのタイヤを使用している。タイヤメーカーによって気象や路面温度、持久力など適した特性があり、こういった点も観戦の隠れた見所である。
現在SUPER GTにはブリヂストン、横浜ゴム、ミシュラン、ダンロップの計4メーカーが参戦している。
近年のモータースポーツ界ではコスト削減の一環でタイヤがワンメイク化されている事が多く、これだけのメーカーが鎬を削るのは世界的にも珍しい。
GT500においては長らくブリヂストン、GT300では横浜ゴムの独壇場だったが、GT500では2011、2012年とミシュランを装着したMOLA GT-Rがチャンピオンを獲得、一方のブリヂストンはレインタイヤの性能で大きく水をあけられてしまった上、ドライでも2012年の鈴鹿1000kmではバーストが多発し問題となった。2013年はミシュランを選ぶチームが更に増え、GT300にも久々に復帰したがGT300は翌年限りで再び撤退、2020年に再参戦する。GT300では有力チームを中心にブリヂストンやダンロップが勢力を伸ばしており、横浜ゴムを使用するチームの割合は年々減りつつある。
かつてはハンコックとクムホも参戦していたが、ハンコックは2014年以降、クムホは2010年以降参戦していない。
ドライビングモラルハザードとペナルティ
SUPER GTでは危険な走行行為の防止やレース規範の維持の為、ドライビング中、或いはそれ以外でのドライバーのマナー・モラルに反する行為に対して、ペナルティポイントを課すシステムを適用している。
一定のポイントに達すると公式練習走行や予選アタックへの参加禁止、レース出場停止の措置が講じられ、統括団体であるGTアソシエイションより(一般に向けても)告知される。
「積極的な攻めが出来ない」と…ペナルティを受けた某ドライバーが発言しているらしいが、「クリーンなファイトが出来る素晴らしいシステム」と外国人ドライバーから絶賛もされており、システムとしては評価が高い。が、一方でどう考えても即時ペナルティ+ポイント付加となりそうな行為に対してスルーされているチームもあり、(或いは明らかなGT500車両優遇裁定など)不可解なところもあったりする。
規定上のポイント加算事例は以下の通り。
ポイント | 事例 | 項目 |
---|---|---|
1 | 白黒旗の提示を受けた危険なドライブ行為 | 一般原則 危険なドライブ |
2 | 同クラス同士の接触で相手をスピンアウトさせる | 一般原則 |
3 | 他クラス車、同クラス異周回数車をスピンアウトさせる | 一般原則 |
3 | 黄旗中のスピン | 危険なドライブ |
3~ | 赤旗中のスピン | 危険なドライブ |
1~3 | 安全確認義務違反 | 一般原則 危険なドライブ |
3~5 | 安全確認義務違反の上、他車両をコースアウトやクラッシュさせる | 危険なドライブ |
4~10 | 報復行為、悪質と判断される行為や暴力行為 | 危険なドライブ |
2~5 | 青旗無視 | 一般原則 危険なドライブ |
「オレ悪くないよ~ww」
この人(とチーム)が無罪放免になったのが一度や二度じゃないのがミソ。
ポイントが課せられた場合、ペナルティを犯さずに2レース参戦する事で-2ポイントの減免措置が取られる。 また、ポイントはシーズンを跨いで1年間累積される。2シーズンレースに参加がない場合は原則として0点となる。
下記表における、罰則の「次大会のレース参加拒否」が履行された場合5ポイント減算される。
ペナルティポイントは、接触行為や危険な走行行為の他、レース外での行動にも適用される。
例えば、2009年開幕前、岡山国際サーキットでの公式合同テストの際、コース上のトラブルに関連してピット裏で抗議した井出有治を突いたとしてブノワ・トレルイエにペナルティポイントが課せられた。
ポイント | 罰則 |
---|---|
4 | 公式練習最初の1時間参加禁止 |
6 | 公式練習終日参加禁止 |
8 | 公式練習終日参加禁止 決勝スターティンググリッド8グリッド降格 |
10 | 次大会のレース参加拒否 |
2023年の開催予定・サーキット
新型コロナウィルスの影響により、マレーシア(2020年から3年契約)とタイが4年連続で開催見送りとなった。
一方で、第3戦鈴鹿と第7戦オートポリスが450kmに延長され、8戦中5戦が450kmとなった事から、昨年より総走行距離が伸びて第3ドライバーを起用できる機会が増加した。
Round | 日程 | 開催サーキット | 走行距離・時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
Rd.1 | 4/15-16 | 岡山国際サーキット | 300km | |
Rd.2 | 5/3-4 | 富士スピードウェイ① | 450km | |
Rd.3 | 6/3-4 | 鈴鹿サーキット① | 450km | |
Rd.4 | 8/5-6 | 富士スピードウェイ② | 450km | |
Rd.5 | 8/26-27 | 鈴鹿サーキット② | 450km | |
Rd.6 | 9/16-17 | スポーツランドSUGO | 300km | |
Rd.7 | 10/14-15 | オートポリス | 450km | |
Rd.8 | 11/4-5 | モビリティリゾートもてぎ | 300km |
2023年の参戦チーム・マシン・ドライバー(両クラス計43台)
観戦にあたって
レースは予選日と決勝日の二日間に分けて開催されます。
サーキットでは主要レース以外にも様々なイベントやサポートレースが開催されています。加えてコース上のレース・イベント以外でもコース外で様々な催し物や展示物が存在するので、レース時間以外にそちらを周ったり楽しむことができます。
通常の客席での観戦以外にも、予選日・決勝日にはピットウォークが開催され、ピットウォーク券、パドックパスを購入した観客にピットレーンが開放されて、車両、ドライバーさんと間近に接することができます。
また、予選日終了後に子供向けのピットウォーク・「キッズウォーク」が開かれ、こちらは入場券があれば親子連れのみで参加することが出来ます。
パドックパスを購入しておけばパドックにも入れます。パドックとはピット裏のエリアで、ドライバーやスタッフの方の作業エリアです。
そういった空間なので、通常の客席とは違う、独特の雰囲気を味わうことができ、運がよければドライバーさんなどと接することができますが、
そこがドライバーやスタッフの方々の作業エリア=仕事場であるという事を忘れないように(!)しましょう。
スタッフの方たちの迷惑になりますので、通路を塞いだり、ましてやガレージ内に立ち入ったりしてはいけません。
決してドライバー、スタッフの皆さんの作業、行動の妨げにならないように、また、周囲のお客さんの迷惑にならないように心掛けましょう。
サーキットによってはピットビル上(ピットエリアの真上)から観戦することができる場所もあります。
緊迫したピット作業を良く見ることができる、楽しめる場所ですが、以下の事に気を付けるようにしてください。
・絶対に(旗やタオルなど)物を振り回したりしない。
・カメラ・携帯電話などで写真を撮ろうする時、下に落とさないように最大限の注意を払う
(ネックストラップなどを用いる事をお勧めします)。
直下のピットレーン上に物を落としたりしたら大惨事を招きかねませんので、注意しましょう。
レース中、サーキットにはGTカーの爆音が鳴り響きます。公道では聞けないレベルの爆音のため、大音響に不慣れな方は耳栓を持っていくことをお勧めします。もし忘れてしまった方でも現場で売っているものでも可。
またレース中、めまぐるしく変化するレース展開を、FMラジオで実況・解説しています。対応機器を持っていると、より深く楽しむことができます。
チケットの販売方法、構成、チケットごとの入場可能エリア、料金などは大会・サーキットにより異なりますので、SUPER GTの公式HP、各サーキットのHPで確認してください。
なお、夏場の観戦では脱水症状などの熱中症対策、日焼け対策は怠らないようにしましょう。
また春・秋の観戦は寒さ対策をお勧めします。大半のサーキットは山の中にあるのと観戦の性質上じっとしていることが多く結構冷えるので、麓の感覚でいると凍える恐れがあります。
関連動画
関連チャンネル
関連商品
削除対応(株式会社GTアソシエイション名義)
動画 | 詳細 |
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'09 SUPER GT 第1戦 岡山国際サーキット【GT500ダイジェスト】 |
関連項目
- モータースポーツ
- 全日本GT選手権(前身)
- スーパーフォーミュラ(旧フォーミュラ・ニッポン。SUPER GTのチーム・選手が多く出場している)
- スーパー耐久
- DTM(ドイツツーリングカー選手権)
- WEC(世界耐久選手権)
- FIA-F4(併催サポートレース)
外部リンク
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