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| のび太の宇宙英雄記 | 新・のび太の日本誕生 | のび太の南極カチコチ大冒険 |
ドラえもん 新・のび太の日本誕生とは、映画ドラえもんシリーズ第36作目である。新キャストでは第11作目にあたる。2016年3月5日公開。
主題歌は『空へ』。作詞・作曲・編曲:山崎将義、歌:山崎まさよし。
応援ソングは『ウンタカダンス』。作詞・作曲・編曲:平野航、歌:ウンタカドラドラ団。
概要
大長編第9作目・映画10作目となる『ドラえもん のび太の日本誕生』のリメイク作品(映画ドラえもんにおいてはリメイクというより、原作・旧作を経ての「再映画化」と言った方が良いかもしれない)。
前作『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』(2015年)では新キャストたちによる映画としては10作目を迎えたが、11作目として先代の10作目である『日本誕生』を持ってきた事には何か意味合いを感じる。
監督は『ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』(2013年)で初監督を務めて高い評価を得た八鍬新之介。今回は自ら脚本も単独で執筆している。
本作で八鍬が新要素のテーマとして描いたのは「のび太の自立と成長」。物語のきっかけである家出や、ママおよびペガ・グリ・ドラコとの親子関係にフォーカスを当てている。
「藤子・F・不二雄先生の原作はパズルのように複雑に組み合わさっている作品なので、少しでも変更を加えると全体がバラバラに崩れてしまう危険性があるんです。」
とインタビューで答えているように、ストーリーの再構成にとても気を使っていたことがうかがえる。
もう一つの大きな新要素としては、後半の展開が挙げられる。
「原作漫画では、ページ数の関係で駆け足になってしまったクライマックスを、実はもっと膨らませたかった」という藤子Fの話を藤子プロのスタッフから聞き、今作でその想いは実現しようとしたという。
また、旧作を意識した要素もあり、菊池俊輔による『ドラえもん』の劇伴を思わせるメロディーのBGMを挿入したり、「ほんやくコンニャクおみそ味」ならぬ「醤油味」を登場させている(インタビュー動画においては旧作の監督である芝山努の名前を挙げていた)。
一方で、新キャストによる過去の映画作品をオマージュしたと思われる場面も散りばめられており、特に『ドラえもん のび太の恐竜2006』(2006年)へのリスペクトが多く見受けられる(旧作自体、『ドラえもん のび太の恐竜』(1980年)や当時の過去作要素を詰め込んだ作品と言われている)。
八鍬は新キャスト・スタッフへの交代(リニューアル)時に制作進行としてシンエイ動画へ入社しており、『恐竜2006』でも制作を務めていた。いわば新世代の『ドラえもん』の歴史を一緒に歩んできた人物である。
そういった事まで含めると、本作は一つの集大成とも言えるだろう。
藤子Fがテーマとしていた「日本人はどこから来たのか?」、ひいては雄大な太古の世界や人類史、文明の発展という古代ロマンも原作・旧作からより掘り下げており、再映画化として理想的なアップデートをはかり蘇った『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』。是非一度鑑賞することを強く薦めたい。
ゲストキャラクター
ククル CV/白石涼子
本作のゲストスター(旧作予告風)。原始人・ヒカリ族の少年。時空乱流に巻き込まれ、現代(本作ではスネ夫が「21世紀」と言及)に迷い込む。 キャラクターデザインが原作・旧作よりイケメンとなり、一部で人気が急上昇。
幼少時に飼っていた狼の子供・ローとの思い出の品である犬笛を首からさげており、キーアイテムとなる。
原作のラストでは後にウンバホ(「日の国の勇者」の意)と改名し、ヒカリ族の族長となる事が語られており、旧作では描かれなかったそのラストシーンがエンディングでは再現されている。
藤子F作品『チンプイ』の主人公である春日エリは、ククルの遠い子孫にあたり、「御先祖は日本王?」というエピソードで描写されている(初出は1985年8月9日発売の藤子不二雄ランド第15巻のため、時系列としては『日本誕生』の方が後になる)。
ちなみに本作の監督である八鍬は「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」で上映されていた短編アニメ『ドラえもん&チンプイ「エリ様 愛のプレゼント大作戦」』を手がけており、エリとのび太が共演するという運命的な邂逅を実現していた)
ペガ、グリ、ドラコ CV/下和田ヒロキ(ペガ)・伊東みやこ(グリ)・甲斐田ゆき(ドラコ)
のび太が作ったペガサス・グリフォン・ドラゴン(空想動物)。
彼らとのび太の関係が本作では掘り下げられており、ペガはブラッシング好き、グリは木の棒を取ってくる遊びが好き、ドラコは食いしん坊といった風に性格や個性も新たに付与されている。
3匹の性格などは八鍬監督の飼っている三毛猫がモデル。
ギガゾンビ CV/大塚芳忠
クラヤミ族を操る呪い師。不死身の精霊王と呼ばれる。その正体はドラえもんが生まれた22世紀より1世紀先の23世紀からやってきた未来人であり、地球の歴史を支配しようとする時空犯罪者。
ドラえもんを「ドラゾンビ君」と呼び紳士的な態度を取るも、狡猾かつ残忍な悪役として描写されており、大塚の好演が更に魅力的なキャラクターへと昇華させている。
本作では亜空間破壊装置を使い、ドラえもんたちやククルが巻き込まれた時空乱流を作り出していた。
ツチダマ CV/家中宏
ギガゾンビの配下。
原作と同じく複数体登場するが、本作では遮光器土偶だけでなく、ハート形土偶、ミミズク形土偶、仮面土偶をモデルとしたデザインのツチダマも登場した。
タイムパトロール CV/久川綾(隊長)、福井美樹・慶長佑香(隊員)
時空犯罪を取り締まる未来の警察。
容姿は藤子F作品『T・Pぼん』に登場するリーム・ストリーム、並平凡、安川ユミ子がモデル。
隊長についてはゲーム版で「リーム隊長」と名前が表記される。
ちなみに『T・Pぼん』において、リームの住む時代は2016年である。
『T・Pぼん』は『日本誕生』だけでなく、後の『ドラえもん のび太の創世日記』(1995年)にもその作劇スタイルが繋がる藤子Fの時間モノSF漫画となっている。是非一度読んで頂きたい。
ハムスター
野比家にやってきたペット。家族旅行に出かけた部長の留守の間、パパが預かることになった。
原作では普通のハムスターより少し大きく描かれていて2匹いたが、本作では普通のサイズで1匹。
ドラえもんの家出のきっかけで終わらず、のび太とママの親子関係といった本作の新要素を物語る存在として出番が増えている。
スタッフ
オープニングは前作『のび太の宇宙英雄記』監督の大杉宜弘が原画を担当。大杉の持ち味である元気いっぱいに動く作画でドラえもんと本作の世界観を表現した。
エンディングには過去に映画ドラえもんでキャラクターデザインなどを務めた金子志津枝による美麗な水彩イラストが使われており、主題歌と相まって本作の切なくも美しい大団円を描いている。
- 原作/藤子・F・不二雄
- 監督・脚本・絵コンテ/八鍬新之介
- 演出/岡野慎吾
- キャラクターデザイン・総作画監督/丸山宏一
- プロップデザイン・メカ作画監督/鈴木勤
- 作画監督/大城勝、山川浩臣、桝田浩史、茂木琢次
- 美術監督/清水としゆき
- 色彩設計/松谷早苗
- 撮影監督/末弘孝史
- 編集/小島俊彦
- 録音監督/田中章喜
- 効果/糸川幸良
- 音楽/沢田完
- チーフプロデューサー/大倉俊輔、大金修一、新井麻実、松井聡
- プロデューサー/川北桃子、滑川親吾、鶴崎りか、小野仁、高橋麗奈、山田卓司、吉田健司
- 制作/ 「映画ドラえもん」制作委員会
関連動画
関連項目
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