よろしくメカドックとは、漫画家・次原隆二原作の漫画作品及びアニメ作品である。
概要
それまでのスーパーカーや荒唐無稽な設定のレースものとは違い、国産市販自動車のチューニングを扱った草分け的な作品である。話はレースのイベントがメインで、その間は細かな話で成り立っている。
原作版は1982年から1985年に集英社の『週刊少年ジャンプ』で掲載され、単行本は全12巻(文庫版は全7巻)となる。
アニメ版は、1984年~1985年にタツノコプロ制作、フジテレビ系列で毎週土曜日の夜6時30分に全30話が制作をされたが、一部系列局では遅れて放送もされていた局もある。
2012年8月20日よりニコニコ動画で公開を開始したが、2015年4月30日をもって配信は終了した。2017年3月10日からは、dアニメストア ニコニコ支店の有料動画として配信されている。
あらすじ
舞台は東京(アニメ版は横浜に)所在するチューニングショップ「メカドック」。自動車整備専門学校の同級生で、技術担当で主人公・風見潤、経理担当・中村一路、板金担当・野呂清の三人の若者たちが経営する。
当初は店に出入りする常連客の求めに応じ様々なチューニングを行っていたが、自分たちが手がけた車を走らせているうちに他のチューニングショップとの関わりが生まれ、多くのレースに参戦することになる。
アニメでは尺の関係で東日本GP編でストーリーが終了している。
主な登場人物
「メカドック」周囲の人々
- 風見潤(かざみ じゅん)CV:橋本晃一
- 主人公。チューンおよびドライバー担当。真面目で誠実な人柄に加え絵に描いたような熱血漢で、様々な女性から好意を持たれるが恋愛事は照れくさいのか避けようとして曖昧にはぐらかしてしまい、それが元でトラブルになることも。
チューンや運転に関して類まれな技量を持っており、物語終盤はその手腕を狙われるエピソードが主軸となる。メカドックブランドでF1参戦するのが夢。
当初から彼がチューニングした車を走らせる場面の方がメインだったが、やがてレーサーとしての活動が物語の軸に。
搭乗車はセリカXX(A60)、CR-X、フェアレディZ(Z31)
- 中村一路(なかむら いちろ)CV:石丸博也
- 通称「いっつぁん」。メカドックの経理担当で金勘定にうるさいが、カッとなりやすく調子に乗りやすい性格でふとした拍子に店の看板を賭けたりすることもあるトラブルメーカー。しかしレギュレーションに沿った車の仕様やレースの作戦を検討するなどブレイン的な立場でもある(こと作戦については風見が独断でよく破るので意味がなくなるが)。学校は首席で卒業したはずなのにチューニングの腕は・・・
- 次第に彼もレースに参加する場面が描かれる。搭乗車はシティターボIIブルドッグ
- 野呂清(のろ きよし)CV:玄田哲章
- メカドックの板金および塗装担当。のんびりした性格で車や用語の説明を求めたり驚き役や仲裁役に回ったりすることが多い。風見に「板金の天才」と評され、ベコベコの事故車でもレース仕様にキッチリ仕上げ、マイレッジマラソンではワンオフのFRPボディを製作していた。
- 神崎周治(かんざき しゅうじ)CV:大平透
- 喫茶店「パドック」のマスターだが、メカドックの面々に窮地を救ってもらったお礼に店を貸し、今はその隣で改造バスを店舗にしている。娘に神崎しのぶ(CV:高田由美)がいる(アニメでは孫娘で風見に好意を抱くヒロインの一人)。
- 小野麗子(おの れいこ)CV:日髙のり子
- 一匹狼の有名な女暴走族で通称「女暴小町(すけぼうこまち)」。作中ではほとんど「小町」または「小町ちゃん」と呼ばれる。原作では登場当初は高校生とわかる描写があるが、アニメでは女子大生。父親は交通機動隊の小野誠三郎(CV:加藤正之)。
- 当初は比較的シリアスキャラだったが、気づけば松桐坊主とセットなギャグ寄りのキャラに。
風見に好意を抱くヒロインの一人だが、風見の先述の性格により進展はしていない。
- 愛車はヨタハチこと赤のトヨタ・スポーツ800。真っ赤なサツマイモと呼んではいけない。東日本サーキットGPを前に、戦闘力のある車を求めて売ってしまったことがあるが、中村に止められて結局買い戻した模様。東日本GPには久子から貸し出されたトヨタ2000GTに乗ることになる。
- 早坂優(はやさか ゆう)CV:佐々木るん
- 交通課の交通巡視員で、違反者を取り締まるためなら手段は選ばない。と言うか、とにかく違反者を捕まえることしか頭になく後先のことを考えないアホの子。
- 風見に好意を抱くヒロインの一人。
- 愛車はスズキ・セルボのミニパトカー、ホンダS800
- 松桐坊主(まつきりぼうず)
- トヨタ・セリカ1600GTV(いわゆるダルマセリカ)を駆る暴走族で、メカドックにたびたび出入りをしている。
- 明るく人懐っこい性格で金に弱いリーダー格の松木千明(CV:二又一成)、松木と対照的にクールで硬派だがやはり金には弱いらしい桐島桐人(CV:堀内賢雄)、どう見ても小学生ほどの子供だが国内B級ライセンスを取得したことから18歳以上であるらしい、松木をさらに無邪気にしたような性格の月成彦六(CV:鈴木三枝 現・一龍斎貞友)の3人。
- 暴走族としては落ちこぼれで(アニメでは須賀六狼(すかろくウルフ)(CV:若本紀昭 現・若本規夫)などの腕の立つ暴走族とたびたび対立している)、作中でも完全なコメディリリーフポジション。
- 聖おイカ(ひじり-):CV:京田尚子
- 通称「おイカばあさん」と呼ばれる解体屋で、ガメつい商売人だがメカドックをたびたび支援する。
ライバルたち
- 那智渡(なち わたる)CV:井上和彦
- 国内レースを総ナメにしている新興チューニングショップ「チャンプ」のオーナー。
自分のドライビングテクニックに高いプライドを持っているため他人に対しては高圧的にふるまい(ただしその高いプライドのために赤信号などで負けた時の反動も大きいものに)、当初は風見を見下した発言が多く、初対戦のキャノンボールでは風見のことを本人の名前ではなく「メカドック」としか呼ばなかったほどだったが、次第にライバルとして認めるようになる。
- ゼロヨンGPでメカドックとチャンプの看板を賭けて(原作のみ)敗れ、のちにメカドックに加入した。東日本GPでは同チームではあるものの那智個人として風見に挑んだが再び敗れてしまいメカドックから離脱。三戸NEO編で風見と1位同着し、アメリカへ修行に旅立った。
- レースごとに仕様を変更したサバンナRX-7(SA22C)を駆る。ロータリーエンジンを好むのは「レシプロより優れていると思うから」とのこと。
- 原作には双子の弟で警察官の那智徹がいるが、彼が出ない反面アニメには妹である那智知世(CV:麻上洋子)、「チャンプ」のチーフメカニックである水木シュンスケ(CV:大塚芳忠)などのオリジナルの関連人物が登場する。
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- 渡辺俊光(わたなべ としみつ)CV:石塚運昇
- チューニングショップ「レーシングワタナベ」のオーナー。様々な記録を叩き出して「チューニングの神様」の異名を持ちながらも「ナベさん」と親しまれている。風見たちのあこがれの存在である。レース内外問わず相手にアドバイスをしたり、競り合い中でも相手が危険に晒されると判断した際には道を譲るなど至って紳士的。
- 風見、那智とたびたび競うが、ゼロヨンGPで風見に敗れ引退宣言をする。レーサー人生をかけ夢幻所属として復帰した東日本サーキットGPで、白内障で失明寸前になりながらの戦いを末に引退した。その後は日常生活を送れる程度までに視力は回復し、ひとりの「チューニングファン」として風見たちの活躍を見守ることになる。
- レースごとに仕様を変更したフェアレディZ(S30)を駆る。本人曰く「なんとかの一つ覚え」。
- 露崎武士(つゆざき たけし)CV:小林勝彦
- 北海道のチューニングショップ「紫電改」のオーナーで、かつて「露崎モータース」を運営していた、風見たちの尊敬する渡辺のさらに師匠という生ける伝説。
- 兵藤千里(ひょうどう ちさと)CV:幸田直子
- 腕利きチューナーやドライバーを集めモータースポーツ振興を目的として究極のマシンを作る「夢幻計画」の主宰者で、どこぞの財閥の関係者らしい。
中村が「二輪のレーサーになると思っていた」と言うほど凄腕のライダーだったが、セラミックエンジンの可能性を見出して夢幻計画を立ち上げ、ゼロヨンGPや東日本GPを主催し自らもドライバーとして参加する(前者には「夢幻計画」に携わせるチューナーを見定める意図もあった模様で、決勝戦まで正体を隠していた)。
- 風見を拉致してでも夢幻に加入させようとした少し危ないお方。
「夢幻計画」で生み出された自動車のマシンスペックの高さとは別に、レーサーとしての実力もあると思われるが、ゼロヨンGPの風見との決勝戦はアニメでは特に詳しく描写されることもなく敗北している、東日本GPでは風見たちを悪辣な敵から守って自らクラッシュするなど作中ではあまりレーサーとしての活躍の姿は描かれない。
- 搭乗車はRX-7(の形をした何か)、夢幻ペガサス。
- 五十嵐充(いがらし みつる)CV:中原茂
- 「夢幻計画」に携わったチューナーの一人。父は渡辺の同僚で早くに亡くなってしまい、本人はいわゆるコンピュータオタクで車には全く興味がなかったが、風見に憧れ車に目覚める。弱冠18歳ながらコンピュータによる車の設計や運転アシストを発案し、夢幻オリジナルカーの開発に貢献する。
- 高いコンピュータ技術を持つために東日本サーキットGPではレーサーとしてコンピュータ制御でマシンを操るが、運転技術はメインキャラに太刀打ちできるものではなかった。しかし配置上の設計ミスによりCPUが熱暴走してコンピュータ走法が使えなくなってしまい戦意を一時喪失した際、渡辺の激励によって再起し、風見の「直感による野性的なドライブ」を盗みドライビングテクニックを開花させる。そして最終盤までトップ争いを繰り広げることに。
- その途中で渡辺のレーサー生命を賭けた覚悟を知ってしまったことから、「渡辺の後を自分が継ぐ」と決意し、夢幻を脱退しレーシングワタナベ所属となる。
- 搭乗車は夢幻ボブキャット。
- 東條誠(とうじょう まこと)CV: 田中秀幸→堀内賢雄→小滝進(現・大滝進矢)
- チューニングショップ「ハイギャード」所属。プライドは高いが風見以上にアツい男。ゼロヨンGP以外の全てのレースに登場し、その度に風見と競り合ったり共闘するなどの名脇役。
- 「与えられたパワーではなく作り出すポテンシャルにより小排気量の車で大排気量の車をぶっちぎる」がポリシー。
- アニメではサブキャラの扱いなのか担当声優が安定しない。
搭乗車はピアッツァ、MR-2(AW11)。
原作のみ
- 南条久子(なんじょう ひさこ)
- 女性向けカーショップ「美酒蘭」のオーナー。やたらと豪華な外国車を持ち出してメカドックと張り合おうとするが、いざとなると車の提供を気前よくしてくれたりする面もある。東日本GPでは小町にトヨタ2000GTを貸し出し、自らはフェラーリ308GTBで出場。松桐坊主も加えてのチームMDMを結成することになる。中村とはCR-X提供の一件以来、東日本GPで車種選定に悩む彼にヒントを与えるなど、いい雰囲気の関係になっている。
- 本来はアニメで放送されたエピソードの時点では登場しているのだが、ゼロヨンGPで風見に盗まれた代わりのCR-Xを提供する役は那智が、東日本GPで小町、松桐坊主らとチームMDMを結成するのは早坂優が代わりに務め、出てくることはなかった。
- 三戸光圀(みと みつくに)
- 三戸コンツェルン会長。自分の設立した自動車会社へ風見、那智の引き抜きを画策し、アニメ化範囲外での終盤のストーリーで重大な役割を演じる。
主な登場車両
- メカドック セリカXX
- トヨタ・セリカXX(A60)をチューニングした、メカドック最初の本格的なレース用車両。キャノンボール・トライアルに参戦する。風見は耐久性を重視すべきだという中村の意見を蹴ってまでエンジン本体の加工を行い、ニトロ(ナイトロ)システムの搭載でさらなる戦闘力アップを図る。
- 渡辺のスーパーZと那智のRX-7との三つ巴で激しい戦いを繰り広げるが、ゴール直前でエンジンブローを起こし、2位に惜敗することになる。原作ではシルバーと黒のツートンカラーだが、アニメでは赤と黒のツートンとなっている。
- メカドック CR-Xミッド
- ホンダ・バラードスポーツCR-Xをチューニングした、ゼロヨンGP用車両。エンジンをノーマルのFFからMRに積み替えてあるのが特徴。練習走行で好タイムをだすも、悪徳チューナーの手でヘリで吊り上げるという大胆な方法で盗まれてしまった。久子の提供してくれたベース車で再度チューン。二代目CR-Xミッドが完成し、那智や渡辺をも破ることになる。決勝は兵藤の夢幻RX-7との勝負に打ち勝ち、メカドックにとって初めての大きな大会でのウィニングマシンとなった。
- グレーサーZ
- 日産・フェアレディZ(Z31)をチューニングした。東日本GP用車両。グレーサーとは「グレート・レーサー」の略称である。ツインターボ化、大容量インタークーラー装着、ボアアップによる排気量拡大などのパワーアップが図られている。だが、このグレーサーZの最大の特徴はフルタイム4WDであること。スバル・レオーネの駆動系を組み込んで(色々と無理がある気がするがそこは漫画だから許せ)、大パワーをロス無く伝えるという4WDのメリットを引き出している。まだ当時はアウディ・クワトロが出たばかりの頃であり、スポーツ4WDが当たり前の21世紀の現代を思うとそれに目をつけた作者の慧眼は見事だったと言える。
- ホンダ・ストリーム
- ホンダが1981年に発売した三輪スクーター。風見の普段の足として活躍する。時に悪役を追跡するアクション場面も多く、その時にクラッシュしてしまうことも度々。だが、メカドックの技術力故か廃車されることもなく終盤まで登場している。
- ホンダ・プレリュード
- ホンダの2ドアクーペタイプのスペシャルティカー。劇中では2代目のBA1が登場し、メカドックに移籍した那智のチューニング初作品となった。この個体は依頼主に引き渡されたと見られるが、その後、もう一台作られたのかメカドックのデモカー兼風見の足代わりとして終盤に活躍することになる。
- NEO
- 終盤で登場する、三戸コンツェルンが立ち上げた「三戸カロッツェリア」が製作した架空のミッドシップスポーツカー。風見と那智は、敢えてこのマシンをパワーアップせず、シャシーのコーナーリング性能を上げるという新しいチューニングの考え方で他のチューナーたちを出し抜くことになる。
余談
関連動画
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