天外魔境とは、1989年に発売されたPCエンジンCD-ROM2のゲームソフト、およびそれに端を発するゲームシリーズである。
概要
原作:P.H.チャダ
原案:広井王子・あだちひろし
絵師:辻野寅次郎
中世日本をモデルとした架空世界『ジパング』を舞台に、火の一族の主人公たちの戦いを描いたRPG。
第一作である『天外魔境ZIRIA』は世界初のCD-ROMを媒体とするRPGであり、声優による音声を付加されたキャラクター、動画を用いたイベントシーンなど、第五世代(プレイステーションやセガサターン)以降のRPGをはじめとするゲームで当たり前となる演出の先駆けが見られた。
「海外から見た間違った日本観」が世界観のコンセプトであり、日本の神話・民話や史実などから題材が採られている。
なお「原作」とされているP.H.チャダ(P.H.Chada)は「スミソニアン博物館所属の東洋研究家」との触れ込みであったが、実在の人物ではない。P.H.の部分は広井王子氏の、Chadaの部分はあだちひろしの名前からアナグラムして組み合わせたものという説が濃厚……であったが、2012年1月1日にその情報のソースであった岩崎啓眞(天外魔境II 卍MARUのメインプログラマー)氏のブログに訂正が掲載された。P.H.の部分はあだちひろし氏が好きな小説家の名前から取っているとのこと(※)。
(※)Colorful Pieces of Game:補足(1)天外世界の創造者
シリーズ作品一覧(RPG)
天外魔境 ZIRIA
1989年6月30日発売。対応ハードはPCエンジンCD-ROM2。元々はアニメの企画であった。ジパングの坂東地方(日本の東北・関東・中部地方)が舞台。邪教・大門教と火の一族の戦いを描く。主人公の自来也(じらいあ)・綱手・大蛇丸は元々講談や歌舞伎の脚本である『児雷也豪傑譚』から取られたもの。後述するXbox360でのリメイクの他、携帯電話のアプリにも移植された。『天外魔境コレクション』に収録。ゲームアーカイブス配信中。
広井王子氏の出した企画を元に、あだちひろし氏が細かい設定を付け加えた。監督:広井王子、脚本:あだちひろし。
天外魔境II 卍MARU
「天外魔境II」の記事も参照
1992年3月26日発売。対応ハードはPCエンジン Super CD-ROM2。ジパングの大和地方(中部・近畿・中国地方)が舞台。根の一族と火の一族の戦いを描く。前作のヒットを受け、より大作らしく仕上げられた作品で、シリーズでも一二を争うファンがついた。トラウマ級のイベントが数回あり、衝撃的だった。
後にゲームキューブ、PS2、ニンテンドーDSでリメイクされたが、上記イベントをはじめ、一部表現が修正されている。PCエンジン版をそのまま再現したものとして『天外魔境コレクション』とゲームアーカイブスがあるが、どちらもリメイク版同様一部表現が修正された。
前作の世界観・設定を元にしたうえで、監督・脚本は桝田省治氏に変更になっている。
天外魔境風雲カブキ伝
1993年7月10日発売。対応ハードはPCエンジンSuper CD-ROM2。IIの人気キャラカブキ団十郎を主役にすえ、ジパングとロンドンの二国を舞台に大門教ことデーモン教との戦いを描く。ヒロインの声優に当時人気絶頂だった女優の牧瀬里穂を起用。あの人も尻尾を巻いて逃げるレベルの棒読みっぷりが話題となった。
戦闘シーンは前作までとは違って、「ファイナルファンタジー」シリーズのようなサイドビューとなり全ての行動がアニメーションで動くようになった。このため、戦闘のテンポは前作と比べて悪化している。
作品としては、壮大なシナリオとBGMにより良質に仕上がっている。
『天外魔境コレクション』に収録。
天外魔境ZERO
「天外魔境ZERO」の記事も参照
1995年12月22日発売。対応ハードはスーパーファミコン。それまでの作品と異なり、全く架空の世界として太古のジパングを描いている。ニニギと地獄の軍団を倒すべく、永遠の火に選ばれた少年、ヒガンが立ち上がる。PLGSという現実時間と対応したリアルタイムイベントがウリであった。SFCということもありプレイ人口が多く、現行機への移植を望む声も高い。
天外魔境第四の黙示録
「第四の黙示録」の記事も参照
1997年1月14日発売。対応ハードはセガサターン。当時発売が遅れていた「III」の後のシリーズということで「第四」と名付けられる。「日本から見た間違ったアメリカ」をコンセプトに19世紀のアメリカを舞台とする。『ZERO』と同様にPLGS対応。暗黒教団に席捲されるアメリカを、ジパングより渡ってきた火の一族の子孫たちが救う。PSPに移植された。
オリエンタルブルー 青の天外
2003年10月24日発売。対応ハードはゲームボーイアドバンス。東南アジア風の架空の世界が舞台。青の一族である主人公の旅を描く。加入する仲間やクリアするイベントを任意で選ぶことができ、比較的自由にプレイすることができる。
モバイル天外魔境
2004年4月5日にiアプリで配信が始まったMMORPG。舞台は江戸のほか、銀座や池袋といった東京の都心を切り出したもの。NPCとしてそれまでのシリーズの主人公も登場。
天外魔境III NAMIDA
2005年4月14日発売。対応ハードはPS2。ジパングの九洲地方(日本の九州・四国・沖縄地方)が舞台。九洲を我が物にせんとするアミの野望を、ナミダと壱与を中心とする主人公らが阻止する。
対応ハードがPCエンジンSuper CD-ROM2→PCエンジンSuper CD-ROM2(アーケードカード)→PC-FXと変わりまくり、一度開発が中止される。忘れかけていた頃にPS2とゲームキューブで開発再開が発表され、ゲームキューブ版開発中止を経て、最終的にPS2で発売された。
開発当初は前作に引き続き、監督・脚本は桝田省治氏であったが、開発再開時に変更となっている。
とにかく頻繁に起こるロードとその長さが致命的であり、前作と比べて評価は得られなかった。
天外魔境ZIRIA~遥かなるジパング~
2006年3月23日発売。対応ハードはXbox360。ゲームオンデマンドでDL購入可能。『天外魔境 ZIRIA』のリメイク作品。ZIRIAで没にされた要素や、小説版で開示されていた設定などを元にシナリオが大きく改変されている。『天外魔境ZIRIA Premium Edition』として携帯電話のアプリに移植された。
シリーズ作品一覧(対戦格闘)
カブキ一刀涼談
1995年2月24日発売。対応ハードはPCエンジン アーケードカードCD-ROM2。『風雲カブキ伝』のキャラクターを中心にした対戦格闘ゲームだが、菊五郎やみこしと言ったIIの人気キャラも登場している。『天外魔境コレクション』に収録。
天外魔境真伝
「天外魔境真伝」の記事も参照
1995年に出たアーケードの対戦格闘ゲーム。ZIRIAとIIの主人公が登場、敵にはZIRIA編のボスが揃っている。家庭用としてネオジオ/ネオジオCD版が出ている(1995年7月28日/12月8日発売)。技コマンドが複雑の一途を辿っていた当時にあって、非常に簡単なコマンドで技が出せることが特徴的。またゲームバランスも良く一定数のファンがついた。
天外魔境 電脳絡繰格闘伝
1995年7月28日発売。対応ハードはPC-FX。同ハードのロンチタイトル『バトルヒート』のシステムを簡略化した、全編ムービーで進行する対戦格闘ゲーム。
その他関連作品
- 天外魔境 for GREE
- 天外魔境
- 小説作品。PCエンジンCD-ROM2ゲーム「天外魔境 ZIRIA」の「原作小説」という売り文句だった。原作がP.H.チャダ、編訳があだちひろし、編集:レッドカンパニーとクレジットされているが、上記のようにチャダ氏は架空の人物であるため実際の作者はあだちひろし氏ではないかと思われる。イラストはゲームと同じく辻野寅次郎が描いている。
1989年に1巻「天外魔境―FAR EAST OF EDEN」が、1991年に2巻「天外魔境〈2〉大門招来編 上之巻」と3巻「天外魔境〈3〉大門招来編 下之巻」が角川スニーカー文庫から発売された。ゲーム版とは少し異なったストーリーでオリジナルキャラも登場する。
ゲームの設定・脚本を担当したあだち本人が書いた作品であるためか、世界観がゲーム内よりもさらに深く解説・示唆されており、上記のようにXBOX360リメイク版においてはこの小説版での設定が正式に取り入れられたりもしている。ゲーム自体を知らない人にもきちんと読ませる「小説」として成り立っていることや、ややダークな雰囲気も加えて読者の評価は高い。復刊ドットコムにリクエストも上がっている。
- 小説作品。PCエンジンCD-ROM2ゲーム「天外魔境 ZIRIA」の「原作小説」という売り文句だった。原作がP.H.チャダ、編訳があだちひろし、編集:レッドカンパニーとクレジットされているが、上記のようにチャダ氏は架空の人物であるため実際の作者はあだちひろし氏ではないかと思われる。イラストはゲームと同じく辻野寅次郎が描いている。
関連お絵カキコ
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関連項目
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