片桐夏向(かたぎり かなた)とは、漫画・アニメ『MFゴースト』の登場人物である。
概要
MFゴーストの主人公。日本人とイギリス人のハーフである19歳のイギリス人青年。本名はカナタ・リヴィントン。MFGには父方の日本名で出場しており、本編でも片桐姓で語られることが多い。リヴィントン姓で呼ぶのはイギリスでの彼を知っている者くらい。本籍はイギリスのケンブリッジ。
搭乗者はトヨタ86(ZN6)。
イギリスの名門レーシングスクールである「ロイヤルドニントンパークレーシングスクール (RDRS)」を首席で卒業した天才ドライバー。失踪した父を探すという目的の元、亡き母の知り合いである西園寺家にホームステイし、MFGに参戦している。
経歴
4歳でカートを始め、7歳からイギリスカート選手権に参戦。その後2年でイギリスの著名なタイトルを6つ取っている。さらに10歳でF4に参戦しており、2年でタイトルを奪取しているという桁違いの経歴の持ち主。MFGのトップレーサーであるミハイル・ベッケンバウアーですら初タイトルを獲得したのが15歳ということを考えても、いかにカナタがとんでもない才能の持ち主かがうかがえる。
RDRSでは前作「頭文字D」の主人公である藤原拓海の指導を受けている。つまりは拓海の弟子であり、天性の才能に加えて拓海の神がかり的なドライビングテクニックを引き継いでいる。プロジェクトD時代に拓海と行動を共にしていた上有史浩は、初めてカナタの超高速四輪ドリフトを見た瞬間にかつての拓海のドリフトとダブらせており、思わず涙ぐんでいた。
RDRS卒業後、当然多くのレーシングチームからオファーを受けたが、この頃に母であるキャサリン・リヴィントンが体調を悪化させ亡くなったことで全てのオファーを蹴ってしまい、故郷のケンブリッジに戻ってしまう。その後、母を亡くした悲しみでモチベーションを低下させて引きこもってしまい、2年ほどレースの世界から離れていた。RDRS同期のエマ・グリーン曰く、ドロップアウトせずにイギリスFE-3をフル参戦していれば、ヤングドライバーオブザイヤーの最有力候補だったらしい。また、同時期に参戦していたユーロFE-3のポールリカールとホッケンハイムで、当時フランスにモータースポーツ留学していた沢渡光輝と戦っている。
ブランクを経て、父である片桐健を探すために祖父母のいるイギリスを離れて来日。父に気付いてもらうため、そして自分の限界に挑戦するためにMFGに参戦する。MFG参戦にあたり、師である拓海からアドバイスを受けている。
人物
裏表のない礼儀正しく純朴な性格で、冷静沈着。いかにもイギリス紳士らしい優しさも持ち合わせており、おまけにハーフでかなりのイケメン。そのため女性にはモテモテで、作中でも西園寺恋、北原望、佐藤真美、エマ・グリーンの4人の女性から想いを寄せられている。特に外見で人を好きにならないと豪語していた恋は初対面で100万ボルトの電流が走り、一目惚れしている。
とはいえ、内気でピュアな性格のため気取ったところはなく、常に謙虚な好青年。男性である緒方や相葉瞬からも初対面のときから好印象を持たれている。レースに参加しても賞金で裕福になろうとは考えておらず、賞金は緒方との折半にしている。開幕戦の決勝進出が決まった時、緒方はカナタの取り分を増やすことを提案したがカナタはそれを固辞した。開幕戦後、鎌倉駅の近くのカフェでアルバイトをしているが、当然女性客からの人気は高く、カフェのリピーター率も上がっている。
イギリス育ちではあるが母の教育によって日本語は堪能。ただし、漢字が読めないなど読み書きには疎く、箸を使うのも苦手。たまに間違った日本語を発することもある。感情が高ぶったときは母語のイギリス英語を話す。イギリスの食べ物がアレなこともあって、日本の料理を食べるたびに涙を流すほど感激している。相葉先輩もさぞおごりがいがあることだろう。
師匠である藤原拓海のことはまるで父親のように慕うほど心から尊敬しており、彼の教えを忠実に守っている。カナタいわく「先生に比べれば自分のドリフトは子供の遊び」とのこと。日本のルーツを持つからか拓海には特別に目をかけてもらっており、休日やカリキュラム時間外にラリー用コースを使った特別なレッスンを受けていた。拓海も「とびきりユニークなドライバー」と評価しており、本編が始まる前年に日本に一時帰国して秋山渉と食事した際「1年だけMFGを体験させてみたい」と話していた。
シャイでピュアなところに加えて頑固さとストイックさを持ち合わせ、職人気質で芸術家肌で天然なところ、さらには、ハンドルを握ると別人のように闘争心を出し、厳しい顔つきになるなど基本的に性格も拓海に似ている。違いといえば、激情家な一面のある拓海と比べてカナタはだいぶ温厚であるところだろうか。カナタも走行中に感情を露にしかけることがあるが、拓海に「感情的になることは最も愚かな行い」だといつも言われていたらしい、自身の体験によるものだろうか(拓海も頭文字Dの頃に感情的になって愛車を傷つけたことがある)。
モテモテではあるが、恋愛面には奥手で鈍感。作中で女性陣から惚れられていても気付いていないことが多い。平手を打ちをされたエンジェルスのナンバー7がホスト・ファミリーの西園寺恋であることも最初の頃は気付いていなかった。カフェでのバイト中は女性客にもそつなく対応できるが、本人曰く営業用のインチキで、恋以外の女の子とはほとんど会話できないとのこと。
一緒に鎌倉で父親探しに協力してくれた恋のことは当初は特別な感情を抱いていなかったが、紆余曲折を経ながらともに時間を過ごしていくことで恋愛感情を抱くようになり、より親密な関係となっている。
なお、両想いになる女性から平手打ちをされるのも師匠と同じである。
ドライバーとしての能力
幼い頃からカートでタイトルをいくつも獲得しているうえに、名門RDRSを主席で卒業。さらに卒業試験では、スクール始まって以来の新記録を叩き出している。RDRS関係者が「現実のコースでもシミュレーターでもタイムを作るセンスが尋常ではないレベルだった」と興奮気味に語る程、飛び抜けた才能の持ち主である。日本ではそれほど知られていないが、走りの創造性と独創性から「沈黙の芸術家(サイレントアーティスト)」の異名を持つ。
カナタの能力としてまず挙げられるのは、師匠・藤原拓海譲りの天才的なドライビングテクニックであり、拓海が得意としていた慣性ドリフトや溝落としなども引き継いでいる。また、視界の悪い濃霧のなかでの操作、大胆なドリフト、濡れた路面での処理能力など、拓海と共通した神業的なドラテクを持ち合わせている。
加えて、アカデミー時代に「走り出してから決められた距離を走り終える間にタイヤのグリップを使い切る練習」をたくさん積んでいることによってタイヤマネジメントに長けており、レース展開を読む能力やタイムを作るセンスも高い。こうしたレースマネジメント力の面に関しては、拓海よりもむしろプロジェクトD終盤の頃の高橋啓介に近いタイプである。
拓海の指導方法はかつて自らが父の藤原文太や高橋涼介から受けた教えを踏襲したものであり、そういった意味では頭文字Dの最強クラスの3人を引き継いたドライバーと言える。
ドライバーとしての原点は、幼い頃から習得し身体に染み付いたスキル、そしてピュアな闘争心であるが、カナタ特有の特筆すべき才能として母・キャサリンから受け継いだ超人的な映像記憶能力が挙げられる。
頭の中に一度見た映像を残せる特別な感覚を持っており、ビデオを3回程度見ただけでコースを覚えてしまう。MFGで参考にしたのは公式のデモ映像であり、そのドライバーを務めた高橋啓介は開幕戦の映像を見てその能力を見破っている。また濃霧など視界の悪い環境の中でも記憶で前方のコース映像を補完できるため、他のドライバーがペースを落としてしまう環境でも彼は変わらず走れる。レース前に部屋の床やベッドなどで目を瞑って行うイメージトレーニングでは、この記憶力によって、かつて観たコース映像を頭の中で正確に再生することができるため、コーナーの角度、距離などを忠実になぞりながら、実走行時のシフトタイミングなどを完璧にシミュレートでき、ドライビングシミュレーターと同等かそれ以上の効果を得ることができる。このためMFGのコースを体験できるシミュレーターを少なくとも日本に来てからは使用したことが無い。
この映像記憶はカナタが過去に走った全てのレース情報も含まれており、過去体験した類似の状況を即座に引き出してオーバーテイクを敢行する。抜けると判断すれば先行車に接近して最初のワンチャンスでも仕掛けていくため、先行車にとって強力なプレッシャーになる。このオーバーテイクを食らったドライバーの中にはトラウマになってしまった者もいる。
搭乗車「DBA-ZN6 トヨタ86 GT前期」
頭文字Dで藤原拓海が駆ったスプリンタートレノとして一躍有名になり、今だ根強い人気を誇るのがハチロク。当時はAE86という型式名から来た愛称だが、それを車名に冠してトヨタ自動車とSUBARU(当時の社名は富士重工業)との共同開発により2012年に誕生したのが初代トヨタ86。
今作はSUBARU BRZとの兄弟車。“直感ハンドリングFR”をコンセプトに、小型軽量、低重心、かつ低慣性を特徴に開発された。モータースポーツの本場イギリスで英才教育を受けた片桐夏向の愛車として活躍する。
「緒方自動車」を経営する緒方が所有しており、カナタが借りてレースに参加している。緒方が走り屋をやっていた時に中古価格170万円で購入したもので、緒方によりMFGに出場できる程度のチューニングは行われている。ハイブリッドなスーパーカーがトップに君臨しているMFGではパワーの非力さは致命的であり、ストレート、特に開幕戦の「カマボコストレート」を含む勾配の緩い区間では、それがもろに露呈されてしまうが、カナタの卓越したドライビングテクニックによってコーナーでその性能が引き出され、伝説のダウンヒラーと呼ばれた拓海が起こした奇跡を再現している。なお、開幕戦の予選終了後、カナタの要望によってトラクションコントロールをカットしている。
第2戦の「芦ノ湖GT」からは相葉の紹介でチームに加入した奥山広也によって「給排気系の見直し」「ブレーキを含めた足回りの改善」が施され、表彰台を争うレベルにまで到達。さらに、第3戦からはエンジンをボルトオンターボ化することによって300馬力にまでパワーアップ。第4戦からはカーボンボンネットやリアウイングを含むTRD製のボディキットを装着したマシンとなる。サーキット向けでなく、あくまで公道レース向けのセッティングがなされており、アンダーパワーのモデルでハイパワー車たちを打倒するというコンセプトはかつての藤原とうふ店のハチロクと同じ道筋である。
緒方はこの86のパワー不足がカナタの足を引っ張っていると嘆き、第2戦終了後GRスープラに乗り換えようと提案するが、カナタは86の応答性とバランスの良さを高評価しており、何よりも拓海からの「ライバルたちよりアンダーパワーなマシンを選択する」という課題を与えられていることから86にこだわっている。
関連動画
関連チャンネル
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- なし
- 7
- 0pt

