ガンダム・キマリスとは、アニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場するモビルスーツである。
概要
GUNDAM KIMARIS ガンダム・キマリス |
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型番 | ASW-G-66 |
頭頂高 | 19.3m |
重量 | 31.7t |
搭乗者 | 初代ボードウィン卿 ガエリオ・ボードウィン |
動力 | エイハブ・リアクター×2 |
採用フレーム | ガンダム・フレーム |
武器 |
ガンダム・バルバトス、ガンダム・グシオンらと同様、72機のうち現存するガンダム・フレーム26機が一。
放送開始直後から設定画が公開されていたが、劇中での登場は後半となる。
ガンダム・フレーム共通項として、レメゲトン第一章『ゴエティア』の72柱の悪魔が名前の元ネタであり、当機の元ネタであるキマリスは序列66番の悪魔である。やはり序列と形式番号が一致している。
他のガンダムフレームと異なる特徴として、ブースターやドリルなど脚部になんらかのギミックを仕込んでいることが上げられる。
西洋騎士を思わせるデザインで、紫色の装甲に身を包んでいる。
全身の各所にブースターを搭載しているだけでなく、両脚には展開して大型ブースターとなるギミックが存在している高機動モビルスーツ。そのギミックのため、この形態では主に宇宙での戦闘を想定していると思われる。
装備は物理での近接戦闘を主体とする同作のモビルスーツ戦闘の基本に則っており、馬上ランスを象った槍「グングニール」がメインウェポン。
ブースターの推進力で突撃し、その威力を加算したグングニールで敵を刺し穿つのがキマリスの基本的な戦法となる。このグングニールには120mm砲も内蔵されているため、射撃戦への対応も可能。
また、両肩には高速回転する手裏剣状の飛び道具「スラッシュディスク」を備え、構成材質にガンダム・フレームの素材が一部含まれているため、ナノラミネートアーマーすら切り裂くことができる。
腰には折りたたみ式のコンバットナイフが懸架されているが、基本的にグングニールで事足りる為、不慮の事態に対応するためのフェイルセーフとして装備している。
後述のトルーパー仕様から判明する事だが、本機のフレームには独自の機構「マルチスロットアクセラレーター」が搭載されている。しかし、この機構の用途は不明のままとなっている。
同様のフレームそのものに特殊な機構を持つ機体の数は不明である。
マルチスロットアクセラレータ
予め、これはデザイナーである形部一平氏の想定であり、以下の記述は公式設定ではないことを明記しておく。
マルチスロットアクセラレーターという謎の装備だが、放送終了後に発売されたメカニカルワークスにて用途が判明した。
この装備、本来飛散するだけのエイハブ・ウェーブを増幅し至近距離まで接近した敵機に向けて放射、パイロットの脳を破壊するための装備であることがデザイナーメモによって判明。
本来は「スティング」という名称であり、特に阿頼耶識を使っているパイロットに特によく効くとされる。
ガンダム同士のパワーは互角であるため組み合った状態で照射することでパイロットのみを殺しMSを無力化する、1期当時のガエリオであればそのような非人道的な装備を使わないであろうことは想像がつく。
というか明らかにモビルアーマーではなくガンダム同士の戦いに特化したこの装備だが、開発陣は何を思ったのだろうか。
厄祭戦終結後、モビルアーマーではなくガンダムが世界の脅威に成り得ると判断したのか、今となっては定かではない。
ガンダム・キマリストルーパー
GUNDAM KIMARIS TROOPER ガンダム・キマリストルーパー |
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型番 | ASW-G-66 |
頭頂高 | 19.1m |
重量 | 32.7t |
搭乗者 | ガエリオ・ボードウィン |
動力 | エイハブ・リアクター×2 |
採用フレーム | ガンダム・フレーム |
武器 |
地上戦用に装甲・装備を換装した形態。上記と変わらずガエリオが使用。
頭頂部を始めとして、装甲が大きく変わっており、地上戦で扱うために軽量化が成されている。
また、やはり大型ランスを得物にするが、こちらでは騎士らしくシールドも装備。シールドにはコンバットナイフの位置づけと思われるキマリスサーベルが懸架されている。
専用ランス「デストロイヤー・ランス」にはグングニールより口径の大きい140mm砲が搭載されている。
また、リアアーマーには拠点制圧や対人・対モビルワーカー戦用の機雷が装備されている。
しかし、何より特徴的なのが脚部の部分的な変形機構。脚部装甲を変形・展開させることで四脚のような状態となり、ブースターの推力によるホバー機動が可能となる。
作中でも、雪上という悪路をホバー移動により文字通り高速で飛び越えていた。
サイドアーマーはサブアームとして使用することが可能で、重量のあるランスの保持などに用いられる。
ガンダム・ヴィダール
ガエリオが素性を画し仮面の男ヴィダールとして行動する際に使用していたキマリス(トルーパー)を偽装改修したガンダム。前述の2形態に比べるとより対MS戦に特化した調整・装備がされている。
詳しくは該当記事参照
→ガンダム・ヴィダール
ガンダム・キマリスヴィダール
GUNDAM KIMARIS VIDAR ガンダム・キマリスヴィダール |
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型番 | ASW-G-66 |
頭頂高 | 不明 |
重量 | 不明 |
搭乗者 | ガエリオ・ボードウィン |
動力 | エイハブ・リアクター×? |
採用フレーム | ガンダム・フレーム |
武器 |
アリアンロッドで偽装運用されていたキマリスが新たな改装を受けた姿。偽装時代に追加されたシステムについては当時の姿「ガンダム・ヴィダール」を参照。
搭乗者のガエリオ・ボードウィンが生存を明かしたことで、本機の偽装の必要がなくなったため、名称を元の「ガンダム・キマリス」に戻しつつも、偽装時代の名称である「ヴィダール」を同時に冠している。
第4OPに登場していた謎のガンダムの正体で、バンダイホビーサイトにて先行公開された。
槍弾射撃機構を持つ新型ランス「ドリルランス」を主武装とし、両膝にも工具のような円柱型ドリルが仕込まれている。この「ドリルニー」はドリルランスを役立てづらい超近距離において猛威を揮い、軽々と装甲を貫通する必殺武器と化しているため、機動力を封じられる距離においても全く安心できないのが、キマリストルーパーまでの姿と大きく異なる部分である。
キマリストルーパーでは手持ちだったシールドは背部にある二本のサブアームに一枚ずつ、計二枚装備する方式になった。また、サブアームごとシールド先端をドリルランスに接続することで保持力を高めることができる。
現行技術での調整はあるものの、厄祭戦を終結に導いた時の姿である。
ただし、「確認されている」との表現からロールアウト直後のままであるかに関しては不明。
戦後は採用されている火器の1つが創設された当時の「ギャラルホルン」の手で「禁忌」にされた事もあり、
公式の場や式典などの出席のために装甲が換装されていた事が窺える。
従来のキマリスには無かった「槍型の弾丸と専用の射出機構」、
その正体はナノラミネートの防御を物ともしない兵器「ダインスレイヴ」そのものである。前述のシールドとの連結機能もダインスレイブを射出するためのものである。
同じフレーム機のガンダム・フラウロスの物とはその運用思想が大きく異なり、
長射程に比重を置いたあちらに対して、ショートレンジでの一撃必殺を目的としている。
ガンダム・キマリスとボードウィン家
この機体は、ギャラルホルン名家「セブンスターズ」が一・ボードウィン家の象徴たる機体である。
かつて起こった戦争「厄祭戦」においてこの機体に初代ボードウィン卿が乗り込み武勲を挙げ、戦争に終止符を打った。
この時の活躍が、ボードウィン家が「セブンスターズ」となったきっかけと言われている。
以上のことから現在でもギャラルホルンの理念の象徴として式典に駆り出されていた。
・・・が、同じガンダム・フレームであるガンダム・バルバトスが火星の少年たちの手に渡り、少年たちは革命の象徴を守る存在になりつつあった。
この状況をよしとしない治安維持組織ギャラルホルンは少年たちを追走するが、その追撃メンバーに入っていたボードウィン家の末裔であるガエリオ・ボードウィンは遂にこの機体を戦闘に持ちだすことを決意。キマリスは300年ぶりに戦線復帰することになる。
なお、ボードウィン家以外の家門にもそれぞれのガンダム・フレームが存在し、その殆どはガンダム・バエルと共に「バエル宮殿」に封印されている。
家門で所有しているのは現状ボードウィン家のみとなる。
作中の戦績
ドルトコロニーで鉄華団が戦闘に介入したことにより、ギャラルホルンの戦闘理由が腐敗そのものであることから出撃を快く思っていなかったガリガリガエリオも遂に重い腰を上げ、対鉄華団戦に出撃。これがガエリオがキマリスを駆る初陣となる。
機動力で翻弄する戦い方はガンダム・バルバトスと三日月・オーガスの苦手とする部分であり、三日月を追い詰めたが、仲間たちの介入により戦況を押し返され、状況的な問題で戦闘を中断、撤退している。
この戦闘ではまだコンバットナイフは装備していなかった様子。
その後、地球低軌道上で大気圏突入準備に入った鉄華団と交戦。
追加ブースターとコンバットナイフを装備し、より速度を上げて対応範囲を超えた速度でバルバトスを打倒しようとするが、短期間に鉄華団がリアクティブアーマーをバルバトスに実装したという誤算から仕損じ、自身を庇ったアイン・ダルトンが致命的な傷を受けることになってしまう。リアクティブアーマーを提供したのが例の男ならガエリオは裏切られた形になってしまうが・・・。
地球では上記「キマリストルーパー」に換装されとして登場。瀕死のカルタ・イシューを救助するために現れ、巻き上げた雪煙とホバー機動によるスピードにより、完全にカルタを殺す気でいた三日月からカルタ機を救助した。しかし・・・。
その後、エドモントンでの戦闘においてグリムゲルデに乗っていた仮面の男・モンターク=マクギリス・ファリドにより沈黙させられる。エドモントン戦後、ガンダム・フレームはボードウィン家に返還された。
―――と思われていたのだが、実はエイハブ・リアクター周波数の改竄などの偽装改修を施した「ガンダム・ヴィダール」としてギャラルホルン月外縁軌道統制統合艦隊「アリアンロッド」で運用され、任務を行う傍らマクギリスの動向を伺っていた。
その後、ガエリオ・ボードウィンの表舞台への帰還により、当機も偽装状態を解除し換装、「ガンダム・キマリスヴィダール」として再び戦線に立つこととなった。
ガエリオが駆るバエルと決着を付けようとするも、阻もうとする石動が駆るヘルムヴィーゲ・リンカーと刀を交える。お互い姿は変わってるもののキマリスとグリムゲルデのリベンジマッチであるが、石動を引き離し再びマクギリスを狙う。マクギリスをあと一歩まで追い詰めるも割って入ったヘルムヴィーゲがバエルを庇い大破。石動から語られたマクギリスへの期待は、かつてガエリオを庇ったアインとの信頼関係を思い起こさせるものだった。
マクギリスとの最後の戦いは、一旦火星に降りたマクギリスが再度出撃してきた際に行われた。互いに死力を尽くしたぶつかり合いの末、キマリスヴィダールも左腕を失うなど大きなダメージを受けるが、折れぬ剣と言われたバエルソードをへし折り、最後は壊された足の残骸からドリルニーのドリル刃を拾い上げ、それをバエルの胸部に突き刺してマクギリスとの戦いに決着を付けた。
だが、酷使された阿頼耶識システム Type Eは、不可逆的に機能を停止してしまった模様である(おそらくはその元となったアイン・ダルトンの脳も「死亡」した)。
ゲーム作品において
ガンダムVSシリーズ
ガンダム・キマリストルーパー
「友のため!誇りのため!俺は戦う!これが、俺の戦う理由だ!!」
マキシブーストONよりガンダム・キマリストルーパーが参戦。コストは2000。本編でガンダム・ヴィダールが大立ち回りを披露していた時期の2016年12月下旬に解禁、プレイアブル機として初のギャラルホルン機体である。格闘寄り万能機でデストロイヤーランスに搭載されたマシンガンを主軸に近づきランスで相手を突き刺し、叩き付けていくのが大まかな立ち回りである。なお本編では使われなかった機雷も使用できる(「こういう手もあるのだ!」)。格闘寄りだが、低耐久であること、その上マシンガンや機雷の射程も短く必然と近距離で戦わなくてはならない。アップデートで射撃関係のアッパー調整が加えられ、同コスト帯でも高性能になった。
この機体に載る上で重要なのは格闘CSのランス突撃を当てられるか否かにかかっている。突進速度はそれなりだが、移動距離と誘導、威力は優秀なため、半端な横移動やコストオーバーした機体に覚醒逃げさせず仕留めることも可能。しかし派手なエフェクトの割にスーパーアーマーが付いてないので、正面では簡単に迎撃されてしまうので正々堂々と闇討ちが基本。相方はマスターガンダムやガンダムエピオンのように前線でガンガンロックを集めてくれる機体が好ましい。
掛け合いも豊富で、サンダーボルトのイオには戦場で音楽を流すことにツッコんだり、三日月と同じ火星出身のゼハートに疑心を抱いたり、ニュータイプの反応速度に驚いたりと様々。あのサイコ・ザクのダリルに対しては「お前その身体…アインと同じ…」と複雑な心境の模様。なお、ゲームオリジナルキャラのセシアと組むと、「俺とアインの関係を、セストとやらが喜びそう?お前、何を言っている?」と言う(セストの好きなものが男の友情なので)。なお収録時期の兼ね合いか、ガエリオから三日月への言及はあるが、三日月からガエリオへの言及は無い。なお「ガリガリ」は称号に、「隣の人」はコメントパーツになっている。
ガンダム・キマリスヴィダール
エクストリームVS.2より参戦。コストは最高の3000。VSシリーズ初の最高コストでメインが常時マシンガン機体である。鈍足付与のダインスレイヴ(特殊KEP弾)、誘導切り急速接近とカウンターの阿頼耶識Type-E、射撃ガード付き格闘と高い荒らし性能を持つドリルランスぶん回しという選択肢を持つ近接寄り万能機である。覚醒技は「俺とアインが信じる力」。バエルとの最後の攻防を再現したものになっている。
なお解禁当初はガンダムAGE-FXで終わったかと思われた「最初の最高コストの解禁機体は壊れ」となってしまった。メインのマシンガンは一度の発射回数が多い為、着地を狩りやすく、そこからのキャンセルでダインスレイヴを放てば10秒は鈍足にできた。ドリルランスぶん回しもブースト消費が少なく乱戦では大活躍だった。修正後は、慎重かつ大胆に、チャンスを通さないと勝てない機体である。なおこれまで19年3月までの時点で、2回も弱体化修正を受けたが尚も使用率は5本の指に入る。
関連動画
関連項目
- 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
- ガエリオ・ボードウィン
- ガンダム・ヴィダール(当機に偽装改修を施した姿)
- ガンダム・フレーム
- グングニル(武装名の元ネタ)
- ガンダムシリーズのMS・MAの一覧
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