九州産馬 単語

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キュウシュウサンバ

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九州産馬とは、文字通り、九州で生産された競走馬のことである。

概要

南の馬産地の現状

現在日本競走馬として生産されるは全でおよそ7000頭と言われている。この内の大多数は北海道で生産されており、その他には青森県などが時折言及される程度になっている。では南九州を向けてみると、2019年度の生産頭数は62頭。つまり、九州競走馬の生産頭数は全の1パーセントほどということになる。

実はもともと、九州産が盛んな地域であり、特に南九州地方では多くのが生産されていた。しかし太平洋戦争後に産の中心地が大規模な生産牧場を維持していた北海道に移ったことで、徐々に衰退の一途をたどっていくこととなった。
アングロアラブの生産も盛んであったが、これもアラブ系競走の止などから頭数を減らす一因になっている。

このため、現在では生産奨励を兼ねて、小倉競馬場地方競馬佐賀競馬場で九州産馬限定競走を行うほか、生産者も努をして九州産馬のレベルを上げようと努している。

参考までに、2020年産の地域別の状況を書くが、やはり北海道日高地域だけで全産の80%を占めている。残りのうち18%胆振十勝地域で、1%強を青森県、1%弱を九州、ごく少数を宮城県及び関東地方で生産している。ちなみに頭数0とあるのは、生産者はいるが2020年に生まれた産駒が0という意味である(ただし秋田県はそもそも繁殖牝馬が0、群馬県繁殖牝馬が7頭いる)。
ここで軽種馬と書いているが、これはサラブレッドサラブレッド系種アングロアラブアラブの全てを合計したものである(アングロアラブは2頭、アラブサラブレッド系種は各1頭しかいないexitので、ほぼサラブレッドしかいないが)。

令和2年の軽種馬生産
地方 都道府県 頭数 地域 頭数 頭数
北海道 北海道 7392 胆振 1361
日高 6009 取町 185
日高 1366
新冠町 1206
新ひだか町 1795
浦河町 1365
えりも町 21
様似町 71
十勝 22
東北 青森 80
秋田 0
宮城 3
関東 群馬 0
栃木 16
茨城 6
千葉 1
九州 熊本 26
宮崎 7
鹿児島 25

ソースhttps://www.maff.go.jp/j/chikusan/keiba/lin/attach/pdf/index-70.pdfexit

現在行われている主な九州産馬限定競走

この他、小倉競馬場では九州産馬限定の新馬戦未勝利戦が行われている。

佐賀競馬場で開催されている2競走は、元々は小倉競馬場で開催されていた中央競馬条件戦だった。たんぽぽ賞は500万下(現・1勝クラス)、霧島賞は900万下(現・2勝クラス)だったが、1997年から九州地方競馬3場(荒尾・中津佐賀)の持ち回り開催となり、中津競馬止された2001年から荒尾開催、荒尾競馬止された2012年から佐賀開催となっている。現在どちらも重賞として開催されているが、かつて中央競馬条件戦だった名残でたんぽぽ賞は1勝クラス以下、霧島賞は2勝クラス以下の中央所属も出走可となっている。

なお、ひまわり賞トライアル競走としてひまわり賞チャレンジカップたんぽぽ賞のトライアル競走としてノカイドウ特別・ミヤマキリシマ特別、霧島賞のトライアル競走としてえびの特別・大隅特別が開催されている。

なお、北海道が中心になったことで圧迫されていったのはその他の産地も同じであり、かつては船橋競馬において「千葉茨城県限定」が行われていた他、JRAでもヨカヨカの活躍と機を同じくして東北限定競走の実施の検討が話題に上がったことがある。

九州産馬のレベル上げのために

①北海道の種牡馬を種付けする

いきなり、元も子もないようなことを書いているが、これもちゃんと理由がある。

そもそも、九州産地なので、種牡馬はいないことはない。だが頭数が少なく、2023年現在九州にいる種牡馬は以下のとおりであるカッコ内は現在所在地)。

※このほか、アングロアラブモンティファルハーンニセイがいる

このうち、ケープブランコスクワートルスクワートネロ日本種馬協会(JBBA)の所有する種牡馬であり、いつ移動するかわからないというリスクもある。それ以外の種牡馬は個人牧場所有のため、おいそれと種付けをするのも難しい。

そのため、牧場で所有する繁殖牝馬北海道に移動し、種付けしてから九州に戻して生産する……という方法をとる牧場がある。これを多用しているのが園正継氏が所有するテイエム牧場である。園氏はテイエムオペラオーやテイエムサンデーなど自身が所有する種牡馬を種付けして成功させようとしていたため、このような手法をとっていたと思われる。

②良質な繁殖牝馬の導入

北海道種牡馬を種付けすること自体は九州産馬のレベルアップにつながるが、それだけだとどうしても頭打ちになってしまう。そこで、繁殖牝馬の積極的な入れ替えも同時に行うことで九州産馬のレベルアップを図る生産者もいる。

この手法でレベルアップに取り組んでいるのが、本田牧場本田土寿氏やストームファームコーポレーション村山氏である。この2人が生産し、2020年阪神ジュベナイルフィリーズにも出走した、ヨカヨカ本田牧場)とルクシオンストームファーム)はともに北海道から導入した繁殖牝馬から生産された競走馬である。

ちなみに、ルクシオンエイシンフラッシュだが、これは北海道に移動させて北海道で種付けをした……わけではない。確かにストームファームは北海道にも拠点があるが、そこにいたわけではなく、ルクシオンであるヘヴンリーヴイス村山氏がジェイエス繁殖セールで購入し、その際に受胎していたエイシンフラッシュ子供ルクシオンである。

この方法はどうしても(繁殖牝馬の入れ替えに)資と時間はかかるものの、確実なレベルアップが見込める。現在も徐々にではあるが結果が出てきている。

主な九州産馬

現役馬

イロゴトシ
2017年ヴァンンヌロジカケ。
2019年ひまわり賞勝ち2023年2024年中山グランドジャンプ勝ち
芝の中距離に適性があったらしく、2020年京都新聞杯で5着に入る健闘を見せている。
また、2021年の揖特別を制し、熊本としては10年ぶりの特別勝利を達成している。
障害に転向後4戦で中山グランドジャンプを制し、九州産馬初のG1ホースとなった。
さらに翌年も同レースを連覇し、障害レース歴史に残るとなった。
イロエンピツ
2018年アーネストリーロジカケ
2021年たんぽぽ賞勝ちで、イロゴトシはかわいらしい名前なのにどうしてこうなった
ダートに矛先を向けてから少しずつ結果は出していたが、ノカイドウ特別・たんぽぽ賞を連勝。
その後は結果を残せず2021年末に障害入りし、未勝利ではあるが勝ち上がりをしている。
ネイバーアイランド
2018年ルシャザール、バレット
な実績としては2歳未勝利だけという
ただ、この未勝利勝ちは営でのもので、その後は金沢佐賀金沢と移籍をしており、佐賀所属時に出走したノカイドウ特別ではイロエンピツの3着に入っている。
2021年関東オークスでは後方ポツンの状態から猛然と追い込み5着に入線し、JRAリフレイムにも先着する健闘を見せた。
コウユーヌレエフ
2014年ロージズインメイフォンティーン
2018年霧島賞勝ち
地での勝利2017年えびの特別、2018年えびの特別・霧島賞とすべて佐賀競馬九州産限定競走であったが、障害競走に転身後は一変。
騎手を背に、2019年新潟ジャンプステークスで2着に入るなど結果を残し、2022年ジャンプステークス勝利
重賞制覇はの前まで来ている。

引退馬

レン
1920年産サラブレッド系種スプレンドールフヨー。
小倉帝室御賞典で、阪神の古呼優勝戦や目黒各内国抽籤濠州産馬混合競走にも優勝するなど九州外でも活躍し19勝を挙げた。
京都の各内優勝競走では1位入線するも失格となり、払い戻しを巡って暴動が起きた。(レンド・マツカゼ事件)
タガミホマレ
1962年アングロアラブミネフジバイオレツト。
60年代に73戦41勝という記録を残した名競走馬
種牡馬としても大活躍。「性雄」セイユウ記録を塗り替える生涯2909頭、年間最高270頭もの種付けをこなして数々の活躍を送り出し、一大系統を築いた。
2009年NARグランプリにおいて特別表された。
キングスピード
1966年オートキツ、インダービー
京都杯でダイシンボルガードアカネテンリュウを破る大金星を挙げた。
になってからは障害競走を走るようになり10戦10勝の戦績で最優秀障害に選出された。
その後は地方競馬へ転出し、消息不明である。
ゴールドイーグル
1970年カブトシローイチマルヨシ
地方競馬で大活躍したのちに中央に移籍した
脚部不安と闘いながら、1977年サンケイ大阪杯エリモジョージなどを破ると、マイラーズカップも勝ち重賞を連勝し春の天皇賞へ出走。
このレースではテンポイントグリーングラスに次ぐ人気だったが、14着と大敗し、このレースで再び脚部不安を発症し引退
引退後は種牡馬となった。
ダンツセントー
1989年リードワンダーニクサアクイン
1992年アネモネステークス勝ちで、桜花賞にも出走。
このレースでは5番人気に支持されニシノフラワーの6着と健闘した。
ちなみにこの6着は過去の九州産馬のGI最高着順であった(のちにヨカヨカ更新
ダイメイゴッツ
1990年アングロアラブキタサンブルーミノリイン
1993年楠賞全日本アラブ優駿優勝九州地区所属による全重賞の初制覇と言われる。
12戦9勝、2着2回、3着1回の成績で引退して種牡馬入り。種牡馬としてはユートクセランを出した。
コウエイロマン
1996年マークオブディスティンクション、ダンツビューティ
1998年小倉3歳ステークス(当時)勝ち
グレード制導入後で初めて中央の重賞勝利した九州産馬。
デビューから3戦敗の成績で阪神3歳牝馬ステークスにも出走し、2番人気に支持された。
引退後は繁殖入りしたものの、産駒で繁殖入りしたはいない。
コウエイトライ
2001年オペラハウスダンツビューティ
コウエイロマンの半で、障害重賞8勝の大活躍を見せた、九州産馬の中でも屈の名
詳細はコウエイトライの記事にて。
テイエムチュラサン
2002年タイキシャトルフルフリングス。
2005年アイビスサマーダッシュ勝ち
この勝利は九州産馬としてはコウエイロマン以来となる重賞勝利の快挙で、直線番長カルストンライトオを破る大金星でもあった。
引退後は繁殖入りしている。
ルクシオン
2018年エイシンフラッシュヘヴンリーヴイス
2018年九州産限定の新馬戦デビューした小倉2歳ステークスで4着、福島2歳ステークス勝利するなど結果を残し、阪神ジュベナイルフィリーズにも出走。
レースでは17番人気だったものの10着と大健闘をした。
しかし、3歳になった直後の調教中の事故のため予後不良となった。
ヨカヨカ
2018年スクワートルスクワートハニーダンサー
2020年ひまわり賞2021年北九州記念勝ち
個性いの2021年クラシック世代のだったが、志半ばで骨折により競走喪失して引退
詳細はヨカヨカの記事にて。

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