株式会社グッドスマイルレーシング (GOODSMILE RACING) とは、ミニカー、痛車デカールの製造・販売を行っている会社である。フィギュア・ねんどろいどでおなじみのグッドスマイルカンパニーの子会社。略称はGSR。
また、レーシングチームとして自動車レース・SUPER GT 2010年シーズンに参戦した。
概要
2009年4月に設立(ただし、グッドスマイルレーシングのブログは2008年11月より始まっている)。プラモデルやラジコンに使用する痛車のデカール・ミニカーの製造・販売を手掛ける。
自動車レースSUPER GTに参戦するチームのスポンサーを務めており、2008年・2009年はBMW Z4を走らせていたStudie GLAD Racingのスポンサーの立場だったが、2010年はStudie GLAD Racingの撤退により、急遽支援チームを変更、自前での参戦を決めた。シーズン後半にはFIA GT3規格のポルシェ911 GT3R(997モデル)を採用した。
2011年にStudieが再び参画し、BMW Z4 GT3で参戦、2014年にStudieが独自チームを結成するために離脱し、2015年はメルセデス・ベンツ SLS AMG GT3、2016年からは同じくメルセデス・ベンツ AMG GTを採用している。
2011年、2014年、2017年にチャンピオンを獲得(2014年はドライバーズタイトルのみ)したのをはじめいくつも優勝を飾り、今やGT300のトップチーム、チャンピオン候補として君臨している。
レーシングチーム
2010年
エントラント | GOODSMILE RACING with COX 総監督:大橋 逸夫 監督:- チーフエンジニア:- |
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カーナンバー | 9 | カテゴリ | GT300 | |
マシン名 | 初音ミク × GSR ポルシェ | |||
ドライバー | 番場 琢 / 佐々木 雅弘 | |||
ベース車両 | ポルシェ911 GT3RSR(996) (第3戦まで) ポルシェ911 GT3R(997) (第5戦から) |
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搭載エンジン | M96/73 水平対抗6気筒 3,598cc 自然吸気 | |||
タイヤ | ハンコック |
2008年より国内自動車レーストップカテゴリであるSUPER GTに参戦していたStudie GLAD Racing(Studie and GLAD with Asada Racing)に、初音ミクとともにスポンサー参加し、「初音ミクの痛車」・初音ミク Studie GLAD BMW Z4でSUPER GTに参戦。話題を集めた。
2010年シーズンも変わらず参戦する予定であったが、直前に突如チームが解散、撤退する事となる(詳細はStudie GLAD Racing、初音ミク Studie GLAD BMW Z4を参照)。
宙に浮いた形となった「グッドスマイルレーシング」と「初音ミクの痛車(というコンセプト)」の行き場として、当時のチームの監督であり、また、Studieを運営する鈴木康昭氏の紹介により、ポルシェ・カレラカップの運営に携わるCOXに支援チームを変更する事にして、「初音ミクの痛車」の参戦を継続させた。
参考リンク:「支援チームの変更について」 GOODSMILE RACING with COX 公式応援サイト
2010年シーズンをポルシェ911 GT3RSR(996)で参戦する。
チームには鈴木康昭氏がスポーティングディレクターとして参加している。
ドライバーは2009年終盤に初音ミクZ4を駆った番場琢と、SUPER GT初挑戦となる佐々木雅弘。タイヤはハンコックタイヤを装着する。
第6戦では、そのハンコックタイヤの開発ドライバーで33号車・HANKOOK KTRのファーストドライバーである木下みつひろがサードドライバーとして参加する。
チームの運営はCOX、メンテナンスはHANKOOK KTRが行っている。
当初は型落ちの911 GT3RSR(996)で戦ったが、第5戦より最新型の911 GT3R(997)を投入した。
リリースによると、
COX社は以前より、ポルシェのレースカーの唯一の独立インポーターとしてSUPERGT、カレラカップなど各種レースのサポートを行っておりましたが、 日本におけるポルシェのモータースポーツ活動を活性化させるため、 全世界で21台のうちヨーロッパ以外では日本への供給わずか1台の2010年モデル911GT3Rをポルシェ AG、ポルシェモータースポーツの協力の元、GOODSMILERACING with COX として SUPERGTへ参戦させることになりました。
2010年シーズンでは、第3戦富士にて型落ちの996モデルながら序盤で4位争いを演じ、最終戦もてぎでは新型の997モデルによって予選でフロントロウを獲得する活躍を見せた。
最終的に9位1回、10位2回の成績を残し、チームポイントとして16ポイント、ランキング16位を得た。
BMW Z4時期よりも遙かに戦闘力のある場を見せ、もはや色物ではないことを見せつけた。
しかし12月4日に、Studie代表でもある鈴木SDよりブログにて、2011年に再びBMWのマシンを使って参戦することを明らかにしており、ポルシェでの参戦はこの年限りとなった。
2011年
エントラント | GSR&Studie with TeamUKYO 監督:大橋 逸夫 エントラント代表:鈴木 康昭 SD:片山 右京 チーフエンジニア:佐野 泰弘 |
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カーナンバー | 4 | カテゴリ | GT300 | |
マシン名 | 初音ミク グッドスマイル BMW | |||
ドライバー | 谷口 信輝 / 番場 琢 | |||
ベース車両 | BMW Z4 GT3 | |||
搭載エンジン | P65B44 V型8気筒 4360cc 自然吸気 | |||
タイヤ | 横浜ゴム |
2011年に使用するマシンは、BMW Z4 GT3(以下Z4)となった。また、Studieもチーム運営として復帰した。
2009年まで使用していたZ4とは異なり、モデルチェンジしたZ4をもとに、FIA GT3規格に基づいて作られたもので、ドイツのシューベルト・モータースポーツが2011年1月に行われたドバイ24時間耐久レースで優勝したものを譲り受けた。これをもとに、GT300向けに改造を行った。
マシンの特徴としては直線が非常に速いことがあげられる。コーナーでは他のマシンに劣る(後半戦はコーナーでも速かったが)もののストレートに入れば恐ろしい速さを見せつけるのである。性能調整が入る前のマレーシア・セパンではGT500と遜色ないストレートスピードを見せた。「直線番長の初音ミク」の誕生である
レースドライバーとしては、2009年から参加している番場琢に加え、GT300での実績のある谷口信輝を起用。さらにはスポーティングディレクターとして、 元F1ドライバーの片山右京を迎え、「GSR&Studie with TeamUKYO」としてエントリーした。
余談だが、スポーティングディレクターの片山を監督だと思っている方が多く、Jスポーツの中継でも何度か右京さんを監督といってしまっている。これは片山が大橋監督に代わってインタビューなどに出ていたために起こったことと思われ、大橋がほかの事に専念でき結果チームの力がアップした…と考えればいいと思う。
Z4は、開幕戦よりGT300クラス上位で争う活躍を見せる。
東日本大震災により、事実上の開幕戦となった(第2戦)富士300kmでは、予選で初めてスーパーラップに進出し4番グリッドを獲得。決勝でも当時の過去最上位となる5位を獲得した。続く(第1戦)岡山でも予選8位、決勝4位と連続入賞を果たした。
そして第3戦セパンでは、開幕時から悩まされていた電子制御系のトラブルをスウェーデンからデータエンジニアに来てもらい解決。ホーム・バック共に長いストレートを持ち、マシン特性が生かせるコースでもあったことから予選から速さを見せつけ、チーム初となるポール・ポジションを獲得。
決勝ではマシンの直線番長っぷりを遺憾なく発揮し、前半で谷口が大幅なリードを得る。その状況で後半を任された番場だったが、GT500クラスの処理にてこずりペースダウン。終盤はリードを使い果たし、一時は平中克幸がドライブするJIMGAINERフェラーリに並びかけられるまでに至る。しかし、圧倒的なストレートスピードで辛くも逃げ切り、悲願のSUPERGT初優勝を果たした。
初音ミクのマシンを駆って挑戦から4年目にして、ついにトップチームの仲間入りを果たした。
その後、第4戦菅生で6位、第5戦鈴鹿で5位と着実にポイントを重ね、迎えた第6戦富士250km。特徴的な長いホームストレートを有するこのコースで、90kgのウエイトハンデを積みながらも圧倒的なスピードを披露。他車を全く寄せ付けず、2度目のポールポジションを獲得した。
決勝の序盤、2位スタートのVerity TAISAN ポルシェ(松田秀士)とコカ・コーラコーナー手前で接触し、トップを奪われる。しかし、直後にポルシェのタイヤがパンクしたため急遽ピットイン、即座にトップを奪回。その後は後続の追い上げを振り切り、チーム2勝目、国内では初勝利をあげた。
このレースでポイントランキングトップだったJIMGAINERフェラーリがパンクでリタイア(成績は完走扱い)しノーポイントだったため、この時点でポイントランキングでもトップに立った。
しかし第7戦オートポリスでは、マシンに不向きなコース(直線が短い)に加えミスもあり9位。ポイントランキングもJIMGAINERに逆転されてしまう。
ランキングトップのJIMGAINERを5点差で追いかける状況で迎えた運命の最終戦、ツインリンクもてぎ。ウエットコンディションの中で行われた予選では、JIMGAINERフェラーリを抑えて谷口が見事にポールポジションを獲得。決勝では、通常スタートドライバーになる谷口を後半に回し、番場をスタートに起用する奇策を取った。
この戦略には、①加速のいいマシン特性を考えれば、スタートで大きなミスをしない限り抜かれることはまずないので首位をキープできる、②GT500との混走に難のある番場を混走の少ない序盤に据えてリードを奪いたい、という狙いがあったとみられている。
レース序盤、R&D SPORT LEGACY B4にハイペースで迫られたり(9週目にホイールナットが緩むトラブルが発生し緊急ピットイン)、JIMGAINERフェラーリが詰めてきたりといろいろ危ないところはあったものの、番場がなんとか逃げ切ってトップのままピットイン。ピットストップ39.0秒という語呂まで決める完璧な仕事をして、谷口にバトンタッチする。
その後、谷口が危なげなく逃げ切りを決め優勝。大逆転で悲願のシリーズチャンピオンに輝いた。チームはもちろん谷口・番場両ドライバーとも初のチャンピオンである。
特に谷口は、SUPERGT参戦10年目で初のシリーズチャンピオン獲得であり、レース終了直後には人目をはばからず号泣した。
余談ではあるがSUPERGT公式プログラムに「勝利の凱歌、ワールドイズマインは流れるか」と書かれていたり、テレビ東京のSUPERGT+で「まさにワールドイズマイン」というナレーションが流れるというおまけもあった。
さらに、シリーズ終了後に行われた「JAFGP富士スプリントカップ2011」でも勢いは続いた。
谷口がドライブした第1レースでは、スタートでポールのJIMGAINERフェラーリ(平中克幸)を抜き、序盤からトップを快走する。しかし、柔らかめのタイヤを選択したこともあり、終盤に大幅なペースダウンを強いられてしまう。結果、最終ラップのパナソニックコーナー(最終コーナー)で、HANKOOK KTRポルシェ(藤井誠暢)に抜かれてしまう。
誰もが「このままHANKOOK KTRポルシェの優勝」と思われたホームストレートで、谷口は加速の良いZ4の利を生かし、スリップストリームからフィニッシュライン手前で抜き返し大逆転優勝、直線番長っぷりを余すことなく見せつけた。最終リザルトで発表されたタイム差は実に0.092秒差であった。
Z4の直線での伸びの強烈さには、関係者も含め誰もが驚愕。解説陣も「ふつう抜けないぞあれ」「すごい」「たまげた」と驚きのコメント。ちなみに抜かれた藤井は「あれで行かれては勝てるものも勝てない」と呆れ返っていたとか。谷口自身も「(最終コーナーで)抜かれてから抜き返す自信はなかった」と語っている。
第2レースでは、番場が予選のタイヤ選択で失敗し予選12番手スタートとなるも、2日連続ホームストレートでとんでもない伸びを披露。特に、LAP4~5にかけてのホームストレートで、HANKOOK KTRポルシェ(影山正美)とイカ娘フェラーリ(山内英輝)をまとめて抜いた時の伸びは、2台分のスリップストリームもあったがGT300のマシンではありえない、強烈な伸びであった。
そんなZ4を止められるマシンは他になく、前にいた11台を7周のうちに抜き去りそのまま優勝。JAFGP、GT300部門完全制覇を成し遂げた。
個人スポンサーも増え、第5戦の時点で1万人を突破、最終戦のもてぎでは1万6000人余りとなった。
また、レースクイーンが非常に美人揃いだったとか。
2012年
エントラント |
GSR&Studie with TeamUKYO |
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カーナンバー | 0 | カテゴリ | GT300 | |
マシン名 | GSR 初音ミク BMW | |||
ドライバー | 谷口 信輝 / 片岡 龍也 | |||
ベース車両 | BMW Z4 GT3 MY11(~Rd.3) → BMW Z4 GT3 MY12(Rd.4~) | |||
搭載エンジン | S65B44KS V型8気筒 4360cc 自然吸気 水冷 | |||
カーナンバー | 4 | カテゴリ | GT300 | |
マシン名 | GSR ProjectMirai BMW | |||
ドライバー | 番場 琢 / 佐々木 雅弘 | |||
ベース車両 | BMW Z4 GT3 MY11 | |||
搭載エンジン | S65B44KS V型8気筒 4360cc 自然吸気 水冷 | |||
タイヤ | (両車)横浜ゴム |
2012年シーズンは2台体制となり、昨年チャンピオンの谷口、番場両名は、それぞれのマシンのファーストドライバーとなった。
チャンピオンナンバー0をつけたマシンは、新たに購入した2011年版BMW Z4 GT3で、新しいレーシングミクがカラーリングされたマシンとなった。セカンドドライバーには、昨年GT500に参戦していた片岡龍也が起用された。
4号車と区別するため通称はゼロミク号。
一方、カーナンバー4のマシンは、昨年のチャンピオンマシンを安藝社長が買い取って、2011年版にアップデートされたBMW Z4で、セガのゲームソフト「初音ミク Project Mirai」をテーマにした、白地にオレンジのカラーリングとなっている。メインスポンサーはセガ。
セカンドドライバーには、2010年にグッドスマイルレーシングで参戦していた佐々木雅弘が再び起用された。
0号車と区別するため通称はミクダヨー号。
マシン特性は前年から一変し、コーナリング特性の高いものとなった。逆に直線ではポルシェ911だけでなく、ランボルギーニ・ガヤルド、アストンマーチン・ヴァンテージなどにも後れを取るようになってしまった。
また、2012年からはBMWカスタマーチームになることが発表された。このカスタマーチームになるとBMWモータースポーツから何回かエンジニアやメカニックがサーキットを訪れサポートしてくれるほかチームウェアにBMWのロゴを使えるようになる。BMWのお墨付きを頂いたと言っても過言ではないのである。
ちなみにこのカスタマーチームにはシューベルト・モータースポーツ(ヨーロッパでBMW Z4 GT3を走らせているチームで前述のとおり4号車を元々走らせていたチーム)を筆頭に各カテゴリの名門チームが名を連ねている。
レースでは第2戦で0号車が優勝したものの、その後の第3戦、第5戦でチームの戦略ミスで0号車がガス欠によるリタイヤを喫してしまい、結果的に優勝できるレースを逃しチャンピオンを失ってしまった。
一方で個人スポンサーも引き続き募集し、最終的に1万人を突破した。
2013年
エントラント | GSR&Studie with TeamUKYO 監督:大橋 逸夫 エントラント代表:鈴木 康昭 SD:片山 右京 チーフエンジニア:佐野 泰弘 |
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カーナンバー | 4 | カテゴリ | GT300 | |
マシン名 | 初音ミク グッドスマイル BMW | |||
ドライバー | 谷口 信輝 / 片岡 達也 / ヨルグ・ミューラー(Rd.5のみ) | |||
ベース車両 | BMW Z4 GT3 MY13 | |||
搭載エンジン | S65B44KS V型8気筒 4360cc 自然吸気 | |||
タイヤ | 横浜ゴム |
2013年は前年の「2台体制は1年限り」という公約通り1台体制に戻した。レギュラードライバーは前年0号車を駆った谷口、片岡のコンビ継続となった。加えて鈴鹿1000kmではアメリカ・ル・マン・シリーズ(ALMS)でBMWのワークスドライバーを務めるヨルグ・ミューラーがサードドライバーとなることが発表された。
マシンは引き続きBMW・Z4 GT3を使用、昨年の0号車を2013年仕様にアップデートしたものとなる。
しかし同シーズンでは大きな優遇措置を執られたJAF-GT勢が台頭、FIA-GT3でもメルセデスベンツSLS AMG、ランボルギーニ・ガヤルドが優勢、BMW・Z4には不利に働いている。
開幕戦の岡山では大雨による荒れた予選で6番グリッド、異常な低温の中での決勝では燃費の良さを生かして2位表彰台を獲得した。
第2戦富士500kmは苦手とするコースの中で何とか8番グリッドを手にし、決勝では左フロントタイヤがパンクし順位を大きく落としてしまったが9位入賞を果たした。
第3戦セパンでは得意と思われていたコースでまさかの予選Q1敗退、決勝はタイヤ無交換作戦をほのめかしたが結果は4輪交換を行い6位入賞、どうにかチャンピオン争いに残った。
しかし第4戦菅生では予選こそ8番グリッドを確保したものの、決勝では後半での突然の雨に対してレインタイヤに交換するも雨がすぐにやんでしまい、スリックタイヤで走り続けたライバルにおいていかれ16位。チャンピオン争いから大きく後退した。
第5戦鈴鹿1000kmで、ヨルグ・ミューラーは練習走行でルーキーテストをパスし、出場を決めた。また、シューベルトモータースポーツからメカニックが駆けつけるなど、全力を挙げた体制を整えていた。
予選では上位よりも1秒以上タイムが遅くQ1で敗退、17番グリッドとなってしまう。
しかし決勝では伸び悩むライバルを尻目にオーバーテイクを連発して入賞圏内に上がってくると、他のチームよりも10周はやくピットイン、タイヤのバーストなどトラブルが相次ぐ中で6位まで浮上した。
実は決勝に入る際に、ワークスチーム仕様の新しいECUを装着したことでエンジンの効率が最適化され、速さが改善されていたのであった。
ミューラーは第2スティント、第5スティントを走行し、特に第5スティントでは後半でタイムを伸ばし実質2位まで躍り出た。
最終スティントではトップを走るBRZがタイヤトラブルでピットに入ったことで逆転するも、タイムが復調したBRZに追い抜かれ最終的に2位でフィニッシュした。
しかし、レース後の車検でリストリクターとそれを装着するエアボックスとを接着した箇所が猛暑による影響または運搬中に想定外の力が加わった、のいずれかの要素によって剥離し、リストリクターがごくわずかながら浮いた状態になっていたためリストリクターをふさいでもエンジンが止まらなかった(より多くの空気を吸入できる状態になっており、リストリクターによる抑制が得られない)ために失格と判定されてしまい、チャンピオン争いから脱落してしまった。昨年の2度のガス欠に続き、痛いミスを犯してしまった。とはいえ、当該のリストリクターは前戦で装着したばかりだと言うこと、さらに最終スティントを走った谷口によればラスト3周でエンジントラブルが発生し、チェッカーを受けていた時にはエンジンは故障していたという証言も加味すればあまりにも惜しい結果となる。
第6戦富士300kmではこれまで直線スピードで不利と言われた中で5番グリッドを獲得した。
前回搭載したECUが直線での弱さを克服しつつあった。
決勝では序盤で前を走るスバル・BRZ、ARTA CR-Zをパスして3番手に上がる。その後、EPSON HSV-010のタイヤバーストによりホームストレート上に破片が散乱したためセーフティカーが導入された。ちょうど全周回の1/3を消化していたこともあり、ドライバーを片岡から谷口へと交代させる。
レースが再開されると谷口は猛プッシュを繰り返し、途中でにわか雨が降ってちょい濡れの路面になっても勢いは止まらず、全車がピットストップを終えたときにはトップに躍り出ていた。
最終的に2位と47秒の大差を付けて優勝。鈴鹿の雪辱を果たした。奇しくも昨年第2戦、同じ富士での500kmレース以来の勝利となった。
第7戦オートポリスでは、予選を行う予定の土曜日に濃霧がサーキットを覆ったため、日曜日午前に順延された。
日曜日午前の予選では、まだ雨で路面が軽く濡れた状況で、20分の1セッションを片岡が担当し、8番グリッドを手にした。
ドライコンディションとなった決勝では片岡が前半を担当。スタートで6番手に上がると、トップのアルナージュ・アストンマーチンと1分ほどの差で2番手をキープした。
しかしレース中盤から小雨が降り始めてウェットコンディションになるかという微妙な状況で、アストンマーチンはレインタイヤへの交換分を省く目的でレースの2/3近くまでステイする作戦をとるが、初音ミクBMWは半分ほどで谷口に交代、得意のちょい濡れの状況でスリックのまま攻めていく作戦を敢行した。
結局雨は激しくならず、アストンマーチンはスリックのままピット作業を消化、かろうじてトップに立つも、ペースの速い初音ミクBMWが逆転、そのまま2位以下を20秒以上離す圧倒的な速さで優勝。チーム創設以来初の2連勝を達成した。
この時点でランキングトップの無限CR-ZがAsLMSで優勝、さらにこのレースで9位入賞したことで、ランキングトップを維持(70ポイント)、初音ミクBMWは8ポイント差でランキング2位に躍り出た。
最終戦の結果では逆転チャンピオンの可能性もあったが、最終的に4位に終わり、2位に入った無限CR-Zがチャンピオンを獲得、チームランキングは3位で終えた。
2014年
エントラント | GODDSMILE RACING with TeamUKYO 監督:片山 右京 エントラント代表:安藝 貴範 GM:大橋 逸夫 チーフエンジニア:- |
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カーナンバー | 4 | カテゴリ | GT300 | |
マシン名 | 初音ミク グッドスマイル BMW | |||
ドライバー | 谷口 信輝 / 片岡 達也 | |||
ベース車両 | BMW Z4 GT3 MY14 | |||
搭載エンジン | S65B44KS V型8気筒 4360cc 自然吸気 | |||
タイヤ | 横浜ゴム |
2013年12月に2014年体制が発表されたが、2008年の参戦以来のエントラントとなっていたStudieが離脱、独自にBMW Z4にてチームを興して参戦することとなり、エントラント名は「GOODSMILE RACING with TeamUKYO」となった。
マシンはBMW Z4 GT3の2014年モデル、ドライバーは引き続き、谷口信輝、片岡龍也となることも発表された。
一方で監督には、2012年の4号車以来、2年ぶりに片山右京が就任、大橋前監督はゼネラルマネジャーとなった。
エントラント代表には、安藝グッドスマイルカンパニー社長が就任した。
BoP基準がFIA-GT3からブランパン耐久シリーズ基準に変わったことでZ4に有利となり、開幕前より速いタイムをたたき出していた。
開幕戦の岡山では、練習走行から速いタイムをたたき出し、予選も期待されたが、ポールポジションをプリウスに奪われ、フロントロースタートとなった。
決勝ではプリウスと、11号車のゲイナーSLSとのバトルとなったが、プリウスのリタイヤ、ゲイナーのパンクなどの幸運もあって首位をキープ。
しかし後半から、ヨルグ・ミューラーが乗るStudie Z4が徐々に迫り、ファイナルラップで追いつかれるも辛くも逃げきり、開幕戦を勝利でおさめた。
第2戦の富士500kmでは、ウェイトハンデを40kg積んでの戦いとなり、予選はQ2まで進むも9番手にとどまった。
決勝では序盤のランボルギーニの激しいクラッシュ、GT500のSRoad GT-Rの激しい火災で2度のセーフティカーが先導する荒れたものとなったが、ここでGSRは早めにピットイン、燃料消費の少なさを武器にしたピット作戦によって徐々に順位を上げる。
2回目のピットイン終了時点で、トップは無限CR-Z、そのあとにGSR Z4、ゲイナーSLSの順位となる。
GSR Z4はなかなかペースが上がらず、CR-Zから離され、ゲイナーに再三オーバーテイクを仕掛けられる苦しい展開に。
しかし、無限CR-Zがダンロップコーナーでスピンし、GSRはトップに立った。最後は何とかゲイナーを振り切り、まさかの開幕2連勝を達成した。しかし、2レースともライバルに迫られる苦しい展開で、必ずしも圧倒的に強いとは言えない状況である。
第3戦夏に移ったオートポリスは、後ろからミサイルが飛んできたためにホイールが割れてしまい勝負権を失ってしまう。完走はしたもののポイントはとれず。
第4戦菅生は、予選が濃霧でキャンセルとなるワンデイレースとなった中、WHと路面にタイヤがマッチしない、そして天気にも翻弄されてしまい、15位フィニッシュと2戦連続ノーポイントに終わってしまう。第4戦では11号車GAINERは完走できず、ランキングトップは守ったものの苦しい戦いを強いられる。
第5戦富士は、台風接近の中開催が心配されたものの行われる。3度のSCと赤旗という荒れた天候の中確実に走りきり4位でフィニッシュ。しかし、11号車が2位でフィニッシュしたため、ポイントランキングでは首位を明け渡してしまう。
第6戦鈴鹿1000kmは、初音ミクGTプロジェクト50戦目。レースウィークの金曜日にはパーティも行われ、去年の雪辱を晴らしたいところ。ところが、96kgのウェイトハンデとともに、今戦から適用されるZ4へのBoPが前戦より20kg重い35kgとなってしまう。このため予選から苦戦を強いられ17番手からのスタートとなる。決勝でも序盤は苦しい展開が続き、最後尾に近いポジションを走行する時間も合ったが、1000kmという長丁場を着実に走りきりトラブルもなく5位でチェッカーを受ける。この結果ポイントを56と伸ばしポイントランキングトップに浮上した。
第7戦、初開催となるタイ・ブリーラムでは、ウェイトハンデが56kgに軽減されつつも最も重いハンデを背負っての戦いとなった。
しかし、Z4の素性の良さもあり、6番グリッドを獲得した。
決勝では、給油で有利なマシンをチーム力でさらに生かす戦略をとり、見事3位、第2戦以来の表彰台を獲得した。ポイントも伸ばしたものの、2位にStudie Z4が入ったことでGAINERと同ポイント(獲得順位の差でランキング3位)となり、最終戦もてぎでチャンピオン争いすることとなった。
最終戦では、GSRが3位以内になれば自力でのチャンピオン獲得となる。5位でもGAINER、Studieが2位以下だとチャンピオンを手にできる。
そして最終戦のもてぎ、金曜日、土曜日のフリー走行ではタイムが伸びず、チャンピオン争いに黄色信号が点灯したが、フリー走行終了後に思い切ってセッティングを変更、それが功を奏し、予選では3番グリッドを手にした。
決勝ではファーストドライバーの片岡が2番手のプリウスを抜くものの、周回を重ねるごとにプリウスに抜き返され、さらには10号車のGAINER、21号車のアウディにも抜かれて4位に下がってしまう。
タイヤ交換後、交代した谷口がペースを上げて、ピットアウトした21号車を抜いて3位となる。しかし再び21号車がじわじわと迫ってきて1秒以内でのバトルとなった。
最終的に21号車を振り切って3位を獲得。優勝は11号車のGAINERだが、同ポイントであるものの優勝回数で4号車が上のため、ドライバータイトルを3年ぶりに獲得した(チームタイトルは1ポイント差でGAINERが獲得)。
2015年
エントラント | GODDSMILE RACING & TeamUKYO 監督:片山 右京 エントラント代表:安藝 貴範 GM:大橋 逸夫 チーフエンジニア:- |
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カーナンバー | 0 | カテゴリ | GT300 | |
マシン名 | グッドスマイル 初音ミク SLS | |||
ドライバー | 谷口 信輝 / 片岡 達也 | |||
ベース車両 | Mercedes-Benz SLS AMG GT3 MY2015 | |||
搭載エンジン | メルセデス・ベンツ M159 6.2L V8 | |||
タイヤ | 横浜ゴム |
2014年12月23日に記者会見が開かれ、2015年体制が発表された。
多くの体制は引き継がれることとなったが、参戦車種として、メルセデス・ベンツ SLS AMG GT3を使用することを決めるサプライズを披露した。
BMWを使用する根拠であったStudieが昨シーズンに離脱したことによるBMW Japanとの関係悪化や、昨シーズン終盤までタイトル争いがもつれ込んだGAINERが使用するSLS AMGを採用することで、どちらが真に強いチームであるかを証明することが大きな理由となった。
メルセデスでは2016年から投入する新車種の「メルセデス-AMG GT」のGT3モデル開発に注力するために、SLSの生産を終了していたが、Super GTのチャンピオンチームからの発注ということで特別に1台追加生産されることとなった、最後のロットだった。
ちなみに片岡、谷口の両ドライバーとも、スーパー耐久でSLS AMGのレース経験を持っており、SLSに対する適応力においては問題ないとコメントしている。
開幕戦の岡山では、予選から苦しい戦いを強いられ、7番手。決勝は天候の変化による路面の雨量の変化に翻弄されるチームが多い中、前半はダンプ状態の路面にあった浅溝のインターミディエイト、後半は雨量の多くなることを予想して深溝のウェットを選択。これがうまくはまり、4位に0.3秒差に迫る5位でフィニッシュした。
その後も、レース中のガス欠など、勝てる可能性のあるレースを落とし、最終戦もてぎで2位表彰台に入るも、2010年シーズン以来の未勝利に終わり、総合ランキングも11位に終わった。
2016年
エントラント | GODDSMILE RACING & TeamUKYO 監督:片山 右京 エントラント代表:安藝 貴範 チーフエンジニア:河野 高男 |
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カーナンバー | 4 | カテゴリ | GT300 | |
マシン名 | グッドスマイル 初音ミク AMG | |||
ドライバー | 谷口 信輝 / 片岡 達也 | |||
ベース車両 | Mercedes-Benz AMG GT3 | |||
搭載エンジン | メルセデス・ベンツ M159 6.3L V8 | |||
タイヤ | 横浜ゴム |
2016年シーズンから、メルセデス・ベンツ AMG GT3にスイッチ、昨年と大きく体制を変えることなく開幕を迎えた。
開幕戦こそ2位表彰台を手にするも、その後は苦戦、結局この年も優勝は成らず、総合ランキングは7位だった。
2017年
エントラント | GODDSMILE RACING & TeamUKYO 監督:片山 右京 エントラント代表:安藝 貴範 チーフエンジニア:河野 高男 |
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カーナンバー | 4 | カテゴリ | GT300 | |
マシン名 | グッドスマイル 初音ミク AMG | |||
ドライバー | 谷口 信輝 / 片岡 達也 | |||
ベース車両 | Mercedes-Benz AMG GT3 | |||
搭載エンジン | メルセデス・ベンツ M159 6.3L V8 | |||
タイヤ | 横浜ゴム |
初音ミクGTプロジェクトとして10年目を迎えた2017年シーズンも、引き続き同じ体制のもとAMG GT3を採用して迎えた。
昨年の苦戦が嘘のように開幕戦から速さを発揮し、開幕戦の岡山では3シーズンぶりの優勝、第2戦の富士、最終戦のもてぎでは5年ぶりのポールポジションを獲得した。
決勝においても、第2戦の富士、第6戦の鈴鹿を除いて、5位以内を獲得する結果を残し、最終戦もてぎで、ドライバーズとしては3年ぶり、チームとしては、6年ぶりのチャンピオンを獲得した。
さらにこの年は、谷口、片岡のほかに、スーパーフォーミュラ、WECに参戦する小林可夢偉を迎え、スパ・フランコルシャン24時間レースに参戦した。
使用マシンは同じくメルセデス・ベンツ AMG GT3で、カラーリングは桜と和服をモチーフとしたオリジナルのレーシングミクが飾られたものとなった。
予選中に大部分を破損するクラッシュを喫し、決勝進出不能に陥ったものの、メルセデス・ベンツの支援により大部分をスペアマシンに置き換えて決勝に出ることができた。
しかし決勝ではスタートから10時間を経過したところでクラッシュにより、リタイヤとなってしまった。
通算成績
- 初参戦:2010年第1戦 鈴鹿300km(エントラントとして2014年第1戦 岡山300km)
- 参戦数:63回(うち8回は2台エントリー)
- ポールポジション:6回
- 優勝:9回(JAF GPで2回)
- チャンピオン:3回(2011年、2014年、2017年)※2014年はチームタイトルを逃している。
関連生放送
公式チャンネル
関連商品
関連項目
- グッドスマイルカンパニー
- モータースポーツ
- SUPER GT
- 痛車
- Studie - 横浜に本社を置くBMWのディーラー
- Studie GLAD Racing - 2008、2009年シーズンにエントリーしたチーム。
- BMW Sports Trophy Team Studie - 2014年参戦のBMW Z4を駆るチーム。メンテナンスは同じ。
- ポルシェ
- BMW
- HANKOOK KTR
- RSファイン
- レーシングミク
外部リンク
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