アンリミテッド:サガとは (アンリミテッドサガとは) [単語記事]

アンリミテッド:サガとは、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売されたRPGである。略称はアンサガ。人によってはドサガ。

概要

サガシリーズ9作目で、本作よりハードがPS2に移行。2002年 12月19日発売。音楽はサガフロ2から引き続き浜渦正志が担当。通常版と、CDと画集が付いた限定版（リミテッドエディション）がある。

解体真書という攻略本が実質の取扱説明書と言われる程、独特のシステムを採用している割に説明不足であることで有名。このことから多くのユーザーには発売後クソゲーと称され、一部では「アンサガを買う事が罰ゲーム」等と揶揄されるほどであった。

その複雑怪奇なシステムを理解してしまえば実は結構楽しめる……と思う。サガフロ2から引き続き人を選ぶゲームに仕上がっているのは確かである。作品の特徴は、以下の通り。

特徴

事前告知として大々的に告知されたスケッチモーションは、オープニングと特定場面だけのムービー用。基本はサガフロ2から続く水彩画を意識した手描き2Ｄである。

ことあるごとにリール（スロット）で行動の成否を決定する。リールを上手く止めると上位の技を使えたり、罠をかわしたり、宝箱を開けたり出来るが、様々な場面で成功判定が見えるようになったことは逆にテンポの悪さにも繋がっている。

冒険は酒場で情報を集め、冒険に出た後は双六のようなマップで主人公駒を移動させて行く事で行う等、全体的にTRPGを意識した作風になっている。

成長とスキルパネル

キャラクターの成長は大部分が7つのハニカムパネルにスキルをはめ込み、交換することで行う。このパネルに「短剣」「魔道板」等の戦闘で役立つスキルや、「聞き耳」「鍵開け」「水泳」といった冒険に役立つスキル、「あきんど」「目利き」等の街で役立つスキルなどをはめ込むことでキャラクターを成長させていく。

スキルパネルは冒険を成功させることで1回につき複数獲得出来るが、時には既存のスキルパネルより弱いものが手に入ってしまうこともある。こうしたパネルも手に入れたからには1つは交換しないといけないため、場合によっては「短剣L4」を持っているキャラが「短剣 L2」を手に入れてしまうなど、キャラクターが弱体化してしまうこともある。この対策として、スキルパネルのうち１つとしては「交換用」として不要なパネルの交換用に空けておく事で安定してキャラクターを成長させることが可能になる。

技のひらめきや合成術などは本作においても健在。魔法に関しては新たに「魔道板」が登場し、これを研究していく事で新たな術を修得するようになった。

戦闘

1ターンに5回まで行動することが可能。この際、5人が１回ずつ行動しても良いし、1キャラクターが５回連続で行動することも可能となっている。

シリーズ常連となった「連携」は行動を「ホールド」することで意図的に次の行動と連携を発生させることが可能になった。この際、後から連携した技にダメージボーナスが入るが、むやみやたらとホールドしていると敵の攻撃と連携してしまい、敵からのダメージが増加してしまう為注意が必要である。

また、HPは0になっても行動不能にならず、LPが0になった時点で初めて行動不能になるシステムを採用。ただし、HPがまだ残っていたとしても、LPが減ってしまう可能性がある。
HPが多く残っていると、LPが減る確率が下がる、HPはLPを保護する為の鎧のような役割となっている。

サガシリーズとしては初めて、バトル中には時々キャラクターが喋る。

音楽

音楽（BGM）は上記にもあるように、『サガフロンティア2』に引き続き浜渦正志が担当した。

2014年 12月14日のニコ生番組「『サガ』シリーズ25周年特別番組【出演】河津秋敏、伊藤賢治、小林智美他」にて、音楽担当者決定のためのコンペティションの際のエピソードを製作総指揮・河津秋敏が語った。

コンペティションは浜渦と伊藤賢治とで行われた。過去のサガシリーズに関わりがあり、ユーザーからの要望もあった伊藤に1曲作ってもらい、両方聞いた上で浜渦に決めたと河津は語る。

このエピソードを河津が語りだしたところ、番組共演者の伊藤は非常に驚き焦っていたという。

登場主人公

本作に登場する主人公は７名。それぞれが独自のシナリオを持っている。

本作では自由なパーティ編成などと言う言葉は無く、それぞれの主人公において仲間になるキャラクターは固定である。ある意味漢らしい仕様。

シナリオによってはシステムの理解や難易度の高い戦闘が不可欠といったシナリオもあり、初心者向けから上級者向けまで難易度は様々である。

ローラ	30歳 / 女未亡人	CV:井上喜久子
	「なんか用？あたしに近づくと怪我するよ！」
	ストーリー	かつて女海賊として暴れまわっていたが、結婚を機に海賊稼業から足を洗い、夫婦で幸せな日々を送っていた。だが、あるとき夫のパブロが不慮の事故で急逝。最愛の人を失い茫然自失のローラは、夫の葬儀の日、祖国を失った王子アンリと出会う。自らと同じく絶望の底に立たされているアンリを助けるため、ローラは彼と共に旅立つことにしたのだった…
	シナリオの特徴	武器に使用回数が設定されている本作において、使用回数無限の武器が序盤で手に入り、イベントアイテムも多く登場する初心者向けシナリオ…と見せかけて、終盤のストーリーの分岐次第では難易度が激変するという罠が用意されている。
	キャラのスペック	力資質が高めな戦士系キャラ。初期装備・パネルが共に技能力値依存の短剣だが、ローラは技資質が低いので早めに斧や長剣に持ち替えた方が良い。マイス編でも仲間として登場するが、全体的に仲間が脆い同編の中では比較的LPが高めなこともあって、主力として活躍できる。

ジュディ	10歳 / 女天才魔法少女	CV:猪口有佳
	「わたしジュディ。わたしにまっかせて！」かわいいお嬢ちゃん、私が君を護ってあげよう
	ストーリー	魔法屋一家の末娘で、本名はジュディス。家族で平凡ながら幸せな日々を送っていたジュディの日常は、祖父ジョーゼフの旧友であるクライドが禁呪の秘密を求めて一家のもとを訪れたことで、突如破られた。ジョーゼフは鏡に閉じ込められ、他の家族も各地に飛ばされ散り散りになってしまったのだ。幼い少女は家族を求め、冒険の旅に出るのであった…
	シナリオの特徴	難しい道のりが無く、ラストダンジョンまでは進め易い。また、他のシナリオでは滅多にお目にかかれないような魔道板が必ず手に入り、術が得意なキャラクターもそこそこ登場するので、術をガンガン使っていきたいプレイヤーにはうってつけのシナリオといえる。
	キャラのスペック	高い魔資質に加えて、五行資質も金・水以外は高水準と天才魔法少女の肩書は伊達ではない。ただしこの手のキャラのお約束として脆いので、盾役のキャラを前に立たせて護ってもらうようにしたい。ローラ編でも仲間として登場するが、基本的な運用は共通である。

ヴェント	19歳 / 男運び屋	CV：川田紳司
	「ンフフ、やっぱオレしかいないよな～。兄貴の仇はオレが討つ！ってね」
	ストーリー	運び屋になりたての青年。運び屋だった兄を5年前に亡くしており、運び屋業の傍ら兄の死の真相を探ろうとする。その先で大きな陰謀に巻き込まれることを、このときの彼はまだ知らない…
	シナリオの特徴	戦闘シナリオが有限である本作において、独自システム「運び」を使って無限にキャラクターを成長させることが出来る。強敵とのバトルもあるが、運びを利用してキャラクターを育てておけば問題なく切り抜けられるので、総合的に見れば難易度はさほど高くない。また、すべての街に行くことができるため、全シナリオ中でも自由度はかなり高い部類に入る。
	キャラのスペック	高いHP 回復能力とそこそこの力資質を活かし、槍などを持たせて前衛に立たせるのに向く。仲間として登場するキャッシュ編でも最序盤から登場し、初期ステータスの低さから始めは苦しい戦いを強いられるが、成長の機会が多いおかげで最終的にはそれなりに強くなる。

キャッシュ	32歳 / 男顎冒険家	CV：佐々木健
	「やあ、僕はキャッシュ。僕と一緒に冒険をしよう！」
	ストーリー	騎士の名門家の長男キャッシュは、騎士団のあり方への疑問から騎士を辞め、冒険に出る。だがそんな彼が騎士から冒険家に転身したのには、もうひとつ理由があった。その理由とは、キャッシュが身に付けている「ガントレット」…このガントレットは、一度身に付ければ外すことができなくなる上、本人の意思に関わらず装備者を戦闘空間へと引きずり込む呪われた道具であった。キャッシュはこの呪われたガントレットの謎を解こうとしていたのだ。
	シナリオの特徴	前述の呪われたガントレットの影響で度々強制戦闘が起こるほか、序盤は少人数で難所を攻略しなければならない。加えてキャッシュ編はシナリオの進め方がやや特殊で、総じて難易度は高い。だがガントレットによる強制戦闘は、うまく利用すれば技の習得がしやすくなるという面も。またヴェント編同様、すべての街に行けるので自由度は高い。
	キャラのスペック	平凡な資質をガントレットパネルによる補正値と技の閃きやすさで補う形になるキャラ性能である。仲間として登場するジュディ編ではガントレットパネルの成長もガントレット強制戦闘もないため、これらの恩恵を受けられず、壁役以上の活躍は期待しにくい。

マイス	28歳 / 男発明家	CV：伊藤健太郎
	「寝起きで気分が悪いんだ。ほっといてくれないか」
	ストーリー	鑑定士としては天賦の才を持ち、女にもモテる。傍目にはリア充そのものなマイスの心は、虚しさで満ちていた。そんなある時、彼はブロンズ肌・銀髪の少女の肖像画を目にし、その姿にたちまち心を奪われてしまう。彼女のことを少しでも知りたい…その思いが、マイスを長い旅へと駆り立てる。
	シナリオの特徴	マイス編で仲間になるのは女性キャラばかりだが、つまりそれはパーティメンバー全員が貧弱体力という事である。それでも序盤～中盤にかけてはさほど苦労なく進めることができるが、ラストバトルの厳しさが全シナリオ中トップクラスであり、難易度は高い。なお、このシナリオのみ改造屋のラインナップが条件によって変わるが、ぶっちゃけその恩恵に与る場面は少ない。
	キャラのスペック	高い水資質とそこそこの技資質を持ち、水術や短剣・弓・銃などで戦うのに向く。ルビィ編でも仲間になるが、初期ステータスの割に加入時期が遅いので、主力にするには計画的な育成が必要になるだろう。

アーミック	年齢不詳 / オスチャパ族	CV：子安武人
	「どーもー、チャパ族のアーミックですー。よろしくー」
	ストーリー	ビーバーに似た外見の種族、チャパ族。彼らの村は今、深刻な干ばつに見舞われていた。そこで村の長老は雨乞いの儀式を行うことを決め、儀式に必要なアイテムを集めることになった。アイテム集めという大役を任されたのは、勇士メリト、人気者カレシン、知恵者スプリー、…そしてこれといった取り柄のないアーミック。なぜ自分が…？と疑問を抱きつつも、アイテムを求めアーミックは旅に出るのであった…
	シナリオの特徴	アイテムコレクションが目的のシナリオ。本作独特のアイテム収集術の知識は必須なので、初回プレイでの挑戦はオススメできない。また、ラストバトルの攻略法が特殊であり、事前の準備を怠っていると詰むことも。
	キャラのスペック	初期装備の弓は技資質が低いため向いていない反面、そこそこの力資質に加えて体重が軽いため、軽体術使いに向いている。魔道板や術合成の引き次第では水術使いにするのもアリだろう。ローラ編でも仲間として登場するが、基本的な運用は共通である。

ルビィ	17歳 / 女占い師	CV：比嘉久美子
	「えっ、私なの？まっ、なんとかなるわよ」
	ストーリー	どんなことでも当てると評判の占い師サファイアとは対照的に、占い師としての腕前は相当怪しい妹のルビィ。ある時サファイアは不調により占いができなくなってしまい、代わりに未熟なルビィが姉に内緒で占い館への依頼を引き受けることにしたのだった…
	シナリオの特徴	各主人公のラストダンジョンを巡る、各シナリオの総括的なシナリオ。だが、ルビィ編でのみ仲間になるイスカンダールの存在に加え、ボスが（一部を除き）それほど強くないので、総合的に見れば難易度は普通である。とはいえ、他のシナリオをプレイしていないと理解できない展開もあるので、他の主人公のシナリオをクリアしてからの挑戦が推奨される。
	キャラのスペック	魔資質・火資質が共に高く火術使いに向いているが、地味に全主人公中最もLPが高く力資質も悪くないので、前衛も十分に務まる。仲間として登場するヴェント編では初期HPの低さが気になるが、運びによる成長があるおかげで大きな問題にはならない。