おそ松くんとは、赤塚不二夫とフジオ・プロによる漫画作品である。
2015年秋より放送が開始されたアニメ第3作『おそ松さん』に関してはこちらの記事を参照。→おそ松さん
概要
赤塚不二夫氏の代表的作品の一つ。この六つ子が主人公というアイデアの原点は『1ダースなら安くなる』というハリウッド映画で、漫画のコマに書ききれる人数として半分の6人が採用されたという。基本的にはドタバタかつナンセンスなギャグコメディ漫画であるが、連載時期でやや漫画の方向性が異なるのが特徴。
連載当初は六つ子を主役に据えて、六つ子たちのドタバタな日常と、それに手を焼く両親やクラスメイトたちによるシチュエーションコメディであった。しかし、イヤミやデカパンなどといった個性的な脇役が登場するに連れて主役のポジションを奪われていき、内容もイヤミやチビ太を中心としたスラップスティックコメディ(ドタバタギャグ)に変化していった。
中期頃は作者の趣味である映画を土台にした作品が増える。いわゆるスターシステムを採用しており、話によって役柄が異なるのが特徴。その結果、日常的な話は非常に少なくなった。最終回ではバカボンのパパとの共演も見られた。
後期ではチビ太がチョイ役レベルに出番が減る中、イヤミが主役の話が増えた。その代わり、おそ松たち六つ子の出番は殆ど無く、出番があっても扉に出てくる程度であり、出番がないことに抗議しているシーンがほとんどであった。
アニメ化に合わせて連載が再開された末期は再び六つ子が主役の作品に戻り、また一部脇役キャラの設定が固定になっている。
1962年16号に「週刊少年サンデー」で連載を開始し、その後1967年33号まで連載が続いた。その後も中断を繰り返しつつタイトルや連載誌を変更して連載が行われ、最後の新作が執筆された1990年までに、小学館の学年誌や「ボーイズライフ」「週刊少年キング」「コミックボンボン」「テレビマガジン」に連載された経歴を持つ。
これまでに3回テレビアニメ化が行われた。
1966年〜1969年に第1作が毎日放送製作NETテレビ系列で放送。(ちなみに、これが毎日放送がアニメ製作を行った初めての作品である。)
1988年〜1989年に第2作がフジテレビ系列で放送。
2015年秋~2016年春には第3作となる『おそ松さん』がテレビ東京ほかで放送。『おそ松さん』については別記事で説明する。
1985年にはフジテレビ系列で実写ドラマが放送された。また、1989年にはアニメ第2作の劇場版『おそ松くん スイカの星からこんにちはザンス!』が他作品と同時上映された。
登場人物
CV欄の「CR」は「CRパチンコ」、「第3作」は『おそ松さん』を指す。
六つ子
本作の主人公である六つ子で、六人ともまるでコピーかのようにそっくりである。見分けることは両親ですら不可能で、それを利用していたずらをしたりもする。誕生日は全員5月24日。
服装が全員同じなのは、6人分服を買うと非常にお金が高く付くが、服を1ダース単位で買えば安く済むからである。
- 松野おそ松
- CV:加藤みどり(第1作)→井上瑤(第2作)→庄子裕衣(CR)→櫻井孝宏(第3作)
- 六つ子の長男。リーダー格で喧嘩も強く特にがめつい。
- 松野カラ松
- CV:鈴木富美子(第1作)→真柴摩利(第2作)→庄子裕衣(CR)→中村悠一(第3作)
- 六つ子の次男。さっぱりとしていて飽きっぽい性格。
- 松野チョロ松
- CV:山本圭子(第1作)→松本梨香(第2作)→庄子裕衣(CR)→神谷浩史(第3作)
- 六つ子の三男。すばしっこいがよく転ぶ。いたずらの際は、おそ松とペアを組むことが多い。
- 余談だが、第2作で声を当てた松本梨香氏の声優としてのデビュー作でもある。
- 松野一松
- CV:北浜晴子(第1作)→横尾まり(第2作)→庄子裕衣(CR)→福山潤(第3作)
- 六つ子の四男。一番まじめな性格で、意志も強い。「市松」ではない。
- 松野十四松
- CV:東美江(第1作)→松井菜桜子(第2作)→庄子裕衣(CR)→小野大輔(第3作)
- 六つ子の五男。優しい性格をしているが、その分気が弱い。実は六つ子の中で一番口うるさい性格。
- 松野トド松
- CV:北浜晴子(第1作)→林原めぐみ(第2作)→庄子裕衣(CR)→入野自由(第3作)
- 六つ子の六男で末っ子。のんびり屋な性格。風呂が大嫌い。
そのほかの人物
- 松野松造
- CV:八奈見乗児→鈴木泰明(第1作)→水鳥鉄夫(第2作)→茶風林(CR)→井上和彦(第3作)
- 六つ子の父親。一般的なサラリーマンだが、漫画版では当初は「三松屋」という個人商店を経営していた描写がある。中日ファン。
- 松野松代
- CV:麻生みつ子→近藤高子(第1作)→横尾まり(第2作・CR)→くじら(第3作)
- 六つ子の母親。専業主婦であるものの、子供が6人もいるために日々大量の家事に追われているとてもパワフルなお母さんである。のび太のママのような丸メガネをかけており、極度の近眼である。
- トト子(弱井魚魚子)
- CV:白石冬美→堀絢子(第1作)→松井菜桜子(第2作・CR)→遠藤綾(第3作)
- 今作でのヒロインで、六つ子たちのアイドル。魚屋の娘。苗字が「弱井」とあるが、実際は全然弱くなく、男勝りで気が強いお転婆娘。
- その容姿は赤塚氏の作品『ひみつのアッコちゃん』の主人公、アッコにそっくりである。それを利用して、無銭飲食を実行しようとするが失敗するというギャグが劇中にあったりもする。
- イヤミ(井矢見)
- CV:小林恭治(第1作)→肝付兼太(第2作・CR・CM)→鈴村健一(第3作)
- 名前の通り嫌味な性格の男性。出っ歯でツリ目、髪型は時期によって変わる。初期の頃は「井矢見」表記もあった。一人称は「ミー」、語尾に「〜ザンス」とつけて喋り気取っており、自分はおフランス帰りだと自称するが、渡仏経験は一切ない。
- 驚くと「シェー」と叫びながら手足を曲げて独特なポーズをする。
この「シェー」は当時国民的なギャグとして大流行した。
ゴジラが『怪獣大戦争』(1965年公開)の中でシェーのポーズを取ったり、1966年に来日したビートルズもシェーのポーズを取り、現皇太子(徳仁親王)までもが幼少期の1970年に開催された大阪万博に訪れた際にシェーのポーズを取った。いかに日本に浸透していたかを頷けるエピソードである。 - ちなみに、同じ出っ歯がトレードマークの明石家さんまがアニメ第2作の製作の際にキャスティング候補に挙がったことがある。しかし、ギャラの折り合いが合わずに所属事務所が勝手にこの話を断り、後に聞かされたさんまは非常に悔しがったと語っている。
- なお、「岡」と「4」を縦に並べてみるとイヤミの「シェー」に見える。
- チビ太
- CV:田上和枝→水垣洋子→沢田和子(第1作)→田中真弓(第2作・CR)→國立幸(第3作)
- 六つ子たちのライバルで、背は低く年下に見えるが、実際は同じか六つ子より年上ぐらい。非常に負けず嫌いで、六つ子たちに何度も勝負を挑んでいる。割と喧嘩は強く、六つ子たちを全員倒した時もある。口は悪いが、動物や花をかわいがったり、惚れた女の子に一途になったりと純粋な一面も見られる。劇中ではイヤミとコンビを組むことが非常に多かった。
- おでんが大好物。実際にコンビニ「サークルKサンクス」では、「チビ太のおでん」と名付けられたおでんが販売されている。
- アニメ第2作では、ややべらんめぇ口調で喋る。第2作でチビ太を演じた田中真弓のアドリブで取り入れられた要素であるが、第3作の「おそ松さん」でもこの口調を継承している。
- ハタ坊
- CV:貴家堂子(第1作)→真柴摩利(第2作・CR)→斎藤桃子(第3作)
- 頭に旗(日の丸)が刺さった少年。語尾に「〜だジョー」とつけて話す。いつもぼけーとしていて、やや頭が悪そうだが、ただ漠然と生きる逞しい少年。主に脇役だが、その中でも重要な役柄につくことも多かった。
- デカパン
- CV:神山卓三→和久井節緒(第1作)→大平透(第2作・CR)→上田燿司(第3作)
- ハゲ頭にちょび髭の太った中年のおじさん。巨大なパンツを常に履いている。一人称は「ワス」で語頭に「ホエホエ〜」、語尾に「〜だス」とつく。その巨大なパンツの中にはいろんなものが入っている。温厚で優しい性格で、動物好き。ただし、その性格を利用されることもある。
- ダヨーン(駄四)
- CV:神山卓三→大竹宏(第1作)→神山卓三(代役:緒方賢一)(第2作)→茶風林(CR)→飛田展男(第3作)
- 掃除機みたいな巨大な口が特徴的な、正体不明の謎のおじさん。とぼけていて間の抜けた印象の人。
- 本官さん
- CV:千葉繁(第2作)
- 『天才バカボン』などでもお馴染み、目ん玉つながりのおまわりさん。なおデビュー作は今作の漫画版である。
- 余談だがおそ松くん第2作アニメ以降レレレの天才バカボンまで、ぴえろ制作の赤塚アニメで本官さんとレレレのおじさんの兼ね役を千葉繁が務めることが恒例となった。
ゲーム
- おそ松くん はちゃめちゃ劇場(メガドライブ/セガ・エンタープライゼス/1988年12月24日)
- おそ松くん バック・トゥ・ザ・ミーの出っ歯の巻(ファミリーコンピュータ/新正工業、バンダイ/1989年12月8日)
関連動画
関連項目
外部リンク
親記事
子記事
兄弟記事
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