第89回東京優駿 単語

ダイハチジュウキュウカイトウキョウユウシュン

7.2千文字の記事

武豊の想いがドウデュースに伝わった!!!

ドウデュース逆襲の末脚!!!

――第89回(2022年東京優駿(日本ダービー)にてフジテレビ倉田大誠アナ

第89回東京優駿日本ダービーは、2022年5月29日東京競馬場の第11レースとして開催された競走である。

このレースの勝ちドウデュースはその後に年度違いの秋古馬三冠を達成、2着イクイノックスGⅠ6連勝してこちらも年度違いの秋古馬三冠を達成、3着アスクビクターモアレコード菊花賞を制している。このレースに出走した活躍が多いのが特徴で、結果としてこのレースに出走した18頭のうち17頭が重賞勝ちとなったため、日本競馬史上でもかなりハイレベルレースであったと言われる。

概要

東京優駿(日本ダービー)1932年イギリスの「ダービーステークスエプソムダービー)」を模範に創設されたレースで、3歳による世代最強を決める頂上決戦という位置づけである。このレースに勝つことが日本のすべてのホースマンにとってのと言って過言ではない。なお、優秀な繁殖を選定するレースの意味合いもあるので騸馬は出走できない。

出走馬

性齢 体重 斤量 調教師 騎手 人気 単勝 な勝(当時)
1 1 アスクワイルドモア 3 464(+2) 57 []藤原 岩田望来 13 60.3 京都新聞杯
1 2 セイウンハーデス 3 472(+4) 57 []橋口慎介 幸英明 16 150.0 プリンシパルS
2 3 アスクビクターモア 3 472(-2) 57 [美]田村康仁 田辺裕信 7 24.7 弥生賞
2 4 テンロウレオ 3 476(-6) 57 []昆貢 横山和生 18 198.7 きさらぎ賞
3 5 ピースオブエイト 3 460(-6) 57 []奥村 藤岡佑介 12 59.4 毎日杯
3 6 プラダリア 3 458(+2) 57 []池添 池添謙一 5 20.7 青葉賞
4 7 オニャンコポン 3 468(0) 57 [美]小島茂之 菅原明良 6 24.2 京成杯
4 8 ビーアストニッシド 3 462(-6) 57 []飯田雄三 和田竜二 17 182.3 スプリングS
5 9 ジャスティンパレス 3 448(-10) 57 []杉山 M.デムーロ 10 43.1 黄菊賞
5 10 テンロウオリオン 3 484(0) 57 []昆貢 横山典弘 9 40.6 シンザン記念
6 11 ジャスティンロック 3 486(-8) 57 []吉岡 松山弘平 14 87.3 京都2歳S
6 12 ダノンベルーガ 3 494(-10) 57 [美]宣行 川田将雅 1 3.5 共同通信杯
7 13 ドウデュース 3 478(-10) 57 []友康夫 武豊 3 4.2 朝日杯FS
7 14 シエル 3 512(0) 57 []安田 岩田康誠 15 90.4 若葉S
7 15 ジオグリフ 3 492(-2) 57 [美]木村哲也 福永祐一 4 5.9 皐月賞
8 16 キラーアビリティ 3 460(-8) 57 []斉藤崇史 横山武史 8 33.4 ホープフルS
8 17 ロードゼル 3 506(+2) 57 []中内田充正 D.レーン 11 54.5 水仙
8 18 イクイノックス 3 484(-8) 57 [美]木村哲也 C.ルメール 2 3.8 東スポ杯2歳S

単勝1番人気共同通信杯を制したダノンベルーガ。前走皐月賞は前走で負かしたジオグリフの4着という結果だったが、最内を引いて内に閉じ込められる不利を受けたことが敗因で、今回は外を引いたことで巻き返しを期待された。

差のない2番人気デビューから素質を期待されたイクイノックス。前走は勝ちパターンに入ったところでジオグリフに交わされ惜しくも2着に。勝率の低い大外であるが、前週に行われたダービーと同条件で行われたオークスではルメールが騎乗したスターズオンアースが大外から勝利。同距離・同騎手・同という好条件がっていた。

続く3番人気武豊のお手にして朝日杯FS覇者ドウデュース皐月賞では1番人気に支持されるもかなり後ろの方で待機してしまい、上がり最速の末脚も届かず3着。直線が長い東京競馬場脚が存分に発揮できる舞台であり、なおかつ日本ダービー5勝のベテランジョッキーの手綱が期待された。

4番人気ダートのほうが強いドレフォン産駒ながら皐月賞を制したジオグリフ。前走の皐月賞はやや湿った馬場を味方につけ、ダノンベルーガを内に閉じ込めつつ、イクイノックスマークするという福永祐一の好騎乗がった。しかし、血統が距離延長に耐えられるかどうかが不安視されて上位人気3頭からはやや離された人気だった。

以上の4番人気までのが単勝オッズ10倍以下で、5番人気以降は20倍をえるという上位人気・下位人気の差がはっきりする人気となった。

また、当日は5月ながら最高気温31.2度という真夏日金曜までの燥し、高速馬場となった。

ちなみに、レース当日の観客数は6万2364人(JRA発表)。但し当日は前年に引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止のため、事前インターネット予約でチケットを購入した観客に限定する入場制限が設けられた。

レース前の国歌斉唱は石川さゆりが行った。

展開

スタートはマテンロウオリオンジャスティンロックがやや出遅れ後方からの競馬になった。外からデシエルトが強くハナして、その番手にアスクビクターモアピースオブエイトが控える形となった。

単独先頭のデシエルトは2番手に3馬身差をつけるペース逃げレースは序盤から縦長の展開になった。上位人気4頭は中団以降にポジションを取った。今回もジオグリフダノンベルーガを内に閉じ込めて進路を絞り、その後ろをマークするようにドウデュース取った。イクイノックスは後方から3頭で末脚勝負に賭けた。

シエルトの高速逃げ1000m通過タイムは58.9というかなりの前傾ラップになり、各スタミナを削る消耗戦の様相を呈した。さらにデシエルトは残り800mからさらにペースアップ。1ハロン11台のラップで振り落としにかかるも、残り400m地点でアスクビクターモアに交わされ後退してしまう。

先頭に立ったアスクビクターモアに上位人気が襲いかかる。ドウデュースイクイノックスの進路を塞ぎつつ外から勢いよく伸び、内に入ったダノンベルーガ、やや遅れてイクイノックスもやってくるが、アスクビクターモアも強くり込む。その後、残り100mでドウデュースが先頭に立ち、それを追うイクイノックスとの一騎打ちとなるが、ドウデュースがそれを抑えてゴール。2着はイクイノックス、3着はったアスクビクターモア、4着がダノンベルーガという概ね人気による決着だった。

レース結果

着順

着順 タイム(着差) 推定上がり
1 7 13 ドウデュース 2:21.9(レコード) 33.7
2 8 18 イクイノックス 2:21.9(クビ) 33.6
3 2 3 アスクビクターモア 2.22.2(2馬身) 35.3
4 6 12 ダノンベルーガ 2:22.3(クビ) 34.3
5 3 6 プラダリア 2:22.8(3馬身) 35.2
6 8 16 キラーアビリティ 2:22.9(3/4馬身) 34.5
7 7 15 ジオグリフ 2:22.9(ハナ) 34.9
8 4 7 オニャンコポン 2:23.0(1/2馬身) 35.0
9 5 9 ジャスティンパレス 2:23.2(1 1/4馬身) 35.4
10 4 8 ビーアストニッシド 2:23.5(1 3/4馬身) 36.2
11 1 2 セイウンハーデス 2:23.9(2 1/2馬身) 36.4
12 1 1 アスクワイルドモア 2:24.0(3/4馬身) 36.2
13 2 4 テンロウレオ 2:24.0(ハナ) 36.2
14 8 17 ロードゼル 2:24.0(ハナ) 36.5
15 7 14 シエル 2:24.0(クビ) 37.3
16 6 11 ジャスティンロック 2:24.7(4馬身) 36.0
17 5 10 テンロウオリオン 2:25.9(7馬身) 37.2
18 3 5 ピースオブエイト 2:29.1(大差) 41.7

各種タイム

ハロンタイム 12.5 10.8 11.8 12.0 11.8 11.7 12.3 12.0 11.8 11.5 11.7 12.0
上がりタイム 4F - 45.8 3F - 35.2
ペース 35.1 - 35.2(ミドルペース)

コーナー通過順

1コーナー 14,3,5,8,6(2,1,9,17)(12,15)7(4,13,16)-18-10,11
2コーナー 14-3(8,5)-(6,17)2(1,9)(4,7,12,15)13,16-18=10-11
3コーナー 14-3-8(2,5)(6,17)(4,1,9)(7,12,15)-13-16,18-(11,10)
4コーナー 14,3-8,5(2,6,17)(4,1,9)(7,12,15)(18,13)16-(11,10)

※表中の[ - ]は前のから2〜5馬身差がついていることを示す。
 は1着 は2着 は3着を示す。

払い戻し

単勝 13 420円 3番人気
複勝 13 160 3番人気
18 150 1番人気
3 410円 6番人気
枠連 7 - 8 420円 1番人気
ワイド 13 - 18 340 2番人気
3 - 13 1,120円 7番人気
3 - 18 1,390 12番人気
馬連 13 - 18 730円 3番人気
馬単 13 - 18 1,440円 4番人気
3連複 3 - 13 - 18 4,570円 10番人気
3連単 13 - 18 - 3 15,770円 33番人気

レースの反応

勝ちタイムは2分219で、それまでの日本ダービーレコード(2021年シャフリヤール)を0.6更新しており、4着までのが旧レコードを上回るタイムで走破していた。このレースに勝った武豊は前人未到の日本ダービー7勝、50代の騎手勝利は初で、日本ダービー勝利騎手の最年長記録更新した(記録2024年横山典弘更新されている)。

レース後にウイニングランが行われると、観客から一斉に「ユタカコール」が沸き起こり、武豊はそれに応えるようにガッツポーズをしてみせた。また、ドウデュースを所有するキーファーズの松島正昭代表はレース後に武豊と抱擁を交わし、口取り式ではネクタイスーツもヨレヨレで放心状態の姿が話題となった。

出走馬のその後

故障馬の多発

かなりの消耗戦だったせいか、このレースの出走の多くが故障するという事態に見舞われた。

6月1日に7着だったジオグリフの右前脚第一骨折と13着だったマテンロウレオの左橈遠位端骨折が発表され、その翌日には2着のイクイノックス左前脚腱損傷によりまで休養となった。また、16着のジャスティンロック屈腱炎により長期休養を余儀なくされ、復帰できず翌年に引退。14着のロードゼル屈腱炎により復帰できないまま2024年引退している。

ドウデュース

一方のドウデュースレース後から通常通りの調教メニューをこなすというタフさを見せた。その後はオーナーの意向で凱旋門賞して遠征するが、あまり活躍できずに帰2022年を終える。

翌年(2023年)のドバイターフ標とし、前戦とした京都記念勝で弾みをつけて遠征したが、現地のドクターストップをかけられ出走取消に。帰後も戦の武豊の負傷離脱もあり、天皇賞・秋で4着、ジャパンカップで7着と精を欠く。しかし、武豊が復帰して臨んだ有馬記念復活勝利を飾った。

2024年は再びドバイターフに出走。今回は体検に引っかからなかったが、パドックっ気を出し、スタートで出遅れて5着に。その後、凱旋門賞して宝塚記念を前戦としたが、重馬場に泣かされ6着に敗北。これにより凱旋門賞の遠征は白紙になり、内で古場三冠すことになる。

1冠天皇賞・秋では前有利のスローペースだったのにかかわらず、後方から上がり32.5脚で勝利。これはGⅠ勝利としては史上最速のタイムであった。2冠ジャパンカップでも前走同様のスローペースながら、上がり32.7の末脚で勝利。達成すれば史上3頭となる古場三冠に王手をかけ、3冠有馬記念ファン投票では歴代最多票を集めた。ところが順抽選会の翌日に右前肢跛行が発覚。泣く泣く出走することなく引退することになった。

引退後は種牡馬として供用される予定で、初年度の種付け料は1000万円に設定されている。

後述のイクイノックスよりは安定感はなかったものの、2歳から5歳まで毎年GⅠを勝ち、マイルから2500mまでの幅広い距離に対応できる点は過去の名に引けを取らない力である。また、負けが続いても肝心なときに勝利を掴み取る王道漫画主人公らしいスター性や武豊ファン言する松島オーナーに対する共感からファンの多いでもあった。

イクイノックス

イクイノックスは休養明けの体調面を考慮して阪神開催の菊花賞を回避し、天皇賞・秋で古との対戦を選択。パンサラッササイレンススズカと同じペース大逃げに打って出る中、ゴール直前でこれを交わし初のGⅠタイトルを獲得した。次走の有馬記念でも抜群の手応えで勝。この年の年度代表馬に選出された。

翌年もドバイシーマクラシックを余裕勝ち、宝塚記念を大外ぶん回しで勝利天皇賞・秋を連覇して連勝数を伸ばしていき、引退レースとなったジャパンカップ牝馬三冠リバティアイランド相手に王者の貫を見せ優勝日本競馬史上初の獲得賞金20億円えを達成したほか、日本としてはジャスタウェイ以来の2頭(速報値でトップになったエイシンヒカリを含めれば3頭)のロンジンワールドベストレースホースランキングで単独1位、同ランキングジャパンカップがこの年のベストレースに選出、2年連続の年度代表馬となるなど偉業を総なめにした。

引退後は種牡馬となり、通算10戦8勝、2着2回という安定感に加え、先行でも追込でも相手をねじせる力の高さを評価され、初年度の種付け料は2000万円と初年度の種付け料の日本最高額も更新している。

総合的な力の高さと抜群の安定感はまさに「天才」と呼ぶにふさわしいであった。このに負かされたたちが決して弱かったわけではなく、ドバイシーマクラシックイクイノックスに大きく離された9頭中6頭が後に世界各地のGⅠ勝利しており、宝塚記念イクイノックスに半馬身差まで迫ったスルーセブンシーズ凱旋門賞で4着という好成績を残すなどライバルも実は強者いであった。

アスクビクターモア

ドウデュース海外遠征、ジオグリフイクイノックス天皇賞・秋へを選択したことでこの年の菊花賞は65年ぶりに皐月賞日本ダービーの連対馬が不在となった。その中でアスクビクターモアダービーでのり込みが評価され2番人気に支持された。

レースでは大逃げするセイウンハーデスの2番手につけ、3・4コーナー中間から積極的に仕掛けると猛追してきたボルドグフーシュの猛追を数センチ差でいで初GⅠ勝利を飾った。勝ちタイム3分24はこれまでの菊花賞レコード(1999年ナリタトップロード)を0.1更新するタイムであった。

しかし、その後のレースでは好走することができず、2023年8月8日に放牧先にて熱中症による多臓器不全によりこの世を去った。

ジャスティンパレス

このレースで9着だったジャスティンパレスは、菊花賞3着、有馬記念7着と勝ちきれずにいたが、4歳ルメールに乗り替わると長距離で才が開阪神大賞典を勝って天皇賞への優先出走権を獲得し、本番でも勝利してGⅠタイトルを獲得した。

その後の勝利はまだないが、古GⅠ戦線で毎回掲示板内に入って賞金を稼いでくる馬主孝行なである。

その他

先述のジャスティンパレスに加え、ダービー時点で重賞タイトルのなかったの多くが後に重賞勝利している。

セイウンハーデス菊花賞大逃げしてアスクビクターモアレコード立に貢献したほか、屈腱炎で長期休養を経た後、2023年七夕賞勝利。その後も2025年エプソムカップでもレコードタイム勝利を収めている。

ダービーレコード立の立役者の一頭、シエルも芝とダートを行ったり来たりしながらオープン戦を転戦し、2024年中日新聞杯勝利した。

これにより、2022年日本ダービーに出走した18頭中17頭が重賞勝ちとなり、日本競馬史上でも類を見ない好メンバーによるレースだったと言える。

一方、ロードゼルは故障により復帰できずこのレース一重タイトルのないとなってしまった。しかし、引退後は個人の所有馬となり相馬追に参加し、その甲冑競馬勝利するというこのメンバー一の実績を作っている。

レース後に起こった「ユタカコール」については、2年前(2020年)は無観客開催、1年前(2021年)は大幅な入場制限・出し禁止・マスク全着用と、新型コロナウイルス感染拡大の下で開催され、本年もそのがくすぶった状態である事から、感染拡大を懸念する意見もある。

実況担当者

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