一人暮らしとは、配偶者やルームシェアの相手、親などと一緒に暮らさず一人で暮らすこと。
例:「隣室は一人暮らしの女子短大生が住んでいる」
植物、ペット、幽霊、悪魔や堕天使などと同居している場合でも一人暮らしと言われる。
一人暮らしの始まり
一人暮らしを始める一番多いのは、進学・就職に伴い親元を離れた子供が始めるパターンである。毎年4月になると胸を希望でいっぱいにして新しい一人暮らし生活を始める若者があちこちで見られる。元々はカップルや家族で暮らしていたが、子供の自立や同棲の解消・離婚・死別で結果的に一人暮らしになってしまうパターンもある。
実家から独立して一人暮らしを始める場合、予算・人数から一軒家ではなくアパート・マンション等を借りる場合が多い。学校によっては学生寮、企業によっては社員寮に住む場合もある。
単身赴任で家族ひとりだけ一人暮らしになる場合もある。転勤する際に子供や家族が現在環境を気に入っていたり転校などで大きく変えたくない、様々な理由で持ち家を手放せない場合など。
家族をなくして一人暮らしになる場合にも、これまで暮らしていた住居が一人暮らしに見合わない物件だったときにはやはりアパート・マンションなどの小さな物件に移ることもある。しかし、持ち家だった場合にはすぐに処分できなかったり、高齢者の一人暮らしに難色を示す物件オーナーも多く、同じ物件に住み続ける場合もある。
一人暮らしのメリット・デメリット
メリット
一人暮らしの最大のメリットは、家族に気兼ねせず自由に生活できることである。休みの日にいつまで寝ていても、どれだけ夜更かししてゲームにふけっても、それをとがめる者はいない。食事の時間も自分で決めていいし、外出の予定も家族に確かめる必要もない。若者にとっては恋人を自宅に招いて、ちょっと色々イチャイチャするのにも家族の目を気にすることは一切なくなる。
デメリット
デメリットは、家庭内の作業をすべて一人で行わなくてはならないことである。基本的に料理・掃除・洗濯・買い出し・ゴミ出し、家計管理、手続きといった家事全般を一人で行わなければならない、何もやらなければ盛大に何も始まらないため、カーチャンのありがたみが分かるかもしれない。
生活力が皆無だとそれ相応のストレスだったり、寒い夜や風邪を引いた際などは孤独を感じることもある。生活力が足りないと、様々な問題も生じる。自炊できないと外食・デリバリーに頼ることが多くなってエンゲル係数が跳ね上がったり、掃除が苦手だと部屋がごみ部屋化してしまったり、自己管理ができないと生活スケジュールがめちゃくちゃになってしまったりする。
また自分しかいないため、防犯・トラブルなども個人で対処する必要が出てくる。
一人暮らしのトラブル
防犯について
複数人が同居する家庭と比較すると、一人しかいないという点が防犯上の隙となる。(→犯罪)
一人暮らしであれば外出時は自ずと留守と分かる、帰宅時に鍵を開けたら一緒に入ってくる、出されたゴミから個人情報を推測されるなどの多数の犯罪手口がある。不審な勧誘などはきっぱり断る、言い分を鵜呑みにしない(真偽を確認する)、うかつにドアを開けない、ドアチェーンでの応対、周囲を確認する、通報など一定の防犯意識も必要となる。
集合住宅のドアノブをガチャガチャしていき、開いていた家に押し入るといった怖い手口もある。
ちなみに自宅敷地内においては正当防衛の効果が特に最強になるため、押し入られた緊急事態などは無警告でフルボッコにして問題ない。
違和感を感じたら「誰か居るかも」「罠かもしれない」と考えるのも有効。
賃貸契約・公共料金などについて
特に一人暮らしにありがちなのが、賃貸物件の契約や公共料金などの契約に関するものである。
一人暮らしをするにあたって、アパート・マンションの一室を借りるのが一般的であるが、通常の賃貸契約以上の問題になりがちなのは、契約の際に一人で対応するがゆえに見落としや理解不足が発生しやすいことである。
賃貸契約終了時に部屋を退去する際に、支払う必要のない法外な費用を請求されるといったトラブルもよくあるため、知っておくと役立つ。
妙に家賃が安い、安すぎる場合などにも注意したほうが良い。(単純に交通アクセスが悪すぎる場合もあるが)
もちろん一人暮らし用の部屋などは勝手に同居してはいけない。退去命令や家賃割増請求もありうる。
NHKの集金人には「テレビ持ってません」「見れる環境がありません」で構わない。捜査令状を持った警察ではないので、部屋に立ち入って確認する権限など持っていない。「お帰りください」で帰らなければ不退去罪である。
自治会・町内会に入らない(会費を支払わない・協力しない)とゴミ置き場などの設備を使わせないなどの不利益があるが、これは違法である。自治会・町内会の入会は任意であり、ゴミ捨て場の利用は公共の行政サービスであるため。一応共用ゴミ置き場自体の維持管理費などが必要な場合はあるが、町内会の強制加入はセットではない。
水道・トイレ・生活トラブルなど「費用が一番安い[1]」、病院など「ここが一番近いから」と選んでしまうととんでもないハズレを引いてしまう場合もある。近年はレビュー等も見ることができるので活用してみよう。ちなみに水道トラブルに限っては水道局に問い合わせればちゃんとした業者を紹介してくれる。
全般的に言えること
基本的に自分の詳しくない分野・事象は相手側が圧倒的有利であるため、必ず調べる癖をつけると役立つ。消費者・契約者の無知を最大限に利用した悪徳商法や消費者トラブルなどはそこらじゅうにある。むしろ相場も知らずぼったくりに気付いていないパターンもある。
携帯電話から賃貸・生活トラブルまで、契約や依頼の際は要注意である。
- スマホやPCがあるのなら5分程度でも一定の情報は検索できる。なるべく多く調べておく。
- 「どれも一緒」と考えず必ず複数社を比較する、事前の見積もりを取る。
- 事前に現地や部屋・製品を見るなど本物に触れる、メジャー等で寸法などを測っておく。
「いちいち調べるのが面倒くさい」「何も知らなくても相手/業者さんのほうが詳しいんだから、従って全部任せれば安心」なんて言っているとただのカモだし、相手からすれば最高にウザったい大爆笑な状態…を想像して頂ければ警戒する気になるかもしれない。むしろ警戒してください。
違和感や理不尽があれば相手[2]に関わらず鵜呑みにしてはいけない。
これが普通、みんなやっていると正当性を偽装するのも常套手段。 →実は違法、そういう手口でした。
その他
- 孤独な心の隙間(話し相手が欲しいなど)に優しく忍び寄る怪しげな勧誘などもある。
- 提出期限・返却期限・支払期限のあるものの期限を忘れやすい。
- 遅刻しそうでも誰も起こしてくれない。
- 騒音問題などもあり、自身が騒音源になってしまう場合もある。
年齢による一人暮らしの変化
15歳~18歳の場合、現代においてはかなり特殊な状況となる。現代においては未成年は保護されるものとして扱われるため、子供は親の監督下に置かれるのが普通だからである。それでも15歳で一人暮らしをする特殊状況は、以下のようにいくつか存在する。
- 高校の寮生活 - スポーツ留学などで高校で越境入学をし、寮で一人暮らしをする。この場合、寮の管理責任者などの大人の監視がつけられる。また、寮には同級生や先輩後輩もいるため、実質的には一人暮らしとは言えないかもしれない。
- 中卒で独立する - 高校進学率がほぼ100パーセントとなっている2020年代の日本においては、家庭環境が非常に悪いなどの特殊状況によって発生するに留まっている。かつては中卒の若者が「金の卵」と呼ばれ、地方から都会に集団就職する時代もあったため、その当時では15歳が会社の寮で一人暮らしというのはよくある光景だった。
18~20代前半の場合、大学への進学や就職などで一人暮らしを始める人が一番多い時期である。大学生はこれまでよりもアルバイトを増やす、社会人になったら給料がもらえるなど自由に使える金額も増え、部屋を自分好みに作り替える楽しみにも目覚めるだろう。人によってはカップルの同棲などで一人暮らしを終える人も出てくる。
20代後半~50代の場合、社会人として働きつつ、結婚も考える時期である。一人暮らしの自由を楽しむ人も多いが、結婚すれば当然、一人暮らしはおしまいである。その一方、仕事での単身赴任や離婚などで新たに一人暮らしを始める人も存在する。
60代以降になると、子供の独立やパートナーとの死別などで一人暮らしを余儀なくされることがある。近年は一人暮らしの老人の孤独死などの問題もあり、住人の異常に気付いた時には特殊清掃が必要になっている場合もある。
創作と一人暮らし
創作の中の「未成年の一人暮らし」
上記のように、通常、高校生までは親の元で暮らす場合が多い。これは、高校生(通常18歳以下)は未成年者であり、単独で契約を結べない場合が多いこと、まだ一人暮らしする能力がないためであり、一人暮らしを始めるのは高校卒業後に進学したり就職してからという人がほとんどである。(本当に両親が海外などで働いている、両親が死んでいる、地方企業の社長で富豪みたいな家庭で、東京の名門校に通わせるため高校から一人暮らし、などの理由で高校から始める人もいる)
しかし、現代を舞台にした創作の世界では、物語の舞台を中学校・高校にしている場合、中学生や高校生で一人暮らしをしているというキャラクターがよく登場し、しばしば不自然であるという指摘を受けたりする。
このような物語の舞台となるのが中学校・高校の物語は主に若年層がメインターゲットのライトノベルや少年漫画に多く、主人公自身が一人暮らしをしているのであれば「親の目を気にせず異性を自分の家に呼ぶことができる」「親や周囲にバレれば必ず咎められる秘密を隠せる」などのメリットを享受することができ、主人公以外が一人暮らしをしているなら「一人暮らしをしている大人びた同級生」「一人暮らしをしているミステリアスな少女」などのような味付けができる。
代表例
- アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』では、ヒロインの一人「綾波レイ」が中学生ながら一人暮らしをしている。主人公の碇シンジは彼女の家を訪ねた際、彼女とのラッキースケベに遭遇してしまうが、綾波自身が何の反応も見せず、他の目撃者もいなかったため、この出来事は外部に漏れることはなかった。
- ライトノベル『涼宮ハルヒの憂鬱』では、ヒロインの一人「長門有希」が高校生ながら一人暮らしをしている。無口で多くを語ろうとはしないミステリアスな少女であり、主人公のキョンは作中彼女の家に招かれ、彼女の秘密を明かされた。
- ライトノベル『とある魔術の禁書目録』では、主人公の「上条当麻」が高校生ながら学生寮で一人暮らしをしているが、そこに記憶をなくした少女でヒロインの一人であるインデックスが現れ、なし崩し的に同居することになる。
- PCゲーム『Fate/stay night』では、主人公の「衛宮士郎」が高校生[3]ながら義理の父親から受け継いだ大きな屋敷で一人暮らしをしている。彼は父親から魔術を習っており、蔵の中での魔術の鍛錬を日課としている。
SF/ファンタジー/伝奇創作の中の「大人の一人暮らし」
大学生以上の一人暮らしは、現実でもありふれたものであり、それ自体に「ミステリアス」「大人びている」などの魅力は存在しなくなる。
しかし、現代日本を舞台にした作品においては「突如乱入してくる来訪者」「家族にも明かせない秘密」などの要素を物語上で運用するには一人暮らしは相変わらず便利であることには変わりなく、両親と同居していては発生するであろう問題の回避策として使われ続ける。
また、独身男性の一人暮らしに魅力的な人外の女性が入り込む物語などは割と多く、現代のつかれた男性の癒しとなっている。この話の類型は異類婚姻譚に求めることもできるかもしれない。昔話の『雪女』は一人暮らしの木こりのもとに正体を隠した雪女が嫁ぐ物語である。
あるいは、山奥や離島など人里離れた辺鄙な場所で一人暮らしをしている老人が実は…、というような物語の導入としても使える。かつては栄光に満ちた人生を送っていた人がどうして人を避けて一人暮らしをするようになったのか、という転落とそこからの再起は、物語として非常に面白いものとなるだろう。
代表例
- 漫画『ああっ女神さまっ』では、主人公の大学生「森里螢一」が学生寮での一人暮らしだったが、女神ベルダンディーに「ずっとそばにいてほしい」という願いを受理されてしまったため、同棲生活が始まった。なお、寮則に違反したため寮からは追い出されるが、住職のいなくなった古寺に居候することとなった。
- 漫画『世話やきキツネの仙狐さん』では、主人公の社会人「中野」がマンションでの一人暮らしだったが、神使の狐である仙狐さんが突然現れる。彼女は「中野をお世話に来た」といって彼を甘やかすのであった。
SF/ファンタジー/伝奇要素のない創作の中の「大人の一人暮らし」
SFや伝奇から離れた現代劇においては、一人暮らしは現実と同様にカップルの成立や結婚などで終了してしまうものとなっている。必然的に、一人暮らしを満喫している創作作品というのは主に独身貴族を主人公とし、彼ら彼女らの気ままな生活を描くものとなるだろう。
また、昭和から平成初期までの創作では、アパート・マンションを舞台として、一人暮らしをする主人公と近所に住む人たちとの交流もよく描かれていた。ご近所で集まってのイベントが行われたり、隣室の一人暮らしのお姉さんが作りすぎたおかずをおすそ分けしてくれたりといった人とのつながりがよく見られた。近年ではセキュリティ意識の高まりや近所付き合いのめんどくささが優先され、あまり見られなくなっている。
代表例
- 漫画『孤独のグルメ』では、主人公の「井之頭五郎」は一人暮らしで全国各地を飛び回る生活をしている。
- 漫画『ブラック・ジャック』では、主人公で無免許医の「ブラック・ジャック」は岬の上の診療所兼自宅で一人暮らしをしていた。
- 漫画『巴マミの平凡な日常』では、魔法が存在する世界でありながら、主人公のアラサー女子「巴マミ」の一人暮らし生活の日常を描いている。
- 漫画『めぞん一刻』では、主人公の「五代裕作」は一人暮らしをしている浪人生。彼が暮らすアパート「一刻館」の管理人の「音無響子」とのラブストーリーである。
関連動画
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関連項目
脚注
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