どうして解散するんですか?とは、民主党と懇意のNPO法人「僕らの一歩が未来を変える」の代表者である、
青木大和が、「衆議院の解散に疑問を持った小学4年生」であると、自らの立場(NPO法人)を偽装し、
子供の意見という形で、自らのイデオロギーを広めようと図ったウェブサイトである。
概要
小学生にしては高度すぎるサイト
2014年11月21日に衆議院の解散が決定し、総選挙やらなんやらで慌ただしくなっている中、
その翌日の11月22日に、とあるウェブサイトが開設された。
それは、「中村くん」という小学4年生が友達数人と制作したサイトで、世の大人になんで衆議院を解散するのかを問うために作ったものだという。サイトを見てみれば分かるとは思うが、とても小学生が作ったとは思えない素晴らしい出来のサイトであった。
具体的には、
- 「.com」で独自のドメインを取得している(後にこれがNPO法人名義と判明する)
- Photoshop、Dreamweaverを使いこなし、レンダリングモード指定を手書きで書き加えるスキルを持つ
- 使用許諾料が7000円や15000円もするフォントを使用
- IE8以下のhtml5への対応、スマホ対応のCSSまでカバーし、高い閲覧性を確保
- 英語にも対応
といったものであり、小学生どころか大人でさえ難しい、プロ顔負けの技術で作られたものであった。
(それもそのはずで、実際は正真正銘のプロのクリエイター「Tehu」氏が依頼を受けて作成している)
しかし、小学4年生という設定にしては異様に出来の良いサイトの作りに、最初から疑問の声が上がっていた。
偏りすぎた思想と明確な政治批判
どうして解散するんですか?と疑問を持っている体ではあるが、本人の中ではすでに答えがあるらしく、
「アベノミクスってやつでぼくのおこづかいは増えてないよ」
「国のお金を増やすって言ってたのにパパもママも財布の心配ばかりで大好きな焼き肉も食べに行けない」
と、こんないたいけな子供を困惑させる安倍晋三首相はなんて酷い奴なんだ、と思わせるような演出を行う形で批判していた。
他にも、
私達は子供達に問われている。
今の自民党政治で 僕達、私達は幸せになれるの?、、と。
未来を決めるのは大人達、 選挙権のある人の責任です。
貴方が子供達に残すのはどっち!
平和国家 戦前回帰
平和共存←反対 集団的自衛権:憲法違反 賛成→武力行使
公明正大←反対 特定秘密保護法:言論統制 賛成→監視密告
再生エネ←反対 原発再稼働:稼働リスク 賛成→核放射能
互助互恵←反対 アベノミクス:格差拡大 賛成→自殺者増
平等社会←反対 労働者派遣法:非正規増 賛成→階級社会
と、思想全開のリツイートを行うなど、どう見ても純粋な小学生とは思えない明確なイデオロギーで、自民党批判に全力を注いでいた。
最終的に、自らの立場を隠し、「頭は良いが、貧しい可哀想な子供」と嘘をついて演じることで、自らのイデオロギーに基づく政治活動を行った形になったので、卑劣であるという指摘が出ることになった。
なりすましがバレるまで
これは怪しいと思った人達が、このサイトのドメインをwhois検索によって確認すると、
ドメインの登録者がNPO法人「僕らの一歩が未来を変える」であることが判明した。
小学生が法人名義でドメイン取得などできるはずがない。
いよいよもって怪しいと指摘されるも、本人はtwitter上において、
何だかみんなたくさん勘違いしているみたいだね。 NPOなんちゃらとか民主党とかが関わってるって言われているみたいだけどこれって全部僕たちが聞きたくてはじめたんだよ。みんな小学生がこんなこと出来る訳ないって思ってると思うけど全部僕たちの力だよ。僕たちはただ聞きたいんだ。みんなの答え
僕はみんなに聞きたくてウェブサイト作ったんだよ。本当にどうしてかわからなくて。政治を馬鹿にしてるとかじゃないの。友達と相談してわかないなら大人に聞こうってなったの。みんな民主くんとか言うけど政治とかは僕もよくわからないし、一切関係ない。僕たちのわからないを教えて下さい。
みんなありがとう。でもね民主くんは関係ないよ。僕は学校のお友達と作ったよ。色んな政治屋のおじさん、新聞屋さん、テレビのみんなに送っても誰も答えてくれない。なんでなの?おしえて。みんなで聞こうよ
その他にも厳しい追求は続き、
「インターネットも大好きだけど普段は妖怪ウォッチやってるよ。」と言ったことを受けて、
「妖怪ウォッチの真打ちは買いましたか?」と尋ねられたところ、
「買いました!」と元気よく答えたは良いが、その妖怪ウォッチ真打は2014年12月13日発売であり、
人々から失笑を買う場面もあった。
そして、あらゆる証拠を突きつけられ観念したのか、サイトにて「謝罪文」を掲載し、立場を騙っていたことを認めたのであった。
しかし、「今回の行動は僕個人で行ったことであり、どの組織とも一切関係ありません。」と、
あくまで責任は自分一人にあると主張している。
これについても、NPO法人名義のドメインでサイトを作成していること、サイトが一人で作成したとは思えないほど高度なものであった、などの点から、その真偽が問われている。
民主党との繋がり
同NPO団体は民主党、社民党の議員らと共に、「僕らの一歩が日本を変える。 高校生100人×国会議員」
という活動を複数回行っており、これには民主党海江田代表も出席し、民主党ホームページのニュースにも掲載されている。(なお、この活動には自民党を含め全ての国政政党から議員が参加している)
さらに、代表者は2014年春に「ザ・選挙対談」というインタビューを受けており、民主党の蓮舫議員との繋がりについて回答し、明らかにしている。
その蓮舫議員は、「素朴な疑問がよくわかる(21:02 - 2014年11月22日)」として、
自らの公式twitter上で、このサイトを絶賛しながら紹介した。
また、青木大和代表は他にも特定非営利活動法人Rights(ライツ)というNPOにも副代表理事として所属している。
この団体には菅源太郎(民主党:菅直人元総理の息子)が所属しており、しかも同じ副代表理事という、仲間であった。
これらのことからNPO法人「僕らの一歩が未来を変える」は民主党との繋がりがとても強い団体であることが伺える。
炎上、その後
関与否定からの謝罪、そして削除
当初、whois 検索により団体名が浮上した際、同団体の公式twitterは
現在、why-kaisan.comというサイトを弊団体が立ち上げたという噂がとびかっておりますが、団体としてサイトを作ったり意見を発信したりなどはしておりません。誤解のないよう御願いいたします。
と、関与を否定していた。
しかし、後に代表者である青木大和が自作自演を認めたことで、関与の疑いは濃厚になった。
しかし、よく見ると団体としてサイトを作ったり意見を発信したりしていないと言っているので、
代表本人が自分一人でやったことと説明していることの予防線と取れなくもないので、嘘はいっていないとも言える。
しかし、ドメインを団体名で取得している以上、その時点で関係しているという指摘は免れない。
今回の騒動に団体として関わっていた場合、
NPO法人を認定する、特定非営利活動促進法に違反するのではないかという指摘も見られた。
特定非営利活動促進法
第一章 総則
第二条 2
ハ 特定の公職(公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第三条 に規定する公職をいう。以下同じ。)
の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。以下同じ。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、
支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。
そして自演が発覚すると、関与を否定した「僕らの一歩が未来を変える」のサイトは突如閉鎖されてしまうのであった。
本人はサイトに「謝罪文」を掲載し、騒動の責任を取る旨を説明したが、その謝罪文の内容は以下のとおりである。
なぜ僕がそうしようと思ったのか、説明させて下さい。
数日前に衆議院が解散することが決まりました。なぜ解散するのか、理由がわからず、僕の頭の中には多くの疑問が残りました。そんな時に常に社会に対して疑問を持ち、どうして?なんで?と大人に問いかけていた自分の幼少期を思い出しました。当時の僕だったらこの問題に疑問を持ち、どうして?なんで?解散するの?と聞いていたと思うようになりました。
そして、この問題は日本の中でどのように感じられているのか、多くの人々は何を感じているのか知りたくなりました。
そこでウェブサイトを作り、僕が小学4年生を自演することで面白いと皆さんに受け止められ、より多くの方を巻き込んだ形で、今回の選挙の意義を語り合うことができるのではないかと考えました。一部の方が主犯だと言っているTehu君ですが、僕が企画したウェブサイトの制作を依頼し、手伝ってくれただけです。彼を巻き込んでしまったことも、申し訳なく思っています。
ウェブサイトが完成すると想像以上に多くの声が寄せられてきました。ポジティブなものもあれば、ネガティブなものまでです。累計4000万人近い人が#どうして解散するんですか?を目にしてくださったことになります。僕は、これだけ多くの人が社会のことや政治のことを考えていることに少しホッとしました。今の政治は国民との距離がとても開いてしまっているのではないかと感じていました。今回の解散もしかり、その他の問題もしかり。
もちろん、寄せられた声の中には、僕たちへの誹謗中傷、暴言、愚痴など、#どうして解散するんですか?への問いではない声もありました。でも僕は、これだけの方が目にしてくださった今回の問い「#どうして解散するんですか?」を、いま一度日本について考え直す機会に出来ないだろうかと思っています。
今、この国で何が起きていて、これからこの国はどうなっていくのか。僕はこの国に生まれてこの国に育ちました。だからこの国にいるみんなでこの国の未来を考えたいと思っています。
実際に選挙が行われることは決まってしまった事実です。僕自身も人生ではじめての選挙です。だからこそ多くの人に#どうして選挙するんですか?と問うてもらい、日本の未来を考えて1票を投じてほしいと強く願っています。
今回、僕の軽率な言動により、関係のない多くの方に多大なご迷惑をおかけしてしまいました。なお、今回の行動は僕個人で行ったことであり、どの組織とも一切関係ありません。これだけは、誓って間違いありません。
この謝罪文に対しても、様々なツッコミがなされることになった。
- 自演はしたけど、政治について考えるきっかけができて良かったでしょ?と言わんばかりの内容
- 検索に引っかからないようになのか、文章を画像にしている
- ここまでなされた指摘を「誹謗中傷、暴言、愚痴」と取っていることが察される
- この短期間で4000万人はあまりにも水増ししすぎではないか(実は一見アクセスカウンターのように見える数字が単にアクセス関係なく増える小細工をしていた)
- これは謝罪文の形を取って自己正当化しているだけではないか
- そもそもNPO法人名義でサイトのドメインを取得してるのだから、法人の予算も使われていることになるので
一人の責任と言い張るのは無理がある
等のツッコミが次々と飛んでくることとなり、文章をテキストにするなどの変更が行われた。
それにしても、4000万とは、あのAmazonの月間訪問者と同じである。それだけの数が自サイトにアクセスしてきたのだと主張するのは、嘘に嘘を重ねている形になり、反省する気が全くないのだと疑われることになた。
終息に向けて、なお燃え続ける残り火
こうして、最終的に彼はNPO代表を辞任することで責任を取った、ということになった。
しかし、嘘がばれる大きな要因である、NPO法人名義で取得したドメインを青木大和個人の名義に変更するなどを進めており、証拠の隠滅を図っているのではないか、NPOの資産の私物化にあたるのではないか等の、新たな批判も出続けている。
どうしてこのような「偽装工作行為」を行うに至ったのか、特定の団体、政党との繋がりなどの疑いから、彼に対する追求は現在も続いている。
その中でも、安重根(韓国の抗日ゲリラ、伊藤博文を殺害したテロリスト)を尊敬しているようなツイートが見つかり、物議を醸している。
青木大和 ・@yamato3994 15 Jan 2013
先輩に誘って頂き、安重根さんのひ孫さんとご飯に行かせて頂いた。
刺激を受けた。自分の力不足をはっきりと感じられた。
抗日ゲリラのひ孫と知り合いの先輩とは何者なのか、
抗日ゲリラの殺人者からどんな刺激を受けてどんな力不足を感じたのか。
取り方によっては相当に危険な発言であると次々に指摘が飛び、本人もまずいと思ったのか、こっそりとツイートを削除したが、これもまた証拠隠滅を図ったのだと批判を呼ぶことになった。
再び脚光を浴びる
騒動のほとぼりも冷めた2016年、彼は階段から落ちて脊髄損傷の大怪我を負ってしまい、後遺症が残ってしまう。これ以降、政治的活動からは足を洗い、主に実業家として活動するかたわら、学生時代の経験を生かしてパラアルペンスキーの競技活動もおこなうようになる。そして2022年、北京パラリンピックの日本代表に選出された。
かつての炎上とは違った形で再び脚光を浴びることになる彼の活躍に期待したい。
余談
総理本人からの反応
今回の騒動で、小学4年生を偽装した政治的攻撃を受けた張本人は、自民党、及び安倍晋三首相ということになるが、なんとその本人から、公式Facebookにて感想が述べられた。
小学4年生による投稿と言われ、巷で話題となった「どうして解散するんですか?」ですが、
今回「NPO法人 僕らの一歩が日本を変える」の代表理事の大学生が小学生になりすまし行っていた事が明らかになりました。
批判されにくい子供になりすます最も卑劣な行為だと思います。
選挙目当ての組織的な印象操作ではないでしょうが、選挙は政策を競い合いたいと思います。
最後の一文が本当にそう思っているのか、皮肉なのかは総理のみぞ知る。
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