モンズーン(Monsun)とは、1990年生まれの
ドイツの競走馬である。
現代ドイツ競馬を代表する大種牡馬であり、自身もドイツ競馬を象徴するような血統を持っていた。
名前はモンスーン、季節風の意。媒体によってモンスーン、モンスン、モンズンと複数の表記が見られるが
ここではモンズーンに統一する。
通算成績23戦12勝[12-5-1-5]
3歳(1993年):アラルポカル(
G1)、オイロパ賞(
G1)、ヘルティー大賞(
G2)、シュタイゲンゲルガーホテル賞(
G3)、コンスルバイエフレネン(
L)
4歳(1994年):オイロパ賞(
G1)、ゲルリンク賞(
G2)
5歳(1995年):ゲルリンク賞(
G2)、ハンザ賞(
G2)
2000年・2002年・2004年・2006年ドイツリーディングサイアー
やってますよ。2度に渡る世界大戦や東西分割もあったが競馬は行われており、1945年に産まれたBirkhahnという馬は、東ドイツのダービーを制覇した後、西ドイツに遠征し東西ドイツダービー制覇という歴史的偉業を成し遂げた。冷戦突入後も限定的ではあったが東西ドイツ間で交流があったらしい。
1995年のジャパンカップ優勝馬、Landoはドイツの馬である。
近年、競馬界を「ドイツ血統」が賑わしており、現在欧州を中心に活躍しているGalileo・Sea The Stars兄弟の母User Friendlyの母系はドイツ土着のものであり、2021年の凱旋門賞馬Torquator Tassoは彼らの近親にあたるガッチガチのドイツ血統。日本では「ドイツのSライン」という牝系に属するビワハイジがブエナビスタを輩出、マンハッタンカフェがリーディングサイアーとなり、また特にドイツ色の濃い持ち込み馬エイシンフラッシュはダービーと天皇賞(秋)のGI競走2勝を挙げ、2021年にはドイツ産のマル外馬シュネルマイスターがNHKマイルカップを制するなど日増しに影響力は増している。
因みにビワハイジやエイシンフラッシュ、本馬などドイツ由来の牝系を辿っていくと同じイニシャルから始まる馬がズラッと並んでいることに気づいただろうか。これはドイツでは馬の名前は母馬と同じイニシャルを付けなければならないという規則が存在するためである。
試しに本馬モンズーンの牝系(母の母の母の母の...)を辿ってみるとMonsun→Mosella→Monagia→Monacensia→Motette→Morchel(独)→Morning Breeze(英)→Dawn-wind(英)と、ドイツに根付いた5代母からずっと「M」から始まる名前である。
父:Konigsstuhl、母:Mosella、母父:Surumuという血統。
父はヘンケルレネン(独2000ギニー)、ドイチェスダービー、独セントレジャーを優勝した史上唯一の独国三冠馬。独白伊で走り20戦11勝2着7回、伊国の大レースジョッキークラブ大賞を優勝した、比類なきドイツの名馬であり、独リーディング2度と種牡馬としても活躍した。
母モゼラは5戦1勝だが、その1勝はディアナ賞(独オークス)のトライアル。従姉の孫に*ムーンレディ(エイシンフラッシュの母)がいる。
母父ズルムーはドイチェスダービーを優勝し通算9戦3勝。種牡馬として独リーディングサイアー6回という大成績を残し、産駒にドイチェスダービー馬Acatenango(Landoの父、独リーディング5回)やPlatini(エイシンフラッシュの母父)がいる。伯父に*テスコボーイがいると言えば、馴染み深いだろうか。
父系は今では本馬を介したラインしかほぼ存在しないブランドフォードの直系であり、母父も今では断絶寸前のダークロナルド系という血統マニア垂涎ものの血統だが、ドイツの名馬同士を掛け合わせた、確かな血統である。
また母母父も父系は滅亡寸前のハイペリオンの直仔であるAureole系、母母母父も後に日本に輸入され、アングロアラブの大種牡馬に君臨したエルシド(種牡馬活躍時期がテスコボーイと同期)を出したアステリュー系(テディ直系)と渋いどころではなかったりする。
なお父系も母系も伝統血統で堅められてるため、一見血統表にネアルコが入っていないように見えるのだが、名種牡馬パーシャンガルフの直仔で父父父にあたるタメルランは母父がネアルコのため、残念ながらネアルコフリーではなかったりする。
モンズーンは2歳時、1992年8月にデビューを迎え、2歳時は4戦2勝で終わる。
3歳になったモンズーンは初戦のGIIIを勝利し、リステッド2着を挟んでGII、リステッドを連勝。ドイチェスダービーを5番人気で迎えると、1着と1馬身半差で2着を確保。この時に19頭中12番人気ながら末脚を炸裂させて穴を開けた優勝馬は後のジャパンカップ優勝馬Landoである。
真夏のドイツ最強馬決定戦アラルポカル(GI)を優勝し初GI制覇を果たし、1戦勝利を挟んで秋の大一番オイロパ賞(ヨーロッパ賞)へ挑むと3馬身つけて快勝しGI2勝目。ドイチェスダービー・バーデン大賞を優勝したLandoを抑えてドイツ年度代表馬に輝く。
4歳となり初戦のGIIゲルリンク賞を快勝した後、キャリア初の英国遠征を敢行しコロネーションカップに出走するが、起伏の激しいエプソム競馬場に難儀したか優勝馬アップルツリーから4馬身半差の6着に敗戦する。ドイツに戻った後3戦連続で敗戦(3着・2着・2着)したが、オイロパ賞では逆襲を果たし連覇を達成。この年はその後のフランス遠征でのGII2着を入れて7戦2勝で終え、7戦3勝だったLando(バーデン大賞・ジョッキークラブ大賞)に年度代表馬を譲る事となった。
5歳になっても現役を続行し、初戦でゲルリンク賞を連覇したが、続くバーデン経済大賞(GII)で得意なはずの重馬場ながら大失速を喫し大差6着(9頭立て)と凡走を喫する。しかし次のハンザ賞(GII)では2着入線から1着馬の降着に伴い繰り上がり勝利となる。
2年ぶりの勝利を目指しアラルポカル(GI)に挑むが、ここでは折り合いを欠き5着に敗北。この時の優勝馬は*ウインドインハーヘア。誰であろうディープインパクトの母親であり、この時*アラジの仔を受胎していたのである。日本では考えられないが、欧州では割とあること……なのか?
アラルポカルを最後に引退し、この年は4戦2勝。通算23戦12勝、GI競走3勝という成績で、勝ち鞍は2200~2400mに固まっている。
ちなみにLandoとの対戦成績は(モンズーンから見て)2勝3敗で、先着したレースでもモンズーンの1着は1回もなかった。
過去に15頭のドイチェスダービー馬を出したドイツの名門シュレンダーハン牧場で1996年から種牡馬入りし、初年度産駒デビューとなる1999年に独新種牡馬ランキング1位となり、翌年にはSamumが自身の成しえなかったドイチェスダービーを制覇。以後も順調に活躍馬を輩出し続け2000, 02, 04, 06と4回の独リーディングサイアーに輝き、シュレンダーハン牧場の新時代の旗手となった。
産駒の傾向として、自身同様2200m以上のレースで活躍する産駒が多く、また2歳から活躍するのではなく3歳以降に本格化していく晩成傾向にある。勿論傾向であって、2歳GIやマイル戦で戦える産駒も多数存在する。
といったところ。日本での直仔はピュアブリーゼ(オークス2着)が代表格である。
因みにメルボルンカップにやたら強い事で有名で、2012年から5年連続でモンズーンの血をひく馬が連対し、うち3勝している。直近の2017年では母父にモンズーンを持つMax Dynamiteが3着に入った。
代表産駒である*スタセリタや*ノヴェリストについて聞いたことは無いだろうか。
前者はオークス馬ソウルスターリングの母親であり、後者は現在日本で種牡馬入りし、モンズーンの血を日本に広める役割を担っている。
晩年は全盲で暮らし、2012年9月に急性の神経疾患により安楽死の措置が執られた。享年22歳。
世界的に絶滅傾向にあったBlandfordの系統を蘇らせたドイツの大種牡馬は、その血脈を子孫に託して天へと昇った。
翌年、終生のライバルであり種牡馬としても活躍したLandoも23歳で亡くなった。
| Konigsstuhl 1976 黒鹿毛 |
Dschingis Khan 1961 鹿毛 |
Tamerlane | Persian Gulf |
| Eastern Empress | |||
| Donna Diana | Neckar | ||
| Donatella | |||
| Konigskronung 1965 黒鹿毛 |
Tiepoletto | Tornado | |
| Scarlet Skies | |||
| Kronung | Olymp | ||
| Kaiserkrone | |||
| Mosella 1985 鹿毛 FNo.8-a |
Surumu 1974 栗毛 |
Literat | Birkhahn |
| Lis | |||
| Surama | Reliance | ||
| Suncourt | |||
| Monasia 1979 鹿毛 |
Authi | Aureole | |
| Virtuous | |||
| Monacensia | Kaiseradler | ||
| Motette |
クロス:Nebelwerfer 5×5(6.25%)、Kaiserwurde 5×5(6.25%)、Hyperion 5×5(6.25%)
掲示板
5 ななしのよっしん
2022/01/03(月) 01:59:19 ID: XfhrwdvWgA
父父母父はエクリプス系だけど父はスインフォード(実質ブランドフォード系)×トウルビヨンで母方もハンプトン×ハイペリオンなんてドマイナーだねぇ...
6 ななしのよっしん
2022/01/07(金) 13:30:31 ID: Ozfk9MwmaA
しかし渋い血統だ
7 ななしのよっしん
2024/03/03(日) 11:09:30 ID: VIwHJ5JIDL
>>2
何気に南半球つかオセアニア地区でも定着しそうではある。あちらにシャトルされてるVadamosの産駒からG1ホース出てるし
Tarzino(モンジュー系)やリトゥンタイクーン(ラストタイクーン系)もだけどオセアニア地区って何気にヨーロッパとかで微妙に主流から逸れた血統の最後の砦みたくなってるね。ヘイルトゥリーズン経由しないターントゥ系とか
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/25(木) 21:00
最終更新:2025/12/25(木) 21:00
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