氷室幻徳とは (ヒムロゲントクとは) [単語記事]

どうです? 今夜、概要編集についてホテルで朝まで語り明かすというのは。

東都先端物質学研究所所長にして、実父である東都政府首相・氷室泰山の補佐官。スカイウォールの惨劇の際、その場に居合わせてパンドラボックスの光を浴びた一人でもある。

採用試験で満点を取った桐生戦兎を研究所に中途採用し、火星で発見されたパンドラボックスの研究を命じている。頭脳明晰だがプライドの高い野心家であり、平和主義を掲げる父とは対照的に東都の平和を守るために軍備増強が必要というタカ派的思考や、万丈龍我に対しては彼を助けたビルド共々、特殊部隊に生死を問わず確保せよと命じるなど好戦的な一面が見受けられる。
なお父・泰山によると「光を浴びる前は優しい子だった」という。

第7話でファウストのリーダー格・ナイトローグの変身者であることが判明したが、P/Rのマークが描かれたフルボトルの所持、ブラッドスタークとの面識、ネビュラガス発生場所の情報を戦兎にリークしたりと当初からファウストとの繋がりを度々におわせていた。

スマッシュ製造の人体実験に立ち会うほか、自ら戦線に赴いてビルドとも対峙する。実験のモルモットとなった人間がどうなろうが気にする素振りを見せておらず、冷酷な性格をうかがわせる。最終的には仮面ライダーを東都の軍事力として運用しようと目論んでいるようだが……。

ファウストのことが暴かれそうになった際、部下の内海を身代りにすることで秘密を守り抜いた……と思われたが、何とブラッドスタークが戦兎＝ビルドに「氷室幻徳には気を付けろ。奴が本物のナイトローグだ」とあっさり正体をバラされてしまう。
他にもブラッドスタークの行動でひたすら窮地に陥る幻徳は、最終的にビルドに敗北し、その現場を父である泰山に目撃されたことで、遂にナイトローグとしての顔が明るみに出てしまう。
しかし、泰山がブラッドスタークの毒で倒れたことでこの話は有耶無耶になり、幻徳はこの機に、冷戦ともいうべき均衡を崩す挑発的な行動を取る。彼の手により北都と東都の戦争が、そして「ライダーウォーズ」が始まり、否応なしに戦兎たちは巻き込まれていく……。

……が、石動美空が目覚めた治癒能力により、父・泰山が復活。
泰山の復帰と同時に、あくまで泰山の代理でしかなかった上、独断で他勢力に戦争ふっかけ、挙句侵略行為に手を染めようとした幻徳はその立場を完全に追われ、東都外追放と相成る。

「まだ終わらない。俺は貴様等の前に現れる、更なる力を手に入れて……!」

その言葉通り、彼は西都の刺客として戦兎の前に現れた。
スクラッシュドライバーと、新たなる力「クロコダイルクラックフルボトル」を携え、変わり果てた姿で……。
未だに葛城巧に未練があり、復活後も執着を見せている。

彼の真意は、あくまで「武力を以て日本をひとつにする」という一心。
父・泰山が夢物語なほどに平和主義者なことに反発し、国を守るために武力を求めていたかつての幻徳と、本質は何も変わっていなかった。
行動自体は悪の仮面ライダーではあるが、想いは国のため、自分の信じる義のために戦う戦士である。
故に、彼が力を与えられた難波重工とは反する存在ではあるのだが……。

デンジャー！
この項目は、作品のネタバレ成分を多く含んでいます。
ここから下は自己責任で突っ走ってください。

ブラッドスタークの手に渡ったパンドラボックスの力によりパンドラタワーが作られ始めたころ、「人体実験を受けて仮面ライダーに変身することができた者はパンドラボックスの光の影響を失う」ことが判明する。つまり幻徳はローグに変身することが出来た時点で元の穏やかな性格へと戻っており、幻徳は大義＝国を一つにまとめあげ、父を首相とする目的のために正気の状態で西都に味方するという泥を被っていたことになる。さらに西都は首相が消され、スタークの力で難波とすり替わっており、実質的に難波重工がパンドラボックスの力で世界を支配しようと目論んでいた。そんな状況で幻徳は体内に埋め込まれた消滅チップにより公然と反逆が出来ない状況でありながら、前述のすり替わりの事実を戦兎たちに伝えたり、人質にされた猿渡ファームの従業員を逃がしたりなど人知れず戦っていた。

エボルドライバーの人質として捕えられた父・泰山を助けるために戦兎に依頼した消滅チップの無効化により、ついにスタークを撃破することに成功する。しかしエボルドライバーはスターク＝エボルトの手に渡ってしまい、誕生した仮面ライダーエボルには成すすべもなく敗れる。そして始末されそうな所を父・泰山が身代わりになり死亡。大事な肉親を失う結果となった。

その後は戦兎達がエボルトに立ち向かうためにフルボトルを所持している協力を要請されるものの、大事な肉親である泰山を失ったことから罪悪感に荷まれていた。しかし猿渡一海の必死の説得により迷いを振り切り、戦兎達の頼もしい仲間になったのであった。

仲間になった後は次第に気取った部分が消え素の負けず嫌いでおちゃめな部分が見れるようになってきたが、終盤にて一海と同じくエボルト一派によって改造手術を受け、一海と同じく敗北すれば死ぬ体になってしまう。

そしてエボルトとの最終決戦時、一海の戦死により悲しみに明け暮れる中ついに仲間たちと共にエボルトと戦うも、その圧倒的な実力差からあっさりと敗れてしまう。

しかし、散々罵倒した挙句今更になって頼ってきた都合が良すぎる市民の応援の声を聴き再び奮起。
戦兎達を勝利に導くためにエボルトリガーを破壊しようと攻撃を仕掛け、激戦の末に敗北。戦兎達の仲間の中では2人目の戦死者となってしまう。

だが彼によって黒いパンドラパネルはエボルトより分離し、結果戦兎達の勝利へとつなぐことができた。
かつて大きな罪を犯した仮面ライダーは、世界を救う英雄としてその命を散らせたのだった…

余談

第1話でビルドに関する取材を申し出た滝川紗羽をホテルに誘おうとしたことから一部では「ホテルおじさん」と呼ばれているとか。そして、彼の様々な状況になぞらえて「蒸血おじさん」とか「銭湯おじさん」とか「絶縁おじさん」とか「割れ物おじさん」とあだ名が増えつつあるらしい。
視聴者からの一貫したあだ名として、某マスコットキャラにかけてか「げんとくん」と呼ばれている。実際スタークも一度呼んだ。

また、ブラッドスタークに正体をあっさり明かされたことや、彼がブラッドスタークに手玉にとられていることから、ファンの間では何かとブラッドスタークに正体をバラされるという扱いを受けており、先述のスタークの台詞を短縮・改変し「あと氷室幻徳はナイトローグだ」「←スタァァァク！！」といったコメントが密かに増え始めている。

以上のように、当初からネタキャラとして扱われてきた彼だが、仮面ライダーローグに変身するようになってから、彼の真意がより明確に見えるようになっており、理想を理想のまま実現しようとする桐生戦兎と対比し、別の道で国の行く末を案ずるキャラクターとして存在感を露わにしている。

…だが、戦兎達の仲間に加わってからは「短パンと帽子の組み合わせと『威風堂々』の文字が書かれたTシャツ」や「全身ピンク色の服と『親しみやすさ』の文字が書かれたTシャツ」といった、ダサい個性的なファッションを披露していたり、一海の説得の際の「親父のコネ」発言も相まって、ファンから「キャラ崩壊」と言われる事もあるとかないとか。

ROGUE

ビルドのBlu-ray COLLECT IONに付属する映像特典『ROGUE』は、彼を主役としたストーリー。
本編前と、失踪後「仮面ライダーローグ」となるまでの幻徳の姿が描かれる。

失踪後・再登場前に何があったのかは、本編ではちらっとしか触れられず、幻徳も「地獄を見てきた」と言及するに留まる。このままでは地獄という表現が他のライダーと比べるとあまりに軽いが、『ROGUE』では本編ではできなかった暴力・流血などの描写が加わる。

ナイトローグ

「蒸血……」

ミストマッチ!
バット…バッ・バット…ファイヤー!

身長：197.5cm
体重：103.0kg
パンチ力：17.2t
キック力：20.5t
ジャンプ力：ひと飛び49.0m
走力：100mを4.1秒

幻徳が拳銃「トランスチームガン」にバットロストフルボトルを装填して変身した姿。コウモリのような意匠が各部に見受けられる。戦兎の記憶の中にある「黒づくめのコウモリ男」の正体であり、戦兎からは記憶の鍵を握る存在と考えられている。実際はスタークからの又聞きでやっと真実を知った程度だが。

額の器官「セントラルチムニー」は特殊弾発射、有毒性ガス散布といった機能を持つ。また、上半身の煙突状の器官からは煙を噴出し、瞬時に武器を召喚することができる。
また、奥の手としてコウモリの翼のような器官を生やすことができ、この状態だと飛行可能になる。
使用武器はトランスチームガンと片刃剣「スチームブレード」。2つの武器を合体させることでライフルとして使うこともできる。

仮面ライダーローグ

デンジャアァァ…

クロコダイル!

割れる! 食われる! 砕け散る!
クロコダイルインローグ!
オォオオゥルァアアァ!!

キャアアアアアアアアアア!!!!!!

「大義のための犠牲となれ……!」

身長：194.0cm
体重：110.8kg
パンチ力：32.7t
キック力：37.5t
ジャンプ力：ひと飛び57.2m
走力：100mを2.3秒

西都の刺客として現れた際に、新たに変身するようになった姿。
スクラッシュドライバー第三の使用者であり、スクラッシュゼリーではなく「クロコダイルクラックフルボトル」を用いて変身する。そのため、変身ボイスも他と比べて大きな違いがある。

衝撃に反応して硬くなる装甲「クロコダイラタンアーマー」を用いており、物理攻撃に対して非常に強い。
格闘戦も強力だが、西都の他の戦士と同様に、トランスチームガンの亜種「ネビュラスチームガン」を武器とする。必殺技の「クラックアップフィニッシュ!」はワニの噛みつきのように両脚で挟みこんで攻撃するキック技とパンチ技の2種類を使い分ける。

その戦闘力は、登場時点で文句なしの最高戦力。
暴走したビルドハザードフォームならばダメージ自体は通るが、暴走状態はほぼ完璧に対処でき、圧倒的なパワーを誇っていた。
しかし、ハザードフォームを新たな形で制御したビルドの新形態「ラビットラビットフォーム」には翻弄され、データを集め対策するももう1つの「タンクタンクフォーム」に圧倒され、撃破されてしまう。

ラビットラビットに場外まで吹き飛ばされた際の、綺麗な「ヒ」の字フォームは語り草となり、「ヒ室幻徳」などと弄られることとなる。真面目に魅せたと思ったらお前こんなところで……。

ちなみに、後頭部には「割れ物注意」のシールのような意匠がある。
割れ物とローグの英語の意味「悪者」をかけたものであり、剥がし忘れというわけではない。スタークの悪戯でもない。

仮面ライダープライムローグ

「おっ、お前…まさか!?」

「俺だよ…!」

ガブッ!!
プライムロォオオオオグッ!

Are you ready!?

「変身」

大義晩成! プライムロォオオオオグッ!
ドリャドリャドリャドリャドォオオオリャァアアアアアッ!!

身長：194.0cm
体重：111.8kg
パンチ力：52.3t
キック力：60.0t
ジャンプ力：ひと飛び74.4m
走力：100mを1.3秒

テレビ本編では登場しなかったローグの幻の強化フォーム。
超バトルDVD『仮面ライダープライムローグ』にて初登場し、後に『仮面ライダービルドファイナルステージ』『ビルドNEW WORLD 仮面ライダーグリス』にまさかの再登場を果たした。
てれびくん限定フォームがファイナルステージやVシネマに登場するのはこのプライムローグが初である。

他のライダーと同じく例によってビルドドライバーを使用した強化フォームであり、戦兎が敗北した際に彼のビルドドライバーを使用し、戦兎が幻徳用に開発した「プライムローグフルボトル」をセットし強化変身する。拡張機能が無いスクラッシュドライバーは本当に泣いていい。

元々のローグのデザインは崩さず全身に格調高い模様が刻まれ、更に純白の「プライムセイバーマント」を身にまとうその姿はまさに服装のセンスがぶっ飛んだ幻徳に相応しいやりすぎな外見と言えるだろう。
頭部の内部タンクには緑色の野菜を主原料とした補給剤が満たされており、疲労の解消や免疫の向上・憑依の阻害といった効果を持つらしい。それってもしかしてピーマン…
また、自身への声援や託された想いによって強化される機能「エールアンプリファー」を持つ。この機能は幻徳用のスクラッシュドライバーにも追加搭載されており、後のエボルトとの最終決戦で重要な役割を果たす。
必殺技は「プライムスクラップブレイク!」。