ICOとは
- 「ICO」 2001年12月6日にソニー・コンピュータエンタテインメントより発売された、上田文人監督のプレイステーション2、およびプレイステーション3用ゲームソフト。
- 「.ico」 Windowsで使われる拡張子。アイコンのビットマップデータを格納している。(favicon参照)
概要
この人の手を離さない。 僕の魂ごと、離してしまう気がするから。 |
生贄としてささげられた頭に角を持つ少年(イコ)が、同じように捕らえられていた少女(ヨルダ)の手を取り、霧に包まれた城を逃げ出す。
派手なアクションは一切なく、武器は棒だけ(剣なども入手可能だが、ずっと後半)。崩れかけた迷路のような城の中を、手探りで出口を探してさまよう。
このゲームの特徴として基本的に常に少女の手をつないだまま進む。少女は少年より運動能力が劣る(というより少年の身体能力が高い)ため、時には少女へ呼びかけて誘導し、時には少女が届かない距離の段差や崖に手を差し伸べ、少女が通れるように工夫して進まなければならない。非常に思いやりに溢れたゲームである。
城の中を進んでいくと、たまに正体不明の「影」が襲い掛かってくる。影は少女をさらって黒い穴に引きずり込もうとするので、少年は時に少女の手を取って安全地帯まで逃げ、時にそれを追い払いうことで少女を守らなくてはならない。影にヨルダを奪還されてしまった場合、少年は石像に姿を変えられゲームオーバーとなってしまう。
発売当時はその「手を繋ぐ」という行為がゲームとしては新鮮で注目が集まった。操作法は簡単で、プレイ時間も短いが、プレイ後のなんともいえない満足感は大作にも引けをとらない。
演出も独特で、従来のアクションゲームのような「画面上に表示されるパラメータ類(HPやレベルなど)やゲーム的な演出」はほとんど存在せず、シンプルで独特の雰囲気に包まれた、細かく創りこまれた世界観が楽しめる。特にグラフィックの作り込みの高さとBGMの秀逸さは、当時の一般的なゲームとは一線を画していた。
難易度は少々高いが、男女関係なく子供から大人まで愛される作品となっている。
最低でも2周することをオススメします(2週目からの追加・隠し要素の他、新しい発見もある)。
BGM等の音楽作曲は、大河ドラマ「天地人」などで有名な大島ミチルや、別名義で「LAB」「Wanna Party?」等のBEMANIシリーズの楽曲を作曲しているpentagon(山崎耕一)が担当。
編曲やサウンドエフェクトは、「朧村正」「オーディンスフィア」「グリムグリモア」等でサウンドエフェクトを担当している金子昌晃。
メインテーマ「ICO -You were there-」のボーカルを担当したSteven Geraghtyは、ボーイソプラノグループ「libera」のメンバーである。
なお、小説界屈指のゲーマーとして知られる宮部みゆき氏(代表作:『模倣犯』『ブレイブストーリー』他)は、本作のノベライズを自身の手で行うことを熱望するほどの大ファンであり、実際に彼女による小説版が発売されている。
細かい設定はあえて伝えずに宮部氏が自由にふくらませる形式で執筆されたため、原作の雰囲気を踏襲しつつ新しい「もう1つのICO」として作品が仕上がっている。
なお、2011年9月22日に次作である「ワンダと巨像」と共に、PS3用ソフトとしてHDリマスターバージョンが発売され、さらに限定版として「ワンダと巨像」とのセットに特典ブックレットが付いた『ICO/ワンダと巨像Limited Box』も発売された。
2012年1月31日にはPS3用ダウンロード版も発売されている。
キャラクター
- 少年(イコ) 声:進藤一宏
この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから。
頭に一対の角を持つ少年。そのせいか、やや小柄ながらも一般の人間より身体能力が高い。でこぼこした壁をよじ登ったり、チェーンにぶら下がって遠くへ飛び移ったりできる他、多少の高さなら落ちても怪我をしない丈夫さを持ち合わせている。また、その丈夫さ故に後述の「影」に攻撃されてもダウンはするが怪我はせず、それによってゲームオーバーになることもない。
「角の生えた子供は13歳になると霧の城へ生贄に捧げられる」という掟に従い、霧の城へ生贄として連れて来られた少年。広大な生贄の間に並んだ無数のカプセルの一つに閉じ込められるが、部屋の入り口が閉じる際の振動により、偶然にも土台が崩れてカプセルが落下、蓋が開いてしまう。そして自由の身となった少年は城の中を彷徨い歩くうちに、檻に幽閉されていた言葉の通じない少女・ヨルダに出会う。檻から少女を助け出す少年だが、突如謎の「影」が少女の元に現れる。少女をさらって黒い穴に引きずり込もうとする影を、少年は手にした棒で本能的に追い払い、少女の手を引いて城を脱出しようと試みる。
- ヨルダ 声:高橋理恵子
霧の城の中で空中に吊り下げられた(鳥籠のような)檻に閉じ込められていた少女。
身長はイコよりもやや高めで、人間らしからぬ透けるような真っ白な肌に亜麻色の短い髪と目を持ち、イコとは違う言葉を話す。黒い模様が入った白いワンピースのような服装をしており、どこか神聖な雰囲気がある。
城のあちこちで行く手を阻むように建っている、「角の生えた子供が膝を抱えてうずくまっている」形をした石像に祈ることで、石像に封じられた道を開かせ、同時に周辺の影を追い払う事ができる不思議な能力を持っている。
- 影
黒い煙、あるいは靄(もや)のような外見をしている正体不明の存在。城の各所でたびたび登場し、ヨルダを付け狙って特定の場所に出現する「黒い穴」へ引きずり込もうとする。
基本的に少年(イコ)とヨルダが一緒にいる間は、先に進まない限り影が現れることもないが、あまり長時間2人が離れた状態でいると、突如出現してヨルダをさらおうとすることも。別のマップなどで単独行動をする際は注意が必要。
その姿形は(一部を除いて)人間に酷似しているが、中には羽根のように両腕を羽ばたかせて空を飛び回ったり、壁を這いまわったりする者もいるようだ。
武器を使って攻撃することで煙のように霧散させる(追い払う)ことができる他、ヨルダを石像の前まで連れて行くことで、まとめて倒すこともできる。狭い場所や逃げ道がない場合は前者を選ぶしかないが、広い場所だったり影の数が多かった場合は、後者を狙ってヨルダと共に駆け抜けた方が安全。
- クイーン 声:渡辺美佐
霧の城の女王らしき存在。真っ白に透けた肌に、白い姿のヨルダとは対照的な「影」に似た黒髪と、黒いローブのような靄(もや)を纏っており、その外見や挙動は(宙に浮かぶ、突然に姿を現すなど)かなり人間離れしている。イコの話す言葉とヨルダが話す言葉の両方を扱える様子。
ヨルダは自分の「たったひとりの愛娘」であり、城の全てを受け継ぐ運命だとイコに告げ、ヨルダを置いて早々に城から立ち去れと忠告する。
ヨルダ語について
一見読めない象形文字のようなヨルダ語は、実は全て英語のアルファベットに置き換える事が出来る。もちろんその文章の意味も存在する。
日本語をローマ字で書き、それを逆にして発音し、それを訛らせたり母音を消したりしたもの、それがヨルダ語となっている。
アルファベットについては、「ヨルダ語 アルファベット」などでネット検索すると色々出てくる。日本語に翻訳するには、まずヨルダ語をアルファベット表記に直して逆から読み、その音に母音を付けるなどして出来た言葉と似た日本語を探せばいい。
ちなみに、「ヨルダ」の文字「yld」は逆にしない。その音こそがヨルダの名前なのだから翻訳する必要は無い。
(以下、ネタバレ防止のために一部反転表示してあります)
螺旋塔(檻があった場所)
ヨルダ:「esad ahtn」 → 「ナタハ ダセ」 → 「あなたは誰?」
ヨルダ:「kd ar eti on」 → 「ドコ ラ イテ ノ」 → 「どこから入ってきたの?」
正門(1回目)
クイーン:「ahs etk dio」 → 「サー カテ オイデ」 → 「さぁ 帰っておいで」
クイーン:「yld」 → 「ヨルダ」
ヨルダ:「on wti e」 → 「ノ イトハ 」 → 「あの人を」 (eは次の言葉に続く)
ヨルダ:「srq atms」 → 「クォラセ シマタ」 → 「おこらせてしまった」
クイーン:「ezn arkw」 → 「ナゼ ワカラ」 → 「なぜ わからぬ」
クイーン:「ahm iksont we」 → 「マエハ トノセカイ デハ」 → 「おまえは外の世界では」
クイーン:「ydnankytq」 → 「クィテユケナノダヨ」 → 「生きてはゆけないのだよ」
正門(2回目)
ヨルダ:「um ot ysx」 → 「モウ ト スクスイヨ」 → 「もうあと少しよ」
橋の上
ヨルダ:「nnmr(ノノモリ)」 → 「ありがとう」
(「ノノモリ(nonomori)」はエンディング曲の歌詞にも出てくるので、おそらくオリジナルです)
船着場
ヨルダ:「arn oys」 → 「ナラ サヨ」 → 「さよなら」
以下は文字が出てこない言葉なので予想です。
・首をフリフリして「ヤネっ」
「イァネッ(iane)」 → 「行けない(ikenai)」
・指差してヒントポーズ「イッコ!?」
「イッコ(ihccok)」 → 「こっち(kocchi)」
・指差してヒントポーズ「イノコッ! イノコッ!」
「イノコッ(inokok)」 → 「ここに(kokoni)」
・砂浜で、
「セ・・・イ・・・?」 → 「YES」 或いはイコや神官達の言語で「生きてる・・・?」
補足
日本国外からの反響
日本では一部のファンを除いてそれほど注目されてはおらず、売り上げも高かった訳ではないが、逆に日本国外では非常に評価の高い作品である。
ちなみに海外版の方が先に販売されており、日本版では海外版に比べて幾つかの改善や追加要素が施されている。
実際にゲーム関連のアカデミー賞と呼ばれるAIAS (The Academy of Interactive Arts and Sciences)において最多ノミネートを達成しているほか、国際ゲーム制作者団体 (The International Game Developers Association) の Geme Developpers Choice Awards においても6部門がノミネートされ、こちらも最多ノミネートとなっている。
「ICO」という名前
- 公式ガイドブックの巻末インタビューによると、ゲームタイトルである「ICO」のネーミングの由来は「アイコン(ICON)」=肖像、偶像という語句から。
- また主人公の「イコ」は作中で名前が登場しないキャラクターだが、スタッフによると「名前をつけると一キャラクターとなってしまうため、当初は名前がないままにする予定だった」とのこと。
だが先に販売した北米では「名前のないキャラクター」というのは異例であり、スタッフ側が解答を先延ばしにしている内に、いつの間にか海外ゲームニュースWEBサイトで「イコ」と呼ばれるようになり、そのまま呼称が定着したというエピソードが明かされている。
PS2版の廃盤・入手について
ある人物がPS2版のICOを解析したところ、GNU GPLでライセンスされているライブラリの一つが入っていることが判明した。GNU GPLについてはこちら(Wikipedia)を参照してもらうとして、ここで問題になるのは、これでライセンスされているプログラムが使われているものは、他の人が参照できるようソースコードを公開する義務が生じる、ということである。
そのためかどうかは分からないが、2008年2月、発売から6年強ほどでPS2版は廃盤という措置が取られた。そのため、PS2版の新品の購入はまず不可能で、中古でしか入手できないレアものになってしまった。
しかし2011年9月22日に「PS3用・HDリマスターバージョン」が発売されているため、ICOをプレイすること自体が不可能になった訳ではない。今からプレイしてみたい人は、3D映像も綺麗なPS3版を買うといいだろう。
ちなみに2012年1月31日にはPS3のダウンロード版も発売している。
ピコカキコ
You Were There |
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関連動画
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PS3版 新CM・PVなど
BGM
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プレイ動画・実況
タイムアタック・トロフィー攻略
MAD
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関連項目
- 22
- 0pt