タイラントとは、カプコン製作のホラーアクションアドベンチャーゲーム『バイオハザード』シリーズに登場するB.O.W(生体兵器)である。
世界的製薬企業アンブレラが心血を注いで完成させた究極のB.O.W.。
前々からアンブレラはTウイルスを使ったB.O.W.開発実験を繰り返しており、数多の失敗を乗り越えて、一定の知能を持った秀作ハンターが完成。ある程度成果を得た。しかしやがて研究に行き詰まったアンブレラは成人男性を素体にする狂気の手段に手を出した。
初期の設定では「成人男性にTウイルスを使用した」程度の事しか分からなかったが、外伝『ガンサバイバー』にて誘拐してきた若者の脳を麻酔無しで切り開き、脳下垂体を切除する時に得られる脳内物質を使用して製造するというおぞましい方法が明らかにされた。が、後年の作品『アンブレラクロニクルズ』では、1000万人に1人の割合で現れるTウイルス完全適合者で、アンブレラ幹部であるセルゲイ・ウラジミール大佐のクローンを素体にしている設定に変更。
様々な改造手術を受ける過程で素体の体格は2mほどに巨大化し、生殖能力は失われ、また心臓の位置が右胸に移動した。
兵器として売るため、ある程度の命令を理解して遂行出来る知能を持つ。したがってB.O.W.共通の欠点だった知能の低さを克服してハンター以上の完成度を獲得した。強さも申し分なく、『アウトブレイク』ではハンター3体を同時に相手して勝利する描写がある。また人型になった事で、これまでのB.O.W.には不可能だった「人間への擬態」を実現し、量産型のT-103はトレンチコートを着込んで人間らしく見せている。
さすがに武器を扱えるだけの知能は無く、攻撃手段は怪力による殴打や体当たり、壁の破壊といった原始的なものに限られる。とはいえ一撃でハンターを倒せるところを見るに人間相手には十分すぎる脅威と言えるだろう。防御力も非常に高く、銃弾をしこたま撃ち込んでも一時的に活動停止に追いやるのが精いっぱい。タイラントを倒すにはロケットランチャーのような重火器が必要になる。
しかしタイラントには致命的な欠点があった。生命の危機に瀕すると、かけられたリミッターが外れて暴走状態になってしまう。こうなると外部からの命令を一切受け付けなくなる。中にはT-0400TPのように致命傷を負っていないのに勝手に暴走しだす欠陥品もある。リミッターが外れたタイラントは「スーパータイラント」と呼ばれ、鋭利な爪となった両手を振り回して見境なく暴れる。
暴走の危険性を除けば高い完成度を持つためタイラントをベースにした様々な亜種が製造されている。初代ではラスボスを務め、後年の作品には亜種が複数登場、いずれも強敵として主人公の前に立ちふさがる。
アークレイ山地のアンブレラ幹部養成所にて研究開発されていた。当時は製造法が確立されておらず、戦闘能力は及第点であったが、肝心な知能が劣化。アンブレラ社から失敗作の烙印を押され、廃棄された。
作中では物語終盤で対峙。廃棄されてもなお驚異の生命力で生き残っていた。既にスーパー化しており、失敗作と言えど侮れない相手。
アークレイ山地の地下研究所にて造られた初の成功作であるT-002が登場。プロトでは失敗した知能の獲得に成功、簡単な命令なら遂行できるようになった。戦闘能力と知能を併せ持ったタイラントは究極の生物兵器としてアンブレラ社を満足させ、以降このタイプをベースにして多種多様なタイラントが製造されていく。
ウェスカーもタイラントの事は気に入っていたようで「美しい」と漏らしている。一方、クリスからは「究極の出来損ない」と馬鹿にされている。ウェスカーによって培養ベースから開放されるが、そのウェスカーを突き刺して仮死状態にする。その後、クリス(ジル)と交戦し、倒される。
ルートによってはスーパータイラントと化し、ラスボスとして立ちはだかる。
上記のタイラントをベースにした、「商品」として完成した量産型T-103が登場。今までは全裸だったが、T-103はトレンチコートを着ている。
アンブレラ社のヘリによって輸送され、ラクーンシティに投下される。アンブレラ社にとって不利益な人物や生存者を殺害する任務を受け、レオンやクレアを執拗に追い回す。物語終盤で溶鉱炉へ転落し、死んだように思われたが驚異の生命力で生き残り、スーパー化。ラスボスの前座として襲い掛かってくる。
本作では戦うことは無いが、終盤にT-103の死体が5体も登場。ラクーンシティに突入したアメリカ軍特殊部隊を抹殺するため、アンブレラ社は5体の量産型タイラントを投入。部隊を壊滅させる事には成功したがタイラントも全滅し、相打ちとなる。
追跡者との最終決戦の場である廃棄物処理場に、スーパータイラントの死体が放置されている。重傷を負っていた追跡者はタイラントの死体を貪り、最終形態へと変貌する。
最終シナリオ「突破」でT-103の改良型であるT-0400TPが登場。ラクーンシティ内の研究所にて保管されていた。
バイオハザード発生時、何故か保管されていたハンターが脱走。研究員は次々に殺害され、研究所内は危険な場所と化していた。我が物顔で闊歩するハンターを駆逐するため、研究員カーターが量産型タイラントを起動。ハンターを排除するよう命令し、ハンターの群れにタイラントをぶつける。あっという間に3体のハンターを倒し、黙々と任務をこなす。カーター曰く、「万が一暴走しても体内に爆弾が埋め込んであるから大丈夫」というが……。
敵として登場し続けてきたタイラントが、唯一味方になってくれる非常に貴重なシーン。プレイヤーと一緒に研究所内を歩き回り、ハンターを見つけると攻撃を仕掛ける。タイラントが受けた命令は「ハンターの排除」であって「プレイヤーの護衛」ではないので、攻撃に巻き込まれると普通にダメージを受ける。それを差し引いても心強く、ハンターの掃除はタイラントに任せ、自身は遠くから眺めていれば弾薬の節約が可能。
しかし味方でいてくれる期間は短い。突然謎の暴走を始め、カーターを殺害。爆破するためのリモコンを失くしてしまう。
オリジナル版「2」と同様にT-103が登場。警察署に投下された。
本作ではG-ウィルスの回収ではなく、事件の証人になり得る警察関係者の抹殺が任務であり、レオンやクレアを執拗に追跡する。「エイリアン アイソレーション」のエイリアンのようにAIによって自由に警察署内を徘徊し、主人公を発見もしくは銃声を聞き取ると見失うまで追尾。追われている間は専用BGM(曲名「Black Impact」)と独特な足音が聞こえ、プレイヤーの新たなトラウマメーカーとなっている。原作にあった壁ぶち壊しての登場も健在。ゾンビと接触すると裏拳を喰らわせて追い払う。この裏拳でゾンビが死ぬ事は無い。見た目は原作と殆ど変わっていないが、新たに帽子をかぶっている。
海外版では「Mr.X」と呼ばれており、外国人プレイヤーも戦慄させている。恐怖の暴君に対抗するためかタイラントをいじくり倒すMODが次々に製作され、ネタ要素にもなっている。代表的なのはきかんしゃトーマスにしてしまうMODだろうか。ついにはタイラントそのものを消し去るMODまで開発された。
はしごを上っている主人公には攻撃せず、またセーブルームには見えない壁に阻まれて侵入できない特徴がある。救済措置なのか一定時間以上追跡が続くと、タイラントが追跡を諦めて何処へ去っていく。
弱点は頭。集中的にダメージを与えるとひざまずき、停止する。逃げるには絶好の機会だが、完全には倒せない。約25秒後に再び立ち上がり、追跡を再開する。追われる恐怖を常時感じながら謎解きをしなければならないので、RE:2の難易度を上げる要因になっている。クレア編の場合は、中盤のイベントでタイラントが退場するため比較的楽。退場後はゆっくりと警察署を探索できる。しかしレオン編は終盤まで付きまとわれる。
警察署は広大にも関わらず、タイラントと遭遇する確率が高い事からプレイヤー間で「ワープしている説」が浮上した。有志がカプコンに問い合わせたところ、「AIがプレイヤーの行動を先読みしている」「リアルに徘徊しています」としワープ説を否定した。ところがチートを使った検証動画で、タイラントが不自然なワープをしている事が判明(廊下から廊下へ瞬間移動したり、階段を使わずに階を移動する等)。遭遇率の高さは、やはりワープに起因していた。
一方で、タイラントが2体に増えるバグ動画が投稿された。ここから「データ上にはタイラントが2、3体いて、最も近いタイラントが出現して追跡する説」が浮上。……謎は深まるばかりである。
絶大なダメージを受け、生命の危機に瀕したタイラントは本能的にリミッターを外し、更なる戦闘能力を得た形態・スーパータイラントへと変貌する。両手が鉤爪のようになり、攻撃手段が拳に任せたものから斬撃へと変化する。加えて身体能力が上昇、機敏な動きを見せるようになる。初代バイオハザード、バイオハザード2、コードベロニカ等で登場。いずれも強敵で、主人公の前に立ちふさがる。通常の方法ではトドメを刺す事が出来ず、ロケットランチャーや特殊な手段でないと倒せない特徴がある。
アンブレラ社所有のロックフォード島では、訓練用のスーパータイラントが保存されていた。この個体は両手部分が鉄球のように変化している。どうやらU.C.C.の訓練相手となっていた模様。
タイラントよりも強力だが、最大の欠点として制御が効かない点が挙げられる。いくら強くても制御が効かなければ商品にならないので、アンブレラ社は暴走を防ぐべく拘束具を兼ねたトレンチコートを量産型タイラントに着用させている。これは人間への擬態も兼ねている。
上記の他にもタイラントを素にした個体が登場している。
シリーズ三作品目「バイオハザードⅢ」にて登場し、本作のラスボスを務めた。タイラントの名を冠してはいるが、原作と設定がかなり異なっている。
アンブレラ社・北米支部の主任アイザックス博士は、Tウイルスと完全適合を果たしたアリスのクローニングに成功。彼女から採取した血清を使い、地上にあふれかえるアンデッド(ゾンビ)を飼いならして労働力や兵士にする事を考えていた。ところが血清を打たれたアンデッドは一時的に知能を取り戻したが、すぐに凶暴化。体内のTウイルスを更に凶悪進化させ、スーパーアンデッドと化した。運悪く、そのスーパーアンデッドに噛まれたアイザックス博士は、感染への恐怖から大量の抗ウイルス剤を投与。
その結果、突然変異を起こし、見た目こそ醜悪になったが理性や知性を保ったままタイラントへと変貌。
物語終盤、研究所内に乗り込んできた主人公アリスと交戦。自身こそが最強の生物兵器だと主張し、アリスを苦戦させる。
掲示板
237 ななしのよっしん
2024/11/02(土) 23:29:48 ID: HPJlpct5d8
作中タイラントは殆どセルゲイのクローンだけど、兵器としての有用性はあの世界でのクローンの成長速度がどれくらいなのかにもよりそう。
もしインスタントラーメン感覚でクローンを作れるなら(タイラントの価格次第で)優秀な兵器っていう評価も分かる気がする。
238 ななしのよっしん
2024/11/02(土) 23:43:17 ID: BoWpcIOlCy
とにかく暴走しないのが製品として一番大事だな。
239 ななしのよっしん
2025/10/19(日) 15:38:02 ID: eMA31Y5xHU
>>238
ラノベに登場したミレーニアは端末で自由にコントロール可能で暴走しないけど、端末を壊されると活動停止するのが弱点
ちなみにインフィニットダークネスではBSAAタイラント(?)のプロトタイプらしき強化人間が大量生産されてたけど、ラスボスのせいでパーになってた
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/05(金) 23:00
最終更新:2025/12/05(金) 23:00
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