マクシミリアン・フォン・カストロプ（Maximilian von Kastropf）とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
CV.堀秀行（石黒監督版OVA）、吉野貴宏（Die Neue These）。
概要
銀河帝国の門閥貴族。オイゲン・フォン・カストロプ公爵の息子。
「門閥貴族の馬鹿息子」というステレオタイプを見事なまでに体現した馬鹿。
原作での地味さに比べて他の媒体でのインパクトが異様に大きい、謎のキャラクターでもある。
「Die Neue These」での乗艦は紫塗装の標準戦艦同等艦＜ダインスレイフ＞。
経歴
馬鹿息子の叛乱
マクシミリアンの父オイゲンは生前財務尚書の職にあり、権力を乱用して多大な財を築き上げた人物であった。それ自体は門閥貴族ではよくあることではあったが、オイゲンのそれは度が過ぎており、搾取される側である民衆の不満を爆発させて体制を揺るがしかねないほどのものだった。そのオイゲンの死後、財務省と司法省はカストロプ家の不正に成した財を没収して民衆をガス抜きし、他の門閥貴族を牽制しようと目論んでカストロプ家に調査官を送った。
しかし、巧妙な手口で司法の手を逃れてきた父に比べ、マクシミリアンは馬鹿であった。自身の継承すべき財産を奪われるのを嫌がった彼は、カストロプ家に送られた調査官を追い払ってしまったのである。しかも二度も。馬鹿である。むろん財務省は怒った。財務尚書であるゲルラッハ子爵は、オーディンにマクシミリアンを呼びつけることにした。
それを知ったマクシミリアンは自分の馬鹿さ加減……には馬鹿なので気付かなかったが、やらかしたということには気付いたらしく脅えた。オーディンに出頭などしたらそのまま逮捕されるのでは……と、思いこんだのだ。馬鹿である。そしてこの状況を見て説得に来た親戚、フランツ・フォン・マリーンドルフ伯爵すら監禁してしまう。やっぱ馬鹿だ。
ついに意図せずにセルフ背水の陣を敷いてしまった馬……マクシミリアンは、私兵を集めて帝国政府に反抗しだした。「カストロプ動乱」の始まりである。「戦争の90％までが後世の人が呆れるような理由云々」って、本当なんですね。
カストロプ動乱
さてそのカストロプ動乱だが、意外なことに緒戦はカストロプ側有利で始まった。少なくとも戦争については、馬クシミリアンにも少しマシな才能があったらしいのだ。いや馬鹿だけど。
もうひとつ言えば、討伐側のシュムーデ提督も馬鹿だった。彼は敵を甘く見ており、カストロプ公領に適当に強行着陸したところで奇襲にあって戦死してしまったのである。そして次いで送られた第二陣も敗北した。バカばっか。
そして、ここまできて馬鹿は調子に乗った。先に監禁したマリーンドルフ伯爵の領地が隣なのをいいことに併合を図り、自ら私兵を率いて出兵したのである。独立状態の地方王国を帝国領内に作り上げるというのが、馬鹿シミリアンの魂胆であった。
そこで颯爽と登場したのが、我らが赤毛ののっぽさん、ジークフリード・キルヒアイス少将である。彼は叛乱鎮圧を命じられてオーディンを進発すると、まずマリーンドルフ伯領の救援に赴くように見せかけてカストロプ公領を目指して進軍を開始する。これはおもいっきり陽動だったのだが、マクシミリアンの馬鹿が気づくなんてミラクルは当然あり得なかった。彼は慌てて軍を返したが、その撤退路にはキルヒアイスの部隊が隠れており、通り過ぎたカストロプの私兵を後ろから散々に打ちのめしたのだった。
マクシミリアンはなんとか逃げ延びたが、部下に裏切られて殺された。カストロプ動乱の幕切れである。軍才が無いでもなかったようだが、しょせん馬鹿は馬鹿でしかなかったのだ。
石黒監督版OVA第5話「カストロプ動乱」における描写
石黒監督版OVAでは、やや原作より時系列の早い第5話でカストロプ動乱が描写されている。
むろんマクシミリアンも登場するのだが、その登場シーンの衝撃はすさまじいものであった。
何が？全部が。 服装も建物も全部古代ギリシャ風。徹頭徹尾ドイツ風な銀河帝国の中にあって、なぜかカストロプだけ超・古代ギリシャ風。なんでだ。
そして小太りの巨漢であるマクシミリアン（当然古代ギリシャ風な服装）の弩級インパクト。初登場シーンでは、声優堀秀行氏の低く落ち着いた、それでいてどことなく精神不安定を感じさせるような声と相まって、こんな馬鹿には見合わぬラスボス感を漂わせていた。
とはいえ、馬鹿は馬鹿だったので末路は大して変わらない。OVAでは出兵はせず、何故か登場した「アルテミスの首飾り」の自動防御システムによってカストロプ領を要塞化し立て籠もっていた。そこにやってきたキルヒアイスの討伐部隊。何故か一向に「首飾り」に近づいてこない討伐部隊に業を煮やしたマクシミリアンは、思わず臣下に
「お前、行って見てまいれ」
しかし、討伐部隊が動かなかったのにはわけがあった。キルヒアイスゼッフル厨が、秘技「指向性ゼッフル粒子」を散布していたのである。これによって「首飾り」は一瞬にして吹き飛ばされてしまった。これを見て（さすがに）敗北を悟ったマクシミリアンは、とりあえず臣下をひと通り詰ってから逃亡を図り、さらにはなんと家臣（エンドクレジットの役名ママ）を身代わりに立てて時間を稼ぎ、その間に亡命しようとしたのである。
さすがは馬鹿といったところだが、その時の台詞が、彼の一世一代の迷台詞
「よし、お前身代わりになれ」
であった。こうしていともあっさりと家臣を犠牲に差し出そうとしたマクシミリアンだったが、この迷台詞に続いて「それはよいとして……」なんて言ってたものだからすぐに報いを受けることになる。彼はその家臣にナイフで胸を刺され、それを見た周りの臣下や寵姫も彼に駆け寄っては滅多刺しにしたのだった。こうして、馬鹿は死んだ。
Die Neue These第8話「カストロプ動乱」での描写
今度はなんだかカリオストロの城風になった。帝国の雰囲気が石黒監督版に比べ現代より（19世紀後半～20世紀初期）っぽくなったせいで、カストロプだけどことなく古臭い。やはり時代錯誤感からは逃れられなかった模様。流石に貴族というべきか、顔はそこそこ整っている。あと痩せてる。動乱自体はあっさりめに終わる（というか石黒監督版が濃すぎる）ものの、今回のマクシミリアンは原作通りに暴力的。部下を殴りまくりである。
接近するキルヒアイス艦隊（ここで右の部下に一撃）に真正面から挑むカストロプ艦隊、包囲をしかけるキルヒアイス艦隊（ここで右の部下に一撃）相手にちょっと軍事知識のありそうなところを見せるマクシミリアンだったが、キルヒアイス艦隊は攻撃しないまま、包囲に穴を開けカストロプ艦隊の主力を誘い出した（ここで左の部下に一撃）。
最後尾で悠々と包囲を抜けようとするマクシミリアンの旗艦の目の前で、キルヒアイスは包囲を閉じる。目の前に現れたキルヒアイスの旗艦＜バルバロッサ＞の降伏勧告を無視し、包囲を抜けた艦隊主力との挟み撃ちを目論んでレールガンだ！主砲発射だ！撃て！と射撃を命じるマクシミリアンだが、部下はこれを華麗にスルー。このままでは危険だと諭す部下に殴る蹴るの暴行を加える（ここで右の部下に十撃）マクシミリアンに、他の部下たちがそろってブラスターを向ける。これを見たマクシミリアンも自身のブラスターを引き抜こうとした（ここで左の部下が銃撃）が、そのまま部下たちから滅多撃ちにされて死亡した。
「臣下や民のため命をつくすのも、主君のつとめと存じます」
バンダイナムコ版ゲームでの描写
石黒監督版OVAを元にしたバンダイナムコ版のPCゲーム「銀河英雄伝説」でも、マクシミリアンは登場する。その能力値はフレーゲルをも遥かに下回って堂々の全銀河最下位。流石は馬鹿である。
コミック版における描写
道原版
挑発の通信で年端もいかぬ少女を弄ぶ描写が加わっており、馬鹿なだけではなくロリコン属性まで追加されてしまった。救いようがない。しかも腹立たしくもイケメン。イケメンだからって何でも許されると思うなよ貴様！
さらにはコミック版オリジナル要素でまさかの妹が登場。しかも武人系で艦隊を率いているというトンデモ妹だが、キルヒアイスの相手になるわけもなく瞬殺されている。
だが軍事的には馬鹿ではなかったという原作の記述が反映されており、想定外の事態が発生しても思考停止するような無能さはなく、的確な指示で前衛の第一小隊を全滅させている（もっとも、相手が格上過ぎるので結果的には大敗したのだが）。
末路は原作と同じく臣下に殺されるのだが、マクシミリアンが敗北を認められずに降伏も自害も拒否して見苦しくわめいていたので介錯気味に臣下に射殺される流れとなっており、その臣下も「ヴァルハラまでは私がお供をする」と発言しているので原作やOVA版に比べれば部下の忠誠心を刺激する人物であった模様。
藤崎版
基本的に原作と同じだが、カストロプ領がOVA版と同じくなぜかギリシャ風となっている。この作品ではアーレ・ハイネセンも古代ギリシャ風の恰好をしていたのだが、帝国の思想的に問題ないのだろうか？
容姿に関しては太っているブサイク野郎であり、一人称が「僕」なこともあって、道原版やOVA版なんかとは比べ物にならない大馬鹿息子オーラを初登場時から醸し出している。
キルヒアイス軍によって惑星内に閉じ込められると、どうやって逃亡するのか算段すらつけず、逃亡後も贅沢に暮らすために領内のすべての金品を収奪を開始。現実味がなくて愛想を尽かした臣下によって金貨が大量に入った袋を投げつけられ、衝撃で頭部が脂肪だらけの体にめり込んでで死亡した。
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関連項目
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