Morbid Angel(モービッド・エンジェル)とは、アメリカはフロリダ州、タンパ出身のデスメタルバンドである。
概要
1983年、当時18歳のトレイ・アザトース(ギター)を中心に結成された。
結成してしばらくはメンバーも流動的であったが、1985年には1stリリース時のセカンドギタリストであるリチャード・ブルーネルが、1988年には『コマンドー』ことピート・サンドヴァル(ドラム)が加入、そして1989年には黄金期のメンバーにも数えられた3人(デヴィッド、トレイ、ピート)が揃い、1stアルバム『Altars of Madness』をリリース。以降現在まで当該ジャンルの最前線で活動を続けており、日本では『デスメタルの帝王(又は魔王)』と言われている。
主にヨーロッパ圏での人気が高く、デスメタル界隈を『偽者』と評する御人の多いブラックメタル勢の皆様からのウケも良いらしい。また、リーダーのトレイ・アザトースが重度のアニメオタクであることや、ピート・サンドヴァルが人間離れしたドラムテクニックをふんだんに発揮していたこと等が、日本での高い知名度に貢献していたものと思われる。
日本には1998年に初来日、そして2011年に再来日している。
現在のメンバー
2016年に再加入した、モービッドエンジェル第二のフロントマン。1996年、デビュー当時からベースボーカルを務めていたデヴィッド・ヴィンセントの後任として加入し2004年に彼が復帰するまでモービッドエンジェルを支えていた、モービッドエンジェルの歴史上とても重要な立ち位置にいた存在。ヴォーカルスタイルはデヴィッドよりも正統派デスメタル寄りであることに加えて、5thから7thまでのアルバムは全て彼がヴォーカルを務めた事もあり、彼のファンもまた多い。7thアルバムの楽曲『Enshrined By Grace』のPVにも出演していた。映像はこちら。
結成当初から在籍している唯一のメンバー(ピートはマイク・ブラウニングの後任ドラマー、デヴィッド・ヴィンセントもダラス・ウォードの後任)で、モービッド・エンジェルのリーダー。独特のファッションと顔全体を覆う長い前髪が特徴的で、デスメタル界では珍しく非常に細身。でも最近ちょっと太ってきた・・・。
モービッドエンジェルを結成すると決意した際、兎に角上手いメンバーを集めたらしい。また彼自身も卓越した技術とメロディセンスを持ち、技術的な影響を受けたのはエドワード・ヴァン・ヘイレンやジミ・ヘンドリックス、スティーブ・ヴァイ等で、メロディ面ではモーツァルトの影響を受けているようだ。
因みに、アザトース(azagthoth)という名や、1stアルバムの某曲の歌詞(イア!イア!サカク!等)から、クトゥルフ神話を連想してしまう方も多いと思われるが、これは1977年出版の書物『サイモン・ネクロノミコン』という書物からの影響のようなので、クトゥルフ神話の直接影響下にある訳ではないそうなのだが・・・後年のアルバムにはどう考えてもクトゥルフ神話の影響直下な楽曲が散見されるため、一概に全てがそうとは言えないかもしれない。
YOUNG GUITAR2002年1月号でらんま1/2のトレーナーを着たトレイ先生の姿が表紙を飾った事がある。
2017年に加入が発表された新メンバー。2007年より活動を続けている自身のバンド、Vadimvonでの活躍で知られる他、バンドのウェブサイトのデザインを手掛けている。あとナイルのアートワークとかもやってたっぽい。
余談であるが、彼のFacebookには最近のバンドの近況が比較的多めに投稿されており、たまに他のメンバーも写り込んでいる。
2017年より加入した新メンバー。Abysmal Dawnの4thアルバムを一聴すれば分かる通り、前任二人にもひけをとらない技術の持ち主。日本的には知る人ぞ知るといった知名度ではあるが、かなり精力的に様々なバンドを渡り歩いて実力を発揮している。
過去のメンバー
ドラマー
モービッドエンジェルの初代ドラマー。バンド初期では彼が歌いながら叩いていたという、ピート先生とは違う次元ですごい人である。その後は多分世界で初めてキーボードをメンバーに入れた近未来的SFサウンドが特徴的なテクニカルデスメタル『ノクターナス』を結成した事でも話題となった。その後はよりオカルト方面に傾倒した音楽性の『AFTER DEATH』を結成しインディーズで音楽活動をしていたが、最近NocturnusADと改名(?)して両方のいいとこ取りみたいな感じになった。因みに彼はノクターナスでも、またこのバンドにおいてもドラム兼ヴォーカルを担当している。
南米エルサルバドルのサンタアナ出身。ドラムに初めて触ったのは18歳の時。アメリカに移住した当時、言葉が分からず、特にする事も無かったためにドラムの練習を始めたのがきっかけだったとか。テロライザーにいた当時から既にSlayerのAngel Of Deathを叩ける程のドラムテクを有し、ブラストビートを駆使していた。その後モービッドエンジェルに加入したのだが、ツーバスの練習を始めたのはモービッドエンジェルに加入してからだったらしい。つまり・・・
正確さ、スピード、他のパートの音を掻き消さない絶妙な音量、作曲者がDTMに書いたドラムパートを忠実に演奏してしまう程の高い技術など、その全てにおいて圧倒的なテクニックを誇る彼だが、モービッドエンジェル加入当初はツーバスブラストが叩けない事から脱退まで考えていたという。その後もツーバスブラストを習得したと思えば踏み出す手と足が逆で一からやり直したりと、何かと鬼のような努力と練習の逸話が印象的なのもまた彼の特徴であり、そんなクリプトプシーのフロ先生やヴェイダーの故ドック氏と並ぶデスメタルを代表する超人ドラマーの一人である彼に対して、人々は畏敬の念を表し、『Pete “Commando”Sandoval』と呼ぶ。
またドラマーとしての才能もさる事ながら、7thアルバム『Heretic』には、彼作曲の哀愁漂うインストナンバーが収録されており、彼の意外な一面を伺う事が出来る。(当時ピアノを弾くのにハマっていたらしい)
2013年秋頃デヴィッド・ヴィンセントへのインタビューで、既にピートが脱退し、ティム・イェングが正式に加入した事が明かされた。彼はクリスチャンになったらしい。クリスチャンがTerrorizerを再結成するのか・・・(困惑)なお再結成したTerrorizerでは腰痛が嘘であったかの様に往年を思い起こさせる驚異的なドラム捌きを見せている。っていうか2016年のラウパでちゃっかり来日もしてた。
- ティム・イェング
2013年に事実上の正式加入を果たした。元メンバーのピート・サンドヴァルが2010年、腰を直すために手術を受ける事となったためバンドへ代理メンバーとして加入、そのまま8枚目のアルバム『Illud Divinum Insanus』のレコーディングを行う。Fear FactoryのDino Cazaresが結成したDivine Heresyでの活躍が非常に高く評価されている他、バンドの元メンバーであるエリック・ルータンがリーダーを務めるデスメタルバンドのヘイト・エターナルにかつて在籍していた事に加え、バスドラムの世界最速大会にて一分間に872回叩いて優勝したという経歴等からも分かる様に、その実力はピート軍曹にもひけをとらないレベルだった。
2015年、脱退を宣言。バンドから彼への給料がちゃんと払われていなかったとか何とか。現在は後述のDavidと公式トリビュートバンドのI Am Morbidでライブ活動を行っている。余談だが、かなり髪がサラサラな上にイケメン。
ベーシスト
モービッドエンジェルのフロントマンといえば彼、という方も少なくないだろう。1989年の1stアルバム発売時よりバンドのフロントマンとして長年活躍していたが、1996年に脱退、2000年頃妻であるジェン率いる「Genitorturers」に「Evil D」の名で参加。ステージでSM的な鬼畜パフォーマンスを披露していたせいか、テレビ朝日の深夜番組「トゥナイト2」で取り上げられた事もあった。2004年にバンドへ復帰。以前よりも更に威厳に満ち溢れた声と、頼もしくもどこかコミカルなキャラクターで、現在バンドのフロントマンとして活躍していた。2011年、バンドは日本へ再来日したのだが、彼がMorbid Angelのフロントマンとして来日したのはこの時が初めてであった(日本へは2000年にジェニトーチャーズとして来日している)。
2015年、突如Trey AzagthothがSteveとレコーディングを行っていると一方的に発表する。事実上の解雇宣言に対しDavidは反論したものの、後にTreyと話し合い脱退するに至った。現在の彼はバンドの1st~4thまでの曲を演奏する公式トリビュートバンドI Am Morbidを結成しライブ活動を盛んに行っている他、何故かカントリーミュージックを始めたり、かと思えば何とあのMotorheadにレミー・キルミスターの後任として加入する事が発表されたりと、まだまだ様々な場で活躍していく様子。
余談だが、ピートがモービッドエンジェルに加入する前に在籍していたバンドであるテロライザーに彼も在籍していた。また、1st発売前のモービッドエンジェルが所属していたレコード会社のオーナーでもあった。後に質の悪い海賊版が出回ったためにバンドが見かねてリリースしたお蔵入りアルバム『Abomination of Desolation』は彼のレコード会社から1stアルバムとしてリリースされる予定だったという。
前述のスティーヴだが、実は2001年から2003年の間、モービッド・エンジェルを脱退していた。その間にもバンドは来日を果たしており(その際の映像はこちら。モービッドエンジェルは4:40より)、この時にフロントマンを務めたのが彼である。後述する元メンバーのエリック・ルータンがモービッドエンジェルを一度脱退した際に始めたバンドであるヘイト・エターナルのベーシストだった彼は、恐らくこのライブの前年に発売された6thアルバム製作時に再加入していたエリック・ルータンからの推薦で参加したものと思われる。僅かな間での加入で彼の参加した音源も結局作られなかったが、初めてモービッドエンジェルを目撃した日本人に対してその凄まじい迫力と鬼気迫る演奏を見せつけた。
その後エリック・ルータンと共にバンドを脱退し、彼のバンドであるヘイト・エターナルにて本格的に活動を開始するも、セカンドアルバム発売後諸事情により脱退。その後再加入の話し合いが行われていたが、2006年に死去。R.I.P.
ギタリスト
モービッド・エンジェルが1stアルバムをリリースし、3rdアルバムを製作する前に脱退したギタリスト。彼の姿は1stアルバムの特典ライブ映像『Live Madness』にて確認できる。なぜか彼のソロは2ndアルバムを除いてライブやスタジオ盤問わず音量が控えめにされている傾向にあった。因みに1998年に発売された5thアルバムのツアーに参加していたらしい。
リチャード脱退後、エリックルータンが加入するまでの間ライブでセカンドギタリストを務めていた。
スティーヴ・タッカー同様、モービッド・エンジェルの歴史上とても重要な人物の内の一人。レコーディングは黄金期を象徴する4thアルバム『Domination』と6thアルバムの『Gateways to annihilation』に参加。その後はちょくちょく入ったり出たりを繰り返していたが、2006年のwackenを最後にヘイト・エターナルの活動に専念する為バンドを後にした。
現在は上記の通りヘイト・エターナルで活動している他、2017年発売予定の新アルバムのレコーディングに携わっているようだ。
2008年から2015年まで加入。ブラックメタルバンド、エンペラーのメンバーであるサモスとタリム、元メンバーのモルティスが率いていたバンドであるザイクロンのギタリストを務めていたり、ブラックメタルバンドである1349のライブサポートも務めていたりと、ブラックメタル界の大御所との共演が多い。最近の動向としては、Nader Sadekのライブメンバーを務めていたようだ。
2003年から2006年の間、バンドは正式なセカンドギタリストを迎えずにいた。その間のヘルプギタリストを務めていたのが彼である。因みに再結成したテロライザーにも参加した。
ヴォーカリスト
ディスコグラフィ
記念すべき一枚目のアルバム。地獄の底から鳴り響いてくるような劣悪なサウンドは、正にオールドスクールデスメタル。
録音環境がかなり改善された2枚目のアルバム。前作よりも緩急を意識して作られており、全体的にスローな印象が残るが、実際は前作よりもファストな曲も存在する。また、このアルバムからシンセサイザーによるインストナンバーが収録されるようになった。リチャードが参加した最後のアルバムである。
モービッドエンジェル史上最高の売り上げを記録したアルバム。完成度の高さ、いち早く7弦ギターを導入した事による斬新さも当時では衝撃的だったものと思われる。因みにこのアルバムはセカンドギタリスト無しの3人体制で制作された。
エリック・ルータン加入後初のアルバム。完成度の高かった前作が、更に荘厳さや異世界の雰囲気を纏ったような一枚で、これこそがモビエン最高の作品であるとするファンも多いが、トレイ・アザトース曰く「荘厳過ぎた」らしい。エリック・ルータンのメロディアスなソロが光る。
所謂ライブ盤。ライブ盤とは思えない程演奏が神がかっているが、それも其の筈。D発売後のツアーでのベストテイクを繋ぎ合わせて作られているのだ。
デヴィッド脱退後初のアルバムで、スティーヴ・タッカーがボーカルとベースを担当し、3人編成で制作された。トレイ色が強く、アルバムのアートワークから曲の雰囲気まで全てが今までとは比べ物にならない程にオカルトへと傾倒した不気味さを漂わせ、デヴィッド期とは比べ物にならない程の速さと超絶技巧が満載されている。
- Gateways to annihilation
エリック・ルータン復帰後の作品。どこまでも重く、激しい重低音が特徴的で、前作同様デヴィッド期とは明らかに雰囲気の異なる曲が殆ど。エリック・ルータンのソロはDの頃よりも更にエキセントリック且つオリエンタルな響き。
- Heretic
スティーヴ、トレイ、ピートの三人編成で制作された。前作とは打って変わり低音をごっそりカットしたサウンドが特徴的。余談だが、このアルバムのとある曲でナイルのカール・サンダース氏がギターソロを弾いている。
デヴィッド復帰後のアルバム。スティーヴ期のようなサウンド面の実験的要素・冒険要素は無いが、インダストリアル方面からの影響が強い。
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関連項目
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