地獄の壁とは、
- Hell's Wall - スクウェア・エニックスのシミュレーションRPG「フロントミッション」シリーズに登場するヴァンツァー部隊。
- じごくの壁 - ロマンシング サ・ガ3のツヴァイク武闘会に参加する5+1名のチーム。1に由来するため本項で同時に解説する。
概要
正式名称は「USN陸軍戦車師団特機中隊前線都市防衛部隊特殊小隊第64機動戦隊」。ゲーム中ではこれを省略し、末尾の「64機動戦隊」のみを呼称する。「地獄の壁」は隊長のグリーグ・デミートリアス大尉が命名した名前で、「戦場という地獄において、命がけで仲間を守る壁となる」という意味が込められている。隊員は全てグリーグ大尉がスカウトして集めたパイロットで構成されており、全員が高い技量を持つが、その一方で一癖も二癖もある荒くれ者ばかりでもある。
その名の通り、搭乗するヴァンツァーを文字通り壁代わりとして戦うため、成功率の高いミッションにおいても損耗し尽くして帰還することが多く、整備兵泣かせの部隊でもある。当然ではあるが、地獄の壁に随行したヴァンツァーの被害は軒並み軽微である。また、攻勢においては二機一組で三方向からの集中攻撃や各個撃破を得意とする。
ただ共同で作戦を行ったことのない部隊・兵士からは、「毎度損耗が酷い」「荒くれ揃い」という話だけが独り歩きして、白眼視されたり畏怖の対象になっている場合もある模様(しかしマゾ扱いはないだろ5thのモブ…)。またOCUにもその名が知れ渡っている。
第二次ハフマン紛争の開戦直後、USN軍のフリーダム市侵攻作戦において、第112特機中隊「リンクス小隊」と共に都市中心部・市庁舎の制圧を担当。OCU軍の防衛部隊を駆逐し、迅速に市庁舎を制圧、フリーダム市長を確保。当初の投入兵力より少ない兵力でフリーダム市を制圧した。
その1年後、OCUの反攻作戦が開始されると、地獄の壁はフリーダム市近郊の前線に配備される。そしてOCU軍の遊撃機動部隊「キャニオンクロウ」との交戦により部隊は壊滅、隊員のほとんどが戦死する。
本記事は初代フロントミッション(以下1ST)の記述が中心である。
フロントミッション5にも一瞬だけ登場。出てきた直後に撃破されてしまうが…。
ゲーム的な概要
1STOCUサイドにおいては、序盤の強敵であり、文字通りの「壁」である。全員が耐久力の高いヴァンツァー「フロスト」に搭乗し、装備している武装もこの時点までにプレイヤーが入手できる武装と同格、或いはそれを若干上回る性能を持つ。
ただし、パイロットの経験値は隊長以外はそれほどでもない。また本作の仕様上、遠距離攻撃の反撃はないため、遠巻きにしてミサイル攻撃を続けるのが有効だろう。地獄の壁の他にも少しザコ敵がいるが、それでもこの時点までに仲間になるキャラが全員いれば9人で戦うことになるため、余程の戦術のミスや経験値不足でない限りは十分に勝算のある相手である。
USNサイドでは、上述のフリーダム市侵攻の際、地獄の壁と共闘できる。市街地突破と市庁舎制圧の2ステージがそれに該当するのだが、前者は敵の性能が低く地獄の壁を使う必要が全くないため、彼らを棒立ちさせることになる。後者の市庁舎制圧では、敵の機体性能が手持ちキャラどころか地獄の壁まで凌駕するため積極的に戦闘に参加させることになる。が、パラメータはOCUサイドの性能から下方修正された者がいるため、決して丸投げにはできない。そもそも敵の機体(ボナート)に対しこの時点において、こちらの武装が威力不足なため、地獄の壁の名前を敵側に贈りたくなる。
隊員紹介
グリーグ・デミートリアス (Grieg Demetrius)
年齢:36歳 階級:大尉 WAPコード:Mad Bull
地獄の壁の隊長。傷だらけのスキンヘッドにサングラス、口元を覆う髭が特徴。部下からは「ボス」と呼ばれる。
ヴァンツァーの破壊に至福を見出す豪快な性格の傍ら、頭脳的な戦法を用いることも得意とする。また独断で先走りがちな若手を諌める等の厳格さと、技量あるものへの懐の広さも併せ持つ。ベテラン軍人の理想形とも言える。USNサイドにおけるケビンの地獄の壁へのスカウト候補入りや、DS版1stで追加されたExミッションにおける実戦テスト相手の指名はこうした一例と言えるだろうか。
キャニオンクロウとの交戦後も生き残り、USN領フォートモーナスまで単身撤退。当地で大型機動兵器を駆りOCU軍の迎撃に参加するが、奮戦虚しく戦死。
フリーダム市近郊においては他の隊員よりもレベルが12と高く、各パラメータの経験値も最低で500、Short(近距離射撃)が1000あるほか、スキル「Switch Lv1(両手の銃で交互に攻撃する)」を持つ。OCUサイドだと、下手を打つとライフル「EMPIRE」及び「IBIS」のスイッチによりあっさりとやられる(仕様上右手から撃ってくるのでIBIS→EMPIREの順)。基本的にグリーグから近づくことはないため、遠巻きにして削りに徹すると難なく勝てる。フォートモーナス戦では積極的に近づいてくるが、その頃にはプレイヤー側のヴァンツァーもパイロットも十分いい性能になっているほか、グリーグのパラメータは据え置きなので恐れるほどの相手ではなくなっている。
また、USNサイドの共闘時は彼を撃破されてはならない。作戦失敗によりゲームオーバーとなる。
デイブ・スターリング (David "Dave" Starling)
年齢:32歳 階級:中尉 WAPコード:Perfect Winner
グリーグと共に近距離射撃を担当。メンバーの中でもっとも背が高い。また随分と頬が痩けている。
「完全な勝者」を意味するWAPコードが示すように、高い実力に比例してかなりの自信家。敵の評価も「オンボロ部隊」「虫ケラ」と、ボロクソである。それと対照的に弱気な散り際の台詞は、自信を喪失したが故の脆さの現れなのであろうか。
OCU編ではShortの経験値が900と高めだが、Agility(回避)は150と2番目に低いため、遠距離攻撃にはほぼ無力。
USN編ではShortが250(メンバー中最低)。それに比してFight(格闘攻撃)の経験値は622と、何で素手かロッド持ちじゃないのかと悔やみたくなる。グリーグと同じくEMPIREとIBISを装備していてもダメージソースにするのは難がある。ただしAgilityは600とグリーグの800に次いで高くなるため、文字通り壁役に使うのがベターか。
なお、ライフルの持ち方がグリーグと逆である(IBISを左手、EMPIREを右手に持つ)。
ミリガン・アシュトン (Milligan Ashton)
年齢:30歳 階級:中尉 WAPコード:Dandelion
遠距離攻撃担当その1。左頬に大きな傷がある。
元はUSNで有名なモデルだったが、撮影中の事故により上記の傷を負い、ヤケになりモデル稼業を廃業。
2087年にUSN軍に入隊し、4年で中尉に。現実だとスピード出世であるが、OCU編主人公のロイドも23歳の若さで大尉になっているため、FM世界では最前線で戦い続ければ案外早く階級が上がるのかもしれない。
Long(遠距離射撃)の経験値は400。低い部類ではあるが、両肩に積んだ「EGRET」が高威力なため意外と痛い、或いは役に立つ。肩武器は弾数制限があり、EGRETは1基あたり3回までになっている。しかしUSNサイドだと補給・修理バックパック「Riff」があるため発射→補給を繰り返せば最後まで削り役に使える。
ちなみにリーバスにも言えるのだが、手には何も持っていない(素手、攻撃力32)ので、パラメータに似合わず接近戦でも大ダメージを与えられるのが利点、あるいは注意点である。
「跡形もなくぶっ壊す!」
リーバス・ビクター (Reevas Victor)
年齢:32歳 階級:伍長 WAPコード:Happy Rang
元ミュージシャンの黒人WAPパイロット。その経歴故か鼻歌交じりに戦う癖があるが、本人なりの一種の集中法であり、決してふざけているわけではない。根は陽気かつ真面目だが、時に激しい一面も見せる。
…という設定だが、ゲーム中では肩がぶつかったモブ兵に「おい、てめぇ、ぶつかっておいて挨拶なしかよ、あぁ?」と凄むなど、むしろ強面のイメージの方が強いかもしれない。
ミリガンと同じく遠距離攻撃を担当するが、右肩の武装がEGRETに比べ弾数-1の代わりに威力が若干高い「GOLDIAS」になっている。Longの経験値はミリガンに比べ-100の300だが、使い勝手はそれほど変わらない。なお、Agilityがメンバー中ワーストのため、攻撃を受けるのは危険。
「オーケィベイビー、相手してやるぜ!」
ジョッシュ・ダリン (Joshiy "Josh" Dalliin)
年齢:28歳 階級:曹長 WAPコード:Stray Cat
東洋系白人。メンバー中もっとも身長が低く(それでも170cm台はある)、そのことにコンプレックスを感じている。通称ジョシー。その小柄さによる素早さをWAPにも取り入れ、格闘戦でグリーグのサポートを担当する。WAPコードが野良猫なのもその現れか。なおDS版のExミッションではお調子者な一面を見せ、グリーグに茶々を入れてはどやされる場面を見ることができる。
OCU編ではFightは622、Agilityが600と設定通りの性能といってよい。
USN編ではデイブとパラメータを入れ替えられ、Fightが700あるのはいいのだが、素早いはずの彼がAgilityを150まで下げられてしまった。右腕にF-3ハンドロッドを装備しているため、ここのHPがゼロになる事態は避けたい。
「たっぷりいたぶってやる。」
ゲッタ・セドリック (Ghetta Cedric)
年齢:24歳 階級:伍長 WAPコード:Nothing
メンバー中最年少で、ジョッシュと同じく格闘戦を担当。
戦闘をゲーム感覚で楽しむ残虐さを持つが、例え一人になっても64機動戦隊の役目を全うしようとする姿勢もみせ、口こそ悪いが根まで悪い性格ではない様子。
キャニオンクロウとの交戦後、単独でフリーダム市近郊のウェイン山まで撤退。鉢合わせた撤退中の部隊を護衛している途中でリンクス小隊に遭遇。護衛の終了後は同隊と行動を共にし、最終的に64機動戦隊唯一の生き残りとなる。
Fightの経験値は600と、ジョッシュより低いものの悪くはない。OCU編では主に低威力(攻撃力26)のF-2ロングトンファを使ってくるが、それでも十分痛い。
フリーダム陥落後のリンクス小隊合流時にはレベルが20まで上がり、スキル「Stun Lv1(敵を行動不能にする)」を覚えている。とはいえ他のメンバーはそれ以上のパラメータになっているため、成長差を埋めるのに若干苦労する(すぐ追いつくが)。
「びびってんじゃねえ!」
乗機紹介
- フロスト
USNアメリカ州の軍事企業「ディアブルアビオニクス(以下DA)」製ヴァンツァー。
耐久力と機動力を併せ持つ前衛型で、本機によりDAはヴァンツァーメーカーとしての地位を揺るぎないものにしたとされる。派生型にブリザイアが存在し、より機動力を重視したモデルになっている。ブリザイアの登場以後はバランス型がフロスト、高機動型がブリザイアという棲み分けがなされた。 - フロストHW
フロストの地獄の壁仕様。HWは「Hell's Wall」の略。
ただでさえ装甲の厚いフロストに戦車用の積層装甲をリジッドで取り付けており、更に耐久力を高めている。
機械畑の人間にすら「正気の沙汰じゃない」と評される一品である。
FM5が初登場で、1STではDS版のUSNサイドでのみ手に入る。
5ではパーツスキル「SBオートリペア5%」を持つが、胴部回避補正が-8と低め。
1STは移動力以外はフロストを一回り強化した仕様。 - サカタ Type088S シーキング
厳密には地獄の壁ではなく、グリーグのみの乗機である。
OCU日本の企業、サカタインダストリィ製の試作大型機動兵器。新型コンピュータ「B型デバイス」を搭載、大柄だが並のヴァンツァー以上の機動力を誇るとされ、かつ長距離砲と数機の機関砲により制圧力も高い。パイロットにも転換手術を施すことにより完全に性能を引き出せる。
本機を駆ってグリーグはフォートモーナス迎撃戦に参加し、戦死する。この時のシーキングには長距離砲が装備されていなかった。
サガシリーズに於ける「じごくの壁」
ロマンシングサガ3においては、ツヴァイク武闘会に「じごくの壁」の名前で登場している。ツヴァイクの騎士の精鋭が集うチーム。
本来は5vs5の形式で戦うのだが、ツヴァイク公の主催者権限という事なのかこのチームのみセコンド扱いで6人目がいる。オーダーは以下の通り。
FMに登場するスキル「スイッチ(針による連続攻撃)」「スピード(先制攻撃)」を使ってくる他、こちらの直接攻撃に対してはカウンターも繰り出すなど、なかなかの強敵。さらには他のチームと異なり、大将・ストレイキャットを倒すと「セコンド」の表示と「ならば切り札を出させてもらおう」の台詞と共にマッドブルが6人目の選手として姿を現し、勝利の余韻に浸ろうとしていた多くのプレイヤーにテレビへ向かって「ふざけるな」と叫ばせた。
そしてマッドブルに勝った際には「お、俺達の戦法が通用しないとは・・・」という台詞も出る。
(グリーグ撃破時の台詞「俺達の戦法が通用しないのかーっ!」が元ネタ。)
インペリアルサガにも出演。期間限定イベントでミカエルの親衛隊として活躍している。
サガスカーレットグレイス緋色の野望にも出演。
こちらはアスワカンのコロシアムの3連戦の最後に戦う事になる。
麻痺や毒が無効で(ヴァンツァーだからか?)、全体的に素早く、3連戦の最後に相応しい厚い壁として君臨する。
マッドブルがちゃんとリーダー格な辺り、元ネタの更に元ネタを意識していて好感が持てる。
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関連項目
- 3
- 0pt