スズキ・アルトとは、スズキが販売するハッチバック型軽自動車である。
概要
ワゴンRが登場するまではスズキを代表するモデルであり、現在でもハッチバック型として主力のモデルである。実用グレード中心であるが、ホットモデルとしてアルトワークスとターボRSがある。
初代やワークスはお役所に睨まれたモデルであり、いくつかの規制はだいたいこいつのせい。
マツダにはキャロルとしてOEM供給され、かつては日産にピノの名称でOEM供給されていた。
登場の背景
1970年代後半、軽乗用車は大転換期を迎えていた。1958年にスバル360が登場して以来、各社はこぞって軽乗用車を登場させていった。スズキでも1955年に軽自動車一号になるスズライトを誕生させ、その後フロンテへと繋いでいったが、1967年に登場したホンダ・N360の登場と共に高性能化が進み、また所得の倍増によって軽自動車の豪華化が進んだ。1970年に登場したダイハツ・フェローMAXに至ってついに40馬力となり、また装備も下手な自動車よりも充実した装備となった。
しかし、排ガス規制が始まると共に過剰気味だった出力は抑えられ、パワーウォーズに終止符がうたれた。また所得の倍増がさらに進むとユーザーは普通車へシフトしていき、さらに軽自動車規格変更と1970年代の数年間で軽乗用車を取り巻く環境は大きく変化し、各メーカーは混迷を極めたその動向に試行錯誤をしていた。それはスズキとて例外ではなかった。この当時の主力はスズキ・フロンテであったが新規格以降に際しては拡幅のみであり、また駆動方式も旧態依然としたRR方式であった。エンジンもまた毎年のように変わる規制の中で一時的であるがダイハツのエンジンを供給されるなど、混迷ぶりは相当なものであった。
この中でスズキは独自研究の結果、軽自動車で乗車する人数は1名もしくは2名であるとし、また当時45~50万円前後の中古車の売れ行きが良かったことから、これと同等の価格帯の新車の開発が目指すこととされた。旧来のエンジンの使い回しや部品の簡素化・質素化を始めとした徹底したコストダウンにとどまらず、車輛登録を非常に高額な物品税15%が免税となる軽貨物車登録とする事で車両以外でかかるお金を削ることにも成功した。
では、具体的にどのようにして軽貨物車登録としたかというと、後部座席使用時における後部座席のスペースの広さを荷室と同等以下にする、という手に打って出た。こうすることで、軽貨物車として登録可能となるからである。後部座席の背もたれはほぼ垂直の形状となり、ニールームは非常に狭く、ドライバーの足の長さによってはほとんど埋まってしまい座れなくなるほどの狭さであった。しかし、後部座席を利用する機会はほとんど無いという前述の調査結果から、後部座席の居住性はこれでも問題なしと判断された。
「走る・止まる・曲がる」と言う部分以外は徹底的に無駄を省いた設計となっており、ウィンドウウォッシャーは電動式ではなく、手動ポンプを使用する物になっている。この他、内張りを省略した部分もあり、その部分は塗装のみになっている。足回りもリアは旧態依然ながらもコストを抑えられるリーフサスを採用した。ほんの数年前までの豪華さを売りにしていた軽の思想の対極を行くものであった。
また、旧来のエンジンを使いまわし出来た点も大きかった。元々、スズキは2ストロークを得意としており、初代アルトが登場した時点で4ストローク車は数あるスズキの軽自動車でもフロンテのみであった。排ガス規制が進むと構造的に排ガスの浄化が難しい2ストロークの採用を他社がやめる中で、軽貨物登録の場合は規制が緩い為、旧来からの2ストロークエンジンをほぼそのまま使用する事が可能であった。アルトにとっては出来立てホヤホヤでコスト面でも信頼性の面でもまだまだ未知数である4ストロークエンジンよりも動力性能や信頼性、コストの面でも2ストロークエンジンの方が有利であった。余談ながら、初代アルトに搭載されている2ストロークエンジンはジムニーやキャリイのものと排気量が同じなので、同一であると言われる事もあるが、実際には一緒なのは数字だけであり、実態はまるっきり別物である。
こうして、登場したアルトは47万円と言う、当時としても非常に廉価な価格で販売開始となった。このお値段はベンツのドア1枚分と言う都市伝説があるが、それぐらいに衝撃があったようだ。当然、バカ売れとなり以降は各社がアルトに範をとった軽貨物登録の軽乗用車を登場させた。消費税導入や物品税廃止など、税制が大きく変更となる1989年までは軒並み軽自動車は4ナンバー車であるほどであった。
国の介入と対抗策
登場以来、センセーショナルなモデルを出してきたアルトは時として、当局を刺激してしまうようなモデルがあった。
前述した通り、初代はバカ売れをしたわけであるが、各社が同じようなモデルを出して同じように人気を博せば、当然面白くないのはお役所である。物品税15%というでかい税収が消え去った上に免税のモデルを出されて、しかも大きく販売を伸ばせば目を付けないわけがない。軽貨物車登録なのに購入層は明らかに乗用用途で買っているのであり、庶民にとっては有難い車でもお役所の目から見れば「脱法乗用車」と見られてもおかしくない自動車であった。その結果、明らかに狙い撃ち的に5.5%の物品税が急遽課されることになった。
するとアルトは今度は2シーター車を設定した。税制の変更においても軽トラに代表される2シーター車には引き続き無税であったためである。そして他のメーカーも追随して設定を行った。とは言った所で元々、軽乗用車登録で15%という非常に高額な物品税だった為に相対的に見ても安い軽貨物車の人気が衰えることはなかった。
2度目の国の介入は2代目のアルトワークス登場である。1987年に登場したこのモデルは僅か550ccで64馬力とリッター車で例えるならば100馬力オーバーと言う凄まじい性能を誇り、一説には64馬力に抑えていたと言う説もある。なのでライトチューン程度でも0 - 100km/hを6秒チョイの数字を叩き出す事も可能で、いじり方や腕次第で格上の車をカモにする事ができたとされる。この軽の常識を打ち破ったアルトワークスの誕生でダイハツはミラTR-XX、三菱はミニカダンガンなどで対抗、第二次ともいえる軽パワーウォーズが勃発した。しかし、行き過ぎた馬力競争が交通事故を助長する事を恐れた当時の運輸省から指導が入り、その当時の最高出力を基準とした64馬力規制を業界内で設定、以降排気量が660ccに拡大、最新技術が導入されていながらも64馬力を超える車は登場していない[1]。
1989年4月に物品税が廃止され消費税が導入されたことによって軽貨物車登録のメリットが無くなった現在では、アルトも後部座席を広くした軽乗用車登録の仕様がメインストリームとなっており、現行モデルの最廉価版の販売価格は乗用車仕様で税抜70万円台[2]、商用車仕様で60万円台となっている。 ちなみに消費者物価指数[3]を加味して比較すると、現在の商用車仕様の最廉価版である64.5万円(税抜)という価格は(国の介入による対抗策があったにもかかわらず)当時の47万円よりも実質的に安い価格であり(1979年当時の47万円=2014年現在の約66万円に相当する)、また当時の大卒初任給は現在の半分強程度の水準であったことからも、アルトのお買い得度は(リファインを重ねている点や燃費向上も含めて)当時よりも現行モデルの方が高いと言うことができる。
ちなみに乗用車モデルの最安値=78.5万円(税抜)を1979年当時の貨幣価値に換算すると約55.8万円となる[4]。
兄弟車種
- フロンテ
アルトの登場以前はスズキの軽乗用車の主力であり、ジウジアーロデザインのクーペで知られる。アルトが登場した当時はアルトの軽乗用車登録版(当然5ドア車)の趣があった。1989年、消費税の導入に伴いアルトと統合された。 - セルボ
アルトの女性向けパーソナルクーペとしての立ち位置として登場したが、その後はアルトの上級モデルとしての趣が強くなる。アルトの海外向けとして販売された時期もあった。 - マイティボーイ
説明不要のピックアップモデル。但し、車体のデザインはセルボがベースとなっている。
これらのモデルは特に初代においては形式が同一(SS40)であり、床下はそろって共通となっている。なので、部品の融通が出来る。現在はすべて生産終了となっている。
派生車種など
- アルトラパン
アルトをベースとした、角ばったり丸みを帯びて角ばっている女性向けデザインの派生車種。フロントエンブレムなど至る所にウサギがいたり、グレードによってはアルトより装備が豪華になっていることも。(例:バニティミラー、6スピーカー、全方位モニター、ナノイー搭載エアコンなどなど) - アルトワークス
本来はグレードの一部であるが、ここではあえて派生車種として取り上げる。アルトのホットモデルであり、初代は登場当時550ccで64馬力というフェローMAX以来のリッター100馬力超えをやってのけたモデルであり、64馬力自主規制のきっかけともなった張本人である。そのあまりのイカレぶり(誉め言葉)に自動車評論家の三本和彦氏は初代アルトワークスを「盆と正月とクリスマスを一緒にした車」と表現した。詳しくは当該項目を参照されたい。 - アルトハッスル
途中で660ccとなったモデルである3代目に設定された車種でアルトのリア半分をヨーロッパ風のハイルーフの箱型(フルゴネット)としたモデルであり、日本では採用数は非常に少ない。 - アルトウォークスルーバン
2代目に設定された車種でボンネット部分以外は真四角なモデルであり、これまた非常に個性的なスタイルであった。ミラにも同様のモデルが設定されていた。 - スライドスリム
3代目に設定されたモデルでスライドドアとしたものである。今でこそこの手のモデルは見られるが、この当時は採用数が殆ど存在せず、後にも先にもこのモデルのみである。シートが回転し、乗降しやすくなっている点も注目される。ミニスカ着用時にパンc(ry - アルトエコ
7代目に設定されたモデルで、新開発エンジン・アイドリングストップ・減量させた燃料タンク・骨格の再構成など、徹底的に経済性に割り振った結果、車重740キロと30km/L(JC08モード)越えを実現させた。これ以外にも車高が下がっていたり、タイヤも細いものになっていたり、スズキの変態柔軟な考えがこの一台に集約されている。
ライバルはダイハツ・ミライースであるが、ミライースとは明確に差別化され、ブルース・ウィリスや深田恭子を起用して大々的にPRするミライースに対して、外観・内装の違いがあまり存在せず、香里奈やベッキーを起用して普通のクルマの様に静かにPRするというスズキらしさがにじみ出ているモデルである。
しかし、販売台数は最廉価版の税込価格が約76.6万円(2014年4月~12月)からという、アルトのお株を奪うかのような低価格設定のミライースに軍配が上がっており、同じ最廉価版がそれより10万円ほど高いアルトエコは登場以来苦戦を強いられ続けている。
モデルチェンジによって、最新のモデルは8代目アルトのL・Sグレードと統合された為に1代限りとなった。
初代SS30V/SS40V(1979年~1984年)
1979年に初代モデルが登場した。前述のとおり、47万円という当時としては低価格な値段を引っ提げて、大人気となった。
その後、1981年に念願の自社開発4サイクルエンジンとなるF5A型エンジンを搭載したモデルが登場した。形式はSS40V型が付された(2サイクルモデルはSS30V型)
1982年にマイナーチェンジ。ヘッドランプが角目となり、精悍な顔つきとなった。
1983年、4輪駆動モデルの「スノーライナー」が追加となった。この当時におけるこの手の乗用4WDモデルは非常に少なく、まして乗用の軽ともなると同時期にデビューさせたダイハツ・ミラぐらいしか存在しなかった。パートタイム4WDでフリーホイールハブがリアに装着されているのでリアホイールが独特な感じとなっている。なお、このモデルは4サイクルエンジンのみであり、また2代目においても「スノーライナー」の名称が存続された。
2代目CA/CC71V・72V(1984年~1988年)
1984年にモデルチェンジ。モダンなモデルとなり、2サイクルモデルは全廃となり全モデル4サイクルエンジンとなった。
特徴的なモデルとしてアルトワークスがあるのだが、それはまた別の話(本稿の当該項目、もしくはアルトワークスを参照)
本題に戻すと2代目に設定された独特なモデルに「麻美スペシャル」がある。この麻美と言うのはその当時活躍していた女優の小林麻美からとられたモデルであり、タレントとのコラボというかなり珍しいモデルとなっている。言うまでもなく女性向けモデルであり、まだまだ女性向けと言う概念が薄かった時代のモデルとして非常に興味深い。割合人気だったのか、コンスタントにモデルを出していたようである。
1987年にウォークスルーバンが登場。ライバルのミラと異なり、助手席側ドアがスライドドアとなっている。同じ年にはアルトワークスが登場した。
3代目
4代目
5代目
6代目
7代目
8代目HA36型(2014年~)
2014年12月22日に8代目へとモデルチェンジを敢行。女性的なデザインであった従来モデルから脱却して、一転男性的とも懐かしい感じとも受け取れるデザインとなった。先代モデルではかつてのセミトールワゴン並みにまで高くなっていた全高を思い切って下げ、屋根が低めのデザインにすることでセダンらしいスタイルを取り戻している。
大きな出来事は2つあり、一つはセミオートマチック車の設定である。これまでオートマチック車はトルクコンバーター式を採用していたが、これに変わって設定されたのがAGS(Auto Gear Shift)である。既に先立ってスズキ・キャリイ(12代目)に採用されているが、乗用車モデルでは初の採用であり、何故か廉価版(Fグレード)および商用車(バン)のみの設定である。これとは別立てで5速MT(Fグレードおよびバンのみ)・CVTも設定されている。また乗用車・商用車共にメーカーオプションで衝突被害軽減ブレーキの「レーダーブレーキサポート」も付けられるようになった(5速MT車を除く)。
二つ目はスポーティグレードの復活である。ターボRSと名付けられたこのモデルは2015年3月に発売になった。従来、アルトにはアルトワークスというモデルがあったが、2000年のマイナーチェンジの際に廃止されて以降、約15年ぶりのアルトのホットモデルである。Keiのモデル廃止以降、途絶えていたスズキのホットモデルの復活でもある。
車体構造や材質の見直しによって、従来よりもさらに軽量化に成功し、最軽量モデルは610kgとなっている。参考までに7代目アルトの派生モデルであるアルトエコのもっとも軽いモデルで710kgであり、1998年に発売された5代目アルトの最軽量モデル(600kg)に匹敵する数値である。ただしその当時の軽自動車は現在と比べて屋根が低めであることや、ボディ剛性が弱い時代のものであったことからも、その減量具合の大きさが伺える。なお、ライバルのダイハツ・ミライースの車重は730kg、ホンダ・N-ONEの最軽量モデルは840kgであり、100〜200kg以上軽い数字となっている。余談ながら、初代アルトの車重は540kgであり、現行は軽規格拡大などで大きくなっているにもかかわらず、初代と比べても大人一人分程度しか重くなっていないのはかなり驚異的な数字と言わざるを得ない。
こうした軽量化への並々ならぬ努力、どうしても重量増と言う軽量化とは相反する要素が出てきてしまう安全対策との両立やバリエーションの幅広さから2015年度のRJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。昨年はスズキ・ハスラーが受賞しているので、2年連続でスズキが受賞した事になる。
アルト ターボRS
2000年のマイナーチェンジ以来、およそ15年ぶりになるアルトのホットモデルとして2015年3月に登場した。
ワゴンRスティングレーなどに使われているR06A型ターボエンジン(改良型)を搭載し、それにすっかりスズキの軽ではおなじみになった5速AGSを組み合わせており、パドルシフトも搭載されている。ギアはこの1種類のみでCVTはない。また期待されていたマニュアル車は残念ながら設定がされなかった。しかし、マニュアルをベースとするAGSはマニュアルギアのダイレクトさとオートマチックの手軽さを兼ね備えており、幅広い層からの支持が期待される。これらに組み合わさる駆動方式は2WDと4WDである。
車体はベース車と比べても打点の増し打ちやフロントバンパーメンバーの採用など非常に強化されており、この他にもスタビライザーの追加や専用のショックアブソーバーの採用と言う具合にかなり手を加えられている。それでいて、車重は670kg(2WD)と700kgを切った数字となっている。外装も非常にやんちゃな感じとなり、かねてよりちょっとしたノスタルジックさがにじみ出ていたアルトのイメージをより強くしている。
その一方で、現代ならではのアイドリングストップ機構や衝突被害軽減ブレーキの採用など、時勢に合わせた仕様にもなっている。
アルトワークス登場後もラインナップに存在していたのだが、やはりワークスの存在感が大きかったのか、2018年にワークスに統合される格好で生産が終了した。
アルトワークスの復活
2015年東京モーターショーのスズキブースにアルトが出品されていたが、車内にはフロアから生えているマニュアルギアがあり、予てより噂があったアルトワークスが復活する事となった。ターボRSとの主な違いとして、
参考出品扱いであり、詳細はまだ明らかにされてないものの、ほぼ市販間違いなしと言われている。
2015年12月1日にティザーサイトが公開。2015年12月24日に発表・発売された。5MT車・5AGS車それぞれに2WDと4WDが用意される。
ターボRS・ワークスとの比較
ターボRS (HA36S)登場前より比較対象に上がっていたアルトワークス (HA22)との比較。2015年12月に発表されたワークス (HA36S)も比較対象とする。
アルトワークス (HA36S) | アルト ターボRS (HA36S) | アルトワークス (HA22) | |
全長×全幅×全高 | 3395×1475×1500mm | 3395×1475×1450mm | |
ホイールベース | 2460mm | 2360mm | |
車重 | 670kg | 690kg | |
ドア枚数 | 5ドア | 3ドア | |
エンジン形式 | R06A型 | K6A型 | |
出力 | 64ps (47kw)/6000rpm | 64ps (47kw)/6500rpm | |
トルク | 10.2kg・m (100N・m)/3000rpm | 10.0kg・m (98N・m)/3000rpm | 10.8kg・m/3500rpm |
燃費 | 23.0km/L | 25.6km/L | 21.0km/L |
最小回転半径 | 4.6m | 4.2m | |
備考 | 燃費はJC08モード/5MT/2WD | 燃費はJC08モード/5AGS/2WD | 燃費は10・15モード/5MT/2WD |
価格(税抜き) | 1,398,000円 | 1,198,000円 | 1,110,000円 |
税制が異なるため、税抜き価格での比較とする。
主だったものをあげてみたが、年月の分だけ進化を遂げている点が注目される。全長と言った大きさはほぼ一緒ながらもターボRSとワークス(HA36S)にはドア枚数や5AGS、ボディ強化、安全装備追加と言った車重増加の要素が多く含まれているにもかかわらず、むしろ車重は軽くなっていたりと注目するべき点が多い。燃費もより厳格化されたJC08モードであり、経済性の面でも大きく進化を遂げている。
負けている点は最大トルクと最小半径回転である。もっとも、R06A型エンジンは回してナンボなエンジンではない事や最小回転半径もホイールが15インチ&拡幅となった結果である。
注目すべきは車両価格である。年数分の進化を遂げ、装備も相応に拡充されてるにもかかわらず、本体だけで見れば上昇分の幅が比較的小さい。特にターボRSについて言えば、お値段以上と言っても差し支えない。
輸出仕様
軽自動車と言えば国内専用と思われるが、国外では軽自動車の縛りが存在しないのでエンジンを大型化して販売するケースがある。アルトもその例にもれず、北米以外では多く販売されている。
ヨーロッパにおいては車体そのままに800ccのエンジンを搭載したモデルが販売されていたが、セルボの車体をアルトとして販売した事もあった。近年は日本のアルトとはイメージこそ合わせてあるが、まったく別の車体となっている。名称は日本と同じ「アルト」であるがヨーロッパ以外では「セレリオ」を名乗ったり、後述のインドでは「A-STAR」を名乗った。また日産にOEM供給されて、日産・ピクソの名称で販売されていた。2014年にモデルチェンジが行われ、名称が全世界でセレリオに統一された。
インドではマルティスズキによって販売がされており、マルティ800として2代目アルトが2010年まで製造されていた。現在は在庫分のみの販売と思われる。後継車種はアルト800として、2000年に登場したHA12型ベースのモデルが販売されている。なお、近年改良が加えられて先代のアルトのテイストが混じった風になっている。セレリオとの関係で言うと、セレリオの方が兄貴分に当たる。
GMとの提携等々があった関係で世界各地でその姿を見る事が出来る。例えば南米ではシボレー・アルトの名称で販売されていた時期もある。
輸出仕様とは違うが、韓国の大宇においては3代目モデルがライセンス生産され、ティコの名称で販売されて人気を博した。
パキスタンにおけるスズキ(パック・スズキ)において、2019年より現行型アルトの生産が開始された。大きな特徴はごく細部を除いて日本のアルトそのものである事である。アルトの輸出仕様はエンジンが大型化されているか、アルトのシルエットをなぞった別車体であったのだが、このモデルは完全に軽規格ボディに660ccエンジンとなっている。なお現地事情に合わせて車高が上げられており、またフロントグリルの計上が若干異なっている。
その他
- 初代カルタス(後のスイフト)の部品には初代アルトの部品が流用されている。この手法は初代スイフトにも踏襲されている。但し、ベースはKeiである。
- 初代アルトにはその当時としては非常に珍しい軽乗用車型の4WDが設定された。名称はスノーライナーといい、フリーホイールハブがリアに装備される非常に特徴的な姿となった。
- マイティボーイにジムニーの足回りを移植したジムニーボーイがあるようにアルトの車体にジムニーの足回りを移植するツワモノが存在する。
- アルトハッスルにワークス搭載のエンジンやお面を移植して、本来設定のされていないハッスルワークスを作りだすツワモノもいる。中にはウォークスルーバンをベースとする事もある。
関連動画
関連商品
関連チャンネル
関連項目
関連リンク
- アルト | スズキ
- アルト ターボRS | スズキ
- アルト ワークス | スズキ
- ALTO -スズキ アルト スペシャルサイト-
- ALTO TURBO RS -スズキ アルトターボRS スペシャルサイト-
- ALTO WORKS -スズキ アルト ワークス スペシャルサイト-
脚注
- *例外として、2014年に日本で発売されたケータハム・セブン160はスズキ製K6A型ターボエンジンを搭載しているが、自主規制の64馬力を超える80馬力である。
- *税込だと80万円ちょっと。
- *1979年=2014年現在の10分の7強程度。
- *当時は15%の物品税がかかっていたので、売価で言えば64.2万円くらいになる。
- 0
- 0pt