Almagest(アルマゲスト)とは、
- 西暦2世紀にクラウディオス・プトレマイオスが著した天文学書。地球の周りを巡る天球の動き(天動説)によって天体観測の結果を合理的に説明し、以後長期にわたって天文学の基礎となった。「Al」はアラビア語の定冠詞、「magest」はギリシア語の「最も偉大な」を意味する言葉の音訳で、「Almagest」は「最も偉大なるもの」という感じの意味になる。なお原典の元々のタイトルは「Almagest」ではなく、写本として伝わるうちに定着した呼称である。「アルマゲスト」の記事を参照。
- Almagest。同人ゲームサークルSerendipityが製作している星間戦争SLG。
- 音楽ゲームbeatmaniaIIDX 17 SIRIUSに収録された楽曲。「Almagest(BEMANI)」の記事を参照。
本記事では、上記のうち2.のゲーム『Almagest』および『Almagest -Overture-』について記載する。
概要
「Almagest -Overture-」は、人類が宇宙に進出した時代を舞台としたフリーの星間戦争SLGである。
本来シナリオ・シミュレーションゲームである「Almagest」のうち、フリーシナリオ部分を陣取りシミュレーションゲームとして公開したもの。当記事では主にこの「Overture」の内容について扱っている。
「Almagest -Overture-」はターン制の戦略SLGで、内政と艦隊戦と外交を駆使して宇宙を制覇するのが目的とされる。マルチシナリオが搭載されており、行動の結果次第でゲーム終了条件もそれに至る過程も変わってくる。ただしこれはプレイヤーの行動を制限するものではなく、間延びしがちなゲーム終盤を盛り上げるためのギミックである。
このようなSLGには珍しく、登場する全キャラクター・兵器にオリジナルの固有グラフィックが存在。「能力値」「作戦適正」そして「キャラクター設定に基づく特定の組み合わせ」の三種によって変動する艦隊の能力や、単に上位の兵器を使用すればよいというだけではない様々な特色を持った各種の艦艇、行動によって成長するキャラクターなど、完成度は非常に高い。
製作者がスペースオペラを作りたいと発言している通り、ゲームの整合性をとるものから各国の背景まで、設定も細かく作られており、特にマニュアルの設定はファンなら必見。現行の「Overture」は一個のゲームとして完成してはいるが、本来はシェアウェアとして発表される予定のシナリオ・シミュレーションゲーム(「Almagest II」と仮称される)のなかからフリーシナリオ部分を先行発表した、いわば体験版でもあり、これらの細やかな各種設定やフリーシナリオ内で条件を満たすと発生するイベントから本編のストーリーを垣間見ることができる。
しかしながら、そのフリーシナリオ内だけでも様々なイベントや魅力的な登場キャラクターがプレイヤーの心を捕らえ、2chフリーゲーム板のAlmagestスレは更新停止以降も14年(2020年現在)の長きにわたって継続しているほどである。その話題は今も尽きることはなく、特にイベントや設定のそこかしこに隠された謎についての議論は今なお新しい推論が立てられることが少なくない。キャラクターの魅力でも他のフリーゲームに引けを取らず、登場する女性キャラがフリーゲーム最萌トーナメントで準優勝したこともある。
その-Overture-の名が示すとおり、まだこのゲームは序曲に過ぎない……。
登場勢力(シナリオ1時点)
括弧内はゲーム内で使用される勢力名の略号。各勢力は5種の政治主義のどれかに所属する。
ネタバレを防ぐため、人員の説明はシナリオ開始時のものとし、ゲーム中のイベント等については触れない。
ちなみに、ゲームタイトルの「Almagest」とは、複雑な惑星間の航路関係をわかりやすく整理した地図として設定されている「アルマゲスト星図」、すなわちゲームのマップのことを指す。
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地球統一連邦(UFE) - 保守
帝国(比喩的な意味で)。地球(アース)をはじめとした太陽系(ソル星系)とその外部の一部の惑星を押さえ、二つの行政区をその配下としている文字通りの銀河社会の盟主で、殖民地ならぬ殖民惑星への圧政で繁栄している。ゲーム内では二つの行政区および強力な中道国家1国と同盟している、文字通りの最強勢力。ただ軍務官(このゲームにおける士官の呼び名。現代の軍人より遥かに多様な任務を任される元首直属のエージェントとされる)は階級が高い人物が多いものの、腐敗しきっている設定を反映してか能力が伴っていないのが多い。だがこのゲームにおいては階級の高さは率いることのできる艦艇の数に比例しているため、どこぞの連邦宜しく数の力で圧倒していくことになる。兵器の開発能力も高いため、難易度は全勢力中最も低い。
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セレスティア共和国(CLS) - 改革
主人公。地球と酷似した環境の惑星を本拠地としている。各惑星に起こった連邦からの独立運動によって誕生した新しい星間国家のひとつ。隣接するファンロン共和国は自国と敵対しているうえに、その国家を滅ぼした先も連邦系勢力との戦いは避けられず、序盤から休む暇が無い。元首は内政・外交でトップクラスの能力を誇っている一方、軍務官は艦隊戦闘力は高いものの政治的に脳筋な連中が多い。
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フリーダムトーチ共和国(FDM) - 改革
アメリカ(昔の)。セレスティア共和国と同様に連邦からの独立運動で誕生した国家。開始時点で連邦系勢力のひとつと戦争状態になっている。元首は全元首中2番目に政治力が低いので、内政や外交には少々苦労するところがある。軍務官は筆頭軍務官が階級もそれなりで能力も高い。他の軍務官も能力が高い人材がいるが、全員階級が最低なので彼らの底上げを図っていく必要がある。
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イザナミ皇国(IZN) - 中道
日本。全勢力中唯一初期人員の全てが女性。しかも元首は宗教色の強い和装、軍務官の衣装は巫女という男性プレイヤー垂涎の国家。隣接する神聖メシアン教国は放っておくと後々厄介なので序盤のうちに何とかしておきたい。元首は内政を中心として能力がかなり高い。軍務官も人員は少ないものの階級は申し分なく能力も優秀。
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神聖メシアン教国(MSA) - 保守
バチカン。作中最も宗教色の強い国家。隣接するイザナミ皇国の奥に追いやられた格好であり、勢力図の中央に打って出るには外交を駆使しない限り戦争で解決しなけらばならない。軍務官は政治的に優秀な人材が多いものの、戦闘を任せられる人材は圧倒的に不足している。
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オリンピア連合(OLY) - 中道
EU。単体の惑星では紛争に対抗できないため集まった星間連合体。日和見主義な原作の設定を反映してか、致命的に印象の悪い国家は存在しないため、一切戦争を起こさずにゲームをクリアする事も難しくない。最初から4惑星を押さえており経済的には申し分ないが、これらを維持する軍務官の数が圧倒的に足りない。
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ファンロン共和国(FAN) - 孤立
独裁国家。連邦系勢力であるアガスティア行政区の軍の一部が独立運動のどさくさに紛れて独立を宣言した。最初から隣接しているセレスティア共和国とアガスティア行政区の両方とも戦争状態になっている。元首は艦隊攻撃力は高いが全元首一の脳筋で政治・外交ともにままならない。軍務官も1名を除けば箸にも棒にもかからない連中だらけ。CPU操作だとほとんどの場合真っ先に滅亡する文字通りのかませ犬だが、この勢力で銀河統一を成し遂げようとするドMなプレイヤーも少なくない。ちなみに元首の顔グラが北の将g###この記事は粛清されました###
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W.L.T.C.(WLT) - 改革
もうひとりの主人公。国家名は「ウィルザック」と読み、”We leave the cradle”の略である。作者の「とにかく遠くへ遠くへ行きたい変人の集団」という評のごとく、銀河の遥か遠くへ進出しようとする勢力。唯一隣接しているメガリス行政区とは戦争状態なので、まずはこの勢力をどうにかしなくてはならない。元首はプレイヤーから「完璧超人」と揶揄されるほどの公式チートぶりだが、ゲームの仕様上元首は本拠地の防衛以外では戦闘できないのが最大の欠点。軍務官は階級こそ低いが総合力や一芸に秀でた人材ばかり集まっており、潜在能力は全勢力中トップクラス。
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メガリス行政区(MGL) - 保守
遺跡群。地球統一連邦に属する勢力。所有惑星は地球外生命体の存在が疑われるものが多いらしい。人材は階級はそれなりだが質は隣接するW.L.T.C.やブラオローゼ公国に比べかなり劣る。さらにW.L.T.C.とは戦争状態であり、展開によっては早いうちにブラオローゼ公国からも宣戦布告される可能性があるため、CPU操作だと大抵ファンロン共和国の次に滅亡する。プレイヤーで操作するならば二正面作戦に陥らないよう外交を駆使したい。ちなみに攻略サイトや専門掲示板ではマスコット的存在を受けている国家だったりする。
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ブラオローゼ公国(BRR) - 中道
貴族。勢力名や所有惑星・人物の名前全てがドイツ語表記であり、なおかつ元首が金髪の青年であるため、某SF架空戦記を彷彿とさせるが、設定上は連邦を支持している国家であり、最初から地球統一連邦とは同盟している。連邦に比べ人材の数は劣るが質は断然こちらが上で階級も高い人材が多い。ゲーム初心者の方はまず地球統一連邦かこの勢力でプレイして操作に慣れると良い。
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アプサラス特別区(APS) - 中立
マフィア。マップ中央にポツンと存在している。全勢力中唯一「中立」の立場を取っており、外交や宣戦布告にいろいろとペナルティがかかっている。あることをしたり条件が整ったりすれば中立が放棄されるため、どの段階で中立を放棄するかが大きな戦略の一つとなっている。軍務官の数は少ないが質は優秀で階級の高い人材も複数いる。
- アガスティア行政区(AGS) - 保守
インド。メガリス行政区同様地球統一連邦に属する勢力。所有拠点数は地球統一連邦の次に多い。マップの中央付近に存在しており、隣接する勢力の数は最も多く、そのうちフリーダムトーチとファンロンとは戦争状態にあり、いきなり二正面作戦を強いられている。これ以上別方面から戦争の火種が起きないよう外交と艦隊運用を的確にこなしたい。軍務官は階級・能力の高い人材はいるが、戦線を維持していくには少々心許ない。
関連動画
関連項目
外部リンク
- Soft Circle "Serendipity"
- 公式サイト - Almagest Wiki
- 攻略wiki(現在一時公開停止中) - Almagest Wiki
- 攻略wiki(上記wikiのミラー)
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